「殺された。麻薬のトラブルがあったようだ。マフィアの連中がやつの部屋に行った。次の日、そいつの死体はそこで燃やされてガンガーに流された」 「麻薬? 殺された?」 「ガートでガンジャの売人を殴ったんだ。
丸山ゴンザレス, アジア罰当たり旅行, loc. 225
Yahooジャパンだったら絶対にこの事件の1/10でも取り上げるよな、ってことがインドのドミトリーでは日常茶飯事で行われている。どの国に住むかで、基準は全て変わってくる。逆に言うと、たった一カ国して住んでないのに、その国の基準を自分の基準(最悪の場合、グローバルスタンダードだと思い込む)に思うのはやめたほうがいいです。
学生の主張が正しかったか、間違っていたかなどということは分からないが、自分の信念に従って行動することの難しさはよく知っているつもりだ。
丸山ゴンザレス, アジア罰当たり旅行, loc. 415
自分の信念に従うこと、従って行動することは、正しい正しくないの前に「難しい」んだよね。
ポカラは言わずとしれた日本人旅行者に人気のスポットだ。ここに長期滞在している間に俺はすっかり人間嫌いの典型的なイヤな旅行者になっていた。長旅のせいで自分の殻に閉じこもっていた。長期旅行をしていると、2、3ヶ月に一度はこうしたウツっぽい気持ちに陥ることがある。そこから抜けると、旅行の楽しさなどを再確認できるのだが、入り込んでいる間はどうもウツウツとした時間をすごすことになる。
丸山ゴンザレス, アジア罰当たり旅行, loc. 426
僕らの場合はちょうど3か月周期でこの中弛みが生じるので、そのタイミングで国を変えたり日本に帰ったりしています。
安堵するあまり、小便をもらしそうになってしまった。よくドラマとか映画の中で極限状態の人間が失禁するシーンがあるが、俺は緊張の真っ只中にいる人間はそうはならないんじゃないかと思う。緊張が緩んだ瞬間こそ、失禁タイムなのではないか。
丸山ゴンザレス, アジア罰当たり旅行, loc. 451
9割の人は流しで生きているし、日本にいて保守的に生きていたいから、会社に守ってもらいたいから、極限状態なんて経験せずに死んでいきますよ。
ある雑誌の対談で、有名なジャーナリストが若い頃の無銭旅行体験をこれ見よがしに語っていた。だが、本当に無銭で旅行などできるはずがない。無銭で旅行をしたらどこかで犯罪行為が発生するに決まっている。スタイルがどうであれ、食費に宿代、交通費、旅には金が発生する。チャップリンだって、人生には少しのお金が必要と言っていたし。
丸山ゴンザレス, アジア罰当たり旅行, loc. 996
安全と節約はトレードオフですからね。旅費を節約したければ、安全度を下げなければいけない。こう言った「XXとXXはトレードオフである」という瞬間に、旅中はしょっちゅう出逢う。
「カルカッタへの電車を待っているんだけど」と言えば「きたら教えてやる」。「腹減った」と言えば「これを食え」。このときばかりはインド人の優しさが身にしみたものだ。手品はカードを使った簡単なものだが、インド人にはウケにウケた。映画産業は盛んだが、それ以外の娯楽に飢えているのであろうか。
丸山ゴンザレス, アジア罰当たり旅行, loc. 1026
スラムドッグミリオネアとか3 idiotsとか最後に必ずダンスがあるけど、あれがインド映画ですね。海外に行くとコミュニケーションを取れただけ嬉しくなるのは、幸福を感じる閾値が圧倒的に下がっている証拠ですよね。
「この日本人、なんで3等に乗ってんだ。ゴミか」 そんな視線が容赦なく浴びせられる。そして印象的だったのは、蔑むような視線を送っていた彼らの大半が、終点を目前にして電車から飛び降りていったことだ。ここで降りたほうが家に近いのかと思ったが、結局、チケットを持っていないだけのことだろう。
丸山ゴンザレス, アジア罰当たり旅行, loc. 1033
いや、それはない。笑
僕らも3等に乗っていたけど、普通にみんなでカラオケやってたからね、一緒に。
とにかく日本国籍を持っているだけで、海外で有利に働くことがある。 たとえばカルカッタ空港では長蛇の列を作る他国からの入国者を尻目に、係員が尋ねてくる。 「Are You Japanese?」 「Yes」 こんな短いやり取りで、その場で入国のスタンプをついていく。
丸山ゴンザレス, アジア罰当たり旅行, loc. 1051
日本国籍は有利だけど、アジア国籍は大して優遇されない。アジア人(特にインド人と中国人)が世界を少しずつ席巻しているおかげで、それに嫉妬した欧米人が、あるいは昔からの慣習でアジア人は未だに軽蔑されている。アジア人の地位は未だに世界では低いまま。これは旅をしないと、あるいは現地に溶け込んで生活しないとわからない。
当時の俺は彼と同様に失業しており、いわゆる「日本でなにもやることないから、ちょっと海外でも見てこようと思って」的なバックパッカーだった。そんな背景も手伝って彼との話題はいつもダメダメなものばかりだった。石川が口を開いた。 「ニューカレドニアには夢の場所があるらしいよ」 「なに、夢って?」
丸山ゴンザレス, アジア罰当たり旅行, loc. 1166
失業してなくても、日本でやることなんてないですからね。みんなインターネットにつながっているから、別に日本じゃなくても生活できるじゃん・・・って。もちろん旅費、生活費があれば、の話ですけど。
そう言ってこれまでに釣り上げた謎の魚類をすべて渡した。まあ、チップ代わりになるだろうと思ったのだ。 すると少年は飛び上がるほどの喜びを見せ、厨房にいるオヤジに見せにいった。オヤジも感謝のつもりか、とびっきりの笑顔を見せてくれた。 それからサービスのつもりなんだろうな……、 「料理するから食べていけ」 お誘いがかかった。だが正直いって、ゴキブリで釣った魚なんぞ食いたくない。食わない魚は釣らないというポリシーを持っていた俺だったが、ここは断ってしまった。
丸山ゴンザレス, アジア罰当たり旅行, loc. 1468
釣った魚を食べないってのは、ビジネスでもよくある話で、特にDRMではそれが顕著。DRMの醍醐味は、必要な人に必要なメッセージを届けることだから、こちらがターゲティングしていない人がたまに釣れると・・・「申し訳ございませんが・・・」と購入を断ったりしなきゃいけない。
プノンペンでは密告と美人局で小児愛好者の外国人が次々とPIP(プリズン淫プノンペン)されているそうだ。しかもその場所は旧スワイパー村だそうだ。コーヒー感覚で子供とセックスできる村として、日本のキティ(鬼畜)どもの間で有名である。
丸山ゴンザレス, アジア罰当たり旅行, loc. 1537
プノンペンでマッサージしてもらったけど、みんな若い女性でしたからね。少女ではなかったけど。隣に奥さんがいたので、プレーのお誘いはありませんでしたが、当然ですけど。
もちろん買うつもりはなかったが、調査のため店内に入った。通行人の若者5人も社会科見学としてついてきた。……本当だ。そこにいるのは子供ばかり。日本ならば小児科に通院する年齢である。子供たちは楽しげにキャッキャとはしゃぎ回っているはずもなく、ぼんやりとした目をしている。実際に話してみたが、全体的に「生きている」感じがしない。明らかに「やらされている」というのが分かって、俺たちは重い気持ちになった。
丸山ゴンザレス, アジア罰当たり旅行, loc. 1563
間違って通勤ラッシュの電車に乗ると、こーゆーぼんやりした目をたくさん見る。外見がスーツであろうと、バンドマンっぽい服装をしていようと。生きていることと、呼吸していることは違いますよ・・・と言いたいですね。
これまでに覚えた中でもっとも気に入ったのが、中国語の「我愛尓(ウォー・アイ・ニー)」だ。この語感にハマった俺は売店のお兄さんから給士のおばさんまで、たとえ公安ににらまれようと「我愛尓」を言いまくった。ある人はハニカミ、ある人は怒り、重要なコミュニケーションのツールとして活躍していた。
丸山ゴンザレス, アジア罰当たり旅行, loc. 1634
インドにいた時(英語が喋れない時)にオーストラリア人にYou’re beautifuと友人と言いまくったけど、ただウザがられただけでした。対応ちゃんとしてくれたけど「このイエローモンキーが」みたいな感じだったんでしょうか。
その後、店内を観察していると、恐ろしいことが分かった。 客からオーダーが入ると、ガキが食堂を飛び出していく。つまり回転率の悪い食堂では冷蔵庫を導入することもできず、注文のたびに市場に材料を買いにいっているのだった。いつまで経っても運ばれてこないわけだ。調理時間とは別に買出しに30分以上かかっているのだから。
丸山ゴンザレス, アジア罰当たり旅行, loc. 1716
こういった非効率を平気で目の当たりにする機会が多々あるけど、別にこれは他国に限った話ではなく、日本というか日本人を見てても非効率はあるけどね、って話になる。なんで昇給する程度のためにTOEICの勉強をするの?とか。なんで金持ちになりたいのにマーケティングの勉強せずに、怪しい自己啓発やってんの?とか。まぁそういうマーケットがあって、金銭授受が行われているんだから、今更あーやこーや言うつもりはありませんが。ちなみに小金持ち程度でいいならDRMが最速です。僕がDRMを選んだのも、それが最速だって確信したから。で、それは事実でした。金持ち程度は効率的にやろう。
ここで働くタイ人のお姉さんがハッパの売人だったのだ。しかも普通の売人ではない。警察官の妹。思いっきり押収品を横流しして荒稼ぎしている。 さすがにそれはヤバいんじゃないか……兄貴に垂れ込み必至の構図だ。俺の頭にカオサンで逮捕され、強制送還されたマツダが思い浮かぶ。
丸山ゴンザレス, アジア罰当たり旅行, loc. 1751
僕の大好きなカタンドアネス島でも、やっぱりこう言う構図はありますね。バイク乗るのにヘルメット持ってないことを警察官(妻の親戚)に言うと、警察が検問していない場所を賄賂なしで教えてくれたからさ。
「お前、アジアで危ない目に遭ったとかって言うけど、ヨハネスも見てないのによく言うぜ。あの街歩いたら、アジアなんてどこ行っても楽園に見えるよ」 その言葉に俺はカチンときた。男友達というのはプライドを競い合うところがあり、特に昔からの友達となると、その傾向は強くなる。 「お前はヨハネスでどんな目に遭ったんだよ」
丸山ゴンザレス, アジア罰当たり旅行, loc. 1797
ここはプライド出すべきところじゃありません。バックパッカーの矜持はどれだけ危ないところに行ったか、で測られると勘違いしている人が多いけど、死んだら意味なし。
「4人で乗り合わせてダウンタウンのほうに走っていったんだ。これはヨハネスでは当たり前なんだが、赤信号でもタクシーは突っ切って走る。止まってたら強盗に襲われる危険性が高いからな。そのときもタクシーはその最低限のルールを守っていた。だけど、それでもヤラれちまうんだよ」
丸山ゴンザレス, アジア罰当たり旅行, loc. 1816
奥さんも子供もいるので、こう言った危ない場所にはもういけなくなりました。仮に彼らがいなくても、こう言った危ない場所に行きたい!ともう一度思うのだろうか。いや、このレベルの危険度は無理ですね。
あとで運転手にガラス代を弁償したらしいが、「金で解決できることなんてなんでもないことなんだ」と魚さんは強く語った。
丸山ゴンザレス, アジア罰当たり旅行, loc. 1828
そうそう、金で解決できることなんて、本当になんでもないんですよね。金がないのは一番最悪ですけど、金でどうにもならないこともたくさんありますから。
俺は自分の調子に乗った一言を反省しながら、ヨハネスブルグのホテルで軽い引きこもり生活を続けていた。魚さんがヨハネスにたどり着くまでに、街を見て回ろうと思っていたのだが、とんだ誤算だった。 白人たちが住む地域のホテルに宿泊していたのだが、そこでも治安は恐ろしく悪い。
丸山ゴンザレス, アジア罰当たり旅行, loc. 1839
タイムラプスカメラにはまって、GoProをはじめとしたプロ用のカメラを持ち歩いていると、明らかに「ここにもう1時間いると、身ぐるみ剥がされるな」と確信できる場所がありますよね。
夜の営みも佳境を迎えた頃、突然、隣の部屋につながるドアが開いた。そこには目つきのヤバいおばさんが立っている。状況を把握できないソリさんのもとにおばさんは歩み寄り、言い放った。 「私にもして」 困惑したソリさんは1つになったままの女に向かって聞いた。 「誰?」 するとさも当然のように答えが返ってくる。 「マイ マザー」
丸山ゴンザレス, アジア罰当たり旅行, loc. 1934
竿姉妹や棒姉妹を超えて、親子丼になるとは・・・。
ソリさんはおばさんに向かい、叫んでいた。 「エブリバディ カモン!」 結局、ソリさんは朝まで付き合わされ、最後は2人に見送られて家をあとにした。
丸山ゴンザレス, アジア罰当たり旅行, loc. 1942
親子丼したんかい!笑
「おい! なにがあったんだ? 大丈夫か?」 ソリさんが尋ねている。俺と魚さんはどうすることもできない。今更、心配してみせたって演技っぽくなってしまう。ソリさんとジョーイのやり取りを突っ立って見ているしかなかった。ジョーイは無言だ。というより、息が乱れて満足に話すことができない。
丸山ゴンザレス, アジア罰当たり旅行, loc. 1986
なぜジョーイは無言なんでしょうか。
「掘られたな……」 魚さんのつぶやきが俺に衝撃を与えた。
丸山ゴンザレス, アジア罰当たり旅行, loc. 1989
男が元気なかったら、まず最初に疑うのが「掘られたな」って。どんな世界やねん!笑
「ヤラれはしなかったよ。でも、裸で走ってたら、奇声を上げて追いかけてくる黒人がいたんだ。本当に怖かったよ。振り返って目を見たんだけど、人間をがむしゃらに追いかける犬みたいな目をしているんだ。めちゃめちゃ足速いし、つかまったらどうなるか分からないし、それこそ必死で逃げてきたんだ」 文字どおり、身ぐるみはがされたやつを初めて見たよ。
丸山ゴンザレス, アジア罰当たり旅行, loc. 2005
世界一周していた先輩から「韓国でおばちゃん4人に追いかけられた」って話を聞いてビビったけど、奇声をあげて追いかけてくる黒人がいたら、そりゃビビりますよね。どうでしょう、日本でスモールビジネスやりたいとか考えている普通の人たち、まずこれくらいインパクトのある人生を送っていますでしょうか、あるいは凶器のような鋭い知識を持っているでしょうか。
「ドクターにあと3日は安静にしてろって言われてるんだよ。せっかくだけど、悪いな……」 などと答えるはずもなく、俺は腰掛けていたベッドから勢いよく立ち上がった。 「じゃあ、パーッといきますか!」 背中の傷跡がモゾモゾッとした気がしたが、そんなの気にしてちゃ、旅なんて続けられないのだ。
丸山ゴンザレス, アジア罰当たり旅行, loc. 2092
「仕事やお金なんて気にしていたら、生きることなんて続けられないのだ」・・・仕事に生きがいを求めるのが邪道。生きがいは生きがいで求めればいい。
なにも知らないから踏み越えることができる一線がある。その一線の先にある出会いや事件こそが本書のエピソードの数々だ。
丸山ゴンザレス, アジア罰当たり旅行, loc. 2109
みんな予防線を遠くに引きすぎだから、踏み超える境界線すら遥か遠くで見えない状態。そんな人生でいいの?・・・という下で使えますね。
自分探しと称して旅をする人は多い。だけど、自分は自分。探してみたって見つかるものじゃない。 見つけるというより、旅を通じて自分の本能がむき出しになっていくと言ったほうが正しい気がする。そこで初めて自分の本性が見えてくる。自分探しの結果なんて、見たくもない本性の露呈だったりするのだ。
丸山ゴンザレス, アジア罰当たり旅行, loc. 2110
RealとIdealの落とし所を見つけないと、みんないつまでたっても(30代、40代のおっさん、おばさんになっても)「夢を追いかけている」とか「夢が今日、少し叶いました」とか痛いことを言い続けることになる。一回、その発言の虚しさを客観的に見たらいい。少なくとも、ツイッターやフェイスブックで他人に言うことじゃないでしょう。