14万人の日本人が毎年留学しているというデータをどこかで聞いたことがある。この14万人は各々が様々な理由を持ち留学している。外国人と一発やりたいと思っている人もいれば、プログラミングの腕を試してみたいと思っている人もいれば、TOEICのスコアをあげたり、英会話のスキルをつけたり・・・
共通して皆が持っているのは「英語力を上げる」というもの。たしかに空前絶後の英語ブームの今、ココで流れに便乗しておいた方が楽な気がするし、もし世のFuturist(予想屋)が言うように「英語ができなければ生きていけない時代がくる」のであれば、今ここで英語を勉強しないということは死活問題に繋がることになる。果たして英語はそれほど重要な物だろうか?14万人の日本人の決断は完全に正しいと言えるのだろうか?
安心して欲しい。英語なんて勉強しなくてもヨユーで食っていけるし、14万人の日本人が全員優れているわけでもない。英語教材を販売している企業が行う誇大なキャンペーンに乗っかる必要もない。英語市場は7000億円という巨大マーケットだけど、そこでカモになっている日本人の90%は英語をプロフェッショナルとしてやる必要ない人ばかり。やる必要がないから、英語は習得できない。
英語というのは膨大な暗記量を要するから、第三者のキャンペーンにのっかる程度では絶対に習得できない。現実に、留学から帰ってきた日本人の99%は英語を必要としない業務につく。たぶん99%のうちの大半はそもそも英語が使えるレベルに到達しておらず、そもそも業務自体が全く英語と関係ないものであるためスキルをディベロップするチャンスがないから帰国後、英語力は落ちる一方。
18歳を超えた大人が「英語をやらないことで得られた機会損失」を計算できないなんて正直、おわっている。
僕の友人に大阪大学を卒業した超優秀な公認会計士がいる。僕が思う唯一の「できる同世代」。彼のつとめる企業では、入社一年目でTOEIC800を超えると留学するチャンスが皆に与えられる。同僚は必死でその権利を得ようとTOEICのスクールに通って勉強しているらしい。
彼はどうか。実は英語が全くできない。そして可能な限り1年目でTOEICのスコアが上がらないように努力をしている。最低でもTOEIC600が必要らしいが、TOEIC600を超えた時点ですぐに英語の勉強をスパッとやめたそう。(ここら辺の判断に迷いがない所に秀逸な彼の決断力が現れている)
彼は言う「一番吸収することが多い入社1,2年目で”腐った”留学なんてしていられない」。(彼はよく”腐った”という表現を使う。poorとかterribleって意味だと思う)
魂胆はこうだ。商事なので毎日英語業務をこなしている。5年もすれば”イヤでも”英語を習得している。それよりも自分が今勉強しているデリバティブ(金融商品)取引のスキルをつける方がよっぽど重要。英語を話せるやつなんて世界にゴマンといるけど、デリバティブトレーダーの数は世界でも数百人だ。どっちの方が価値あると思う?
答えは言うまでもない。日本が経済沈没して、たくさんの難民が日本に入ってきて、英語が基本言語になったとしても、彼は絶対に食っていける。なんたって世界で有数のデリバティブトレーダーなのだから、世界が彼を放っておかない。英語と日本語話せる非常に安価な英語屋さんを雇って、高級な取引を彼にやらせる。(僕だったら絶対にそうする。通訳なんてむっちゃ安いからね)
僕の名前を検索すればTOEICや英語関連・フルスカラシップ留学などの情報がたくさん出てくる。だからといって石崎が盲目的に英語推奨キャンペーンをやっていると思われては困る。僕は日本人のほとんどが英語を勉強する必要はないと思っている。そんな時間があるなら、本を読んだ方がいい。世界を知らずに英語を勉強するなんて、年に1回しか乗らないマイカーを買おうとするようなもの。
僕はシドニーに留学した時「なぜ日本の首相はそんなに頻繁に交代するの?」「なんで僕たちは4コマ漫画が理解できないの?」という質問をUTS(シドニー工科大学)の優秀な生徒に尋ねられて、答えに窮した経験がある。その前はどうやったらRia(超美人の中国系オーストラリア人)に告白できるかという議論で盛り上がっていたのに、日本文化に関する質問に答えられなかった瞬間から興ざめもいいところだった。当時から結構本を読んでいるつもりだったけど、まだまだだと思った。しっかり本を読もうと再度決意した日になった。興ざめを避けるために本を読むんじゃない。Riaに告白する方法を聞き出すために英語を勉強するんです。
インドに行ったときもフィリピンに行ったときも「数学を日本語で学んだ」と言うと驚愕された。それは日本人の英語力の低さに驚愕したのではなく「高度な自然科学や社会科学を”英語以外”の言語で学べるなんて、日本語は非常に優秀」とういこと。彼らはずっと植民地支配を受けていたから、西欧にキャッチアップするためには、英語で学問を学ぶしかなかった。
だけど日本の翻訳文化は非常に優れていて、かつての文化人は世界トップクラスの知識人だったため、どんな学問も日本語に訳してしまった。僕の家の近くにTSUTAYA・ABC(青山ブックセンター)・あおい書店があるけど、自分が欲しい本は大抵おいてある。どんな学問でも日本語でこんな簡単に学べてしまうことに至福を覚えない方がおかしい。先日も(誤って)自殺大全とThe Copywritingという本を購入して、弱い心臓をプルプルさせながら、ルノアールで抹茶とともに至福の一時を過ごしていた。(写真付きであれはきつい)
英語をやるべき人、留学に行くべき人は、素地として世界の誰よりも本を読んで知識をつけている人であり、最低でも周囲の友人より100倍近く読書量を持つ人じゃなきゃいけない。英語には覚悟と時間が必要だから、知識を空っぽな状態で英語を学び始めると、そーとーやばい人になってしまう。(し、実際にヤバい人たちをかなりしっている)
僕が大学4年生まで留学を先送りしたのは、最初の4年間でどれだけ本を読めるかが勝負だと思っていたから。タダで行ける機会を逃すまいと卒業ギリギリで留学し、結局「本をもっと読んでからくればよかった・・・」と後悔しながら留学中もKindleや大学図書館の本を読みあさりまくった。正味英語を勉強する時間は一つもなかった。(告白するなら、今だに英語を勉強するじかんなどない)
僕は英語を勉強する必要がないと行っているのではなく、ただ単に留学しても(英語ができるようなっても)アホな人はたくさんいるよ。その前にたくさん本を読んでおいた方がいいよって言いたいだけ。
最後に元Microsoft日本支社長の成毛眞さんが書いた本の中にある、立花隆さんの引用をここに載せてバイバイしようと思う。(引用の引用ってやつやな)
「今、教養という言葉は死後になりつつある。万巻の書を読み尽くせる人はいない。結局は人生の残り時間を確認しながら、最大の成果を得られるように計画を作るしかない。(そのためには)知識の系統樹が頭に入っていることが大切だ」と語り、読者に勧める読書法は「巨大書店の書棚をすべて隅から隅まで見て回ることです。」まったく同感である。
推薦する読書方法が凄まじい。ジュンク堂池袋店まるまるごちそうさま、くらいのテンションが必要ということか。
そして最後の14条は「大学で得た知識など、いかほどのものでもない。社会人になってから獲得し、蓄積していいく知識の量と質、特に20代・30代のそれが、その人のその後の人生にとって決定的に重要である。若いときは、何を差し置いても本を読む時間を作れ」である。
”若いときは、何をさしおいても”である。若手起業家と言われる人たちは、青年期を金儲け程度で過ごしてしまうならなんと悲しいことだろう。知識はストック。金はフロー。20代、本をたくさん読もうぞ。本で脳トレ。
ここら辺の「知の巨人」「知の怪物」系でオススメの本は以下の3冊。たぶん読んだ瞬間から、本を読もうと決意できるし、事業をするなんてちゃんちゃらおかしくなってくる。(今の生活リズムがガラっと変わってしまう本なので、現状を維持する理由がある人は読まない方がいい)
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