あなたは広告でデジタルコンテンツを売りたいと考えている経営者で、広告キャンペーンの成否をどう計測したら良いのかと悩んでいませんか?ここでは広告のパフォーマンスを測定する代表的な指標を3つお伝えします。広告運用を行うための指標を把握することで、自信を持って管理画面の数値を追うことができるようになります。
広告運用を始める人が必ず学ばなければいけないものの中に、数値の見方があります。広告のパフォーマンスをチェックするために数値の意味を理解する必要があります。数値を把握することで勘に頼らず、論理的な広告分析ができるようになります。それぞれの指標の意味や計算式だけでなく、なぜその指標が大事なのかという理由まで解説していきます。数値の意味を理解できれば、もう数値を怖がる必要はなくなります。
成果指標1:ROAS
まず最初にROAS(ロアス)を紹介します。ROASとはReturn On Ad Spendの略です。読み方はロアスです。これは広告の費用対効果のことです。払った広告費に対してどのくらいの売上が得られるかという割合を示す指標です。広告費の回収率などと呼ばれる場合もあります。割合なのでパーセンテージで示されます。100%であれば払った広告費と同じ額の売上があがったことになります。200%であれば、広告費の2倍の売上が上がったことになります。
ではROASをどのように計算すれば良いでしょうか。これは単純に売上の値と、広告費の値から求められます。広告から得られた売上を分子として、それを掛かった広告費で割ってください。そして割合なので、それに100を掛けます。そうするとパーセントになります。すごく単純です。
ただしこのROASで扱っているのは利益ではなく売上です。そのため実際の損益分岐点を割り出すには、利益率を考える必要があります。例えばデジタル商品のように利益率が高い商品の場合、利益率が90%だったとしましょう。様々なツールの手数料を引いた結果の利益率です。損益分岐点のROASを計算するためには、1を利益率で割ってください。つまりこの場合1を90%で割るので、損益分岐点のROASは111%となります。
ではなぜこのROASが重要かといえば、簡単に広告のパフォーマンスを表すことができるからです。売上が上がっていても、広告費がそれ以上に掛かっていては赤字になってしまうからです。そのため単純に売上や利益を見るだけでなく、それらを広告費と照らし合わせて見ることが重要になります。ROASは売上と広告費の割合を示す指標なので、広告のパフォーマンスを測定するのにすごく使いやすいという性質があります。
成果指標2:CPA
次に紹介する指標はCPAです。CPAとはCost Per Acquisitionの略です。Acquisitionというのは獲得を意味する英単語です。これは広告で顧客1人を獲得するために掛かる広告費です。広告で顧客になってくれる人を集めようとしたら、1人あたりいくら掛かりますよという指標です。ここでいう顧客というのは、基本的には商品やサービスを購入してくれたお客さんということです。実際にお金を払ってくれなくても、無料トライアルに申し込んだり、アプリのダウンロードをしてくれた人を含めることもあります。
こういった広告の成果に結びつくような成約のことを、広告の世界ではコンバージョンと呼びます。CPAの値を計算するには、掛かった広告費をコンバージョンの数で割ります。広告費を掛けて自社の顧客が増えた場合、結局平均して1人の顧客獲得にいくら掛かったのか?を知りたいからです。例えば、30万円の広告費を費やして10人の顧客が取れたら、CPAは1人あたり3万円ということになります。つまり1人の顧客を得るにはだいたい3万円の広告費が必要ということです。
なぜこのCPAが重要なのでしょうか?それはお客さんを獲得するのに、どのくらい広告費を使って良いのか?ということを調べることができるようになるからです。これを調べるにはLTV(生涯顧客価値)という概念が便利です。LTVというのは、一生の間に1人のお客さんが購入してくれる金額の合計です。つまりお客さんを1人捕まえたら、彼らがあなたのビジネスにいくらの価値をもたらしてくれるか?ということです。
LTVを割り出しておくと、いくらまでCPAが上がっても耐えられるか?ということを把握することができます。例えばお客さんが一人あたり生涯で10万円のお金を落としてくれるとしましょう。その場合LTVは10万円です。つまりこれは1人顧客さんを獲得できれば、10万円の売上になることがだいたいわかっているという状態です。この場合はCPAは10万円まで掛けることができますよね。1人のお客さんがくれば10万円の売上になるのだから、1人のお客さんの獲得に5万円、8万円と掛けても大丈夫だからです。ちなみにこの赤字にならないギリギリの最大のCPAは、限界CPAと呼ばれています。
成果指標3:CPL
次はCPLという数値を紹介します。CPLとはCost Per Leadの略です。Leadというのは見込み客や潜在顧客と呼ばれ、あなたの商品やサービスに興味を持ってくれているお客さんのことです。見込み客なので、まだ購入や課金はしていない人たちです。例えば広告を通して無料のリードマグネットをダウンロードしたり、メルマガに登録してくれた人のことを指します。そういった見込み客1人あたりの獲得に必要となる費用がCPLです。
CPLはCPAと同じ方法で計算することができます。つまり払った広告費を、そこから得られた見込み客の数で割り算するのです。例えば30万円を使って300人の見込み客が得られたとすると、CPLは1000円ということになります。1人の見込み客を得るために1000円の広告費が必要になっている状態だという意味です。
ただし先ほどのCPAにおける「顧客」の定義は、広告キャンペーンが何を目的としているかによっても変わります。キャンペーンが見込み客の獲得を主眼に置いている場合は、CPAはCPLと同じになります。それは見込み客のことを顧客とみなすからです。このようにCPAとCPLを同じ意味として使っている場合も見受けられます。
ではCPLをどのように使うかというと、例えばキャンペーンごとやマーケティングチャネルごとの成果を比べる場合が考えられます。例えば、Facebook広告内でいくつかのキャンペーンを走らせているとしましょう。どのキャンペーンが効率的に見込み客を集めてくれているかを見るには、CPLを比較すればいいのです。見込み客を安い単価で連れてきている広告は優秀な広告だということになります。
もし極端にCPLの悪いキャンペーンやチャネルがあれば、そこにテコ入れする必要が出てきます。このように見込み客1人あたりの獲得単価を確認することも、広告運用では重要になってきます。
二次的な指標のCPM、CTR、CPCも合わせて理解する
ここまで広告にとって重要な指標を3つ紹介してきました。その次に大事になる指標について、追加で紹介しておきます。まず最初に紹介するのはCPMです。CPMとはCost Per Mille(コスト・パー・ミル)の略です。Milleというのは1000という数を表すラテン語です。CPMは広告をお客さんの前に1000回表示したときに掛かった広告費のことです。広告の表示回数をインプレッションといいます。CPMを求めるには広告費を表示回数で割って、1000をかけます。
例えば1万回のインプレッションに1000円掛かったとすると、CPMは100円になります。これはどういう時に使うのかというと、広告でブランド認知を広めたいときなどに使われます。ブランドを知ってもらうための広告を出した場合には、できるだけ多くの人に広告を表示することが目標となります。そのため、多くの人に効率よく広告表示ができているかという指標として、このCPMが使われます。
次はCTRです。CTRとはClick Through Rateの略です。これは広告が表示された回数のうち、どれだけクリックされたか?を示す指標です。クリック数をインプレッション数で割って100を掛けることで求めることができます。この指標は出している広告の質を測定する際に使うことができます。質が低かったり、ユーザーにとって関連性の低い広告だとクリック率が低下します。そのクリックの頻度を、単純な総数ではなく広告の表示回数との割合で示している点が重要です。
Facebook広告上でのCTRは、業界にもよりますが0.47〜1.61%といわれています。例えば広告が1万回表示されて、100回のクリックがあればCTR1%となります。CTRをモニターしておけば、広告の異変に気づくことも可能です。例えば配信している広告が同じなのに急にCTRが下がった場合、何らかの原因でクリック率が減ったことになります。同じ広告が飽きられたのかもしれないし、急に競合が増えたのかもしれません。またはターゲットの属性とズレた場所に広告が表示されてしまっている可能性もあります。
最後に紹介するのはCPCという指標です。これはCost Per Clickの略です。1クリックを得るのにいくらの広告費が掛かるのか?を示す指標です。つまりクリック単価です。これは合計の広告費をクリック数で割って求めることができます。CPCも他の指標の影響で変化します。
例えば広告の表示単価であるCPMが上昇すると、広告が表示されるための金額が上がるのでクリック率CTRが一定なら、結果的にCPCも上がる傾向にあります。また表示単価は一緒でもクリック率のCTRが下がると、1クリックあたりの単価であるCPCが上昇します。また競合が増えて入札価格が上がると、CPCは増加します。このように重要な指標を理解しておくことで、広告のパフォーマンスを考察するようになります。
まとめ:重要な指標を理解して広告分析に応用する
ここまで広告運用に重要となる指標を解説してきました。最後に要点を6つにまとめました。
- ROASは投資回収率とも呼ばれ、払った広告費に対してどのくらいの売上が得られるかという割合を示す指標である。
- CPAは顧客1人を獲得するために掛かる広告費である。
- CPLは見込み客1人を獲得するために掛かる広告費である。
- CPMは広告表示1000回あたりに掛かる広告費である。
- CTRは広告の表示回数を分母として、クリック率を表した指標である。
- CPCはクリック単価であり、1クリックを獲得するために掛かった広告費である。