今回のレクチャーでは、プロジェクトを小さなプロセスやタスクに細分化し、1枚のシートで一元管理する方法をご紹介します。このレクチャーを読めば、プロジェクトの遅延を防ぎ、目標を達成できるようになります。
大規模なプロジェクトは多数のプロセスからなり、その分たくさんの人手を必要とします。情報を一元化しなければ、思わぬトラブルに見舞われかねません。そこで、チェックリストで進捗状況を俯瞰する術を身につければ、チームワークの安全性を高められるのです。
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なぜチーム作業にチェックリストが必要なのか?
マーケティング活動をチームで行う場合、そのチームの活動を俯瞰的に把握する仕組みが求められます。誰がどのタスクを担い、それがどのような状態にあるのか、常に把握しなければ思わぬトラブルを招きかねないからです。トラブルへの対処は、早ければ早いほどよいといわれます。進捗状況が一目でわかるよう、情報をひとまとめにした資料を作成しましょう。
今回推奨するのは、チェックシートを用いた進捗状況管理です。チェックシートには、準備や告知、ローンチなど、プロジェクトを細かいプロセスにブレイクダウンして記載します。このチェックシートに、各プロセスの担当者と完了状況、進捗状況に関するメモなどを記録しながらプロジェクトを遂行するのです。
新しい商品を計画するときに必要な12のチェック項目
例として、新しいオンラインコースを作るプロジェクトについて考えてみましょう。そのコースを制作し、プロモーションを行って収益へつなげていきます。予算を達成するために、次の計画を立てるとします。
マテリアル#1. ローンチ概要
目標やターゲット、マーケティング方法などを説明する文書です。チーム内で認識を共有するために作成します。ここにはプロジェクトの目的、求められる具体的な成果物、納品期限、予算などの情報を入れます。チームメンバー全員が「最終的にいつまでにどんなものを作るのか?」ということを理解できるようにしてください。
マテリアル#2. ブランド概要
複数のコンテンツを制作するにあたって、ブランドのイメージを統一させるために必要な情報です。同一ブランドでありながらデザインの雰囲気が異なるとちぐはぐな印象を与え、低品質なコンテンツと見なされることがあります。
カラーやフォントの指定といったデザイン的な要素だけでなく、ブランドトーンと言われるブランドが発するメッセージの表現方法なども決めておくとさらに良いです。ブランドトーンとは、明るいとか、遊び心があるとか、知的な雰囲気だとかそういうことです。
マテリアル#3. オプトインページ
オプトインを目的としたページを作ります。集めたトラフィックにいきなり商品を販売しても良いんですが、僕らはファネルを使ってもっと効率的に見込客を教育しています。
そのファネルの入口となるのがオプトインページです。集めたトラフィックはすべて一旦オプトインページに集めます。商品とオプトインページはセットで考えています。
マテリアル#4. レクチャーページ
オンラインコースの教材を閲覧するページです。動画を埋め込むことが多いですが画像、テキストなどの教材を盛り込むこともできます。
過去に僕も動画なしでテキストレクチャーだけのコースを売っていました。オンラインコースのレクチャーは、基本的にはTeachableを使って管理しています。
マテリアル#5. レクチャービデオ
動画を公開するページです。オンラインコースにとっては、商品の本編とも言えるものです。画像やテキストだけのレクチャーページよりこの動画によるレクチャーの方が人気があります。やっぱり動画のほうが同じ時間で多くの情報を得ることが出来ます。撮影したビデオをTeachableのコースの中にアップロードしておきます。
ビデオは、主に3種類です。
顔出しなしのスクリーンキャスト、これは画面操作を解説する際に効果的です。パソコンの画面収録ソフトとマイクを用意するだけなので、撮影もしやすいです。
顔出しのレクチャーもあります。画面操作などよりも概念的なことを話すのに向いています。僕はプロンプターというテキストを読みながらカメラ目線で撮影ができる機材を使っています。他にもある程度キレイな画質にするためにはカメラなどの機材にも工夫が必要です。ただ、お客さんがあなたの顔を見るので顧客とのエンゲージメントを強くすることが出来ます。
3つ目はその中間で、スクリーンキャストに顔を小さく出すパターンです。顔も小さく映るので比較的ラクにエンゲージメントを作りつつ、画面操作などを解説することができます。顔も小さく映るので顔出し部分の画質にこだわる必要がなく、基本的にはパソコンの内蔵カメラや会議用のWebカメラでも十分です。
マテリアル#6. レクチャークイズ
クイズとはつまり小テストですね。コースの途中でクイズを提供することにより、視聴者の集中力や理解力向上を図ります。受けっぱなしの受動的な学習の中に、能動的な学習としての刺激を加えることができるので、コースと受講生の間のエンゲージメントを高めることにつながるわけです。
Teachableにはレクチャーの中でクイズを作る機能があるので、簡単に小テストを実装することができます。またTeachableの中のレポート機能から、どのくらいの受講生が正解したかという正答率なども確認することができます。
マテリアル#7. ワークショップ
ウェビナーのように、ライブ配信による双方向のコミュニケーションを取るコンテンツです。トークとスライドによりセミナーを展開します。これは集客コンテンツに使うことができます。スクリプトとスライドを用意しておき、ライブで収録して、録画版を使うこともできます。
マテリアル#8. 修了証
コースを修了した人に対して修了証を発行します。
コースのコンテンツを完了したという達成感を受講生に感じてもらうことが出来ます。これもTeachableで簡単に実装することができます。Teachableには、コース内のすべてのコンテンツを受講し終わると自動で修了証を発行する機能が付いています。
マテリアル#9. コミュニティグループ
受講生同士が協力するコミュニティの場です。僕らは商品ごとにコミュニティを作っています。
質問もできるし、お知らせを送ることもできる。受講生の満足度を高める素晴らしい仕組みです。仲間と一緒にやっている一体感なども生まれてきます。僕らのコミュニティでは、受講生同士で仲良くなって、助け合う場面もよく見られます。
マテリアル#10. Eメール
僕たちは、新コースの販売予告やキャンペーンなどを行うために主にEメールを使います。日本ではLINE@などが多く使われていますが、英語圏を見てもEメールは今もリストマーケティングのメインツールとして使われています。僕たちが新商品をリリースする際には、必ず予告メールとして商品の内容を教育するメールを3ヶ月ほどに渡って流します。
その中で商品の制作過程の話や、商品の中で扱っている話題を取り上げて、徐々に商品の教育をしていきます。もちろん僕らの商品の宣伝をするだけでは、お客さんは売り込まれたと感じて離れてしまいます。なので、Eメールの中で実際にノウハウの一部を公開したりして、お客さんにとっても有益なコンテンツになるように工夫します。
商品のローンチ前に配る教育用のコンテンツのことをプリローンチコンテンツと呼びます。まさにこういったEメールがプリローンチコンテンツにあたります。このようなEメールの内容を作成することも、新しい商品プロジェクトの一部としてカウントされます。
マテリアル#11. SNSキャンペーン
アカウントを作成し、情報をフォロワーにシェアします。僕たちは基本的にSNSを使いません。その理由は、最小限のリソースで効率よくビジネスを回すために一番効果の高いものだけに限定して集客コンテンツを出しています。主にブログ記事、Udemy、Kindle電子書籍、オーディオブックのAudibleです。
もしSNSを運用されていて、SNSにも告知をしたい場合にはSNS用のコンテンツを作ってください。UdemyとKindleで提供するフォーマットが異なるように、SNSプラットフォームごとに最適なコンテンツタイプというのがあるはずです。Instagramなら画像、TwitterならテキストとURLみたいな感じです。そのプラットフォームの文化に合うようなタイプのコンテンツを作ってください。
マテリアル#12. Google広告
新規顧客の獲得に役立つコンテンツです。僕らはオーガニックの集客の他にも広告を打っています。広告を打つときには、テキストや画像を駆使して作った広告クリエイティブというものが必要です。これは商品やキャンペーンごとに必要です。僕らはメインでYouTube広告をやっているので、用意するのは主に動画になります。
僕らも実際にやってみて分かったことですが、広告は結構シビアなのです。1日3000円とか1万円とか平気でお金が出ていきます。なので、常に真剣勝負です。適当な広告クリエイティブを作ると成果が上がらないまま、あっという間に赤字になってしまいそれ以上広告を打ち続けることができなくなります。だからこそ、広告クリエイティブを作るならそれなりの質のものを作る意識が必要です。それなりにリソースが必要であることを覚悟しておいてください。
このように、大規模なプロジェクトは非常に多くのプロセスから構築されます。それぞれの進捗状況を一元的に管理できるよう、「マーケティング進捗管理シート」にまとめましょう。では、具体的にどうやってプロジェクトを管理シートに落とし込めばよいのでしょうか。管理シートには4つのカラムが用意されています。「プロジェクト/キャンペーンの内容」「担当メンバー名」「完了状況」「進捗メモ」という部分です。
最初に注目するのは、もっとも左側にある「プロジェクト/キャンペーンの内容」というカラムです。「プロジェクトの準備」「ローンチ」などのカテゴリーが書かれています。実施するプロジェクトの各プロセスを、カテゴリーに当てはめて記入していきましょう。上記の例でいえば、「ローンチ概要」は「プロジェクト準備」、「SNSキャンペーン」は「ローンチ」のカテゴリーに入るはずです。カテゴリーは、プロジェクトの内容に合わせて調節しても構いません。
続いて、1つ右側のカラムである「担当メンバー名」には担当者の名前を記入します。各プロセスの負荷を考え、適切な人数を割り当てましょう。完了したプロセスは、「完了状況」カラムにチェックマークを記入します。さらに、プロセスについて何らかの報告事項があれば、「進捗メモ」の欄に記入しましょう。
マーケティングコンテンツを作るための4つのステップ
ここまでは、プロジェクトをプロセスにブレイクダウンしてシートにまとめ、進捗管理を行う方法をご紹介しました。しかし、各プロセスはさらに多くのタスクに分解されます。そこで、次はプロセスを小さなタスクに分解し、それぞれの進捗状況を管理する方法をご紹介します。マーケティング進捗管理シートの「コンテンツリスト」タブを使いましょう。
「コンテンツリスト」タブのB列には「コンテンツ」と書かれたカラムがあり、例として「オプトインページ」が記入されています。さらに、時系列に沿って右に続くカラムを見ると、オプトインページの作成プロセスが「ページに載せるテキストを書く」「SNS用メッセージを書く」などのタスクに分解されて記載されています。このように、各プロセスを細かいタスクにわけ、期日を設定してシートに記入していくのです。
では、プロセスをどのような観点でタスクに分解すればよいのでしょうか。コンテンツ作成は、基本的に以下の4ステップで構築されます。これらのステップを参考にしてプロセスを分解し、シートに記入していきましょう。
ステップ#1:Write
コンテンツの土台となるテキストを書く段階です。広告にせよ、オプトインページにせよ、そこには文章が書かれます。その文章を最初に用意してしまうのです。
ページや広告のデザインを考えながらテキストを執筆することも可能ですが、非効率的です。最初に文章を作ってしまい、あとからデザインを考えたほうがスムーズに作業が進みます。
SNSのキャンペーンやメールについても同じです。配信する文章は先に作っておき、Google Docsなどに保存しておきます。そして、必要になった段階でそれをコピーし、メールやSNSで配信しましょう。
ステップ#2:Design
「Write」のステップで作成したテキストを、ユーザーにとって見やすいよう加工する段階です。テキストに基づいてスライド資料を作成したり、画像を利用した鮮やかなHTMLメールを作ったりします。
ステップ#3:Code
ここまでで用意したコンテンツがきちんと機能するよう、実装を行う段階です。コードを書くこともありますが、必ずしもそうではありません。たとえば、ClickFunnelsで作ったオプトインページとMailChimpを連携させたり、Zapierなどのノーコードツールを使い自動化を組んだりといった作業が該当します。
ステップ#4:Promote
最後に、実際にプロモーションを打ちましょう。メールやSNSで見込客に向けて情報を発信します。この段階に着手して良いのは、コンテンツの準備が完全に整ってからです。「あとはお客様を集めるだけ」と言える段階になってから実施しましょう。
まとめ:チェックシートでプロジェクトの進捗状況を詳細に管理
大規模なプロジェクトは多数のプロセスから構築され、そのプロセスはさらに細かいタスクへブレイクダウンされます。これらを1枚のシートにまとめ、進捗状況や担当者などの情報を一元化すれば、プロジェクトを効率的かつ安全に進められるようになります。
まずは、プロジェクトのプロセスを洗い出して「進捗チェックリスト」に記入するところから始めましょう。そして、各プロセスを「Write」「Design」「Code」「Promote」の4ステップに分解し、タスクを「コンテンツリスト」に記入してください。あとは、進捗に応じてチェックマークやメモを書き込みながらプロジェクトを進めるだけです。今回のご紹介はここまでです。また次回、お会いしましょう。
マーケティング進捗管理シート
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