今回のレクチャーでは、オンラインコースで設定すべきペルソナについてご紹介します。このレクチャーを学べば、本当に狙うべきターゲットが明らかになるでしょう。
多くのオンラインコースは初心者を対象としていますが、この戦略は本当に正しいのでしょうか。需要に対して供給が不足しているのは、むしろプロ向けのコンテンツです。初心者を集める「量」の追求から、プロをターゲットとした「質」の追及へ、考え方をシフトしていかなければなりません。
今回お届けするノウハウはこちら
市場にはプロ向けコンテンツが不足している
市場には初心者向けのコンテンツがあふれています。確かに市場で最も人数が多いのは初心者となる人たちです。しかし、すでに初心者を対象としたサービスは飽和し、大差のないコンテンツが乱立しています。この中で目立ち、ライバルより高い成果を挙げるのは困難でしょう。
一方、プロ向けのコンテンツは不足しています。プロは資金や時間などのリソースを豊富に持ち、それを自分たちのために投資したいと考えています。ですが、プロ向けのコンテンツが少ないがゆえにその投資先を見つけられないでいます。すごくレベルの高いコミュニティだったりメンターだったり、またはハイレベルなプログラムに対する需要がある反面、供給は足りていないのです。
ビジネスの基本は、需要が多く供給が少ない市場を狙うことです。僕もずっと需給のバランスが崩れているところ場所を見つけて、そこをビジネスを主戦場にしてきました。
今でこそ日本のUdemyにはたくさんの日本語のオンラインコースが掲載されています。僕が2016年にUdemyに参戦したときには、サイトこそギリギリ日本語にローカライズされていたものの、日本人のきちんとしたUdemy講師は僕を含めて数名しかいませんでした。
僕は一足先にアメリカ留学している時に、JavaやMySQL、AdobeのUdemyコースを英語で見ていました。既に英語圏ではコースが沢山あったのです。「アメリカで需要があるということは日本でも需要があるはずだし、日本ではまだ供給が少ない」と思いました。今思えば圧倒的に需給バランスが崩れていました。
話を戻しましょう。僕たちはこれまで初心者向けコンテンツばかりに目を向けすぎていました。今こそ、プロ向けコンテンツの提供にもっと目を向けるべきじゃないかと思うのです。
Masterclassに出てくるトップレベルの講師に習いたい
オンライン学習サービスに「Masterclass」というサイトがあります。僕の大好きなサイトで、各界のトップに君臨する講師がそれぞれプロのスキルを細かくレクチャーしてくれるんです。少し前のキャッチコピーは、”Learn from the world’s best” つまり「世界のトップから学ぼう」でした。
シェフのGordon Ramsay(ゴードン・ラムゼイ)がスクランブルエッグの作り方を教えてくれる。ナタリー・ポートマンがカメラの前での演技を教えてくれる。セリナ・ウィリアムズがプロテニス選手の練習方法をこっそりレクチャーしてくれる。プロの知識を学べるプラットフォームです。
では、Masterclassを見ている受講生は各分野のプロばかりかといえば、そうではありません。初心者から上級者まで、幅広い層が興味を持って見ているはずです。もしあなたがテニスを始めようと思ったら、最初からセリナ・ウィリアムズみたいな一流プレイヤーにテニスの秘密を教えて欲しいと思うはずです。
初心者向けのコンテンツには初心者しか振り向きませんが、プロ向けのコンテンツには初心者から上級者までが関心を抱くのです。そのことを示す具体例を、音楽・経済・健康の3分野から見ていきましょう。これから紹介する3人はいずれもMasterclassでレクチャーを持っています。
プロ向けコンテンツの例#1:ジェイク・シマブクロ
ジェイク・シマブクロは世界的に知られるプロのウクレレ奏者です。ジャンルの垣根を超えた彼のウクレレは、ハワイの子供たちを筆頭に、世界中にファンがいます。もし興味があればYouTubeでジェイク・シマブクロがカバーしたボヘミアン・ラプソディを聞いてみてください。本当に世界最高峰の美しいウクレレの音色に酔いしれることができます。
彼はMasterclassでウクレレの演奏方法についてレクチャーを提供しています。その内容は初心者から上級者までをカバーしたものです。単純なコードから高度な指運び・構成まで紹介し、誰もが学びを得られるコンテンツとなっています。
プロ向けコンテンツの例#2:ポール・クルーグマン
ノーベル賞受賞歴を持つ経済学者のポール・クルーグマンは、私たちの周りにある世界を理解する手段として経済学の知見を提供しています。Masterclassでは経済学を通じてヘルスケアや税金、政治といった社会問題へ切り込むコンテンツを提供しています。
学問は初心者にとって敷居の高いものですが、行きつく先は私たち人間や社会を理解することです。そして、世界を理解したいと願うのは、特定の分野におけるプロばかりではありません。初心者から知識人まで、幅広い人にとって魅力あふれるコンテンツとなっています。
プロ向けコンテンツの例#3:マシュー・ウォーカー
マシュー・ウォーカーはカリフォルニア大学バークレー校の心理学・神経科学教授です。さらに人間睡眠科学センターの所長でもあり、睡眠に関する知見をMasterclassで提供しています。
睡眠は人類にとって長い間大きな課題でした。パフォーマンスを大きく左右する重要なファクターである一方、未知の領域を多く残しています。各界のトップとしてパフォーマンスを最大化したいプロはもちろん、多くのビジネスパーソンや学生にとっても関心の深い分野と言えます。彼が提供するコンテンツは、万人に有益な知恵を含んでいるでしょう。
量を追求しすぎると何も買わない人ばかりが集まる
ペルソナの焦点を初心者に絞ってしまうと、成約率は落ちていきます。初心者はあまり高い購買意欲を持たないからです。広告で集客したユーザーは初心者の割合が高く、リテラシーも低い傾向にあります。このようなユーザーを大量に集めても、結局サービスは売れません。
だからこそ、私たちは量ではなく、高い付加価値を追求する必要があります。プロをターゲットとして上質なコンテンツを提供すれば、ライバルの少ない市場で勝負できます。さらに、ここまでご紹介してきたように、プロ向けのコンテンツは初心者も集められるのです。ペルソナの焦点をプロにあわせて、上質なコンテンツを提供しましょう。
まとめ:プロ向けコンテンツを提供して成約率を高める
初心者向けのコンテンツが乱立している一方で、プロ向けコンテンツは不足しています。十分な意欲とリソースを持つ彼らを、ペルソナから外してしまうのはもったいないことです。
初心者にペルソナを絞っても高い成約率は望めません。それよりもプロを唸らせる上質なコンテンツを提供することで、プロはもちろん、初心者さえ惹きつけることができます。量を追求する従来の思考から脱却し、高付加価値のコンテンツ提供を目指しましょう。今回はここまでです。また次回、お会いしましょう。