あなたは小規模な広告代理業を行っているフリーランスで、ネット上でクライアントを獲得する方法を調べていませんか?そこでネットだけで完結する営業方法をお伝えします。具体的にはビジネス用のソーシャルプラットフォームであるLinkedInを使います。LinkedInを営業に使う方法を理解することで、自宅や職場にいながらクライアントを獲得することができるようになります。
営業活動には様々な種類があります。人によってはリアルで開催されるミートアップや、ビジネス交流会、展示会やカンファレンスというものに参加して人脈を作ろうとするかもしれません。確かにこれらは実際に人に会うことができる素晴らしい手段です。ですが、リアルなつながりの場所に参加することは予想以上に時間を取られます。あなたも飲み会や結婚式に参加したことがあるならば、なんとなく分かって頂けるはずです。そこでここでは英語圏で盛んに使われている手法を使って、日本でもオンラインでクライアントを獲得する方法を解説していきます。やり方をいくつかのステップに分けました。順番に見ていくこととしましょう。
今回お届けするノウハウはこちら
LinkedInとはどんなプラットフォームなのか?
ここで紹介するプラットフォームはLinkedInというものです。簡単に言ってしまうとFacebookの仕事版のようなものです。違いは個人同士のプライベートのつながりではなく、仕事上のプロフェッショナルなつながりを作る場所だということです。2003年の立ち上げから始まり、今では全世界で10億人ものユーザーが利用しています。実名で登録し、自分のプロフィールに職務経験などを載せて利用します。
主にネットワーキング、人脈作り、転職、採用活動など仕事上の様々な活動に使われています。Facebookのようにグループに入ったり、著名人をフォローしたりと色々な使い方ができるのも特徴です。このLinkedInを営業活動に使おうというのがここでの趣旨です。特に、海外での使用が目立つLinkedInですが、日本でもじわじわとその存在感を高めています。国内のビジネスパーソンや企業が、世界とのつながりを求めたり、新しいビジネスの機会を見つけたりする手段として、ますます注目されているんです。
オンラインのプラットフォームなので、オンライン完結で人脈を作ったり、自分のサービスの見込み客にリーチすることができます。では実際にLinkedInを使ってどのように使えば、あなたの営業活動に活かすことができるのでしょうか。具体的な6つのステップを解説していきます。
ステップ1:つながりを最大化する
LinkedInでは、あなたのプロフェッショナルな人脈の広がりが営業活動の成功に直結します。逆に言えば何もしない状態のまま、他人が自発的にあなたのサービスに興味を持ってくれるというのは難しいです。そのためLinkedIn上でのつながりを増やし、興味のありそうな人たちにリーチすることが重要になります。そのためにはまず、あなたのLinkedIn上でのつながりの数をある程度増やしておきましょう。
とはいえ、最初はLinkedIn上でのつながりの数は少ないはずです。そこで初期のつながりの数を増やす方法をお伝えします。まずはLinkedInのアカウントを作成しましょう。無料でアカウントをすぐに作ることができます。もしあなたが既にLinkedInのアカウントを持っているならば、ログインしておきましょう。既にアカウントがある場合には、つながりを増やす前に既存のつながりのバックアップを取っておきましょう。
やり方は簡単です。LinkedInで右上のメニューから「あなた」→「設定とプライバシー」と進みます。そして「データプライバシー」から「データのコピーの取得」に進みます。エクスポートすべき項目として「つながり」を選んでデータをリクエストします。すると処理が始まり10分以内にあなたのコンタクトデータがダウンロードできるようになります。ダウンロードしたファイルは大切に保管してください。もしプラットフォームのアップデートにより操作方法が変わっている場合は、ネットでエクスポートの方法を検索してみてください。
バックアップが済んだら、人とのつながりを増やしていきましょう。まずはあなたの直接の知り合いをLinkedIn上で探しましょう。手元にスマホや知り合いのリストを置いて、知り合いの名前を使ってLinkedIn上で検索をかけます。同級生、大学の教授、職場の同僚などを手当たり次第に検索していきます。もし直接の知人が見つかれば、つながりのリクエストを送ります。相手が承認してくれれば、あなたは晴れてその人とつながったということになります。
何人か知り合いが追加されると、Facebookのように「知り合いかもしれない人」のリストが出てきます。その項目も10分から15分ほど時間を掛けて確認してください。もしも知っている人がいればつながりのリクエストを送りましょう。直接の知人が追加し終えたら次は新しい人達とつながっていきましょう。そのときに使えるのがLION(ライオン)という概念です。
積極的なつながりを求めるLIONたちを使って人数を増やす
LIONとはLinked In Open Networkerの略で、LinkedIn上で積極的につながりを作ろうという姿勢の人たちを指します。知らない人からのつながりリクエストにも積極的に応えて、どんどんつながりを増やしたいと思っている人たちです。彼らは直接の知り合いでなくても、リクエストさえ送ればつながってくれます。こういう人たちを使って、まずはあなたのネットワークを広げていきましょう。
ただしここで1つ問題があります。LinkedIn上でLIONと検索すると、たくさんの個人が出てきます。またLION同士が集まるグループなどもあります。問題はそのほとんどが英語圏のものであることです。確かに日本人でもプロフィールにLIONと書いてる人がいないわけではありません。ですが、英語圏に比べて探すのがとても大変です。そこで別の検索キーワードを紹介します。それが「歓迎」というキーワードです。
実際に日本人にもLIONの人たちは存在します。ですが彼らは別の言葉を使っています。それが「つながり申請歓迎」や「つながり大歓迎」というものです。これらはLIONのように1つではないので、言葉の表現に揺れがあります。そこで「歓迎」という言葉を使って検索をかけてみてください。そうするとこれらの表現の揺れに関係なく、日本版のLIONたちを探し出すことができます。あとは彼らにつながり申請を送るだけです。これを繰り返すことでLinkedIn上での初期のネットワークを大きく拡大することができます。
LinkedIn上でのメッセージ等の送信上限
LinkedIn上でつながり申請を送ったり、メッセージを送る場合に注意してほしいことがあります。それはアクションの頻度です。LinkedInではスパム防止のため、特定のアクションに対して頻度や回数による制限を設けています。これらの制限の数値は、一般には公にされていません。そのため、色々なサイトが推測の情報を元に分析を出しています。
LinkedInもスパム防止のため頻繁にこの制限値を変更しています。ネット上で調べてみてもサイトによって予測はバラバラです。そこで少しずつ増やして様子を見るというアプローチを採用しましょう。例えば、つながり申請は1日10回くらいから試します。そして1週間に100〜150回くらいになるまで、10回ずつ増やしていくなどのアプローチをオススメします。またメッセージも1日40件くらいから始めて、1日120〜150件くらいまでを段階的に試してみることをオススメします。また無料、有料によっては制限が異なる場合があるため常に最新の情報を確認するようにしてください。
参考
ステップ2:反応の得られるプロフィールを作る
LIONを使って自分のネットワークを広げることができたら、本丸である営業活動への準備をしていきましょう。LinkedInではプロフィールを設定するために何種類かの情報をいれることが求められます。それは次のような項目です。
- 顔写真
- ヘッドライン
- 学歴や職務経歴
- 自己紹介
- 自分のスキル
- 自分に対する推薦状
まずは顔写真をアップロードしましょう。顔写真は、プロフィールの中でも重要な要素です。スーツを着たり身だしなみを整えた姿で、きちんとした写真を掲載しましょう。可能であればプロのカメラマンに撮影してもらうのも良いと思います。次にヘッドラインを作ります。ヘッドラインというのは、あなたについての短いサマリーのようなものです。あなたがどんな人物でどんな仕事をしているのか?ということが一瞬で伝わるような文章を作りましょう。
この見出しは短い文章です。短い文章の中であなたのことを伝え、あなたに興味を持ってもらうためにいくつかの工夫をしましょう。まずは簡潔で分かりやすいことが必要です。あなたの専門や職業分野をハッキリと示します。次に検索用のキーワードを含めます。これは他人が特定のキーワードで検索したときに、あなたのことを見つけやすくするためです。
またヘッドラインの中にあなたの成果をアピールする部分を加えることも有効です。あなたがどんな分野の専門家であるかの他に、どんな実績を持っているのかを宣伝しましょう。最後に少しだけ人間味を加えてください。ここにはビジネスと関係のないようなことを書くのも良いでしょう。例えば猫が好きで休みの日は猫と遊んでいるとか、趣味でサーフィンをやっていますとかいうことです。ビジネス抜きにして人間的に興味を持たれるような内容や、意外な側面にスポットを当てると良いでしょう。
LinkedInでは自分のプロフィールに学歴や職歴を載せるようになっています。これらを入力することで、あなたのプロとしての専門性をさらに詳しく見せることができます。例えば「マーケティング会社のSNS集客部門で3年働いていました」みたいに、その人のある程度の専門性が分かります。LinkedInを本格的に使っていきたい場合は、これらの情報もしっかり入力することをオススメします。
自己紹介には、これまでに書いた見出しや職歴などに収まらなかった情報を書いてください。詳しくは「石崎式!LinkedInネットワーキング・テンプレート」を参照してください。自己紹介のテンプレートを用意したので、ぜひ自分なりにアレンジして使ってください。LinkedInではその他に自分のスキルを書く部分があります。例えばSocial Media Marketingとか、Business Strategyのような感じで自分のスキルを列挙することができます。
また他人から「この人はこのスキルをちゃんと持っていますよ」というお墨付きのようなものをもらうことができます。それが推薦機能です。推薦はスキルだけでなく、自分という人物に対しても受け取ることができます。この推薦機能は、自分が相手に送ってあげたり、相手にリクエストして書いてもらうこともできます。ぜひあなたに推薦をくれる人がいれば、推薦をもらっておくことをオススメします。
ステップ3:LinkedInで理想的な見込み客を見つける
営業をする上で土台となるプロフィールが完成しました。次は実際にあなたがアプローチしたいと思えるような理想の見込み客を探していきましょう。これには2つの方法があります。簡単に言ってしまうと、LinkedInの無料版の簡素な検索を使うか、有料版に課金して詳細な検索機能を使うかというものです。LinkedInは無料で使えるプラットフォームですが、実は有料版も存在します。
LinkedInには複数の有料プランがありますが、営業活動をする場合にはSales Navigatorという有料プランがオススメです。特にSales Navigatorは、営業やマーケティング担当者など新しい顧客を見つけてビジネスを成長させたいと考えている人向けのプランです。これに課金をすることで営業用に便利な様々な機能を使うことができます。
その中でも重要な機能を挙げるなら、例えば詳細なフィルターを使った検索ができるようになります。またInMailメッセージといって、直接つながっていない人にもメッセージができる機能も使えるようになります。もし本格的にLinkedInで営業活動をやりたい場合は、ぜひ有料のSales Navigatorプランに登録してみてください。
ではここでSales Navigatorプランを使ってどのように営業活動をすれば良いのか?その指針をお伝えしておきましょう。Sales Navigatorで重要なのはフィルター機能です。これを使って膨大な数の人や企業から、あなたの理想とする見込み客を絞り込んでいきます。まず前提条件として、Sales Navigatorの検索では検索結果の表示数に制限があります。検索結果として表示されるのはLead(個人)が2500件、Accounts(企業アカウント)が1000件です。そこでちょうどこのくらいの数になるまで絞り込んでいくことを考えてください。
Sales Navigatorでは30以上のフィルターが使えますが、実際にオススメするのは限られてきます。主に使うのはIndustry(業界)、Geography(地域)、Title(役職)、Seniority level(シニアレベル)、Company headcount(会社の従業員数)といったものです。検索結果が2500件くらいになったら、一旦どんな人がいるのか見てみましょう。
当然、その中にはあなたの理想の見込み客にならない人もいるはずです。ですが、だいたいの方向性が合っていそうであればその検索条件を保存しておきましょう。その場合は、左側にあるSave Searchボタンをクリックして名前を付けて保存します。これで次回から簡単に検索結果を呼び出せるようになります。
また2次的なつながりを持つ人を絞り込むフィルターも有効です。LinkedInでは直接の知り合いを「1st-degree connections」と呼んでいます。そして知り合いの知り合いは「2nd-degree connections」、そのまた知り合いを「3rd-degree connections」と呼ばれています。2次的なつながり(2nd-degree connections)とはつまり、お互いに共通の知人がいる人たちを指します。
検索画面では、この2nd-degree connectionsで絞り込みをかけることができます。このフィルターをオンにすると、検索結果の数は大きく減ります。ですが、この人たちとは共通の知人がいる同士なので、メッセージを送ったときに読んでもらえる確率が上がります。これはあなたのつながりが多い場合に特に有効です。つながりが少ない初期では、極端に数が減ってしまします。そのため、ある程度つながりの数が増えてから試してみるとよいでしょう。
この他にもLinkedInではブーリアン検索というものを使うことができます。ブーリアン検索とは「AND」、「OR」、「NOT」の3つの論理演算子を使う検索の方法です。これらを使うと複雑な条件で検索を掛けることができます。例えばある特定の人物を除外したい場合は、「NOT」演算子を使用します。IT業界の人物を除外したい場合、「NOT information technology」と入力すれば良いのです。ブーリアン検索の詳しい使い方はLinkedInの公式ヘルプページを参照してください。
参考:「LinkedInでのブーリアン検索」
https://www.linkedin.com/help/linkedin/answer/a524335/using-boolean-search-on-linkedin
ステップ4:つながりの申請とメッセージの下書きの作成
理想の見込み客が見つかったら、彼らに対してつながり申請を送ったりメッセージを送る準備をしていきましょう。LinkedInではつながり申請を送る際にもメッセージを送ることができます。またつながりを申請する前に、LinkedInの有料機能であるInMailを使って、直接メッセージを送ることもできます。そのためのメッセージを考えましょう。
つながり申請の場合のメッセージは、カジュアルなものでも構いません。例えば自分のビジネスを紹介し、人脈を広げるためにLinkedInを使っていることなどを伝えましょう。そしてシンプルにつながってもらえるようにお願いをします。もし2次的なつながりを持つ人に送る場合であれば、そのことにも言及しましょう。その場合はLinkedIn上で共通の知人がいることを伝えれば、反応してもらえる確率も上がるはずです。
見込み客に営業メールを送る際には、成果報酬型のオファーを提示する文章を作りましょう。利益が出た場合のみ運用報酬をいただくというパターンです。またメールの中にミーティング予約用のリンクも含めるのも賢いやり方です。これらのメッセージの草案については「石崎式!LinkedInネットワーキング・テンプレート」にまとめています。テンプレートをあなたの好みにカスタマイズして文章を作成してください。
ステップ5:メッセージを送信し営業をスタートする
ここまででほとんどの準備が整いました。プロフィールを設定し、見込み客もある程度特定できています。見込み客にアプローチするためのメッセージも練り上げられています。ではいよいよ営業活動をスタートしましょう。先ほど検索で絞り込んだ見込み客にInMailなどのメッセージ機能を使って、メッセージを送っていきましょう。
繰り返しになりますが、LinkedInではメッセージの送信数に制限があります。そのため初日から一気に送りすぎるとアカウントに制限がかかるので注意してください。最初は1日に40件ほどからスタートしてください。そして1日10件ずつ上限を増やしていき、1日120〜150件くらいまで様子を見ながら送っていきましょう。営業メールとは別に、つながり申請を送って人脈を拡大していくことも忘れないでください。
ステップ6:反応があった見込み客にメッセージする
最初のうちはつながり申請やメッセージへの反応はあまりないかもしれません。ですが、継続的に活動していけばそのうち反応のある人が見つかってくるはずです。反応があった見込み客にはメッセージなどでフォローアップを行いましょう。もしメッセージの数が多すぎる場合は、メッセージ画面上でフィルターすることもできます。
メッセージの検索ウィンドウの横にフィルターボタンがあります。それをクリックして「あなたのつながり」というのを選びます。これにより自分が直接つながっている人のメッセージだけが表示されます。直接のつながりのある人たちの方が、全くの他人よりも反応が良いはずです。対応すべきメッセージの数が多すぎる場合は、まず直接のつながりのある人たちから優先的に対応することをオススメします。
まとめ:LinkedInで人脈を広げて理想の見込み客にアプローチする
ここまでLinkedInを使って、あなたの広告代理店の営業を行う方法を解説してきました。最後に要点を6つにまとめました。
- LinkedInを使えば、オンラインで人脈を広げたり、見込み客を見つけて営業をかけることが可能である。
- オープンにつながりを求めるLIONと呼ばれる人たちを利用すれば、LinkedIn内での人脈を大きくすることができる。
- LinkedIn上で活動を開始する前に、他人から興味を持ってもらえるようなプロフィールを作成する。
- LinkedInの有料プランSales Navigatorを使えば、詳細なフィルター機能により理想の見込み客を探し出すことが可能である。
- つながり申請時にメッセージを送ることで承認の確率を上げることができる。また有料機能のInMailを使えば、つながっていない人に対しても直接メッセージを送信できる。
- 短時間でのつながり申請やメッセージの回数が多すぎると、スパム防止の観点からアカウントが制限される可能性があるので注意する。
石崎式!LinkedInネットワーキング・テンプレート
複製してお使いください。(Googleへのログインが必要です)
https://docs.google.com/document/d/1Q-V2Rd9a5fKhBNZfZ0Sv3ZpKkjaBGARnIxqsHSX5-ng/copy