あなたは自前で広告運用を行っている個人事業主で、広告の配信パフォーマンスの分析方法を知りたいと考えていませんか?そこでFacebook広告の結果を分析していく上で鍵となる考え方を紹介します。これらの考え方を知ることで、Facebook広告の初心者から一気に抜け出す準備ができるようになります。
Facebook広告で広告を出してもすぐに赤字になってしまう。どうしたら数値を改善することができるのだろうか。それは初心者が抱える悩みの1つです。実はFacebook広告を分析し、数値を改善するにはいくつかの重要な考え方が存在します。しかしそういったことはこれまで、広告運用を行う人達の中の暗黙知として表に出ることはありませんでした。ここではそういった暗黙知を公開していこうと思います。
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マインドセット1:広告での成功はプラットフォームの理解から
広告を運用するときに大事なことは何でしょうか?それは市場のプラットフォームや市場の理解です。もっと言えば、お客さんのことをしっかり理解するということになります。僕はオンラインコースやセールスファネルの作り方を人に教えるビジネスをやっています。そういう仕事をしているとオンラインでビジネスをする上での落とし穴みたいなものに気づくことがあります。
その1つがツールの使い方ばかりに目が行ってしまうパターンです。例えば、オンラインコースを作ろうとなった時にアイデア出しのツールとか、動画編集ツールの使い方ばかりを勉強してしまう人がいます。確かにそういうツールの使い方って勉強していて楽しいんです。かつては僕も新しいツールを触れるのが嬉しくて、1日に何時間もツールをいじり回して楽しんでいたことがあります。そういう時って時間を忘れるほど楽しいんです。
でも実際にオンラインでそこそこお金が稼げるようになると、見える視点が変わってきます。「ああそうか、ツールの使い方だけじゃダメなんだな」って思う瞬間が何度かあったんです。例えば綺麗に作ったスライド動画よりも、ラフな資料を元に大事なことだけに的を絞ったレクチャーが人気があったりします。また何日もかけて作ったセールスレターよりも、1日で作った切り口の鋭いレターの方が売れたりするんです。
確かにオンラインでビジネスをする上では技術的な側面は大事です。ツールの設定方法や使い方などテクノロジーを扱うスキルはある程度求められます。Facebook広告の設定ができないと広告を打ち始められないみたいな感じです。でもその上で一番大事なのはプラットフォームの理解、お客さんの存在する市場の理解です。お客さんが何に悩み、どんなニーズを欲しているのか。それを深く理解することの方がよっぽど重要だと気づきました。
例えて言うなら、戦略が2割で心理学が8割くらいだと考えるとちょうど良いかもしれません。Facebook広告は単なる機械です。それ自体では万能ではありません。あなたがそこに何を入れるのか?どんな指示を出すのか?それがすごく大事です。単にFacebook広告の管理画面をいじるだけではなかなかパフォーマンスは出ません。Facebook広告のオーディエンス機能に詳しくても、ターゲットのことを理解していないとダメです。商品を買ってくれるお客さんをうまく見つけて来られないからです。
だからこそ、Facebook広告に詳しくなろうとするだけでは足りません。広告のメッセージは明確か?ターゲットの心をえぐっているか?広告の奥にあるセールスファネルは機能しているか?ステップメールや営業通話は見込み客をフォローアップできているのか?見込み客を獲得した後も、彼らがどうやって購入に至るのか?そういったことにまで気を配る必要があることを忘れないでください。
マインドセット2:自分なりの仮説を持って取り組む
広告に取り組むときは自分自身を科学者だと考えてください。ちょっと大げさに聞こえるかもしれませんが、事実なんです。広告は科学です。それは科学的な答えがあるというよりも、科学的なアプローチが重要だということです。科学的なアプローチとはつまり、自分で仮説を立ててそれを検証するというものです。
「誰かが正解を教えてくれる」という学校教育的な考えを捨てるところからスタートしてください。広告では自分で仮説を立ててそれを検証するという姿勢がとても重要です。例えば広告に慣れていない人たちは、広告管理画面を見ればそこにある数値が改善策を示してくれるかのように考えているかもしれません。ですが、そこから読み取れることには人によって幅があります。
広告がうまくいっているならばその理由を考える。なぜしっかりと売上が上がっているのかを自分なりの仮説を立てて次に活かします。もし広告がうまく売上を計上できていないのであれば、その理由を自分なりに考えます。そして改善策を考えて試す。それでもダメなら次の仮説を考える。結局はこの繰り返しなのです。まさに科学者が何かを解明するプロセスに似ていると思いませんか?
つまり僕たちは何も考えずにただ適当にダーツを投げて、それがうまく的に当たるかどうかを見ているのではありません。1回目で外れたら次はもう少し上を狙ってみようとか、脇を締めて投げてみようと考えてみるのです。データや感覚値に基づいて予測を立て、それを実行します。自分の頭で考えたアイデアを現実世界に投入して、フィードバックを得る。これが広告で成功するための鉄則です。
マインドセット3:常にシステム全体を俯瞰する
Facebook広告を運用するときにハマってほしくない罠があります。それはシステムの一部だけに囚われてしまうことです。これも多い過ちの1つです。広告を運用するようになると、毎日運用データを目にするはずです。昨日はいくら使って何人の見込み客が取れたのか?といったことを毎日追いかけるはずです。そうなるとCPC、CTR、CPLなどの表層的な指標ばかりに目がいきがちです。
最近は見込み客が安く取れているからすごく良いと思うかもしれません。でも忘れて欲しくないのは「本当に売上が上がっていますか?」ということです。だからこそメインとなる指標にはROAS(広告の回収率)を使ってほしいのです。本当に収益が上がっているのか、そしてそれが広告費を上回っているのか?いくら使っていくら戻ってきましたか?そのように全体を俯瞰するようにしてほしいのです。
1クリックがどれだけ安く取れたとしても、収益が上がらなければ意味がありません。いくら見込み客を安価に獲得できたとしても、売上につながらないと意味がありません。この罠にハマらない方法は簡単です。常にROASを重要な指標として捉えることです。そうするればCPCやCTRなどの表面的な指標に惑わされることなく、きちんと広告のパフォーマンスを俯瞰できるようになります。
マインドセット4:海を渡るセーリングのように常に軌道修正する
Facebook広告について勉強していると、多くの人がさまざまなアドバイスを提供していることに気づくはずです。アドバイスの中には、互いに矛盾するものさえあるかもしれません。ではどちらかが間違っているのか?というとそういう訳ではありません。状況が刻一刻と変化しているからです。Facebook広告においては、すべてを解決する万能な方法というものは存在しません。まずはこの認識を持つことがスタートになります。
「Facebook広告のやり方」と検索している人は、何か1つの絶対的で画期的な広告手法があることを期待しています。どこかにうまい高速道路があって、それにさえ乗ってしまえばあとは道をたどるだけで成功にたどりつけるような気がしています。ですが実際には、広告は海を渡る航海に似ています。潮の流れや風向きはしょっちゅう変わるし、たまには急な嵐もあります。
Facebook上の市場も常に変化していて、とてもダイナミックな環境です。そのため、まっすぐ成功に向かう場合でも常に軌道修正が必要です。そうでないと知らず知らずのうちに、風下に流されてコースから外れてしまいます。Facebook広告は高速道路のような一本道ではありません。一度コースを設定したらそこを進めばよいという訳にはいかないのが広告です。
でもそのことが分かっていれば焦ることもありません。急に数値が悪くなったとしてもそれはある意味当然のことだからです。常に広告に対してもチューニングを続けていく。そのために自分で仮説を立てて実行する力が必要なのです。軌道修正をするときにも細かいことに囚われすぎないようにしてください。市場を理解する、魅力的なオファーを作る、そのオファーを見込み客の受け取りやすい形で配信する。そういった大枠の方向性を見失わなければコースから大きくハズレることは少なくなります。
マインドセット5:すべてのマーケティングは実験である
あなたが広告において実行する戦略や施策はすべて、テストマーケティングだと考えてください。僕もデジタルマーケティングに関するコンサルを行っているのでお客さんからよく相談を頂きます。「この商品って広告で売れますかね?」「広告でこのオファーって刺さりますか?」といった相談も頂くんです。そういう時に僕は決まって「やってみないと分かりませんね」と答えています。
これは失敗した時のために保険を掛けているのではありません。商品の成功が本当に予測できないからです。確かに広告動画やセールスレターを見てだいたいの予想はできます。「ああこのままだとちょっと市場が反応するレベルに届かないな」とか「自分なら買ってしまいそうだな」ということを感じることはできます。ですが、本当にそれが払った広告費以上の売上をもたらしてくれるのか?それは本当にやってみるまでわかりません。だからこそたくさんの実験をして欲しいのです。
具体的に1つやって欲しいのは、広告のバリエーションを用意することです。いくつかの広告クリエイティブやランディングページのセットを用意し、どれが実際に当たるのかをテストするのです。僕は最初広告を1種類だけで試していました。ですが広告にバリエーションを用意したあたりから、明らかにゲームが変わり始めました。クリックされる広告とそうでない広告が明確に分かれるといったことが起き始めました。
しかもその結果はいつも予想外な形になります。例えば一眼レフで撮影した動画よりも、スマホで撮影した画素の荒い動画の方が再生されるようなこともあります。つまり広告を1種類だけであれば、悪い広告だけを回していた可能性もあるのです。だからこそ、かならずテストする。その習慣を叩き込んで欲しいのです。
これはあなたが世界で最高のマーケターになったとしても、変わらないことだと思います。ですが、すべてに実験が必要だと悲観する必要はありません。様々な施策をテストしているうちにあなたは、自分だけの成功パターンを段々と発見するはずです。僕はペイパルマフィアのピーター・ティールの話が好きです。彼はPaypalの創業者であり、著名なエンジェル投資家です。
彼が採用試験で必ず聞く質問があります。それは「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」というものです。僕はよくこれをビジネスの視点に置き換えて考えます。つまり、他の人が知らない自分だけのノウハウが大事だと思うんです。こういったノウハウは自分の経験から発見するしかありません。誰かが知っていたり、本に書いてあるものは競合がいるし、そもそも自分の環境で役立つとは限りません。
自分だけのノウハウは実験からしか生まれません。様々な実験をし、失敗を繰り返しながら見つけていくしかないのです。ですがそういったノウハウを発見することで、成功の確率は上がっていきます。出してみなければ分からない広告の世界でも、成功の確率を上げていくことができるのです。そう考えると実験すること、テストすることに対するプレッシャーが軽減されると思います。
マインドセット6:Facebookはあなたより博識
Facebookはあなたよりも遥かに多くのことを知っています。これはFacebookがプラットフォーム上で、ユーザーのデータを集めているからです。またFacebookは自分たちが配信した広告に対するユーザーの反応もモニターしています。Facebookには、プラットフォーム上のすべてを見渡す目と、僕らよりも遥かに早く処理できる頭脳があります。
一方で僕たちはFacebook上で起こっている物事の表面しか見ることができていません。そのため、ある程度自分の頭で仮説を立てたら、あとはFacebookに情報を与えて最適化を任せるという姿勢が大事です。Facebookは広告のパフォーマンスが出るように、日々自動最適化の機能に磨きをかけています。広告やオーディエンスにいくつかバリエーションを用意し、それをFacebookに渡してください。それが済んだらあとはFacebookに任せてみるというのが良いと思います。
あまり良くないのはFacebookの最適化を妨げるような使い方をすることです。例えば年配の女性をターゲットにした場合に、あまりターゲットを細分化しすぎるような例です。ターゲットオーディエンスの年齢を50代、60代、70代と細かく分けたとします。そうするとFacebookのアルゴリズムが働く余地が極端に減ります。制限がガチガチに掛かっているとアルゴリズムが自由に動けなくなります。
だからこそ、Facebookの最適化アルゴリズムをある程度尊重しましょう。Facebookは情報さえあれば、自分よりも賢く働いてくれるのだと信頼するのです。そして、最適化アルゴリズムとうまく付き合っていくという姿勢を持ってください。そういった意識を持つことで、Facebookと喧嘩をせずに上手に広告を運用できるようになるはずです。
マインドセット7:Facebookに逆らわない
最後のマインドセットは、Facebookに逆らわないということです。それはFacebook側の立場に立つということです。Facebook が何を望んでいるのかを理解し、Facebookが望むような広告主になりましょう。Facebookは自社のプラットフォームをポジティブな場にしたいと考えています。つまりユーザーがずっと滞在していたくなるような心地の良い空間を作ろうとしています。
Facebookの広告に審査ポリシーがあるのもそのためです。もしもすべての広告を審査なしに野放しにしてしまうと、ユーザーが嫌がる広告ばかりになってしまいます。ユーザーをうまく煽って、暴利を貪ろうとする広告です。そういう広告を作ると、Facebookに逆らうことになります。運良く審査ポリシーの網をすり抜けられたとしても、いずれFacebookに嫌われます。
そういう戦いをすると、圧倒的に不利です。僕らは広告プラットフォームという他人の土俵で戦わせてもらっています。その場合は、プラットフォームを怒らせないというのが鉄則になります。ユーザーにとってもポジティブになるような広告を配信するように心がけてください。ぜひプラットフォームを味方につけて、追い風に乗りましょう。Facebookが喜んで配信したくなるような広告を出すということも重要なことの一つです。ぜひ広告の審査ポリシーを読むときにもそのことを念頭に読んでみてください。
まとめ:仮説を持ちテストを通して自分の成功法則を見つける
ここまでFacebook広告で数値改善を行うために必要な思考方法を解説してきました。最後に要点を7つにまとめました。
- 広告運用においては技術的側面よりも、市場や見込み客の理解の方が重要である。
- 広告を科学と考え、自分なりの仮説を考え続けるという姿勢が重要である。
- 末端の数値だけに囚われることなく、見込み客の広告体験全体を俯瞰して見直すことが重要である。
- 広告は一度セットしたら終わりではなく、常に成果に向けた軌道修正を続ける必要がある。
- 広告のバリエーションを用意するなどの実験を通して、自分だけの成功法則を見つける姿勢が重要である。
- Facebookの持つデータと最適化を信頼し、情報を与えたらあとはシステムに任せる姿勢が重要である。
- Facebook側の嫌がることをせず、Facebookを味方につけるような広告コンテンツを作ることを推奨する。