あなたは個人事業主やフリーランスとして、「自分のビジネスの本当の強みは何だろうか」と悩んでいませんか。ウェブサイトを作ったり広告を出したりする際に、何をアピールすればお客さんに響くのか分からず、結果的に集客につまずいていると感じているはずです。「自分の強みを見つけて、もっと効果的に情報を発信したい」と願っていることと思います。ここでは、僕が海外生活で目の当たりにしたリアルな事例をもとに、多くの人が自分の強みを理解できていない理由と、お客さんの声から本当の強みを見つけ出す方法について紹介します。
ビジネスにおいて「自分の強みを活かす」ことは基本中の基本と言われています。しかし実際に世の中のサービスを見渡してみると、驚くほど多くの人が自分たちの本当の魅力を正しくアピールできていません。僕自身、ポルトガルで様々なジムや学校を訪れる中で、ウェブサイトの宣伝文句と実際の素晴らしいサービスの間に大きなズレがあることに気づきました。ここからは、なぜ人は自分の強みを勘違いしてしまうのか、そしてどうすれば集客に直結する本物の強みを見つけることができるのかについて詳しく解説していきます。
ウェブサイトと現実のギャップ~自分の強みをアピールできていないジム
僕は現在ポルトガルに住んでおり、日々の生活の中でキックボクシングや柔術、サーフィンなどのスポーツを楽しんでいます。ポルトガルのポルトという街ではこれらのスポーツが非常に人気で、マーケットも大きく、数え切れないほどの専門ジムやサービスが存在しています。しかし、僕が新しく通うジムを探すために彼らのウェブサイトを覗いてみると、ある不思議な共通点に気がつきました。それは、ほぼすべてのジムが「自分たちの本当の強みを全く分かっていない」ということです。
例えば、ある柔術のジムに直接見学に行った時のことです。施設に入ってみると、とても綺麗で設備も充実していました。「なぜこの素晴らしい設備をウェブサイトでもっとアピールしなかったのだろう?」と不思議に思いました。特に感動したのがシャワールームです。完全に個室になっており、天井からお湯が降り注ぐタイプの素晴らしいシャワーが完備されていました。しかし、彼らのウェブサイトにはそんな魅力的な情報は一切書かれていませんでした。
代わりにそのウェブサイトのトップページにデカデカと掲載されていたのは、柔術の創始者であるグレイシー一族や偉大な先人たちの白黒写真でした。彼らは歴史ある偉人の写真を載せることで、自分たちのジムに「権威性」を持たせようとしていたのです。しかし、その偉人たちが実際にそのジムで教えてくれるわけではありません。これは例えるなら、僕のビジネスのウェブサイトのトップに、全く関係のない神田昌典さんやダン・ケネディの白黒写真を載せて「すごいビジネススクールです」とアピールしているようなもので、非常におかしな状態です。
実際に見学に行ってみると、そのジムは2階建てで、子供と大人が同時に練習できる広い畳のスペースがありました。子供の面倒を見てもらいながら親が隣で練習できるという、子育て世代にとっては最高の環境です。さらに、将来的に疲労回復のためのアイスバスやサウナを導入する予定だという話まで聞けました。「こんなに素晴らしい強みがあるのに、なぜ偉人の白黒写真をアピールしているのか」と驚かされました。僕はその場で入会を決めましたが、彼らがウェブサイトで発信している強みと、実際の魅力との間には天と地ほどのズレがあったのです。
顧客が本当に求めている強みと提供者側の勘違いによる機会損失
このような自己認識のズレは、1つのジムだけの話ではありません。僕が通っているもう1つのキックボクシングジムでも、全く同じ現象が起きていました。そのジムのウェブサイトのトップページには、毎日の細かいレッスンスケジュールがぎっしりと書かれています。「朝の7時からクラスがあり、15時からもクラスがある。私たちはこんなに多くのコマ数をこなしている素晴らしいジムです」ということを一番の強みとして押し出していました。
しかし、実際にそのジムに通ってみて僕が感じた最大の魅力は、スケジュールの多さではありませんでした。それは「非常にアットホーム(ホーミー)でフレンドリーな雰囲気」です。僕が初めて初心者として見学に行った時も、常連の人たちが温かく迎え入れてくれました。僕の妻が体験に行った日も、家に帰ってくるなり「すごくフレンドリーで居心地が良かった」と喜んでいました。この温かいコミュニティの雰囲気こそが、他にはない彼らの最大の強みだったのです。
しかし、ウェブサイトからはその温かさは一切伝わってきません。これは僕たちのオンラインビジネスの世界でもよく起こることです。「自分たちはこういうところがカッコいいはずだ」「このノウハウが一番の強みだ」と思い込んで発信していても、実際にお客さんから話を聞いてみると、「えっ、そんなところに惹かれて商品を買ってくれたんですか?」と驚かされることが多々あります。提供者側が「こう見られたい」という理想と、顧客が「ここが良い」と感じる価値は、往々にしてすれ違ってしまうのです。
ポルトガルでは、ジムに限らず公立の学校などでも同じような光景をよく目にします。「あそこの公立校はあまり良くないよ」という噂を聞いていても、実際に行ってみると素晴らしい給食のシステムがあったり、子供たちがしっかり管理される優れた仕組みがあったりします。しかし、それがうまく世間に認知されていません。自分たちが持っている本当の価値や強みを正しく理解し、それを適切な言葉で伝えることがいかに難しいかということを、これらの事例は如実に物語っています。
強み発見の専門家すら迷走する「自分の強みを見つける」ことの難しさ
自分の強みを理解することの難しさを象徴する、少し皮肉なエピソードをもう1つ紹介します。ある時、インターネットで「ストレングスファインダーを使ってあなたの強みを発見します」という切り口でビジネスをしている人を見かけました。他人の強みを見つける専門家を名乗っているのですから、当然ご自身の強みも深く理解し、それを軸にした一貫した発信をしているのだろうと期待していました。
ところが、その人のYouTubeチャンネルがたまたま僕のタイムラインに流れてきた時、僕は目を疑いました。そこで発信されていたのは「世界で一番深い穴はどこか?」といった、ビジネスや強み発見とは全く関係のない、ただバズるためだけの雑学ショート動画だったのです。どうやらその動画が1つだけ再生回数が伸びたようで、それに味を占めたのか、ウェブサイトでは「強み発見ナビゲーター」と名乗っているにもかかわらず、YouTubeでは「バズらせ専門家」へと肩書きがコロコロと変わっていました。
この状況を見て僕は思わず笑ってしまいました。「他人の強みを発見してあげます」と豪語している専門家でさえ、自分自身の発信の軸や強みを見失い、再生回数に振り回されて迷走しているのです。世界で一番深い穴の雑学を語っている人に、自分の人生の強みを見つけてほしいと思う人はいないでしょう。これは完全なネガティブマーケティングになってしまっています。この事例からも分かるように、自分の強みを客観的に理解し、それを一貫してアピールし続けるというのは、専門家でさえ陥るほど非常に困難な課題なのです。
かの有名なピーター・ドラッカーの著書の中でも、「強みに集中すること」の重要性が何度も説かれています。経営学の巨匠がわざわざ多くのページを割いて解説するほど、ビジネスにおいて強みは決定的に重要な要素です。しかし同時に、ドラッカーがそれほどまでに強調しなければならないということは、人間にとって「自分の本当の強みを理解する」ということが、本質的に極めて難しい作業であるという裏返しでもあります。
まとめ:顧客の声に耳を傾けエゴを捨てて本物の強みを見つける
ここまで、僕が海外生活で目の当たりにした事例をもとに、多くの人が自分の強みを理解できていない理由について解説してきました。最後に要点を4つにまとめました。
- 多くのビジネスにおいてウェブサイトの宣伝文句と実際のサービスの魅力には大きなズレがある。
- 提供者側がアピールしたい理想とお客さんが実際に価値を感じる部分は往々にしてすれ違う。
- 自分の強みを客観的に理解し発信し続けることは専門家でさえ迷走するほど難しい作業である。
- 独りよがりなエゴを捨てて実際のお客さんの声に耳を傾けることが本当の強みを見つける鍵になる。