今日、このコミュニティを離れる(帰国するのかな)年寄りがわめいています。南部訛りの英語を話す彼は、会計が違うと抗議中です。朝8時から毎日サンミゲルビールをのんで「ファック」やら「プッシー」やらインテリジェンスに満ちた独り言を放つ彼が、此の期に及んで俺はこんなにビールをのんでいないと叫ぶのですから、ヒラリーの対立候補にトランプが挙げられるわけです。
ひと瓶100円もしないビールなので仮に100本の計算ミスがあっても1万円の違いです。そのくらい払えよ。60を過ぎて、そんな小さな勘定の違いでワーワー言うなんて信じれません。旅をしていると、日本では疎ましがられる人物タイプを10倍ほど拡声器で増幅したような人間に出会うことができます。それも旅の醍醐味です。コメディの一環としてそーいったワガママでキモい民族を眺める一方で、こんな人間にならないためにはどう生きるべきかよく考えさせられます。
もし彼の収入が一桁違えば、こんな瑣末な会計で語尾を荒げる必要もなかったでしょう。考えてみて下さい。僕の飲んでいるコーラは一本30円です。先進国の物価の十分の一です。自分の飲んだコーラの数が20本か30本かで気にします?600円か900円の違いですよ。どーでもよくないですか。仮にコーラが一本300円だとしても、収入が一桁違えばやはり同じ感覚で「どーでもいい」と思えるはずです。
どうやったら収入の桁を一つ変えられんでしょうか。マーケティング的な知識を披露したければ、集客数か成約率が顧客単価の何れかを10倍にすればいいと説明できますが、今回は少し別な視点から考えてみます。
収入の桁を一つ変えるには、仕入れのないビジネスを持つといいですね。在庫を持つと固定費がかかりますし、仕入れた商品が(食料品でなくとも)どんどん腐っていきます。コンビニのようなコモディティを売る小売店はやるなということですね。
ここでセミナー講師や税理士さんなどいわゆるサービス業に携わる人は安心します。ああよかった私のビジネスは仕入れがない、と。
うーん、実は仕入れのないビジネスを持つだけではまだ不十分なんですね。追加生産一個あたりの費用を限界費用といいますが、この限界費用が0円に近づくビジネスだとなお良しなんです。
トヨタの車はキロあたり原価700円と聞いたことがあります。1トンの車を作れば、どれだけ頑張っても70万円の原価は必ずかかるということです。一方、ゲームソフトのようなデジタルコンテンツであれば、大量生産すればするほど限界費用は小さくなってゆきます。最初にデザイナーとプログラマーを雇い彼らにゲームを一本制作してもらえば、あとはコードをコピペするだけでOKですから。最近のプレステはネットからダウンロードしてゲームを買えるので、いよいよパッケージ費用や流通費用すらかからなくなっているようです。ヒット商品のメタルギアソリッドやコールオブデューティなどの限界費用を計算してみると驚くべき結果が出るかもしれませんね。
塾の先生の給料が安いのは、いくら仕入れのないビジネスといえど、生徒の前で授業をしている限り、限界費用は小さくならないからですね。ゲームソフトのようにコピペが不可能なんです。一方、東進の先生には億円プレーヤーもいます。東進の先生はコピペが可能です。一旦データ化されているので、あとはネット配信するなりDVDに焼きましするなり、コピペして生徒に配ればいいだけです。
どうでしょう。仕入れがなくて、かつコピペ可能なビジネス見つかりそうですか?