あなたは個人事業主としてネットで商品やサービスを売る中で、価格競争に巻き込まれて苦しんでいませんか?僕は長年ビジネスを営む中で、価格競争の罠から抜け出す方法を学んできました。ここでは価格競争に巻き込まれないための戦略として、魅力的なオファーの重要性について解説していきます。
インターネットの普及により、あらゆる商品やサービスの価格比較が容易になりました。その結果、多くの企業が価格競争に巻き込まれ、利益率の低下に悩まされています。しかし、見込み客は必ずしも価格だけで商品やサービスを選んでいるわけではありません。むしろ、価格以上の価値を見出せるかどうかが重要なのです。そこで注目すべきなのが「オファー」の概念です。オファーとは、商品やサービスに加えて、見込み客が得られるベネフィット、特典、保証などを含めた提供価値全体のことを指します。魅力的なオファーを作り出すことで、価格競争から脱却し、持続的な成長を実現できるのです。
価格競争は「最悪のビジネスモデル」である
売るために価格を下げるというのは、実は最悪のビジネスモデルです。このことを最初にしっかりお伝えしておきたいと思います。もしかするとあなたは「そんなこと言われなくても分かってるよ」と思うかもしれません。でも、そのことを事実として頭にたたき込んでおかないと、苦しくなったときについ安売りという安易な手段に走ってしまう可能性があるのです。
価格競争の現状を理解するために、Amazonを例に考えてみましょう。Amazonでは、同じような商品が多くの出品者によって販売されていますよね。モバイルバッテリー、ヨガマット、スマホケース、ロボット掃除機。あなたも特にこだわりがない場合は、レビューがそこそこで安いものを選ぶことが多いのではないでしょうか。
このようにネットを通じてあらゆるものの値段が比較できるようになった現在、今まで以上に価格競争が激化しています。でも最安値を目指して価格を下げ続けると、結果的に利益率が低下します。誰かが価格を下げると同じ競争戦略を取っている各社が一斉に価格を下げます。それを繰り返すことで利益率はどんどん下がっていき、最終的にはビジネスの存続が危ぶまれる事態に陥ってしまうんです。
マーケティングの権威であるダン・ケネディも、価格競争に巻き込まれることの危険性を強調しています。彼は「業界で2番目に安い価格で勝負することには、戦略的な優位性はない」と述べています。ウォルマートやイオンのような巨大企業でもない限り、最安値戦略を取る意味はないのです。イオンが安さを武器にできるのは、大量仕入れ、大量販売などのスケールによるメリットがあるからです。
では、価格競争から脱却し、持続的な成長を実現するにはどうすればいいのでしょうか?その答えは、オファーの魅力を高めることにあります。オファーの魅力を高めることで、見込み客は価格以上の価値を感じ、喜んで購入してくれるようになります。つまり、見込み客にとっての真の価値を提供することが、ビジネスの成功には不可欠なのです。
「商品」ではなく「オファー」を売ろう
多くの企業が「商品」を売ることばかりに注力しています。ですが実は見込み客が本当に求めているのは「オファー」なんです。物やサービスを売っている多くの人々がまだまだこの事実に気がついていません。または本やセミナーで聞いたことがあっても、実際にその知識を活かせていないのです。ここで、商品とオファーの違いを理解しておくことが重要です。
まずは商品とは何でしょうか。商品とは、単なるモノやサービスのことです。見込み客の問題を解決する手段の一つに過ぎません。一方、オファーとは商品に加えて、見込み客が得られるベネフィット、特典、サービス、保証などを含めた提供価値全体のことを指します。見込み客は、このオファー全体を評価して、購入するかどうかを判断しているんです。
昔、「ステーキを売るなシズルを売れ!」というビジネス本がありました。シズルとは、ステーキを焼くときのジュージューという音のことです。この本が言っていたのは、人はステーキだけではなくステーキを焼くときの音などの体験にも強い価値を感じるということです。ステーキを売りたいなら肉自体を売るのではなく、ステーキを食べる際の五感的な体験を売るべきだという主張でした。これは、商品そのものではなく、見込み客が得られる体験や価値を売ることの重要性を示唆していたんです。
ここでちょっと例を出しましょう。例えば、あるタスク管理ツールを売るときのことを考えてみましょう。タスク管理ツールというのは、Notion、Trello、Todoist、Asanaなどで、今たくさんの種類がありますよね。もちろんタスク管理ツール単体で売ることもできます。でも、見込み客にとっての価値を高めてあげることでさらに魅力的なオファーを作り出すことができるんです。
例えば、そのタスク管理ツールを上手に使うための資料が一緒にもらえたらどうでしょう?時間管理のノウハウや効率的な仕事の仕方などのトレーニング動画が30時間以上用意されているとしたらどうでしょうか?さらに、同じ志を持った人たちが集まるコミュニティも付いてきて、そこで自分のタスク管理や仕事の仕方に関する疑問を相談して解決できるとしたら?
タスク管理ツールを買う人は、それを使ってもっとしっかり時間を管理して、仕事の効率を上げたいと考えているはずです。なのでタスク管理ツールを買ったあとに、顧客が迷わなくて済むようにそのためのガイダンスまで提供してあげる。仕事の効率をワンストップで高めることができる。そんなオファーはとても魅力的に見えるんです。ツールを買うだけでなく、もっと多くの価値を得ることができるというオファーは、見込み客の心をさらに強く掴むことができるんです。
付加価値をつけてコモディティ化の罠から脱出する
商品がコモディティ化すると、価格競争に巻き込まれ、収益性が悪化してしまいます。コモディティ化とは、商品やサービスが他社のものと差別化できなくなり、価格だけが購入の決め手となる状態のことを指します。コモディティ化のデメリットは計り知れません。
利益率の低下、価格競争の激化については先ほどもお伝えしたとおりです。そのほかにもブランドイメージの低下、さらには顧客ロイヤルティの低下も大きな問題です。顧客ロイヤルティとは、顧客があなたの商品やサービスに対して持つ愛着や信頼のことです。コモディティ化が進むと、見込み客は価格だけで判断するようになり、ブランドへの愛着が薄れてしまうんです。
これを避けるためには、オファーによって独自性を創造し、コモディティ化を回避する必要があります。例えば、単純なベビーシッターサービスをは非常にコモディティ化しやすいです。でも、ベビーシッターサービスに付加価値をつけることで、簡単に差別化できます。例えば「ピザではなく、健康的な食事を食べさせます。そして、終わったら皿洗いもします。子どもたちは夜9時には寝かせます。」と言うベビーシッターがいたらどうでしょう?
さらにこのベビーシッターが「外出時には、一緒に子供の想像力を鍛えるゲームをします」と言ってくれれば、親にとってはありがたい限りです。これは単なるベビーシッターサービス以上の価値を提供しています。結果として、親は喜んでお金を払い、安心してサービスを利用するはずです。
実際このようなオファーを提供することで、価格が2倍であっても見込み客にとっては「お得」に感じられる可能性があります。なぜなら、単なるベビーシッターサービスと、子供の成長を促進するサービスを比較した場合、後者の方が明らかに価値が高いからです。
このように、独自の付加価値を提供することで、価格競争から脱却し、より高い利益率を維持しつつ、顧客満足度も向上させることができるのです。これこそが、魅力的なオファーの力なのです。
オファーの価値を高めて顧客満足と収益の最大化する方法
顧客に提供する価値を高めるほど、顧客満足度が向上し、収益増加につながります。ここで重要なのは、提供価値と価格の関係です。見込み客は、提供価値に見合った価格を支払う意思を持っています。提供価値が価格を上回れば、見込み客は「お得感」を感じ、購入する可能性が高まるんです。逆に言えば、商品が売れないというのは、提供価値が価格を下回っていると見込み客から判断されているからなんです。だからこそ、提供価値を高める方法を具体的に考えていく必要があります。
あなたは「じゃあどうすれば、付加価値を作れるの?」と疑問に思うはずです。商品・サービスの質の向上、顧客体験の向上、ブランドストーリー訴求、特典やサービスの追加、返金保証など、提供価値を高める方法は多岐にわたります。重要なのは自分の強みや見込み客のニーズに合わせて、最適な方法を選択することです。
商品・サービスの質の向上は、オファーの価値を高める重要な要素です。例えばオンラインコースの場合、動画の画質や音質を向上させることで、受講者の学習体験が格段に良くなります。画質が上がれば動画の中の文字がつぶれずに見やすいかもしれません。また単純に画質や音質が上がることで長時間見ていても疲れにくいという価値も出ます。単純に映像や音声が綺麗というだけでも、知覚価値という観点では大きな価値になります。
顧客体験の向上も、オファーの魅力を高める重要な要素です。例えば買ってから使い始めるまでの流れをスムーズにすることで、顧客は迷うことなくスムーズにサービスを利用できます。また、顧客からの質問対応を迅速かつ丁寧に行うことで、顧客の不安や疑問を解消するというのも大きな価値です。
ブランドストーリーを訴求するという方法もあります。これは、顧客との感情的なつながりを作り出す効果的な方法です。商品誕生の背景や想いを伝えることで、顧客は単なる商品以上の価値を感じ取ることができます。例えばアウトドアメーカーのパタゴニアは、環境保護というブランドストーリーを訴求することで、顧客の心を掴んでいます。こういった方法は、顧客はブランドに対する愛着を持ち長期的な関係を築くことができるのです。
特典やサービスの追加も、オファーの魅力を大きく高める効果的な方法です。例えば、コースの購入特典として個別相談の機会を設けることで、顧客は自分の状況に合わせたアドバイスを受けられます。また商品に関連したテンプレートを提供することで、顧客は学んだことをすぐに実践できます。特典は僕も商品を売るときによく使っていて、とても効果があります。
返金保証も価値の1つとして機能します。これは購入前の見込み客の不安を取り除き、購入を後押しする効果的な方法です。一定期間の返金保証を用意することで、見込み客は安心して商品を試すことができます。例えばAmazon、ZARA、Nikeなどは返金保証をつけています。これは靴や服のサイズが合わない、実際に着てみると似合わない、という不安を取り除くためです。返金保証があれば「買ってみてダメなら返品すればいいや」と安心して買い物ができます。
僕も実際にこれらの方法を組み合わせて商品の価値を引き上げるようにしています。例えば、オンラインコースの分野では、単なる動画講座だけでなく、受講者同士が交流できるコミュニティを提供したり、講師に直接質問できる機会を設けたりしています。また購入後のサポートを充実させたり、商品のレクチャー内容を定期的にアップデートを行ったりすることで、顧客満足度を向上させるといったことをしています。
ちなみに僕は「いしこん」という個別コンサルティングもやっています。僕の個別コンサルは年間250万円以上するのですが、こういったコンサル料金が高いのも、それだけ高い価値を提供しているからなんです。僕の場合はコンサルの中で何かを教えるだけでなく、ほぼ毎週そのフォローアップを行います。「先週話したことは実践できましたか?」という感じでフォローアップするので、教えて終わりということにはなりません。
よく、オンラインコースなどのデジタル商品では「買って終わり」にしてしまう人がいます。また買って動画を見てみたけど、知識だけが増えて実践できていないという人が多いのです。でも年間コンサルだと実践する機会が増えます。毎週のコンサルの中で確認されるので、その分強制的に進捗が出るようになります。
これは英語ではアカウンタビリティ(報告義務)という言葉で表されます。その後どうなったのかを報告する義務という意味です。受講している立場からすると少しプレッシャーにもなるし、「実践しないといけない」という負荷もかかります。ですがコンサルの場合は、その負荷がその人の成長を加速させます。これも1つの大きな価値です。
さて、ここまでいろいろなことをお話ししてきましたが、結局のところ何が大切なんでしょうか?それは、価格競争に巻き込まれないために、見込み客に本当の価値を提供するオファーを作ることです。商品を単に安くするのではなく、見込み客が「これは買う価値がある!」と思えるような魅力的なオファーを作ることが大切なんです。そうすれば見込み客も喜んで購入してくれるし、あなたの収益も上がります。
今日からでいいので、あなたのビジネスで提供している商品やサービスをちょっと見直してみてください。「見込み客が最終的に求めていることは何だろう」と考えてみてください。そうすれば、きっと今よりもっと魅力的なオファーのアイデアが出てくるはずです。そういったアイデアを作る、そして実際のアイデアを実行に移す。そうすることで、安易な価格競争に足を踏み入れることを避けられるはずです。
まとめ:魅力的なオファーで価格競争から逃げる
ここまで価格競争の罠から脱出し、見込み客を惹きつけるためのオファーについて解説してきました。最後に要点を5つにまとめました。
- 価格競争は最悪のビジネスモデルであり、利益率の低下や顧客ロイヤルティの低下を招く。
- 商品ではなく、もっと広範囲の価値を内包したオファーを売ることが重要である。
- オファーは商品に加えて、見込み客が得られるベネフィット、特典、サービス、保証などを含めた提供価値全体を指す。
- オファーの価値を高めるには商品の質の向上、顧客体験の向上、ブランドストーリーの訴求、特典やサービスの追加、返金保証などの方法がある。
- 見込み客に本当の価値を提供するオファーを作ることで、価格競争に巻き込まれずに収益を上げることができる。