今回のコースでは、ブランド戦略についてお話しします。よく耳にする言葉ですが、そもそも「ブランド」とは何なのでしょうか?どうすれば自分の製品やサービスに対して、希望通りのブランドイメージを作り出せるのでしょうか?このレクチャーを見れば、ブランドイメージを作るのに迷うことはありません。
このレクチャーでは、ブランド戦略を成功させるために必要なブランドの基礎を理解していきましょう。ブランドを構築する要素は全部で3つあります。今回はそのうち、ブランドを構築するための重要な要素である「フィーリング」について説明していきます。
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ブランドを構築するための3つの要素
初めに、「ブランド」とはいったい何なのかということについて説明しましょう。ブランドとは、特定のロゴやサービス、製品を指す言葉ではありません。
ブランドとは、あなた自身までも包括するような無形のものです。一度作られたブランドは、様々なところでお客さんに向けたメッセージとして使われます。具体的には、ソーシャルメディア上で構築されたイメージから、ターゲットとする顧客、さらにニュースレターやブログにまで含まれることになります。
そして、優れたブランドを構築するためには、以下の3つの要素についてよく考える必要があります。
- フィーリング:顧客がブランドに抱く印象
- プロミス:ブランドが顧客に約束すること
- 関係性:ブランドと顧客との相互作用
今回のレクチャーでは、1つ目の要素「フィーリング」について見てみましょう。
フィーリング:顧客がブランドに抱く印象
「ブランド」の要素の1つは、フィーリングです。これは、あなたの会社の名前が出てきたときに、顧客が抱くイメージのようなものです。
ここでちょっとしたテストをしてみましょう。同じ商品を販売している複数のブランドがあるとします。今回は、以下の3つの家具ブランドを取り上げてみましょう。
- IKEA(イケア)
- ニトリ
- 大塚家具
それぞれのブランドを思い浮かべたときに、思い浮かぶ言葉を3つ選んでください。例えばIKEAの場合、僕は次のような言葉をイメージします。
- 安価
- 北欧
- 組み立て式
ニトリであれば、思い浮かべるのは以下の言葉でしょうか。
- オンラインストア機能が強い
- 豊富な品揃え
- 安くて機能がいい
最後に大塚家具については、こんなイメージを持っているはずです。
- ユニークなデザイン
- クラシック
- 高価
このようにブランドの名前を耳にした時に連想される印象が、そのブランドに対するフィーリングです。
自分のブランドのフィーリングを検討する
さて、次は同じことをあなたのブランドに対しても行ってみましょう。自分のブランドの競合他社を2社選んでください。そして、顧客が自分のブランドを思い浮かべたときに抱いてほしい印象を3つ考えてみましょう。例えば、次のような言葉が挙げられるかもしれません。
- 親しみやすい
- 流行の最先端
- プロフェッショナル
- 知識豊富
このように、ブランドを想像した時に湧き上がるイメージこそが、ブランド構築の第一歩です。あなたのブランドにピッタリ合う言葉をリストアップしてみてください。
アンケート調査で自分のブランドのフィーリングを知る
自分のブランドに対して、現在の顧客がどのようなフィーリングを持っているかを知るには、短いアンケート調査を実施するのがおすすめです。次のツールを使うことで、メールの購読者に簡単にアンケートを行えます。
- Typeform
- Crowd Signal
- SurveyMonkey
- Googleフォーム
僕たちはよくTypeformを使って、色々な顧客調査をやっています。
例えば、商品の購入者への顧客満足度のリサーチなどです。Typeformを使えば、綺麗なアンケートフォームを簡単に作ることができます。
顧客以外の人にもアンケートを実施したい場合は、運営しているソーシャルメディアにアンケートを投稿しても良いですね。アンケートでは、次のような質問をしてみましょう。
- このブランドを3つの言葉で表現してください。
- この商品やサービスを友人に勧めようと思いますか?
アンケートを実施した後は、自分がその回答に満足できるかどうかを自問してみてください。また、回答の分析もしてください。そうすることで、人々があなたのブランドについてすでにどのように考えているかをチェックできます。これが、ブランド戦略を策定する際の出発点となるのです。
ブランドの目的を定義する7つの質問
あなたのブランドについて、現在の認識のベンチマークができたら、次はブランドの定義と目的を考え始めましょう。ブランドの目的とは、簡単に言えば、なぜそのブランドが存在するのか、どのような目的があるのかということです。
ブランドを定義する際には、自分自身にいくつかの質問をする必要があります。ここでは質問を7つに分けて、紹介していきます。
- 自分のブランドはどんな問題を解決するのか?
- 自分の理想の顧客は誰なのか?
- ブランドの競争相手は誰なのか?
- 自分のブランドは顧客に何を感じさせるのか?
- なぜ顧客は自分のブランドを信頼しているのか?
- 自分のブランドが生まれた背景にはどんなストーリーがあるのか?
- 自分のブランドを人に例えると、その人の性格はどんなものか?
これらの質問に答えることで、ブランドに適したロゴの色やフォント、キャッチコピー、狙うべき顧客層などがはっきりと見えてきます。そしてこれらは、ブランド構築のための基本的なマーケティング要素となります。
バリュープロポジションを作る
次は、バリュープロポジションについて考えましょう。バリュープロポジションとは、あなたの製品やサービスがどのようにして顧客の問題を解決したり、状況を改善したりできるのかについて説明するものです。
顧客に対して、競合との差別化ではなく「なぜこのブランドの商品を買うべきなのか」「このサービスを利用する価値やメリットは何なのか」を伝えてください。
ここで重要なのは、バリュープロポジションはスローガンやキャッチフレーズではないということです。ナイキの場合は「Just do it」、ロレアルの場合は「あなたにはその価値があるから」がキャッチフレーズですね。ですが、これらはバリュープロポジションではありません。
バリュープロポジションとは、以下の項目に対する、具体的な答えです。
- あなたの会社はどんな製品やサービスを売っているのか?
- それを使うことで得られる最終的な利益は何ですか?
- その製品やサービスのターゲット顧客は誰ですか?
- あなたの提供する商品のユニークさや競合他社との違いは何ですか?
これらの質問に対するアンサーが、そのままバリュープロポジションとなります。
優れたバリュープロポジションの例:Slack
ここで、Slackという会社のバリュープロポジションの例を見てみましょう。Slackは、とても綺麗にブランドのバリュープロポジションを示しています。
「社内外問わずやり取りの効率を高めましょう。あらゆるコミュニケーションを1か所にまとめ、チャンネルごとに会話の論点を整理して、絵文字で素早く反応すれば、どんな相手とも生産的に連携できます。」
Slackは仕事用のツールであること、その付加価値を明確にしていますね。またメールやチャットというバラバラになりがちなコミュニケーションを1つにまとめて、ここにさえアクセスすれば良いというハブとしての価値も持っていることが分かります。
- どんなサービスを提供している会社なのか?
- それは誰のためのものなのか?
- それを利用することでどんなメリットがあるのか?
バリュープロポジションを説明するための上記の要素を、上手く説明していますね。
まとめ:目的と価値を明確にしてブランドのイメージを構築する
さて、もう一度振り返りましょう。優れたブランド戦略の構築のためには、以下の3つの要素をまとめていく必要がありました。
- フィーリング:顧客がブランドに抱く印象
- プロミス:ブランドが顧客に約束すること
- 関係性:ブランドと顧客との相互作用
今回のレクチャーでは、「フィーリング」について学びましたね。これは、顧客があなたのブランドの名前を聞いた時に思い浮かべるイメージのようなものです。ブランドの目的を定義して、バリュープロポジションを決めることで、ブランドイメージを明確に構築できます。今回は以上です。 それでは、またすぐにお会いしましょう。