どうも石崎です。
オフィスから書いています。
歯磨きした後なので、お口の中がスッキリです。
10円玉の記憶を畳一枚の大きさに広げる
いつものようにコンテンツを作るときはカフェとオフィスとジムをぐるぐると回ります。移動中にオーディオブックを聞いて、ネタを探すわけですね。ネタを探すというよりかは、自分の頭に検索をかけるイメージ。オーディオブックを聞くことで、アこれなら俺にも書けるぞというトピックが見つかる。記憶に織り込まれた経験を引き出す。金沢市は金箔で有名な街です。確か9割以上の金箔は金沢市で作られているとか小学生の時に聞いた覚えがある。10円くらいの金を、薄く薄く平べったくして畳くらいの大きさにするんです。ここまで薄くなった金箔は宙に浮いてしまいます。記事作成も同じです。10円くらいの記憶を畳1枚分の記事へと広げるわけです。
僕の記事制作なんかに興味を持つ人なんていないだろうけど、体がノッテきたのでこのまま記事制作のトピックで書かせていただきます。10円玉の記憶を畳1枚に広げる際に注意すべきことがあります。僕はそれを「3つの歪んだ判断」と呼んでいます。すべて過去にまつわることです。この3つを可能な限り排除しつつ記事を書くと、良い文章ができあがります。よりフェアで、より未来に目を向けた文章。
1つ目:成功パターン
一つ目。僕を歪ませる1つ目の過去は、成功パターンです。慣れていることを継続してしまうのです。慣れは、その人にとっての成功パターンです。そのパターンから何らかの便益を得ているからこそ、継続し、慣れてしまったわけです。慣れは怖いですね。久しぶりに会った高校の同級生と会話をすると、10年前と全く同じようなことを言っている。しかもネガティブで、非生産的で、自らを憂鬱にするようなことを。これが成功パターンなのか。たぶんそうなんでしょうね。ネガティブな自分を振る舞うことで、周りの人が心配してくれる。そんな便益を得ているのでしょう。それに慣れてしまった。
もちろんポジティブな慣れも、判断を歪ませる。人は過去を可愛がり、未来を軽んじる傾向にあります。現状維持をするために、自らの属する会社を肯定し、たかだか数年しか働いていないのに「人事部は転職だ」なんて意味不明なことを言っている。5歳児の「カレーライスが1番美味しい食べ物だ」と同じ論調です。現状維持や成功パターンはバイアスを生みます。限りなくフェアな意見を出したいなら、自分の所属と自分の過去を無視して記事を書きたいものです。石崎力也がDRMを肯定し、海外生活を肯定し、フリーランスを肯定するのは、まさに現状維持が強烈に働いているからですね。
2つ目:フレームワーク
二つ目。僕を歪ませる2つ目の過去は、フレームワークです。成功パターンに対して、フレームワークは思考のパターンです。メディアに洗脳された人たちは二元論を好みます。良いか悪いか。年金は全くもらえないと超悲観する人たちと、年金問題は国がどうにかしてくれると超楽観する人たち。ブラック企業と、働きがいのある企業。夢を失った若者と、夢を追い続ける青年起業家たち。たぶん答えはそのあいだのどこかにあるはずなんだけど、中途半端な状態でアイディアを留保しておくのが気持ち悪いから極論を支持してしまうのでしょう。
ヤフーコメントなんか見ていると、出来レースにしか見えないわけです。メディアが意図した方向に人々は流れている。夫に不倫された人妻を刺激するのを最初から狙った記事を書く。例えばベッキーの不倫とか。世の中の大半の女性はベッキーよりも容姿も優れているわけではなく、経済的にも劣っている。特に不倫された妻なんかはルサンチマンたらたらなわけです。そこにベッキーの不倫記事を投げれば、そりゃ反応するでしょ。
かくいう僕も大学に落ちた経験を持っていますので、学歴社会に関する記事を目にするとついつい反応してしまいます。東大生5人が女性の胸をつかみ猥褻罪で逮捕されたとなると「受験では社会性は計れない」と心の中でつぶやき、大学受験の敗者である自分を間接的にサポートします。これもフレームワークですね。
3つ目:サンクコスト
三つ目。僕を歪ませる3つ目の過去は、埋没費用の問題。サンクコストですね。映画のチケットを取るために長い列に並び、ようやく自分の番が来そうなその時、隣のブースが開いた。隣のブースに行けばいますぐ購入できるのに、なぜかそこを動こうとしない。これだけ長い時間、この列で待ち続けたんだから、このブースで買わないと損した気分になる。
ビジネスも同じです。初期投資が大きければ大きいほど、あるいは巻き込んだ人間の数が大きければ大きいほど、撤退するまでの時間が延びてしまいます。これだけコストを投下したんだから、という考え方が撤退の判断を歪ませてしまうわけですね。40歳になっても司法試験を受け続けたり、苦労して入社したブラック企業に残り続けたり、3年間続けて友達の数が1000人になったFacebookを止められなかったり・・・これらも埋没費用に判断が歪められた例ですね。
僕はかなりの数の嘘をついてきた
ここまでに3つの歪みを紹介してきました。
以前ブログを書くことは自分を掘ることだと説明しました。自分を掘れない文章はつまらないと。まさにこの3つが原因で、土が硬くなるわけです。虚栄心や保守性と言い換えてもいい。過去のちっぽけな自分を守ろうとするそのバリアをぶち壊すために、自分と向き合い、キーボードを叩くわけです。文章を書くわけです。書いてはじめて、ああ自分はこんなことを考えていたんだ・・・とわかることがあります。心の底で感じていることを少しだけ掘り当てた瞬間ですね。ブログやメルマガを書き続けると、定期的に自分を少しだけ深く掘れるようになります。
そこで気づくことは何か。
自分は自分に対して、かなりの嘘をついてきた。
そういうことです。
少なくとも僕の場合は。
石崎力也拝