どうも石崎力也です。
バイクを漕ぎながら書いています。
The Frayを適度な音量で聴きながら。僕らがマニラにいた時、The Frayのチケット取ったのにコンサートが中止になったんですよね。彼ら全然アルバム出さないから猛烈なファンは名曲をそれはもうレコードが擦り切れるくらい聞き続けるしかないんです。曲について良い悪い判断するでもなく、もう体の一部になっている音楽って誰にでもあると思います。
僕にとってのそれはミスチルであり、Snow Patrolであり、The Frayであり、Ed Sheeranだったりするわけです。Skyler grayやNorah Jonesも。身体の一部となった曲を頭の中で鳴らすと、その時のマインドセットが瞬時に戻ってくる。
例えばギャラガー兄弟のオアシスを聴くと、西麻布て寝食忘れて働いていたあの時が返ってくる。リラックスしたい時にWonderwallなんてきいて御覧なさい。きっとメールをチェックして、今日の売上通知を確認するでしょう。或いは商談の結果を確認する。そして落胆し、歓喜し、激怒する。大変だったなー、あの頃は。
メルマガ読んでいて「オアシス聴いています」と書いていれば、お金に困ってガリガリと働いているんだなと内心理解してあげてください。そんな日が戻ってくると困りますけど。
そうそう、西麻布での面白い話を一つ紹介します。小学校と中学校の同級生に金山君と北谷君という人物がいます。どちらも実名ですが、たぶん読んでいないから大丈夫。金山君は北谷君に言ったそうです。
「なんか知らんけど、リキが六本木でむっちゃ稼いどるらしいよ。会ってみたら」
小中の同級生にはリキって呼ばれていたんですね。高校からはリキヤですね。普通呼び名って変わらないですよね。何故、小中と高校で呼び名が変わったかと言えば、人脈がガラッと変わったからです。間違って進学校に行ったものだから古い友達が一気に疎遠になった。いやこんな言い方すると嫌らしいのかな。悪意は一つもないです。ただ純粋に断絶ができたんです。(ちなみにこういう人脈の大幅なアップデートはその後にも3、4回は経験しました)
さて北谷君はなんて返事したでしょうか。
「知っとるよ。でも怪しいことしとるらしいし、会わんでもいいわ」
悲しけれ。確かに怪しい人間ですか、怪しいことはしていないつもりです。後でこのやり取りを金山君本人から聞いて、笑い話になりました。リキって本当に怪しいことしとるん、と。
全米でトップクラス・コピーライターのジョンカールトンは実のアニキに「でもお前のやっていることって、つまりは詐欺だろ」って言われたそうです。
確かにビローンって長いセールスレターを書いて、原価が15円にも満たないようなデジタルコンテンツを売りつけ、家族で世界一周していますなんてブログに書くと、そりゃ怪しく見えますね。そうです、北谷君は正しいのです。常識人であれば、働かずにお金を稼いでいるなんてカテゴリ的には「怪しい」が一番適していると思います。
何故か若かりし僕はそうは思わなかったんですね。寝てても稼げるというフレコミを間に受けた。それを実行した。それが実現した。目の前で起こっている現実が、まるでご近所さんに挨拶するのがごく自然な行為であるように、ナチュラルに受け止められたんです。
なんででしょうね。両親は共働きで、働かざる者食うべからずを地で行くような人たちですから、彼らから金銭教育を受ければサラリーマンになるのがセオリーなんですけどね。自分でもわかりませんが、なぜか働かなくてもお金は入ってくることを知っていたんです。
もしかしたら祖父の影響かもしれません。祖父は石崎写真製版を冠する工場を持っていました。プロミスから借金してギャンブルに勤しむほど、大して稼ぎのある人間ではなかったけど、いつもそこにはお金と時間がありました。
よっしゃ三国に行くか、その掛け声一つで巨大な印刷機を止めて車に乗り込み、競艇場に行くのが、とても自然な行為でした。自由はないけれど家族を養うお金がかろうじてある人生と、借金と自由が共存できる人生のどちらが幸せか、僕の中で答えは出ていました。僕の方が祖父よりも運が良かったので、たまたま借金はゼロですが、自営業なんて借金まみれの人生と紙一重です。
北谷君に教えてあげたいことが一つあります。
自分の知らないことを怪しいとカテゴライズするのはやめたほうがいいかもしれません。お化けが怖いという心理プロセスと似ていますよね。見えないからこそ、怖い。リッチな人に対して嫉妬したり、Facebook上の幸福を妬むのも同じ原理かもしれません。
知らないことを、怖いとかムカつくとか怪しいと括っていると、視野が狭くなります。Snow Patrolの音楽を聴いたことのない人間に、彼らの音楽を評価してもらっては困りますよね。それと同じことです。
ということです、きたたにくん。