(最近、サンタリタにはまっています)
本田宗一郎さんの本に「やりたいことをやれ」というものがあります。
あの本の冒頭の冒頭に「最初の一歩を踏み出せ」と言うストーリーがあります。
「猿も木から落ちるという諺があるけども、私はその諺を好まない」
おおなるほど。その理由は
「唯一認められるのは、猿が新しい登り方に挑戦して失敗した時のみである」とのこと。
ホォォォォォ。なるほど。感銘を受けました。
よく考えると、フリーランスも似たようなものです。ある程度、鍛錬を積みマーケティングのスキルが上がってくると失敗が許されなくなってきます。いやもしかしたら熟練してフリーランスでなくとも失敗は許されないのかもしれません。なぜなら僕たちは個人プレーでビジネスをやっているからです。僕たちが失敗をすればその失敗を補えるのは自分だけです。
仮に大企業や従業員の多い会社に勤めていたら、一人が失敗したところで他のメンバーが埋め合わせをしてくれます。しかしフリーランスの場合はそうはいかない。小さな失敗をすればダイレクトに家計に響きます。例えばダイレクトマーケターの場合。リサーチをせずにセールスレターを書いたとする。ありえないミスですよね。
どれだけ良いサービスを作ったとしてもセールスレターのクオリティーが低ければちっともモノは売れません。ビジネスモデルを細部にまで作りこみ、最後の最後にたった1つ失敗しただけで、それまでに投下した努力は無に帰するわけです。
まあ、ある程度の実力者であれば、リサーチせずにセールスレターを書くなんて決定的なミスは、まずしません。クライアントさんがそんなポカミスをするようであれば「もってのほかです」と断罪するでしょう。うちのDRM企画であれば、斬首刑です。例えて言うならば、ウィンブルドンに出場する選手が、テニスラケットを持たずしてテニスコートに入るようなものだからです。これが僕の意味する「失敗は許されない」ということです。
じゃあ、あらゆる状況において失敗は許されないのかというとそんな事はありません。先に述べた通り(本田宗一郎氏が言ったように)猿が新しい登り方に挑戦するときに限って失敗は許されるのですです。
商品を作った。セールスレターを書いた。成約率がある程度ある。さあ、次に何をするか。
セールスレターは定点を超えると、成約率の伸びは悪くなってきます。そこでこれまで試したことのないビデオプロモーションを導入してみよう、という発想が生まれるわけです。猿が新しい登り方に挑戦するわけですね。無論、がむしゃらに動画を作り何も考えずにセールスレターへ突っ込むのではなく、事前にしっかりとビデオプロモーションの勉強しておく必要があります。
何か新しいことを始めるにあたって「後は実践するだけ」という状態にあることは非常に重要なことです。知識的にはもう学ぶことはない、という状態。もちろんそのプロモーションが成功するかどうかは市場が判断しますので、僕たちの思い通りいかないことほとんどです。いやむしろ思い通りにいかない部分を発見するために実践する、と言い換えることもできましょう。つまり失敗するわけです。この失敗は許されるわけですね。
ここで大切なことは2つお伝えする必要があります。
1つ目。簡単には失敗しないこと。
いくら失敗が許容されるからといって、準備不足の失敗は許されません。欧米の失敗を許容するカルチャーに感銘を受けて、何も準備せずに又は手抜きが原因で失敗しているにもかかわらず、これが欧米モデルであると自分自身に言い聞かせて失敗ばかりしている人生を肯定する人がいます。
小学生からずっとバカ。ドラゴン桜に影響を受けて東大目指すけど、箸にも棒にもかからない。就職活動で一社だけ受けて、その一社から蹴られる。今度はフリーランスとして生きようと決めたけど、収益を上げる方法が全くわからない。ゆえに廃業。失敗、失敗、失敗の連続。それでも家族は「大丈夫よ、あなたはできるんだから」とアラサーのおっさん(息子)を励まし続ける。夢は村上春樹を超える小説家。でもまだ何も書いていない。
自分に言い聞かせる。欧米ではな、失敗は許されているんだ。俺がこんなにも失敗しているのは、挑戦を続けているからなんだ・・・。
こんな風に簡単に失敗する人生はダメです。先ほども言ったようにフリーランスは基本的に失敗してはいけません。特にセールスに関する失敗をすると、もろにダメージを受けます。家計にマイナスのインパクトがあります。
はい次。2つ目。そもそも挑戦なんてしなくていい。
ここで1つ、大事なことを伝える必要があります。それは、自分と自分の家族を養う程度の収益で良いならば、そもそも挑戦する必要がありません。挑戦しないので失敗する確率はです。この事実を鑑みると、ビジネスにおいて何かに挑戦できるというのは非常に恵まれた環境にいる証拠です。個人事業主や小さな会社のオーナーには、そもそも挑戦する機会すら与えられていないのです。挑戦せずとも収益が上がってしまう。
起業家に関する調査から出た結論は、僕たちの想像とは少し異なるものでした。
学歴と成功は比例している。多くの起業家は修士号を持っている。この結果には少し驚かされます。どこか僕たちの頭には、起業と学歴は関係ないと思い込みたい節があるのかもしれません。また、真に革新的なアイディアで起業するのは例外中の例外であるというデータもあります。世の中の起業のほとんどは、すでに存在しているビジネスモデルをほんのちょっとだけ良くしたものに過ぎないんです。しかも、良くする方法がかなりマッチョなんです。例えば大学生が始める典型的なビジネスは、有志を募って家庭教師の派遣業を始めるパターン。そもそも大学生なんかに競争力はありませんから、勝負ポイントは一つ「価格」。大学生は時間がたっぷりあるので、とにかく働く。利鞘が小さい分、労働時間で収入の低さを補うわけですね。
あれ、これって挑戦って言いますか。
言いませんよね。
過去にあるモデルの焼き増しにしか過ぎません。それでもある程度の収益は上げられるんです。しかもインターネットのおかげで、フリーランスとして成功するためのフォーマットは既に散らばっています。嬉しいことに、体系化された状態で。極端な話、世の中には「お金を稼げるマニュアル」なるものが転がっていて、そのマニュアル通りにビジネスを組み立てれば、自分と家族を養うくらいの収益は簡単に作れるわけです。
新しい登り方に挑戦せず、とりあえずいつも通りの登り方で木に登っている・・・。登り慣れた方法で登っているので、落っこちることなんてまずありえない。これが現代の猿、いや現代のフリーランスの本音でしょう。
なんで新しい登り方に挑戦しないかって?
だって、バナナはいつも木の上にあるんだもん。しかもたっぷりと。