フリーランスで広告代理店を始めたものの、業務の効率化や生産性アップに悩んでいませんか?ひとり起業家にとって、限られた時間とリソースを最大限に活用することは非常に重要です。ここでは、フリーランス広告代理店の仕事を徹底的に効率化するためのコツを8つに分けてご紹介します。
広告代理店を運営する上で、クライアントの獲得や広告運用の最適化など、さまざまな課題に直面するでしょう。特に、個人事業主や副業の会社員にとっては、時間管理やタスクの優先順位付けが難しく感じるかもしれません。しかし、適切な戦略と工夫を取り入れることで、生産性を大幅に向上させることができます。ここで紹介するコツを実践することで、今よりも高速で確実な仕事が可能になるはずです。
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コツ1:クライアントの期待値を適切に設定する
まず初めに、クライアントの期待を高めすぎないように注意してください。クライアントに過度な期待を抱かれると、いずれ失望やフラストレーションを招いてしまいます。期待値は、自分の実力と経験に基づいた現実的な範囲で設定するよう心がけてください。例えば「1週間で新規顧客を1000人増やす」といった具体的な数値目標は避け、「3カ月でフォロワー数を着実に増やしていく」などと伝えます。このようにある程度の幅を持たせた目標設定が賢明です。
過去の実績から自身の能力を正しく見積もり、達成可能な範囲でクライアントの期待値を設定することが大切です。一方で、期待値を控えめに設定しすぎるとクライアントを失望させる可能性もあります。「新規顧客の獲得は難しい課題なので3カ月で100人増やせば良い」と低めの期待値を設定されてしまうと、実際にはそれ以上の結果が出ても満足してもらえない恐れがあります。
ではクライアントの失望を避けるためにどうしたらよいのか?それにはあなたの実績や実力を正直に説明することです。つまり、コミュニケーションの透明性を高めるということです。これによってお互いの認識を擦り合わせることができます。これにより「こんなはずじゃなかった」というクライアントの失望を最小限に抑えることができます。
コツ2:定期的な進捗報告を欠かさない
クライアントとの関係性を良好に保つために、定期的な運用報告を欠かさないようにしてください。理想としては少なくとも3-4日に1回は進捗を共有することを推奨します。4日以上空くと相手を不安にしてしまう可能性があります。確かに多くの広告代理店が毎日報告をしているようですが、過剰な頻度は避けたいところです。今までお付き合いしてきた広告代理店を見ていると、毎日報告をしているところが多いようです。手動のチャットだけでなく自動メールなど、報告の手段を工夫するのも一案でしょう。
定期的に状況を報告することで、クライアントからの信頼も積み上げることもできます。進捗報告は簡潔でも構いませんが、具体的な数値や事実を伝えるようにしましょう。「昨日のオプトインは何件でした」「直近のCPAはこちらです」「CPAが高騰しているのでこういった施策を実施しています」など、成果や経過が分かりやすい報告を心がけましょう。課題があれば、その原因と対策も説明しましょう。こうしたオープンなコミュニケーションを継続することで、クライアントの安心感が生まれます。
またクライアントからの質問にも早めに対応し、クライアントの不安を放置しないことが大切です。小さな疑問が解消できないと、大きな不信につながってしまう恐れがあります。確実にクライアントとのコミュニケーションを取ることで、スムーズな業務運営につなげましょう。僕が過去にお付き合いしていた経験から言うと、成果の高い広告代理店さんほどレスが早いです。レスが早いということは想像以上にクライアントに安心感を与えてくれます。
コツ3:クライアントに意見を求めすぎない
クライアントを相手に仕事をするときの落とし穴として、クライアントに意見を求めすぎるというものがあります。クライアントはいわば広告の素人です。例えばその素人に「こういう広告動画になりましたが、いかがでしょうか?」と聞くのはナンセンスです。あなたは既にクライアントへのヒアリングを済ませ、クライアントの求めることを理解しているはずです。広告に関する知識はあなたの方が上です。そのため、この広告動画で成果が出るかどうかを判断するのは、あなたの仕事ということになります。
ただし、製品の詳細や市場を理解するためにクライアントに質問することは問題ありません。クライアントならではの製品知識や顧客理解度は非常に重要です。その上で上手くクライアントの強みを活かしつつ、自身の専門性を損なわない判断力が求められます。クライアントは多忙なので無駄に細かい確認を取ることなく進めることも必要です。クライアントからもらった情報を、自身の専門知識と組み合わせて、より最適な広告戦略を立案することが大切です。
避けるべき質問はどんなものでしょうか?例えば、広告クリエイティブなどに関する細かい指示はクライアントに質問しても仕方ありません。また広告の設定を変更したり、広告のターゲットオーディエンスを変えることもあるでしょう。その場合は、クライアントの意向に沿った結果が出るものを、あなた自身が選択することも必要です。クライアントに専門分野以外の意見を求めすぎないというルールをぜひ意識してください。
コツ4:タスク管理ツールを使用する
フリーランスで広告代理店を1人でやっていると、だんだんと処理するタスクが増えていきます。案件やクライアントごとにタスクを分ける必要も出てきます。そんな時、業務を効率的に運営するためにタスク管理ツールの活用がおすすめです。新しいタスクやアイデアが浮かんだら、すぐにタスク管理ツールのインボックスに入れましょう。脳内の記憶領域を開放することで、他の作業により集中できるようになります。タスクを脳内にストックしすぎると、作業に集中しづらくなってしまうのです。
タスク管理ツールにはTrello(トレロ)やTodoist(トゥドゥイスト)、Google ToDoリスト、Appleのリマインダーなど様々な選択肢があります。ですが中でもNotionはオールインワンで使いやすいツールとして、最近人気が出ています。メモの作成から保存、データ管理、スプレッドシート、タスク管理まで幅広く対応しています。簡単なリストも、複雑なシートも作れるという汎用性があります。チームメンバーとの情報共有もスムーズに行えます。
Notionは無料プランでも十分な機能を備えているので、フリーランス初心者にもおすすめです。タスクの優先順位づけや期限管理、担当者の割り当てなどがビジュアルに管理でき、プロジェクト全体の見通しを立てやすくなります。使い方も直感的で習得しやすいので、業務の効率化にすぐ役立てられるはずです。YouTubeにもNotionの使い方に関する動画がたくさん出ています。気になったらぜひそれらの動画を見てみてください。
参考動画:【タスク管理】抜け漏れをゼロにするNotionの使い方|テンプレート配布
コツ5:タスクを分割して達成感を得る
フリーランスや個人事業主として広告代理店業務を行う際、膨大なタスクに圧倒されてしまうことがあります。例えばクライアントとの打ち合わせ、広告の企画立案、制作物のチェックなど沢山の仕事が舞い込んできます。特に、個人や小規模チームで業務を行う場合、全ての作業を自分たちでこなさなければならず、タスクの量が多くなりがちです。そんな時は、大きなタスクを適切に分解し、実行可能な小さなタスクに落とし込むことが重要です。
まずタスクリストを作成し、やるべきことを全て洗い出しましょう。次に大きなタスクをいくつかの小さなタスクに分解していきます。例えば「新規顧客開拓キャンペーンの実施」という大きなタスクは、「ターゲット顧客リストの作成」「キャンペーン内容の企画」「広告素材の制作」「広告の出稿」「効果測定」などの小さなタスクに分けられます。
各タスクは、1日でこなせる適度な大きさになるよう調整します。目標は具体的に、数値化しておくと良いでしょう。1日の中で目標を達成できたら、その日の作業は終了です。これにより、終わりの見えないタスクに立ち向かうストレスや無力感を避けられます。
フリーランスや個人事業主は孤独です。ですがタスクを適度な大きさに分割し、着実にこなしていくことで達成感が得られ、翌日への前向きなモチベーションにもつながります。全てを一度にこなそうとするのではなく、大きなタスクを小さなステップに分解して着実に進めてください。それがフリーランスの広告代理店業務を効率的に運営するコツと言えます。
コツ6:作業時間を区切って仕事をする
フリーランスや個人で仕事をする場合、様々なタスクを1人でこなす必要があります。そこで仕事を効率的に進めるために、それぞれの作業の時間を区切って行ってください。時間を区切ることで、1つ1つの作業に対して締め切り効果が働きます。よく「マルチタスクができます」という人がいます。ですが、実はマルチタスクは生産性に悪影響を与えることが分かっています。
これは2001年にミシガン大学が行った研究によっても明らかになっています。マルチタスクを行う人は、シングルタスクの人に比べて40%も生産性が低下するとの報告がされています。マルチタスクを行うと集中力の低下、エラーの増加、創造性の低下などが起きるようなのです。そこでシングルタスクを行いましょう。
シングルタスクを実践するには、各タスクに明確な作業時間を設定することが重要です。例えば、メールの返信に30分、資料作成に1時間というように、タスクごとに時間を区切ります。この時間内では、設定したタスクのみに集中して取り組みましょう。他のタスクに手を出したり、気が散ったりしないようにすることで、シングルタスクが実現できます。
またポモドーロテクニックというやり方も人気があります。ポモドーロテクニックはシングルタスクを実践するための効果的な手法です。25分間の集中作業と5分間の休憩を繰り返すというシンプルな方法です。これにより一つのタスクに没頭できます。休憩時間を設けることで、次のタスクに向けて気持ちを切り替えることもできます。例えば1つのタスクに1回の作業時間である25分を割り当てたり、2回分の50分を割り当てるのも良いでしょう。
また1日の仕事の時間を定めることも重要です。フリーランスは時間に縛られないのが魅力ですが、いくらでも仕事を続けられるのは危険です。長時間労働は生産性を低下させてしまいます。1日の作業時間を決めて、その時間内で集中して業務を行いましょう。不思議なことに労働時間をしっかり決めておくと、その分仕事の効率が上がるという現象が起こります。これは締切効果のようなものが作用しているのだと思います。例えば9時から18時までと設定することで、メリハリをつけて働くことができるはずです。
コツ7:似ている作業はまとめて行う
タスクの量だけでなく種類が増えたときに、それらの効率よく進める方法があります。それは同じ種類のタスクをまとめて、同じ時間帯に行うことです。これには作業を切り替える際に発生するスイッチングコストを抑える効果があります。スイッチングコストとは、異なる作業内容に切り替える際に生じるロスのことです。
脳というのは一つの作業パターンに入り込むのに時間がかかるという特性を持っています。そのため頻繁に作業の種類を切り替えることは非効率な脳の使い方につながります。そこで、同じ種類のタスクをまとめて処理することで、スイッチングコストを減らすことができるのです。
僕の大好きなティモシー・フェリスは、この手法を「バッチ処理」と呼んでいます。バッチ処理とはコンピュータ用語で、一定量のデータをまとめて処理することを指します。フェリスはこの概念を仕事にも応用し、類似したタスクを一括で処理することで効率化を図っています。
例えば、クライアントA向けのキャンペーン立ち上げ作業をすべて終えてから、クライアントBの作業に移るなど、クライアント単位でタスクをまとめて処理するのがよいでしょう。また、一つのキャンペーンの中でも、リサーチ、データ分析、コンテンツ作成など、作業内容ごとにタスクをまとめて処理することも効果的です。
コツ8:1日の仕事の流れを確立する
仕事の内容に慣れてきたら、1日の仕事の流れを作っていきましょう。まず、朝一番にクライアントからの連絡や広告アカウントの状況をチェックし、緊急の対応が必要な案件がないかを確認しましょう。問題がなければ、既存のキャンペーンの評価と修正作業に取り掛かります。
午前中は集中力が高まる時間帯なので、重要度の高い案件や工数の必要なタスクに取り組むようにしましょう。新規キャンペーンの立ち上げなどのクリエイティブな作業も、アイデアが出やすい午前中に行うのがおすすめです。一方、午後は比較的集中力が落ちる時間帯なので、ミーティングや単純作業など、あまり集中力を必要としないタスクを割り当てるようにしましょう。このように、自分の集中力の波を理解し、タスクを適切に配分することが効率的な業務運営につながります。
また、フリーランスとして成功するには、常に最新のマーケティングトレンドや手法を学び続けることが不可欠です。1日の中で必ず学習の時間を設け、オンラインのWebコミュニティへの参加や有料の教材の活用など、効率的な方法で知識を吸収していきましょう。このように1日の仕事の流れを決めていきましょう。そうすることで、毎日どんな順序で仕事をすべきかに頭を使う必要がなくなります。ルーティンで仕事をさばけるようになると、仕事の生産性もアップするはずです。
まとめ:仕事を流れをつかんで業務を効率化する
ここまでフリーランスの広告代理店が、仕事を効率的に進めるためのコツを紹介してきました。最後に要点を8つにまとめました。
- クライアントには高すぎる期待をさせないよう、あなたの実績や経験に応じて適切な期待値を設定する。
- クライアントを安心させるために、定期的な進捗報告を行う。
- 広告に関する複雑な判断など、クライアントの専門外のことに関してはクライアントの意見を求めすぎない。
- 多くのタスクを管理するには、Notionなどのタスク管理ツールが便利である。
- 1人が抱えるタスク量が多くなるため、大きなタスクを複数の小さなタスクに分解して進めることが重要である。
- 複数のタスクを処理する場合には、それぞれのタスクにかける時間を区切ると良い。また1日の業務終了時間を決めることで締め切り効果も期待できる。
- 様々な種類のタスクを処理する場合、同じ種類のタスクをまとめて行うことで生産性が向上する。
- 仕事に慣れてきたら1日の仕事の流れを決めると良い。そうすることで毎日、タスクの順序を考える必要がなくなる。