今回のレクチャーでは、ニッチなコンテンツによりブルーオーシャンを開拓する方法をご紹介します。このレクチャーを見れば、競合他社のいない新しい市場を発見できるでしょう。
ライバルの多いレッドオーシャンには、潜在的な可能性はあまり残されていません。一方、ブルーオーシャンであれば苛烈な競争にすり減らされることはありません。戦略的にニッチなニーズを攻め、自由なビジネスを実現しましょう。
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ブルーオーシャンを見つけることの重要性
ビジネスには競争がつきものです。しかし、もし競合他社の存在しない市場を見つけられたらどうでしょうか。ライバルがいなければ市場のニーズを独占でき、大きな利益を得られる可能性があります。
このような議論が「ブルーオーシャン」「レッドオーシャン」という言葉を用いて行われることがあります。
この2つは「ブルーオーシャン戦略」という書籍に由来するキーワードです。著者であるW. Chan Kim氏とRenée Mauborgne氏は、ブルーオーシャンとレッドオーシャンについて次のように解説しています。
ブルーオーシャンとは、同業他社がいない市場のことです。まだ開拓されたばかりであり、成長の余地が残っています。青く澄み切った海のように広がりを持ち、さまざまな可能性を内包する市場です。
一方、レッドオーシャンはいわば血の海です。市場が開拓されて長い月日が経過し、ライバルとなる同業他社が存在します。レッドオーシャンで生き残るには熾烈な競争を繰り広げなければなりません。利益を奪い合って互いに疲弊し、その一方で市場の成長は鈍化の一途をたどります。差別化の余地もあまり残されておらず、未来に明るいビジョンを描くのは困難です。
非常に残酷なレッドオーシャンですが、これは多くの企業が取り組んでいるシナリオでもあります。血で血を洗う惨状から脱出するには、ブルーオーシャンを探す旅に出ることが大切です。
競争の少ないニッチなコンテンツを探す3つのステップ
ブルーオーシャンの発見は、競争の少ないニッチなコンテンツの創出と言い換えられます。そのためのステップは次の3つです。「ブルーオーシャン・コンテンツ・リサーチシート」を埋めながら各ステップを進めていきましょう。
ステップ#1:競合を探す
競合のないブルーオーシャンを見つけるには、まず競合他社がどのようなコンテンツを作成しているのかを把握しなければなりません。次の3つの観点に基づき、競合他社を調べましょう。
- テレビやラジオ、電車や看板広告などの伝統的な手法で打ち出している宣伝
- メルマガやWeb広告などのデジタルチャネルで出稿している広告
- TwitterやInstagramなどでフォロワー獲得のために行っている投稿
「ブルーオーシャン・コンテンツ・リサーチシート」の「競合を探す」タブに、上記の情報をリストアップしましょう。
宣伝の場所や視聴者数、URLなどの情報をまとめていきます。
ステップ#2:競合のコンテンツをリサーチする
ステップ#1で競合他社をあぶり出したら、次は競合他社が提供しているコンテンツをリサーチしていきます。広告やブログ記事、SNS投稿の内容について、次の2点に着眼して調べましょう。
- 彼らのコンテンツに一貫しているものとは何か?
- 彼らのコンテンツの中でもっとも目立つものは何か?
具体的には、次の要素に注目するとよいでしょう。
- 競合のコンテンツの長さ
- 画像は使用枚数
- 強力なCTA(Call To Action)の有無
- 顧客から寄せられる声
- 全国あるいは地域内で注目を集める製品販売の有無
上記の中から、一貫している要素・もっとも目立つ要素を抜き出します。
抜き出した要素は、「ブルーオーシャン・コンテンツ・リサーチシート」の「リサーチ」タブに記入していきましょう。
ステップ#3:競合の少ないコンテンツを戦略的に作成する
ステップ#3では、ここまでで調べた情報に基づいて競合の少ないコンテンツを作っていきます。しかし、単に競合が少ないだけでは顧客のニーズを掴めません。競合が少なく、かつ顧客のニーズを掴める絶妙なコンテンツを目指す必要があります。
良質なコンテンツを作るために、次の問いに答えていきましょう。
質問#1:自分たちのチームが本当に得意なことは何ですか?
いくら競合他社と異なり、顧客のニーズに合致していたとしても、そのニーズを満たせるだけの能力を自社が持っていないのであれば無意味です。競合他社よりも自社のほうが上手くできることを武器にしましょう。
例えば、僕らであればブログ記事の右下にSUMOで、そのブログ記事に関連したオファーを表示します。デジタルマーケティングに関する記事には、デジタルマーケティング完全ガイドという商品をオファーすると言った具合です。
さらに1つの商品を売って終わりではなく、商品を購入してくれたお客さんにはどんどんアップセルをオファーします。僕らはコンテンツマーケティングとそれに呼応する適切なファネルを当てることを最も得意としています。
質問#2:競合他社がやっているもので、自分たちのものに近い施策は何ですか?
自社や競合他社が陥っているパターンを分析しましょう。そのパターンを破壊し、新しいブルーオーシャンを見つけることこそが目的です。これは例えば、あなたがブログで商品を売っていたとして、なかなか商品が売れないとしましょう。
そうしたら、HubSpotのように無料のリードマグネットを大量に用意して、見込客に配るんです。HubSpotはそうやって自社の出すコンテンツの魅力を見込客に伝えています。コンテンツが充実しているからこそ、見込客はHubSpotの商品にも興味を向けてくれるんです。こういう他社のやっていることで、あなたが真似したいと思うことを書いてください。
質問#3:顧客にとってのメリットは何ですか?
マーケターは顧客の心を掴むためにさまざまなことを考えます。しかし、顧客はマーケターの戦略などには興味がありません。顧客が興味を抱くのは、「このコンテンツは私にどんなメリットをもたらすのか?」というただ一点のみです。この問いはよく “What’s in it for me?(WIIFM / ウィーフム)” と呼ばれます。顧客が抱くWIIFM(ウィーフム)に対して、マーケターは説得力ある答えを用意しておかなければなりません。
ちなみに、ここで言う「顧客」とは、コンテンツの視聴者全般のことではありません。視聴者のうち、何らかのアクションを起こして自社にお金を払ってくれる人物のことです。コンテンツ作りの際は、利益に直結する顧客を集めることに注力しなければなりません。対象の顧客に特化した価値を創造・提供することに集中しましょう。
質問#4:あなたのコンテンツが役に立っていないのは、どんな人たちですか?
自社の成長にとって重要な層でありながら、コンテンツによってニーズを掴めていない層が存在するかもしれません。高い潜在価値を持つこの層を放置するのは非常にもったいないことです。既存の顧客と、これから顧客にしたい層を分析し、軌道修正を図りましょう。
僕たちであれば、これまで主に男性に向けてビジネスをしてきました。ペルソナも圧倒的に男性を意識して設定していたんです。でも最近は女性のお客さんも増えてきたので、「ああ僕のコンテンツって圧倒的に男性向けに作ってきたよね」ということに気づいたんです。「それなら、今後は女性もターゲットにできるよね」ということが分かると思います。
質問#5:既存のコンテンツの中でもっとも誇りに思うものは何ですか?
最後に、自社が作成したコンテンツの中でもっとも誇らしいものを見つけましょう。それは、自社が一貫して良質なコンテンツを作れることの証になります。僕たちは、「具体性」というものを大事にしています。他社がフワッとした概念で終わっているものを出来るだけ具体的に見せるということを意識しています。
例えば、海外ツールであれば実際の操作方法を見せますし、アイデアを作るような作業であれば実際にワークシートを使って作業してもらいます。できるだけ具体的にというこの方針は、僕のビジネスですごく自慢できるものだと思っています。
さて、5つの質問はここまでです。ここで紹介した質問は「ブルーオーシャン・コンテンツ・リサーチシート」の「戦略立案」タブにも記載されています。シートに一連の質問への答えを記入し、ニッチなニーズを満たせるコンテンツを作成しましょう。
まとめ:ブルーオーシャンを攻めるニッチなコンテンツを作る
今回はブルーオーシャンの考え方と、それをコンテンツマーケティングに応用する方法をご紹介しました。競合他社が提供しているコンテンツを分析し、その隙間を狙うように、自社が提供できる価値を模索しましょう。ニッチなニーズと自社の特技が一致する領域を見つけられれば、まったく新しいビジネスを生み出せるかもしれません。
「ブルーオーシャン・コンテンツ・リサーチシート」は、あなたが新しい海を見つけるサポートをします。上手に活用し、まだ見ぬ広大な海へ漕ぎだしてください。今回はここまでです。また次回、お会いしましょう。
ブルーオーシャン・コンテンツ・リサーチシート
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