ごもっともな意見として、「たかだか民間会社の格付けに、なんでみんなあんなに振り回されるのか、そんなもの無視してしまえばいいではないか」という声があります。その通り。なぜでしょう?
参考文献:
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世界の格付け機関として機能しているのはムーディーズ、S&P、フィッチなんだけど、彼らがやっているのはただ単に「信頼に値するかどうかをAからDでランク分けしますよ」ってだけ。彼らが判断したBBBという投資適格基準として、年金基金に採用されたあたりから権威を持ち始めたんだってさ。でもサブプライムローンをトリガーとする倒産の連続の中でAAやAAAの格付けされた会社がバンバン倒れていった。
カラクリとしては、一つ一つのアセット自体を正確に見ていくと「コレは、オッケーだね。コレは駄目だね」って判定を下すことができたんだけど、金融商品って組み合わせてできているから、格付け会社の分散係数を用いると、ダフ屋であろうが、ヤクザの作った芸能プロダクションであろうが、裏AVの販売元であろうが、とにかくどんなものが混ざっていても、AAAという格がついてしまうことがある。で、世界の金融機関がそれらを丸呑みして、吐き出したらサブプライが混ざっていたって感じかな。
そう言えば、2002年に日本がAに格下げされて大騒ぎになったよね。あの時、財務省が異例の意見書を出したわけ。おー、さすが日本の権威を守るためにやるなーって感じだったと思います、当時見ていた人は。その内容は・・・
日本は世界最大の貯蓄過剰国であり、国債はほとんど濃くないで極めて低金利で安定的に消化されている。また、日本は世界最大の経常黒字国であり、外貨準備も世界最大である
おー、かっけー!(笑)でもなんか最近の財務省の言っていることと・・・続けて
日米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない。デフォルトとしていかなる自体を想定しているのか
と猛反撃もいいところ。やるときはやるじゃんって感じ。で、現在の時点でもこの意見書の財政状況とほぼ同じなんだよね。だ・け・ど・・・。当時と全く変わっていないにもかかわらず「日本の経済状況はギリシャ並みだわ」とか「財政破綻マジでヤベーから、消費税あげさせて」みたいな自己矛盾を平気で起こしている。自国の通貨で(つまり円建てで)国債を賄っているんだからデフォルトはないでしょーって言いながら、今度は増税しないとデフォルトするかなって国民を威嚇している。うーん。(笑)権威付けされたオピニオンは常に真実に聞こえるから、そんな意味でのものごとの真偽を判断する教養ってのは大事だねー。
文責:石崎力也