どうもこんにちは石崎力也です。オランダに住んでいます。個人・法人問わず、オンラインコースを制作しそれを販売するお手伝いをさせていただいています。
それにしてもコロナは大変でしたね。きっと今でもコロナの影響を受けている産業もあるでしょう。端的に言えば、2020年は自分のビジネスにとって良い年であり、旅人の石崎にとってはひどい年でした。
僕のやっているオンラインコース・ビジネスについて少しだけ紹介させてください。
パンデミックは僕たちのビジネスにはほぼ世間とは真逆の影響を及ぼしました。実際、オンラインコースの売上は「コロナウィルス」というキーワードの検索ボリュームとほぼ同じ動きを見せました。
つまりこういうことです。世の中のビジネスがオンライン化に向かえば向かうほど、僕たちの提供しているサービスのニーズが高まります。
特にコンサルティングを含む事業売上は3月第3週ごろのコロナウィルスの検索のピークと正確に一致しています。おそらくオンラインコースの販売者や、それを提供するKajabiやTeachableやThinkfic、あるいはUdemyなどのプラットフォームであれば、ほぼどこも増収増益だったはずです。(ソース1)
さて、ここからはマイナスのお話。
パンデミックが発生する前に、オランダとニューヨーク旅行を計画し家族4人分の航空チケットを支払いました。デルタに30万円ほど、KLMに50万円ほど支払いました。
辛かったのは、妻のビザが切れる前にオランダに入国できなかったことです。僕の起業家ビザに付帯する家族ビザ(正確にはMVVの長期滞在許可)の有効期限が切れてしまいました。
もっと辛かったのは、オランダでテスラのモデルXを購入しようと思った矢先、日本の運転免許証が失効していることに気づき、ハーグ条約に基づく国際ライセンスに切り替えできなかったことです。
とはいえ、僕が経験したことなど、世界中のご家族が忍耐強く我慢してきた試練に比べるとほんの小さいなものです。
アフターコロナの世界は、全ての物事がよりハッピーで楽しく豊かな状態に戻ることを祈っています。
ここからはコロナが起こった年の、僕や僕のビジネスに関するマイルストーンの簡単な要約です。
- 日蘭条約に基づく起業家ビザでオランダに移住しました。
- マレーシアのMM2Hビザに落ちました。
- 公衆便所が少なく、コンビニもないヨーロッパで、あってはいけないシチュエーションで5回ほど漏らしまた(ガチで情けないです)
- YouTubeを1年続けましたが驚くほど登録者が伸びず底辺YouTuberを自覚しました。それでもいまだにYouTubeを続けています。
- コンサルティングの枠(20社)が全て売り切れました。現在、4社がウェイトリストで待ってくださっています。年末年始も関係なくミーティングを開催しました。これは2021年1月2日の予約状況です。早速13社が予約されていることがお分かりかと思います。
- 400万円+税の法人向け業務委託を2つ成約しました。現在東京にある宮澤医院のお手伝いをさせていただいています。
- YouTube広告単体で1ヶ月3,549,726円を投入し月次売上が6,944,000円、その後分割決済の各月売上が300万円×5ほどになりました。
- サブスクリプションからの週売上が200万円を突破しました。
- 妻が三人目の子供を授かりました。
- 身長0.3cm伸びて、体重4.7kg減りました。
- 子供を学校に連れて行くために少しだけ早起きする習慣がつきました。
- 日本の運転免許証が失効しました。
https://www.youtube.com/watch?v=dj5GRxe24bA
- 小学生の時太っていてできなかった逆上がりができるようになりました。
とりあえず僕の自己紹介はこんな感じです。オンラインコース・ビジネスがどんなもので、だいたい僕たちの収入や売上がどのくらいか想像できたのではないでしょうか?
クラウドワーカーとは何か?外注とは?(WHAT)
僕がオランダにいながら、日本のクライアントさんと仕事をできているのは小川さんのように一緒に仕事をしてくれるパートナーと、僕の代わりに仕事をしてくれるクラウドワーカーさんがいるおかげです。
自分一人で仕事をしていたら子供と公園に行く時間もないだろうし、ましてや週5のペースでスノボやサーフィンすることもなかったでしょう。
何より今ほどの売上を計上することは不可能でした。仮に可能だとしても、毎日9時5時の仕事を平日土日関係なくやり続けて達成できるかどうかだと思います。でもそんなの僕からすると人生じゃないです。そんな忙しく働いてまでお金は欲しくありません。
だから僕はソリューションとして、仕事を外に出すことを決めました。
自分がやらなくてもいい仕事を、クラウドワーカーさんに手伝ってもらうことで自分にしかできないことに集中できます。
例えば、僕は次のような仕事を、クラウドワークスやランサーズで見つけた外注さんにおねがしています。
- カスタマーサポート
- 動画スクリプトの作成
- ブログ記事の作成と入稿
- ワークシートの作成とデザイン
- YouTubeにアップロードする動画の編集
- Teachableにアップロードするオンラインコースの編集
カスタマーサポートを外に出しているので、僕がお客さんからのメールを見る機会はありません。またあなたが今こうやってみている動画にも実は台本が用意されており、その作成を外に出しています。ビジネスパートナーの小川さんがコンテンツの企画を行い、スクリプトライターの方がそれに肉付けをしてくれます。さらにSEOライティングに詳しい方が肉付けされた文章をもう一度ブラッシュアップして、僕が今それを読み上げています。
動画は自動的にLumix Tether でパソコンのGoogle Driveに取り込まれ、日本にいる二人の動画編集者のパソコンに同期されます。
じゃあ僕だけしかできない仕事は何か?
こうやってカメラの前で話すことと、子供を二人公園に連れて行くことです。
なぜクラウドワーカー(外注)を雇う必要があるのか?(WHY)
先日、YouTubeのメンバーシップでこんな質問をいただきました。
クラウドワークスなどで仕事を頼む相手を選ぶ時に、実績や評価以外で気をつけた事はどんなことですか?
いうまでもなく僕たちのビジネスに人的な資源は欠かせません。僕のようなインターネットをベースにしているフリーランサーでも、ビジネスそのものをスケールしようと思ったら誰かに手伝ってもらう必要があります。僕の場合は、売上をもっと伸ばしたいという動機ではなく、自分の時間を確保したいという動機で仕事を手伝ってもらっています。仮に事業売上は横ばいでも、自分の働く時間が大幅に減ったのであれば、それはビジネスが確実に前に進んでいる証拠です。
僕は今オランダに住んでいます。ビジネスパートナーの小川さんに仕事の発注やクラウドワーカーさんの採用または教育をお願いしています。僕は器用貧乏で自分で何でもやってしまおうと考えてしまいます。そのせいでずっと慢性的に時間がありませんでした。でも小川さんがチームにジョインしてくれて、採用や仕事の発注など僕が避けていたところを引き受けてもらえるようになり、本当に助かっています。
なぜ外注が必要か?フリーランスは一人でやったいたほうが気楽でいいのではないか?
僕もよくわかります。長らく僕も同じことを考えていました。ただ一つ言えるのは「一人でやっている方が楽」と言えるのは、大した売上が計上されていないからです。つまり、ずっと一人でやり続けるというのは、ずっと同じようなビジネス規模でやり続けることと同義です。でもビジネスは、スケールするか死ぬかのどっちかしかなく、フリーランスを継続している限り、どこかで必ず仕事を外に出すタイミングが来ます。
そのタイミングが来ないということは、廃業を意味します。
ウェブサイトを見て、ああこの人はきっと一人でやっているなというはなんとなくわかります。5年後彼らのサイトをもう一度訪問してみてください。99%の人たちはサイトの更新をやめているか、ドメイン自体を手放しています。逆にうまくいっている人の1%だけが、ビジネスをスケールしています。
つまりクラウドワーカーを雇う必要があるかどうかではなく、そのビジネスが存続しているかどうかなのです。存続している限り、どこかのタイミングで必ず自分の手から仕事を離す必要が出てきます。いつまでも自分一人で仕事をやっているのは、ビジネスがスケールしていない証拠なので、赤信号が灯っているとお考えください。
優秀なスタープレーヤーと一緒に仕事をする(WHAT FOR)
優秀なスタープレーヤーが一人ビジネスにジョインするだけで事業のスケールもビジネス運営の楽しさも、精神的な安定も全て手に入ります。これは嘘ではありません。逆に、言われたことしかやらない、それも期待値をはるかに下回る出来でしか納品しない人と仕事をしていても一切楽しくありません。
有能でない人と仕事をしているときは「これが当たり前か」「こんなもんだよな」と普通に思ってしまうのですが、当然ながら人それぞれには能力の差があり、優秀な人がどんな仕事をするか体験するようになると、いかに従来の仕事の出来栄えが悪く、効率の悪いものだったかに気づくのです。
僕は西麻布で起業しました。当時4人のメンバーではじめました。資本金7万円の吹けば飛ぶような会社でした。最初の社会保険すら払えるかどうかわからないほど売上は立っていませんでした。その後、なんとか会社は軌道に乗り、僕たちはある程度の蓄えを抱えて4人それぞれが解散しました。
僕は一人になりました。しばらくは一人で仕事をしていましたが、とにかく時間はなかったし、やっている仕事の99%は利益を生み出していませんでした。
また少しずつビジネスが軌道に乗り、何人かの人を採用したのですが、僕が期待するレベルで仕事を納品してくれる人は少なく、一方で「そんなもんか」と諦めのような気持ちで仕事を頼んでいました。彼らを教育しようとしない僕に落ち度がありました。さらにコミュニケーション・コストが発生するのを嫌い、ほとんど連絡も取ろうとしませんでしたから当然の結果です。
僕は何をしていたかと言えば、ずっと貧乏旅行をしていました。Airbnbを2013年ごろからずっと使い続けています。そう、僕自身がオフィスを持たずに4年も5年も北米をプラプラしながら仕事をしていました。日本との時差もあるせいで余計に採用した人との距離は疎遠になっていきました。
あるとき、ふと小川さんが現れました。小川さんはもともと僕のお客さんでした。後で紹介する「少額でスタートする」というテクニックを使い、僕も小川さんに仕事を振ってみました。想像以上のスピードとクオリティで仕事を納品してくれたので、今度は少し大きめの仕事を振りました。それも難なくこなしてくれました。
次は僕ができないこと、やりたくないことを小川さんにお願いしてみました。具体的には、広告、採用、スタッフの教育です。やっぱり小川さんは上手にこれら仕事をこなしてくれています。
たった一人のスタープレーヤーがビジネスにジョインするだけで、事業は大きく変わります。具体的にどう変わったかを記述すると少しいやらしいのでここでは話しませんが、とにかくあらゆるものが前に進みます。そして好転します。
お金もできる、時間もできる、自由も増える、ビジネスが楽しい、仲間ができる。
特に小川さんはクラウドワークスの採用面で大きな仕事を果たしてくれました。
そんな僕がクラウドワークスで優秀な外注さんを雇うためのヒントを語るなんて、少し馬鹿げています。とはいえ、僕と小川さんは「自分たちのビジネスがどこに向かうべきか」を頻繁に話しています。ビジネスの方向性を共有しています。当然ながら外注さんとお仕事をする時も、どのような仕事を発注すべきか、どんな外注さんを雇うべきかよくよく一緒に検討しています。どこまで外注できるのか、どこまで信頼してもいいのか、いくらでどのくらいの量の仕事をしてもらうのか。
そうです。ようやく今は優秀な人たちに囲まれて仕事ができるようになりました。かねてから、僕はこんな風に仕事をしたいと、それこそ5年近く頭の中で思っていたことが実現されつつあります。
収入のポケットを複数に分散する(以下HOW)
先ほど「かつての自分のやっていた仕事の99%は利益を生んでいないと」と言いました。今は成果につながる仕事をだけをしているので、自分のやっている仕事の99%は利益を生み出しています。成果に確実に繋がっていると思う仕事にしか手を出さないようになりました。
例えば、僕たちであればオンラインコースやサブスクリプションからの売上とコンサルティングからの収入、さらには法人向けの業務委託から利益を得ています。アフィリエイト収入であったり、Udemyの収入であったり、Googleからの広告収入であったりと細々とした売上もありますが、それらは”本業”の1/10、1/100以下の数値なので、気にしていません。
ここは重要なポイントです。確かに複数のインカムストリームがあることは素晴らしいことですが、現実的にはどれかに偏ります。もちろん1つだけに偏るのは好ましくないから、メインのインカムストリームとサブのインカムストリームと分けて管理することをお勧めします。
うちの場合であれば、次のような割合でビジネスの収入が分散するように意識しています。実際の割合もおおよそこの図に近似しつつあります。面白いことに、コンサルティングや業務委託など比較的マンパワーを必要とする仕事内容の売上占拠率はそれほど高くありません。オンラインコースからの収入やサブスクリプションからの収入は、一旦セールスファネルさえ組んでしまえば、あとはほぼ手放しで収入が入ってくるようになります。
もちろんオンラインコース売上やサブスクリプションの収入が、そういったマンパワーの大きな仕事(コンサルティングや業務委託)を越えるまでは時間がかかります。だから手っ取り早く確実な収入になる、属人的かつ人的なサービスに起業当初は頼らざるを得ません。現場百遍、足を動かし、手を動かし、自分が移動して、自分の時間を切り売りする。
まさにセミナー講師がそうです。他人に頼まれたセミナーであろうが、自分で開催しているセミナーであろうが、その負担の大きさはやっている本人が一番自覚しているはずです。確かに高額な値段でセミナーを販売すれば、まとまったお金が入ってくる。だけど、その仕事をやっている間、オンラインコースを作ったり、新しいビジネスを作ったりする時間は一切ないはずです。決まった場所に決まった日時に行くというのはそれくらい僕たちの人生を拘束するものだと理解しなければいけません。
コンサルティング業務とオンラインコース業務を並行する理由
今だからはっきりと白状できますが、業務委託やコンサルティングを時給に換算すると、オンラインコース売上やサブスクリプション収入に比べるとはるかに低いです。そもそもオンラインコースのようなデジタルコンテンツは一旦仕組みさえ作ってしまえば、極論、あとは放ったらかしでいいのです。まさにUdemyのベストセラー講師がそうです。レビューが100件以上ついているコースはそれなりの収入になっていることがわかります。2015年にローンチしたコースがベストセラーになり、5年たった今もその収入が入り続けている。彼が追加でやったことは何もない。やったことは2015年に1回だけオンラインコースを作っただけです。
じゃあなんでコンサルティングや業務委託など時給の低いものをいつまでも続けているのか?
これはシンプルです。リサーチです。オンラインコース・クリエイターのやることは、お客さんの悩みを解決することです。言ってしまえば、お客さんの悩みをマネタイズしているのです。お客さんの悩みはリサーチしないとわかりません。
大抵の人はここを思い込みでスタートするからオンラインコース・ビジネスが軌道に乗らないのです。
きっとお客さんはこういうことに悩んでいるだろう
と推測をベースにしてビジネスを立ち上げるから、こけちゃうんです。
コンサルティングをしているとよくわかりますが、お客さんの悩みは年々少しずつ変わります。10年前は「オンラインコースを作りたい」という人なんていませんでした。5年前は「オンラインコースをセルフホスティングで運営したい」という人なんていませんでした。最近はどんな悩みを聞くか。「オンラインコース・ビジネスをエバーグリーンで回したい」という声をよく聞きます。
じゃあ僕たちはエバーグリーン・ローンチに関するノウハウをマネタイズするだけです。とはいえ、お客さんはエバーグリーン・ローンチに関してどんなことに悩んでいるかまではわかりません。そもそも概念を理解していないのか、あるいは実装するスキルがないのか。実装が難しいのであれば具体的にどこでつまずいているのか。どんなモデルを実装したいのか?こういったことはいくらGoogle Analytics やサーチコンソールを見てもわかりません。
検索クエリには現れない悩みをオンラインコースで解決する
なぜならお客さんは自分たち自身が何で悩んでいるかもわからないし、悩みがわからなければ解決策もわからないのでどんなキーワードで検索すればいいか検討もつきません。検索されないのでれば、データとしてクエリが溜まりません。「痩せたい」とか「XXの使い方を知りたい」とか「お金を増やしたい」とかそういった検索クエリに現れる悩みなんて表面的なものばかりです。そんなところに土俵を敷いて戦っても、血みどろのレッドオーシャンが待っているだけです。
オンラインコース・クリエイターが、表面的な検索クエリだけを頼りに活動しているアフィリエイターやブロガーあるいはYouTuberと正面から戦うことほど馬鹿げたことはありません。なぜ今更、僕たちがテキストで解決されているような表面的な悩みをわざわざオンラインコースで体型的に解決しなければいけないのでしょうか?
人がオンラインコースで悩みを解決したいと思った時、そこには検索クエリには現れないもっと深い悩みがあるのです。それを商品化してマネタイズするのが、僕たちオンラインコース・クリエイターのやることです。
ちなみに以前「エバーグリーン・ローンチ」というキーワードでしばらくGoogle広告をうっていたことがあります。結果は無惨でした。そもそもインプレッションが出ないし、出たとしても全く属性の違うお客さんがランディングするだけでした。空港や港町でよく見る台湾のコンテナ会社「EVERGREEN」と間違われたのかもしれません。僕たちはただただ無意味に広告費を垂れ流していたのです。つまりキーワードでリーチできるお客さんの数は限定的であるということです。
さあようやく本題に入ります。キーワードに現れないお客さんの悩みを見つけるには、リサーチしかありません。リサーチにはいろんな手法がありますが、一番効率的なのは対面で話を聞くことです。もっといえば、僕らのように一緒にお客さんの悩みに向き合うことです。そうすることで、お客さんの頭の中にある悩みを、まさに我がごとのように捉えることができます。いうまでもなく、それが本当の悩みであり、僕たちのオンラインコースに繋がる着想となるわけです。
業務委託やコンサルティングを継続する理由、ご理解いただけたでしょうか?
さて、今からお話しする内容は、小川さんと僕が現場に立って蓄積したノウハウです。クラウドワークスを使ったことのない人が他人のブログを参考にして適当に肉付けしたものを提供するわけではありません。クラウドワーカーさんたちがビジネスの心臓部にまで食い込んでいるくらい、外注を事業の一部として活用している人たちのノウハウです。
ありきたりで一般的なノウハウではありませんが、もしかすると多くの人には使えない、僕たちのビジネスに固有のクセの強いノウハウかもしれません。何か1つでもお役にたてる情報があれば幸いです。
ヒント1:明確に仕事の内容を伝える
クラウドワークスやランサーズの掲示板に掲載されている仕事の説明を見ると「これは一体何の仕事を振っているんだ?」と疑問に思うものが少なくありません。確かに発注しても予算が低すぎて誰も外注さんたちが手を挙げてくれないこともありますし、やっと見つかった人がそれほど仕事のできない人だったこともあるかもしれません。
どんなものがどの程度の完成度で納品されるかもわからない状況で、発注する仕事の概要を丁寧に書くことほどシンドイことはありません。それでもやるんです。男なら踏ん張って丁寧な説明を書くのです。
こう考えてください。僕たちが見つけようとしているクラウドワーカーは、一回限りの仕事を発注してそこで関係性が途切れるような人ではなく、ビジネスが着実にしかしゆっくりとスケールする過程で大きな貢献をしてくれる人だと。今後も継続的に仕事を発注することになります。納品された仕事の完成度を評価する1から10の10段階スケールがあれば、常に8から10の完成度で仕事を納品してくれる優秀な人を見つけたことを想像してみてください。僕たちのビジネスはどれほど楽なものになるでしょうか。
仕事を発注する側は常に簡潔な文章を書きたくなります。でも手抜きな文章だと人自体が集まりません。彼らは僕たちのビジネスを全く知りません。僕たちがどんなことをやっているかをしっかりと説明しましょう。彼らのどの程度のクオリティの仕事を求めるかもきっちりと書いておくべきです。何よりも直感的に理解できる仕事内容である必要があります。
僕は海外の同業者のメルマガを購読しています。彼らは頻繁にメルマガで求人を出しています。その商品についてよく知っている人たちに求人を出すのですから、仕事内容もスムーズに伝わるでしょう。もしかしたら手抜きな文章でも、仕事内容を推測してくれる人もいるかもしれません。でも彼ら、仕事を振る側は、手抜きをしません。感心するほど丁寧にしかも具体的な仕事の内容を記述しています。
これは先日、Deadline FunnelのCEO、ジャックボーンさんから届いた求人のメールです。彼が次の要件で働けるカスタマーサポートを探していることがわかります。
- Deadline Funnelを使うユーザーの問題解決をする仕事
- ESTまたはオーストラリアのタイムゾーンで働ける人
- Aランクのプレーヤー、つまり仕事のできる人
さらに応募用のアプリーケーションに飛ぶと詳細な仕事内容が書かれています。仕事内容を明確に書くことで優秀なクラウドワーカーさんと繋がれる可能性は高くなります。
ヒント2:SMIQでスクリーニングする
SMIQ(スミック)という言葉を聞いたことがありますか?著名なマーケターのライアンレベックが提唱している概念です。Single Most Important Questionの頭文字です。ファミレスのアンケート用紙の回答を集計する際、ほとんどの質問はダミーであり、それらのへの回答は無視され、逆にたった1つの質問への回答だけが綿密に調査されているのは有名な話です。
そういえば僕が高校入試の際、面接で「なぜ挨拶が重要だと思いますか?」と聞かれたのを思い出しました。その高校に入学してから古文の先生が「あそこで、コミュニケーションが重要ですとかありきたりな回答をしている人は落としたわ」と言っていました。彼らの想定したSMIQがその質問でした。
僕たちもクラウドワーカーを選別するたった1つの重要な質問を用意すべきです。彼らの読解力と日本語力をチェックする良い機会にもなります。
こういう風にインターネットベースで仕事をしていると、たくさんの文章を読まなければいけません。僕たちはクラウドワーカーさんを選ぶ時も、クライアントを選ぶ時もSMIQ(たった1つの重要な質問)を用意することで彼らをスクリーニングしています。
例えば「今、お金に困っていますか?」というシンプルな質問をしたとします。あなたはこの質問に何と答えますか?もし「はい、お金に困っています」という回答があった場合、採用される見込みは低いといえます。なぜなら生きていくのに切羽詰まっている人たちがいい仕事をできるとは思えないからです。
僕はこれまで何度かジョイントベンチャーパートナーたちと仕事をしてきましたが、お金に困っている人とやったプロジェクトは大抵こけてしまいました。というよりローンチをする前に、相手が急に消えてしまいます。いろんな理由をつけて。
お金に困っている人たちは、僕が自分のペースで仕事をしていることに苛つきます。もっと早くお金を回収したいという気持ちが少しずつ言動に現れてきます。お金がなくて精神が不安定な人たちとは仕事はできません。
僕たちはコンサルティングのクライアントを選別する際も、収入要件をクリアした人だけを選びます。持っているリストの数が10万、毎月の収入が500万円以上と自称する人たちも、いざ1年分のコンサルティング費用を一括で振り込むよう指示をすると、金額の大きさにビビり、僕たちの前から姿を消します。
今は新規のクライアントをお受けできないほどたくさんの方と契約しているので、僕たちもこんな風にお客さんを選べるようになりました。そういう意味では、一括銀行振り込みができるかどうかが僕たちのコンサルティングにおけるSMIQと言えるでしょう。
あなたが外注さんを採用するにあたり、1番重要だと思う要素はなんですか?複数の質問を投げたとしても、その中でスクリーニングとして機能する質問はたった1つだけだと覚えておいてください。
いきなりSMIQが見つかればラッキーですが、大抵の場合、何度か採用と仕事の発注をこなすことでやっと見つけられるようなものです。ちなみに僕と一緒に仕事をしている小川さんは全くお金に困っていません。もし彼がお金に困っているようであれば、僕が気を使いすぎて今のように気軽に一緒に仕事はできないはずです。
もし僕たちがブログのライターさんを見つけようと思えば次の質問をするでしょう。「あなたはClickFunnelsでオートウェビナーファネルを組めますか?」と。これがライターさんを選別するSMIQです。
ヒント3:こちらから声をかける
ジョブをポストするだけで多くのワーカーさんが集まるのは稀です。クラウドソーシングにも得意・不得意があり、中にいるワーカーさんの技術に偏りがあります。あなたが外に出したい仕事によっては、たくさん集まることもあるだろうし、全く集まらないこともあります。
先日、いしこんのクライアントさんが動画編集の仕事をポストしたら、83人から応募があったと教えてくれました。これは驚くべき結果です。普通はこんなに集まりません。ちなみに彼女は動画制作を外に出せたことで肩の荷が降りたといっていました。
大抵の場合、仕事をポストするだけでは人は集まりません。クラウドソーシングのサイトにはこちらから声をかける機能、招待機能があります。
今一緒に仕事をしているほとんどのクラウドワーカーさんも、この招待機能を使って最初の仕事をしてもらいました。
一旦仕事をしてもらい、仕事内容が報酬に見合あうと思ってもらえれば次回以降は新たに仕事をポストしなくてもいいから楽です。継続的に仕事を発注するだけでいいからです。外注さんも仕事の要件や内容を理解しているので、新たな発注者を見つけなくてもいいし、仕事内容を理解するために発生する発注者とのコミュニケーションコストもかからないので双方にとってメリットがあります。
長期で継続的な仕事をお願いするメリットはここにあります。最初だけは意思の疎通のためにそれなりのコミュニケーションが発生しますが、信頼関係が構築されたあとは淡々と成果物が上がってきます。追加のコミュニケーションコストもほぼ発生しません。
継続的に仕事を発注することで、外注さんにとっての僕たちの仕事の優先順位も上がります。発注頻度の低い依頼主よりも、頻度の高い依頼主の仕事を優先するのは普通だと思うのです。
こちらから声をかけるとなると、なんかやる気が出ない。よくわかります。でも一回きりのお仕事ではなく、今後継続的にあなたの仕事を受けてくれて、あなたは大幅に時間を節約でき、いずれはあなたのビジネスには欠かせない存在になることを思えば、声をかける勇気も湧いてくることでしょう。
ヒント4:インタビューする
外注さんの全てをテキスト情報だけで理解することはできません。どこかのタイミングで対面なりビデオなりで直接話した方が相手のことをよく知れます。
僕もこんなふうにインターネット上で少なくない人たちと繋がりを持ち仕事をさせていただいていますが、当然ですがよく知っている人とよく知らない人がいます。よく知っている人は同期型のコミュニケーションツールで話したことのある人です。あるいは対面で何度も会った人です。
具体的にはZoom で定期的にミーティングするクライアント。Face Time で日本から電話をかけてくれるビジネスパートナーの小川さん。撮影のために手取川のロッジで一緒に生活したJVパートナー。
一方、知っているけど「よくは知らない」人もいます。非同期型のコミュニケーションツールでしか連絡をとったことのないひとです。チャットワークで繋がっている人、メールでやりとりした人。YouTube にコメントをくれる人。
僕が何を言いたいか。長期的に仕事をしてもらうなら、同期型のコミュニケーションツールを使って話しましょう。インタビューみたいな大それたものでなくても構いません。
音声通話だけでも大丈夫です。少し話すだけで、ワーカーさんの人となりがなんとなくわかります。少なくともクラウドソーシングのページに掲載されている実績や評価以上のことがわかります。
仕事はやっぱり相性ですから、いくら優秀な人を見つけたとしても、ぎくしゃくした関係のまま仕事を継続することはできません。
インタビューのタイミングはいつでも結構です。まずは小さな仕事を振ってから、納品スピードの早かった人だけにインタビューするのもいいでしょう。
僕は思うのです。インターネットの時代だからこそ、リアルなコミュニケーションをできる人が優位に立てると。僕の好きな海外のYouTuberは、引きこもりやコミュ障とは真逆の人間です。明るく、誰にでも優しく、喋るのが上手で、リアルの世界でも会ったらきっといい人なんだろうなと言うのが画面越しに伝わってきます。彼らはコミュニケーションの達人です。
田舎の実家に寄生して、部屋の片隅でパソコンをカタカタやっているインターネットの世界だけでしか生きられない人とは大違いです。
顔を見なくても、声を聞かなくても、実際に会わなくても仕事を発注できる便利な時代になりました。
だけど、もしテキストだけでコミュニケーションが足りないと思ったら、同期型のツールで連絡をとってみてください。頻繁にやらなくても結構です。「ああ、そんなこと思っていたのか」と気づくことは多いです。実績や評価から漏れた、相性や信頼感などを発見できるかもしれません。
ヒント5:小額でスタートする
候補者の数人に少額の仕事を振ってみてください。小川さんはこのテストプロジェクトで、納品スピードや、納品された仕事のクオリティをチェックしているそうです。
大事なことは、候補者に全く同じ仕事を振る、ということです。異なる仕事を振ってしまうと、納品された仕事を比較することができません。あくまでも相対評価ですから、同じ仕事を振って、その結果を比べてみてください。
ここで一つ言っておきたいことがあります。少額でスタートする、は試用期間を意味するわけではありません。本来であれば時給3000円をお支払いするつもりであれば、最初から時給3000円で計算してください。
少額でスタートする、は発注する仕事量を少なくするという意味です。
試用期間は好きではありません。僕自身が高校生の時に試用期間の時給にムカついていたからです。テレアポのバイトをした時も、焼肉屋のキッチンのバイトをした時も、全日空ホテルのベッドメイクのバイトをした時も全て試用期間がありました。長いものは3ヶ月ほど試用期間がありました。
今思うと、若さと無知ゆえに絞られていたなと思います。どうしてたかだか650円をもらうために1時間も嫌々働かなきゃいけないのか。今思い出しても悲しくなってきます。
試用期間は試用期間のクオリティでしか働きませんでした。時給なので、荷物を5個運ぼうが10個運ぼうが1時間後にもらえる金額は同じです。じゃあ時給相応の働きをしようと思うのが普通です。
低い時給でも自分の成長と思い一生懸命働け、というのは経営者の論理であり、できるだけ低賃金で人間を酷使するための常套句にしか過ぎません。
最初はワーカーさんとの意思の疎通ができていないため納品物のクオリティは低いです。それでも本来払うべき単価で計算することをお勧めします。まるで僕が高校生の時に時給相応の働きしかしなかったように、やっぱり正当な金額を支払わないと相手方もやる気を出してくれません。
どんな納品物が上がってくるか分からないからそんなことにお金を使えないというのであれば、最初は小さく始めましょう。小さく仕事を振って、その出来がよければ少しずつ仕事量を増やしていき、支払う金額を大きくしていけばいいと思います。僕たちはそうやってワーカーさんとの付き合いを広げていきました。
まとめ:長期的に付き合うことを意識して初期コストを乗り越える
僕は長らく仕事を一人でやっていました。ある日、コンサルタントの先輩に横浜駅に呼び出されました。本を何冊も出版されている有名な方です。
駅から歩いて5分のところに、地下室へ続く秘密扉がありました。
まるで映画の世界だなと思いながら、階段を降りていくと、トラットリアがありました。テーブル席はなくて全てカウンターで料理が出されます。
子羊のなんとかを口に入れながら、率直に僕は先輩に聞きました。「どうやって今のビジネスをスケールしたらいいでしょうか」と。
そうそうその質問をして欲しかったのだよと言わんばかりに先輩は嬉しそうな顔を浮かべています。きっと会う前から僕にそれを言うつもりだったんだと思います。
石崎さんは仕事をやっちゃダメなんだよ。
当時仕事しかしていなかった自分にとって新鮮な言葉でした。先輩がいかにして複数のプロジェクトを同時並行的に運用しているか詳しくノウハウを教えてもらいました。先輩には右腕となる人がいて、税務から採用まで全てをこなしてくれる人がいることも伝えられました。
でも当時の僕はまだ若かった。それを聞いて、自分にはできないと思ったんです。まず僕自身がコミュ障で、引きこもりだから、人と話すが苦手なんです。会ったこともない人に仕事を発注するくらいなら、信頼できる自分でやったほうが安つくしし仕事のクオリティもある程度担保されている。じゃあやっぱり自分でやった方がいいと。
今覚えば、いろんな理由をつけて初期コストを乗り越える勇気がなかったんだと思います。そういう意味では長期的な視点を持てていませんでした。トラットリアでのミーティングから7年近く経ちますが、もしこの7年間、自分一人だけで仕事をしていたらどうなっていただろうかと考え戦慄します。
もし7年も仕事が続くことを当時の自分が理解していたら、初期コストなんて簡単に乗り越えられたはずです。信頼できるビジネスパートナーを見つけ、彼らに業界最高水準の報酬をお支払いする代わりに、税務から採用まで全てをやってもらう。きっとビジネスパートナーと出会うまで時間はかかるだろうし、その間何度は裏切りのようなことも経験するかもしれません。
それでも最強のビジネスパートナーを見つける価値はあります。一緒に仕事をしてくれる優秀なワーカーさんを発見する価値もあります。具体的にどんなリターンがあるかをここで喋ると、一気にその価値は減じてしまうでしょう。僕の説明が下手だからうまく伝わらないのです。
少なくとも、人生においても、ビジネスにおいても、あらゆることが確実に前に進みます。それもいい方向に。
次の7年も今の仕事を続けるおつもりであれば、最初の面倒を今乗り越えてみてください。頑張って!