あなたは個人で広告代理店をやろうとしていて、広告運用の契約が取れたあとに具体的に何をしたら良いのかと迷ってしまいませんか?契約を取るまでの営業だけでなく、契約を勝ち取ったあとの流れを理解しておくことも非常に重要です。ここでは、契約がまとまってから実際に広告キャンペーンを開始するまでに必要な事務手続きを解説していきます。
新しく顧客になった人に対して、サービスをスムーズに提供するためにはいくつかの準備が必要です。これをオンボーディングと呼びます。契約内容の確認、費用の支払い、ツールの設定など事務的な作業が必要になってきます。ですが、これらの作業は慣れていないとなかなかスムーズに頭の中に出てきません。そこでここではチェックリストとして使えるように、必要なタスクを解説していきます。これらのタスクを順番にフォローしていくだけで、スムーズなオンボーディングが行えるようになるはずです。
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タスク1:契約書を送付する
まずは広告運用をスタートさせる上で最も重要なタスクを行いましょう。契約書を結ぶことです。まずは最初のステップとして、しっかりとした契約書を準備してください。慣れていない人にとって契約書を用意するのは大変なことだと思います。実は僕も契約書を作るのは得意ではありません。ですが、契約書を用意しておくことはあなたを守ることにつながります。
まず契約書を交わすことで契約が正式なものになります。さらに契約書によってあなたの提供するサービスの範囲が明確になり、あなたが働きすぎることを防ぐことができます。また何か業務上でトラブルがおきたときにも契約書があれば、解決がスムーズになることがあります。とはいえ契約書を作るにはある程度の法律の知識も必要になります。ネットに落ちているテンプレを使っても良いのですが、それだとあなたの提供するサービスにマッチしない可能性もあります。
そこで契約書の作成を外注することをオススメします。クラウドワークスやココナラなどで、契約書の作成をやってくれる外注さんを探して依頼するのです。僕も実際に契約書を外注し、1万円〜2万円くらいのレンジで作ってもらっていました。しかも契約書は一度作成してしまえば、それをひな型として毎回の契約に使い回すこともできます。
次に困るのが契約のプロセス、契約書の管理だと思います。これにはクラウドサインというサービスが便利です。クラウドサインはオンライン上で契約書を結び、管理ができるサービスです。ある程度まで無料で使えることができます。いちいちハンコなどを押す必要もなく、契約に必要な手続きはすべてクラウドサイン上で完結することができます。
これを使えばわざわざ契約書を郵送したり、契約書のPDFファイルをメールで送り合ったりする必要がなくなります。またクラウドサインは契約書の保管と管理にも優れています。一度契約した契約書は、改変できない形でしっかりと保管されます。これにより、契約書を紛失するリスクや、バージョン管理の混乱を防ぐことができます。
タスク2:請求書を送付する
無事に契約書が結ばれました。次はサービス契約にあたって請求書の準備をしましょう。提供したサービスに対して、報酬を請求するためには請求書が必要になります。しかし経験が浅い人にとって、請求書の作成は手間がかかる煩わしい作業に感じられるはずです。自力で用意するのであれば、ネット上で見つかるテンプレートやGoogleスプレッドシートなどを使うのも手でしょう。もし請求書のフォーマットを整えるのが面倒だという場合は、請求書作成サービスを使ってみましょう。
国内にはMisoca(ミソカ)やfreeeなど無料で請求書の発行ができるサービスがいくつか存在します。シンプルな機能だけであれば無料で使うことができます。これらのサービスを利用すると請求書の作成だけでなく、送信、支払い状況の管理、顧客データの管理までが1つのサービスで完結します。メールでPDFをやり取りしたり、紙ベースの請求書をやりとりする必要がなくなるのでとても便利です。
その上、テンプレート機能を活用すれば毎月の請求業務が効率化されます。特に広告の運用報酬は毎月請求する場合が多いので、テンプレートなどの機能を使うことで毎月の請求業務が大幅に楽になります。一度テンプレートを作成しておけば、その後は請求書の日付や番号を更新するだけで、新しい請求書がすぐに準備できます。これにより請求プロセスの時間と労力を節約し、他の業務により多くの時間を割くことが可能になります。
タスク3:SlackやChatworkなどのコミュニケーションツールに招待する
広告キャンペーンを成功させるには、クライアントと密なコミュニケーションを取ることが必要になります。そのためにはSlackやChatworkなどのビジネス用チャットツールなどを使うと良いでしょう。ビジネス用チャットツールを使えば、メールよりも頻繁で細かなコミュニケーションを取ることができます。チャットツールの中でプロジェクトごとに専用のチャンネルやグループを作っておきましょう。
広告運用では、クライアントに定期的な報告などを行う必要が出てきます。そのために専用のチャンネルやグループなどを作っておくと便利です。クライアントをチャットツールに招待する際は、使い方を丁寧に説明しましょう。特にチャットツールを使ったことがないクライアントには、基本的な機能の使い方や、チャットエチケットについても伝えると良いでしょう。彼らがチャットを活用できるようになることで、コミュニケーションがスムーズになり、あなたの仕事にもプラスに働きます。
ビジネス用チャットツールの選択に際しては、機能だけでなくコストも考慮する必要があります。僕らも以前はChatworkを使っていましたが、料金が高くなってきたため無料のDiscordに乗り換えたという経緯がありました。無料プランから始められるチャットツールも多いので、まずはあらかじめあなたの方で試しておくことをお勧めします。料金が発生するプランに移行する場合も、プロジェクトの規模やチームのニーズに合わせて最適なプランを選びましょう。
タスク4:各種オンラインツールへのアクセス権をもらう
クライアントの広告キャンペーンを走らせる場合、様々なオンラインツールを使うことになります。もし必要があれば、クライアントからツールへのアクセス権をもらっておきましょう。例えば、マーケティングファネルのツールや、アクセス解析用のツール、または売上の集計ツールのようなものが考えられます。これらのアクセス権やログイン情報を、あらかじめまとめてもらっておくことで作業効率が格段に上がります。
もしログインパスワードなどをやりとりする場合がある場合はセキュリティに十分注意をしてください。クライアントのパスワードが流出してしまうと、クライアントからの信頼を損ないかねません。もしもパスワードをやりとりする必要がある場合は、1Passwordなどのパスワード管理ツールをオススメします。1Passwordであればパスワードを暗号化して保管し、安全に共有することが可能になります。
タスク5:Facebook広告アカウントへのアクセス権をもらう
Facebook広告の運用をスムーズに始めるためには、Meta Business SuiteやFacebookの広告アカウントへのアクセスも必要になります。まずは、クライアントに広告関連のアカウントの共有を依頼しましょう。またFacebook広告を配信するには、Facebookページが不可欠です。クライアントがまだFacebookページを持っていない場合は、この機会に作成を促すと良いでしょう。
広告配信の準備として、支払い情報の登録も忘れずに行います。クライアントにクレジットカード情報を広告アカウントに登録してもらう必要があります。支払い体制を整えておく必要があります。このプロセスをクライアントと一緒に確認し、準備を進めましょう。
多くのクライアントは、Facebookの広告ツールに不慣れです。そのため、解説資料や画像を用いて、分かりやすく説明することが重要になります。単なる文字情報だけでなく、視覚的な要素を加えることで理解を深めてもらえます。さらに、Zoomなどのオンラインミーティングツールを活用し、リアルタイムでのサポートを提供することも効果的です。直接画面を共有しながらの設定サポートは、クライアントにとっても安心感につながります。
タスク6:共有用のGoogle Driveフォルダを作る
広告運用の過程で、クライアントと様々なファイルを共有する機会が頻繁にあります。このやり取りを効率化するために、共有用のGoogle Driveフォルダを作成しておきましょう。このような共有フォルダを設けることで、広告クリエイティブや素材ファイルなど、必要なものをスムーズに受け渡しすることができます。
共有フォルダの設定はとても簡単です。Google Drive上で新しいフォルダを作り、共有で相手のメールアドレスを入力して招待します。相手に編集権限をつけておけば、相手も自由にフォルダにファイルをアップロードすることができます。ただし、相手がアップロードしたファイルの所有権は相手にあります。そのため、相手のGoogle Driveの空き容量を消費します。また相手に所有権があるため、相手がファイルを削除した場合には取り戻すことができません。そのことに注意して運用してください。
タスク7:プロジェクト管理ツールの設定をする
広告キャンペーンの運用に際し、クライアントとのタスクや進捗の管理が欠かせません。特に大規模なプロジェクトでは、これらの管理がプロジェクトの成功に直結します。そんな時、プロジェクト管理ツールの利用を検討してみましょう。Asanaのような企業向けツールは、タスクの割り当てや進捗の可視化に優れています。
また、GoogleスプレッドシートやNotionは、個人利用にも適しており柔軟なカスタマイズが可能です。特にNotionは個人やフリーランスの中でも最近とても人気のツールです。これらのツールを活用することで、互いのタスク管理を簡単に共有し、プロジェクトの進行状況をリアルタイムで把握できます。
ツールにアクセス権を互いに付与し、タスクの更新や進捗報告を共有することで、プロジェクトの効率が大幅に向上します。このような透明性のあるコミュニケーションは、クライアントとの信頼関係を築き、プロジェクトをスムーズに進行させるために不可欠です。プロジェクト管理ツールの導入は、より組織的かつ効果的な広告キャンペーン運用への第一歩と言えるでしょう。
まとめ:広告出稿のために段取りよく準備を進める
ここまで、広告運用前にクライアントとの間で進めておくべき準備について解説してきました。最後に要点を7つにまとめました。
- トラブル防止のためにクライアントと契約書を交わす。契約書の文面には外注を利用し、管理にはクラウドサインを使うことを推奨する。
- 運用報酬を受け取るために請求書を用意する。Misocaやfreeeなどの専用ツールを使うと作成、送信、管理が容易になる。
- クライアントとの密なコミュニケーションのために、ビジネスチャットで連絡が取れるように手配しておく。
- 各種オンラインツールへのアクセス権限をあらかじめクライアントからもらっておく。
- クライアントのFacebook広告アカウントへのアクセス権ももらっておく。
- ファイルの受け渡しのために、クライアントとの共有のGoogle Driveフォルダを作成しておく。
- タスク管理が必要な場合は、Notionなどのプロジェクト管理ツールの設定をし、クライアントと共有しておく。