地方の商店主を対象にした勉強会を開催しているとのこと。僕のようにビデオカメラの前で喋るだけで満足しているような人間からすると、実際に物理的世界においてそのような場を設けて知識を共有している姿には、頭が下がる思いでございます。
前回の回答でも述べましたが、地球人は忙しすぎて本を読む暇すらないので、本を読んで事業に貢献を図ろうという発想すらないはずです。
すでに他界した祖父は町工場の主でした。工場には石崎写真製版所という立派な看板がありましたが、うちまくはお粗末なものでした。祖父はマーケティングの「マ」の字も知らないし、経営やマネジメントという概念が存在することすら知らなかったはずです。祖父の読む活字は三国競艇場で販売している400円(当時)の予想紙か、金沢競馬場の予想紙500円(当時)のどちらかだけなので、当然本も読んでいませんでした。ちなみに僕が小学3年生の時から舟券を買い始めたのは紛れもない彼の影響です。今度、三国競艇場で17年ぶりのSGが開催されます。祖父の7回忌も同じ時期にありますから、たぶんフラっとこの世に戻ってくる気がしてなりません。彼が生きていれば、間違いなく二人で三国競艇場に行き、ほぼ間違いなくオケラ街道をトボトボ歩いていたはずです。
祖父が自営業を選んだのも、好きな時に競馬に行き、好きな時に競艇に行けるためでした。ギャンブルに使う日銭さえあればいいわけですから、別にマーケティングも必要ではなかったのかもしれません。
僕の深愛するダメダメな祖父と世の中の人を同列にするのは、きっと失礼にあたるはずです。それを承知で述べますが、たぶん世の中の人も僕の祖父と同じく、マーケティングなんて自分のビジネスに関係ないと思っているはずです。情報や知識が生活の質を向上させるという概念すら存在しないのではないでしょうか。
これは決して見下しているわけではありませんが、そーゆー人たち(特に年配)を説得して具体的なアクションをとらせるのは非常に難しいことです。頭の中の枠組み、そうパラダイムやマインドセットがまったく違うからです。
さらに入り組んだことに、仮に頭の中の枠組みが変わり具体的なアクションを取ったとしても、それが売上に繋がるとは限りません。成果の出し方を知らないからです。僕からすると、熱心な読書家も、朝活をしているサラリーマンも、毎日3時間睡眠で頑張っている人も、昼間から三国競艇場に向かう祖父も、成果を出していない限り、同列の人たちです。
成果をあげる能力は、商店街のおっちゃんも、大統領も、大学を卒業した社会人も、みんな持っていなきゃいけない能力ですが、あまりその重要性は強調されていません。
成果をあげる能力に関しては、特別なスキルは必要ではなく、人並み程度でOKです。プロのギタリストになるためには才能が必要だけどCやGなどのコードを弾けるようになるために才能は不要のごとく、成果をあげるために才能は不要です。コードを覚えるように、真面目に練習すればだれでも身につくものだからです。
必要に応じてここらへんの成果の上げ方についても機会があれば後日お話しさせてください。
質問者さんは二重に大変だと思うのです。まずマーケティングが重要だと思っていないような人たちに対して、マーケティングの重要性を伝える苦労。仮にマーケティングの重要性が伝わったとして、今度はそのマーケティングを使ってどのように成果をあげるか(売上をあげるか)を熱弁せねばならない苦労。
この二重の苦労を超えて実際に他人に成果を出してもらいたいという気概にやはり恐れ入ります。
少なくとも僕の場合は、祖父のような人にコンサルティングをしたいとは思いません。僕にできるのは辛うじて、一緒に競艇場に行って祖父から発せられる祖母の悪口に同意するくらいです。笑