まずミラーレスと一眼レフの違いから。ラフに言って、ミラーレスの構造はコンパクトデジタルカメラと同じです。違いはセンサーサイズとレンズ交換の有無、それだけ。これ言うと、コンデジからの脱却を狙っていた潜在的なミラーレスカメラのユーザーはショックを受けるかもしれません。なんだよ、コンデジと同じかよって。そうそう、同じなんです。我が愛機のパナソニック GH4 だってミラーレスなんです。これだけ重量感のあるカメラなのに、コンデジとほぼ同じって言われると、そりゃショックでしょう。
例えばボケ味にしたって、センサーサイズの違いがダイレクトに一眼レフとコンデジの違いを生んでいたように、一眼レフとミラーレスのボケ味の違いもやはりセンサーサイズによるものなんです。ミラーレスはコンデジと構造がほぼ同じなんだけど、コンデジよりもクオリティが高い。それだけ。ということは、ミラーレスと一眼レフの違いは、以前お話ししたコンデジと一眼レフの違いを少しだけ小さくしたものと考えていいかもしれませんね。
さてミラーレスの構造なんですけど、まず呼称から説明します。Mirro(ミラーが) + Less(ないよ)ってことなので、ミラーレスを一眼レフと呼ぶことはできません。一眼レフのレフはレフレックス(反射)を意味しますので、鏡がなければ当然、反射は起こりません。よってミラーレス一眼レフとは呼べないわけですね。語義矛盾です。痛くない腰痛とか、新築40年とかそんな感じかな、たぶん。
ミラーを取り除いた結果、ミラーレスでは光学的に被写体を見ることができなくなってしまいました。一度光を電気信号に変換して、それをパネルで見るわけですね。その分タイムラグがある(と言われています)。それゆえ、報道カメラマンなどは一眼レフを使います。シャッターチャンスを、タイムラグが原因で逃していたら仕事になりませんものね。なんでわざわざ光学的に見えないようにしたんだよ、なんでパネルと実像にラグがあるようなモデルを作ったんだよ・・・そう思うかもしれません。ミラーなんてレスにするなよって。
ミラーをレスにした結果、構造がシンプルになり軽量化に成功したんです。おそらくスマフォでは物足りないけど、一眼レフみたいに重いのは敷居が高すぎると考えていた人たちが結構いたんでしょう。その顧客層を狙ってミラーレスという新しい概念が生まれたと(マーケティング的には)説明されています。軽量化したら、そりゃクールなデザインにもできるし、オシャレでスタイルリッシュにもできます。実際にミラーレスカメラはコンパクトデジタルカメラとほぼサイズが変わりません。
ではミラーレスとコンデジの違いは何か。先にも言いましたが、まずセンサーサイズが違います。ミラーレスのセンサーサイズは一眼レフ”並”と表現されるのは、傾向的に、同じかそれより少し小さいからでしょう。ここでセンサーサイズについて確認してみましょう。
例えばソニーから出ているα7II(18万円)はミラーレスだけどフルサイズのイメージセンサーを持ちます。それゆえ、一眼レフとほぼ同等の写真が撮れると考えられているわけですね。でも安価なコンデジがフルサイズのイメージセンサーを持つことはありません。センサーの構造は複雑で、大きければ大きいほど効果になるからです。ソニーから「モンスター級のコンデジ」と呼ばれているRX1が出ているんだけど、フルサイズのセンサーを搭載しているので、46万円もします。もうここまでくれば、一眼レフ、ミラーレス、コンデジの境界線が曖昧になってきますよね。どこに分類すればいいんだろう。
さてここからはパパパと一眼レフとミラーレスの違いを急いで見てゆきましょう。もうここまでの内容を理解していれば詳細な説明がなくても「あーなるほどね」となるはず。
軽さ
- ミラーレス:軽い
- 一眼レフ:重い
レンズ交換
- ミラーレス:できる
- 一眼レフ:できる
- コンデジ:できない
レンズの多さ
- ミラーレス:少ない
- 一眼レフ:多い
ミラーレス市場はホットな市場ですが、まだまだ新しいマーケットなので、レンズの多さは一眼レフに劣ります。ミラーレスユーザーが増えれば、今後はもっとバラエティある品揃えになるはずです。ちなみにミラーレスにアダプターをつければ一眼レフカメラのレンズも使うことができます・・・というのが一般的。焦点距離をアダプタで追加するわけですね。
機能
- ミラーレス:少ない
- 一眼レフ:多い
これもあくまで傾向です。個別の機種によってはミラーレスでも一眼レフ並みのダイヤルやボタンの数を持つものもあります。傾向として、コンパクトで軽量した結果、細かいボタンとかは省かれることが多いようです。
AF(オートフォーカス)
- ミラーレス:コントラスト検出式
- 一眼レフ:位相差検出式
- コンデジ:コントラスト検出式
この違いは宝探しの例で説明されることが多いようです。位相差検出式はピントのずれた「方向」と「量」を図ることができるので、距離を検知できる分、フォーカスが早い。一方のコントラスト検出式は、ピントのあっている部分はコントラストが高くなるという現象を利用するもので、手当たり次第に宝物を探すプロセスを経るので、フォーカスまで時間がかかります。しかしやはりこれも傾向に過ぎず、例えばLUMIX G7やGH4はミラーレスでありながら、空間認識AFという技術を使い0.07秒でのピント合わせを実現しています。もちろん位相差検出式には20年もの歴史がありますからアルゴリズムの精度は非常に高く、被写体の補足能力は非常に高いです。
光学ファインダー(動くものを取りやすいか?)
- ミラーレス:なし(EVF)
- 一眼レフ:ある
報道カメラマンが一眼レフを選ぶのは、シャッターチャンスに強いという要素があるからでしょう。ミラーレスは背面モニタやEVFを使う分だけ原理上、幾分かの遅延があります。僕の大好きな競艇・・・白熱レースを収めたい場合は、やはり動きに強い一眼レフを選ぶ方が良さそうです。
編集後記
スープカレー食べるためだけにはるばる北海道までやってきました。Airbnbで一ヶ月間借りて、ほぼ毎日聖地巡礼しています。