今回のレクチャーでは、Facebookでの動画を使ったマーケティングの効果とやり方についてお話しします。SNS上の動画コンテンツは、日々成長を続けています。Facebookでは1日あたり1億時間もの動画が視聴されています。これは驚異的な統計ですよね?このレクチャーでは、どんな動画をFacebookに投稿すれば良いのか?を解説していきます。
SNSマーケティング担当者にとって、これは無視できるものではありません。動画コンテンツに投資する必要があることは明らかです。その際になるべく失敗しない動画を作りたいと考えるはずです。まずはFacebook動画を作る前におさえるべき基本事項を解説します。その上で、動画のアイデアの種となるオススメの6つのテーマについて、具体的な事例を交えて解説していきます。
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Facebook動画について知っておくべき4つの事実
Facebookで視聴される動画の量は膨大です。しかし、Facebookで動画が重要である理由はそれだけではありません。1日あたりのFacebook動画の視聴回数は320億回です。1日あたりのFacebook動画の視聴時間は1億時間です。そしてなんと動画は写真の1.5倍のリーチを獲得します。具体的な数値を見ると、Facebook動画を活用する必然性がわかりますよね。そして、データから、どんな動画を作るべきかも見えてくるでしょう。
事実#1:30種類の動画ファイルに対応している
Facebookはmp4とmovファイルを推奨しています。
しかし、選択肢はこれだけではありません。asfやavi、flvやogvなどかなり多くのファイル形式に対応していてその数は30種類です。gifやwmvなどにも対応しています。
事実#2:リンクよりも動画の直接アップロードが好まれる
Facebookでは、YouTubeのリンクを貼る方法で動画を投稿することもできます。しかし、Facebookはプラットフォームに直接アップロードされた動画をより好みます。
これは、FacebookがYouTubeと競合しているためだと考えられます。そのため動画を直接Facebookにアップロードしたほうが、あなたの動画に興味を持ちそうなユーザーのフィードに表示してもらいやすいです。つまり直接Facebookにアップロードされた動画はより多くのPV数、シェア、コメントを得られる可能性があるということです。
ただし、Facebookへ直接アップロードされた動画は、人の目に触れる期間が短くなるというデメリットもあることを知っておきましょう。動画制作に関する専門誌Videomakerによると、Facebookに直接アップロードされた動画は「いいね!」やシェアの数が少なくなると、すぐに埋もれてしまうとのことです。また、Facebookでは過去の動画を検索することが難しいです。これらは大きなハードルと言えるでしょう。
そのため、必ずしも「制作した全ての動画をFacebookにアップロードすべき」とは言えません。場合によっては、YouTubeへの投稿の方が適していることもあります。FacebookとYouTubeのどちらにアップすべきか迷った場合は、こう考えてみてください。この動画は1ヶ月後も注目を集めるか?短命なのであれば、Facebookが適しています。もしずっと注目を集めるようなものであればYouTubeにアップロードしてください。
事実#3:重要なのは動画の長さではなくストーリー
Facebookにアップロードできる動画の長さは最大240分で、ファイルサイズは10GBに制限されています。ですがあるマーケティング企業の調査によると、エンゲージメントに最適な長さは1分30秒程度です。Facebookは、動画の長さよりもストーリー性を重視しています。それはFacebookの公式ページでも謳われています。
Facebook Business公式のベストプラクティスを紹介するページでは「動画の長さは重要ではありません。まとまった簡潔なストーリーを伝えることが大切です。動画広告は、ストーリーをきちんと伝えるのに必要な時間よりも長くても短くてもいけません。最初のフレームから最後のフレームまで、視聴者の興味を引きつけるような動画を作りましょう」と述べています。
これはFacebook広告用のベストプラクティスですが、通常のFacebook投稿と広告は並列に同じフィードに表示されるため本質的には同じことを指しています。ここで少しFacebookが推奨するベストプラクティスをいくつかシェアしておきます。
- 視聴者の興味に合わせてストーリーを調整する
- 動画のプロダクションにリソースをかける
- 最初の数秒(フック)を大事にする
- ストーリーテリングに焦点を当てる
- 音声がオフでも惹きつけるストーリーを用意する
最後の項目は意外な盲点かもしれません。これはFacebookのフィードに流れてくる際にデフォルトで音声がオフになっていることに起因します。フィードに流れる動画はクリックして初めてミュートが解除されるようになっています。これはフィード上で音声がどんどん垂れ流しにされノイズが増えるのを防ぐためです。音声がオフでも視聴者を惹きつけられるようなものを用意する。意外と見落としがちな部分です。
それでは、具体的に動画の長さはどれくらいにすればいいのでしょうか?一概には言えませんが、最低限次の2つを意識してください。
- 短く、要点を絞って作成する
- 長い動画は短いいくつかの動画に分割する
Facebookは動画の視聴に最適化されたプラットフォームではないので、10分も20分も動画を見続けてくれる可能性は低いです。動画専用プラットフォームのYouTubeと同じように長時間見られることを想定しないでください。視聴者が飽きないように要点を絞った動画を作るようにしてください。
事実#4:撮るべき動画の種類は6つから選択する
どんな動画を撮るべきかは、あなたのビジネスやターゲット層によって変わってきます。しかし、マーケティングに適した代表的な動画のタイプとしては次のようなものが挙げられます。
- 〇〇のやり方(ハウツー)
- 製品デモ
- バックステージ
- エンタメ
- UGC (User Generated Contents)
- お客様の声
動画の種類#1:〇〇のやり方(ハウツー)
ハウツー系はとても人気があります。何かのやり方を学ぼうとしたときに、すごく便利です。
僕の場合は、スノーボードやスケボーをやるのでInstagramのハウツー動画でよくやり方を勉強しています。特にInstagram用の動画はコンパクトな尺になっているので、子育てや趣味の合間や移動中にササッと学べてすごく便利なんです。
英語圏で有名なカリスマ主婦のマーサ・スチュワートもFacebookで様々なハウツー動画を出しています。彼女のメインは料理に関する動画なのですが、たまに「How to Shrink Your Jeans at Home(家庭でジーンズのサイズを一回り小さくする方法)」みたいな動画も出しています。他にもガーデニング、カクテル、デザート、DIYといった生活に関する様々な動画を投稿しています。
動画の種類#2:製品デモ
製品のデモンストレーション動画も、自社製品を紹介する上でとても良い方法です。
例えば靴用のクリーナーを販売しているJason Markk(ジェイソン・マーク)では、自社製品を使った靴の汚れの落とし方の動画を作っています。タイトルは「HOW TO CLEAN SUEDE WITH JASON MARKK(ジェイソン・マークを使ってスエード靴の汚れを落とす方法)」です。タイトルにハウツーが入ってますね。
また日本でも人気の鍋ブランドのル・クルーゼは、自社製品を使った料理の作り方動画を公開しています。これらは一見するとハウツー動画にも似ていますが、コンテンツの中でしっかりと自社製品の良さを宣伝しているという特徴があります。
誰でも簡単に画像を作ることができるデジタルツールのCanvaなんかも製品デモ動画を出しています。例えば、「Canvaならフローチャートをこんなに簡単に作ることができますよ」という動画です。他にも「動画の再生速度を変える方法はこうです」とか「ワンクリックで背景をボカせますよ」といった動画を出しています。
単に製品の使い方を教えるだけでなく、実際にどんな風に動くのかを映像で見せることができます。それだけでも視聴者の興味を惹きつけます。どれも10秒から30秒くらいの短尺になっているのも見やすい理由です。ちなみにDropboxやSlackといった他のデジタルツールもFacebook上で同じような動画を出しています。
動画の種類#3:バックステージ
バックステージとは舞台裏という意味です。英語ではBehind the scenesと言いますが、こういったコンテンツもすごく人気があります。映画のDVDに必ずメイキング動画が付いてますよね。表側のきちんと作り込まれたコンテンツも好まれるのですが、舞台裏の撮影風景などのリアルな動画の方もなぜか興味をそそられるんです。
ファッション誌のVOGUEは、モデルたちのバックステージ動画をたくさん出しています。イベントやファッションショー前のメイクや着付けなどの準備を見せています。またその際にインタビューもします。インタビューの中で普段モデルたちがどんなことを考えているのかを垣間見ることができます。
オフショットという言葉があるようにこういった裏側を紹介するコンテンツは人気があります。VOGUEの場合は、YouTubeなどの別のプラットフォームにも動画を再利用しています。
動画の種類#4:エンタメ
エンタメ動画は、ただ単に面白い動画ということです。見ていてつい笑ってしまうような動画です。これに関して英語圏では、デオドラントブランドのOld Spiceが筆頭に上がってきます。
Old Spiceは、動画にたくさんのジョークやネタを入れて笑いを取ってきます。動画の尺が15秒や30秒だったりするので広告用動画をFacebook用に再利用しているのだと思います。
動画の種類#5:UGC (User Generated Contents)
UGCはユーザーがアップロードしたコンテンツを再編集やキュレーションして使わせてもらうものです。一般の人が自社製品を使っているところなどをコンテンツとして配信できます。コンテンツ制作のコストが下がり、ユーザーの生の体験をシェアできることから近年人気となっているコンテンツです。
BarkBoxはペット向けのぬいぐるみ、おもちゃ、おやつを毎月届けてくれるサブスクリプションサービスです。毎月、違うテーマでセレクトされたグッズが箱に入って届きます。夏ならプールパーティーをテーマにしたもの、秋ならハロウィーンといった具合です。
BarkBoxもFacebook上でUser Generated Contentsを使った動画を配信しています。ユーザーが投稿したペットの愛らしい姿をまとめています。Instagram上でユーザーがアップロードした動画をキュレーションして、Facebookにポストしています。
動画の種類#6:お客様の声
最後は製品やサービスのテスティモニアル動画です。実際のお客さんにインタビューをしてあなたの製品やサービスを使った感想を話してもらってください。そのインタビューをカット編集し、見やすい形に編集します。さらに字幕をつけてあげると視聴維持率が伸びるはずです。
掃除機で有名なマキタはFacebookでお客様の声を動画にしています。実際にマキタの製品を使っている園芸業者にマキタ製品の良さを語ってもらっています。インタビューする際には、あらかじめこちら側で質問項目を考えておくと良いでしょう。
その際に代表的な質問は「製品を使って変わったことは何か?」や「製品のどこが気に入っているか?」というものです。ただあまり誘導的な質問をすると、質問される側も固くなってしまうのであくまで自然な姿を撮影するようにしてください。
動画に添えるテキストにも工夫を入れる
せっかく撮影して編集した動画を、しっかり再生してもらうにはどうしたら良いでしょうか?動画と一緒に投稿する文章にも工夫を施してください。具体的には、動画を見ないと気がすまなくなるような文言を添えることです。例えば説明を中途半端に終わらせて、続きを動画で確認してもらうよう促せば視聴者は動画をクリックせずにはいられません。動画のフックを作る要領で、考えてみてください。
Facebookインサイトで動画のパフォーマンスを測定する
当然ですがFacebookへの動画投稿は、それ自体が目的ではありません。狙った効果が出ているのか、きちんと確認しましょう。幸いなことにFacebookは「Facebookインサイト」という強力な分析機能を提供しています。インサイトでは次のようなデータを確認できます。
- 有料動画とオーガニック動画の再生回数
- 10秒以上の動画再生数
- 動画ごとのリーチ数と再生回数
- 平均視聴完了数(動画全体を視聴した動画視聴者の平均数)
Facebookインサイトを使って、これらの数値をトラッキングすることを忘れないでください。
まとめ:データに基づき効果をもたらす動画を制作する
Facebook動画についてのデータから特徴を理解し、それに基づいて魅力的な動画を作成してください。ポイントを押さえたビデオを作成し、適切な方法で宣伝できれば必ず成果へつながるはずです。最後に要点を4つにまとめました。
- FacebookではYouTubeなどの外部サイトへのリンクよりも、直接アップロードした動画が好まれる。
- Facebook動画に必要なのは長さではなく、ストーリーや動画の作り込みの完成度である。ターゲットに合わせたストーリーを用意し、最初の数秒にインパクトを持たせ、音声がオフでも視聴者が惹きつけられるように工夫する。
- Facebook動画のアイデアには6種類が存在し、それぞれ〇〇のやり方(ハウツー)、製品デモ、バックステージ、エンタメ、UGC (User Generated Contents)、お客様の声である。
- Facebookインサイトを使って投稿した動画のパフォーマンスを分析する。
今回は以上です。また次回のレクチャーでお会いしましょう。