今回のレクチャーでは、集客コンテンツに関するアイデアの出し方を紹介します。アイデアをブレインストーミングし、良いアイデアだけを厳選する方法についてお話しします。このレクチャーでは、時間効率を最大化しながら集客コンテンツのアイデアを出す方法を理解することができます。
限られた時間を最大限に活用して、天才的なアイデアを素早く生み出すためには、ちょっとした瞬発力と直感的な判断が必要です。締め切りや達成すべき業績目標などのプレッシャーに常に追われているクリエイターも多いでしょう。チームでブレインストーミングを行う方法にはフレームワークがあります。忙しいクリエイターにとって、今回ご紹介するフレームワークは大きな助けになるはずです。出てきたアイデアの良し悪しを4つの視点からチェックする方法も紹介します。
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フレームワークを使って効率よくアイデア出しをすることの重要性
ブレインストーミングにフレームワークを活用することは非常に重要です。その理由は、あなたの持っている大切な時間を無駄にしないためです。
クリエイティブなアイデアというものは、何もないところから生まれるわけではありません。もちろん、マーケターやコンテンツ制作者には、常にインスピレーションが湧くのを待つ余裕があるとは限りません。
あなたがクリエイターであるのなら、あなたの上司やチームメンバーはあなたから素晴らしいアイデアが出るのを期待しているはずです。そして、あなたはその期待に応える義務があります。常にクリエイティブであり続けることが、あなたが報酬を受け取っている理由だからです。
ブレーンストーミングのプロセスを確立することは、アイデアが枯渇しないための最善で確実な方法です。さらに、フレームワークを用いてブレインストーミングをすることには、次の3つのメリットがあります。
- 視聴者があなたのビジネスに何を求めているかを意識的に考えられる
- 頭の中のクリエイティブな歯車が回り出し、他の方法では思いつかなかったようなアイデアが生まれる
- チームの力を活用することで、一人ではできないようなアイデアを生み出すことができる
なお、ここで紹介する方法は、チームでアイデアを出すことを前提としてお話ししていますが、一人で行う場合にも有効です。
ブレインストーミングの流れを確立せよ
それでは早速、具体的なブレインストーミングの手順について見てみましょう。後ほど個人で行う場合の方法も紹介しますが、まずはチームでの作業の方法を解説します。
ステップ#1:10分で出来るだけ多くのアイデアを書き出す
最初のステップは、思いつく限りのアイデアを書き出すことです。この作業には、ホワイトボードとマーカー、ポストイットなどの壁に貼り付けられるメモ帳が役に立ちます。
まずは10分間のタイマーをセットして、チームメンバー全員にアイデアを書いてもらいます。重要なポイントは、この10分間はお互いの書いたものを見たり、話しかけたりしないことです。
また、この時点では、自分のアイデアが良いものかどうかを気にする必要はありません。このステップでの目標は、ただひたすら自分の考えを頭の中から外に発信することです。何か思いついたら、「書くべきか?」迷うことなく、全て書き出してもらいましょう。
良いアイデアかそうでないかを整理する時間は、この後に設けてあります。今の段階ではアイデアの質を考えることなくひたすら思いつくままに書き出していってください。あとでゆっくり整理していきましょう。
ステップ#2:アイデアをランク付けする2つの方法
次はアイデアを共有して、整理する時間です。このアプローチには2つの方法があります。ただし、どちらの方法を取る場合でも、共通した事前準備が必要です。まずはポストイットに書き出したアイデアを、全て壁に貼り出してください。みんなが見やすい場所であれば、どこにでも構いません。
まずはホワイトボードの左側に、すべてのアイデアを貼ってみてください。貼り終えたら、右側に、1、2、3と書かれた列を作りましょう。これで準備は完了です。それでは、2つのアイデアの整理方法について見てみましょう。
整理方法#1:声に出して投票する
アイデアを評価する1つ目の方法は、チームメンバーにどのアイデアが良いか、声に出して投票してもらうことです。
誰か1人を指名して、全てのアイデアを声に出して読んでもらってください。そして、各アイデアについて、チームメンバー全員に1(弱い)、2(普通)、3(優れている)のポイントを声に出して採点してもらいます。そして、各アイデアの上にスコアを記入していってください。
この方法は、チームメンバーの連携を強めるのに適しています。あるアイデアが良いのか悪いのか、その理由をチームで議論する機会となるからです。
一方で、この方法には他人の意見に左右されやすいというリスクもあります。例えば誰かが「3」と言ったのを聞いて、他のメンバーもそれに従わなければと考えてしまう可能性もあるでしょう。そのため、この方法を採用する場合は、「自分が思った考えを正直に言うこと」が重要だと伝えてください。
整理方法#2:メッセージで個別に投票する
2つ目の方法は、メッセージで個別に投票する方法です。
この方法では、まずは1つ目の方法と同じように、代表者に各アイデアを読み上げてもらいます。そしてその後、チームメンバーにチャットメッセージを使ってスコアを提出するのです。
利用するツールは何でも構いません。Slackもよく使われます。他にもMicrosoft TeamやChatworkを使っても良いでしょう。集計者は、メンバーから集めた情報を、文書にまとめます。具体的には、全員一致で「3」が付けられたアイデアをすべて記録しておきます。
それ以外のアイデアも記録しておいても構いませんが、必須でメモするべきは全員一致の「3」のアイデアです。なお、このステップには、Word、Google Docs、Google Keep、Evernoteなどを活用できます。
集計が終わったら、最後に、チームに「3」のリストを提示します。そして、その中からどれが真に取り組むべき価値のあるアイデアなのかをチームで話し合います。
この手法のメリットは、各アイデアに対するより正直なフィードバックを得られることです。個別でメッセージでスコアをつけるため、他の人の意見に影響を受けずに、自分が本当に思っていることをダイレクトに伝えられます。
ただし、その分チームでディスカッションをする機会は減ってしまいます。チームによっては、コミュニケーションを増やすことが、ベストなアイデアを選別するために有効な場合もあるでしょう。
なお、どちらの方法においても言えることですが、各アイデアを採点する際には、スピードが要求されます。直感を働かせることが大切です。ひとつのアイデアに長く時間をかけて考えすぎないように注意を促してください。
どっちの方法が良いのか?
さて、2つの方法を紹介しましたが、気になるのは「結局、どちらの評価方法を採用すべきか?」ということですよね。
僕たちはこれまで、1と2の両方の方法を使用してきました。その結果から、僕たちのチームには2つ目の方法が適していると感じています。
2つ目の方法のデメリットとして、1つ目の方法に比べて、最終的に残るアイデアはより少なくなってしまうことが挙げられます。しかし同時に、誰から見ても優れたアイデアのみについて検討できるというメリットもあるのです。
もちろん、どちらのアプローチも効果的であることに変わりはありません。例えば、より多くのアイデアを得ることが重要な場合などは、1つ目の方法の方が良いでしょう。チームの目的やメンバーの性格を考えて、適した方法を選んでください。
ステップ#3:ベストアイデアを絞り込む
ここまでのステップで、大量のアイデアを生み出すことができましたね。さて、このプロセスの最終段階は、多くのアイデアの中から最高のものを選ぶことです。
目安として、30~50個のアイデアが出たらブレインストーミングを終了します。その中から、実行するものを絞り込んでいくのです。
例えば「次のブログ記事のアイデア」というテーマでブレインストーミングをしていた場合、最終的な満場一致の「3」のリストを見直し、各アイデアについて次のことを確認します。
- この記事はどんな問題を解決するのか、あるいはどんな質問に答えるのか?
- どのような切り口でこの記事を書くか?
- この記事で使えそうな、手軽で仮説に基づいた見出しは何か?
ここでは、それぞれのアイデアが具体的にどのような記事となるかを明確にイメージします。
強力なアイデアを作るための4つのポイント
アイデアを絞り込むためには、「3」というスコアが付けられた根拠を明確にすることが大切です。素晴らしいアイデアとは、次の4つの条件を満たすものです。ここで、残ったアイデアがこれらの基準を満たしているかチェックしてください。
- ユニークである
- 視聴者の興味とマッチしている
- 専門性が高い
- 読者の期待と専門知識が合致している
1つ目は、「ユニークである」ことです。ここでいう「ユニーク」とは、「今までに作ってこなかったもの」と定義します。もし、以前に扱ったことのあるものと類似しているのであれば、それを別の角度から扱っているものであるべきです。
2つ目は、「視聴者の興味とマッチしている」ことです。コンテンツ・マーケティングを始めたばかりだと、視聴者が一体何に興味を持っているのか、わからないかもしれません。ヒントは、よく顧客や見込み客から質問を受けるトピックについてです。特定の何かについて多くの質問を受けるのであれば、扱うべき良質なトピックと言えるでしょう。
3つ目は、「専門性が高い」ことです。例えばブログなら、記事化するテーマはあなたのビジネス領域に関するものでなければなりません。モーターオイルの交換方法に関する素晴らしい記事ができたとしても、食べ物についてのブログに掲載するには適しませんね。
4つ目は、「読者の期待と専門知識が合致している」ことです。あなたの専門性が、あなたの見込客の属性にマッチしている必要があります。もちろん、専門知識を持っていない場合は、リサーチなどを通じて専門家になることもできます。
あなたが他の誰より詳しく、上手くできることについて扱えば、それは最強のコンテンツとなるでしょう。これは、3つ目のポイントの「専門性が高いこと」という条件にも結びつきます。オーガニック検索トラフィックを増やし、SNS上で注目を集めるブログ記事を書くためには、少なくとも、世の中の90%以上の情報よりもより多くの、そしてより良い情報を提供する必要があります。
競争の激しいニッチな分野であれば、「スカイスクレーパー・テクニック」という方法で戦うこともできます。
これはSEOブログのBacklinko(バックリンコ)で有名なBrian Dean(ブライアン・ディーン)が作った方法です。14日間でトラフィックを110%も増加させた方法として知られています。
このテクニックではまず被リンクが多く集まっている記事を探し、それを上回るコンテンツを作ります。その上で、元々その記事にリンクを貼っていた人たちに自分の新しいコンテンツへのリンクを貼ってもらうことをお願いするものです。この戦略を用いれば、より大きな競合他社がすでに行っていることをベースにすることが可能です。
さて残ったアイデアが、以上の4つの基準を満たすか、再度確認しましょう。そして、最後に「すでに存在するものよりも優れたコンテンツを作ることができるかどうか」を問いかけてください。もしその答えがノーなら、次に問うべきは、「すでに作った他のものとは違うものを作ることができるか 」です。
「他のものとは違うもの」とは、あるトピックに新しい視点を導入することかもしれませんし、情報を追加したり、独自のリサーチから得られた知見を提供したりすることかもしれません。これらの基準をクリアしたアイデアが、あなたのチームが実行すべきアイデアということです。
一人で仕事をしている場合のブレーンストーミングの進め方
ここまで、チームでブレインストーミングする際のフレームワークについて紹介してきました。しかし、冒頭でもお話しした通り、この方法は一人で行う際にも有効です。
もしあなたが一人でブログを書いていたり、一人でマーケティング部門を運営していたりする場合でも、同じプロセスが使えるのです。唯一の違いは、自分でアイデアを出して、自分で自分のアイデアを評価することだけです。
ただし、一人で行う場合には、覚えておくべきいくつかのコツがあります。それは、自分自身を酷評する必要があるということです。第三者の視点がないと、「僕のアイデアはすべて天才的だ!」と言いたくなるかもしれません。しかし、あなたが実行すべきは、数あるアイデアの中でも最高のものだけです。
自身のアイデアを客観的に評価するためには、アイデアを声に出して読んでみることが有効です。紙の上では良く見えても、声に出すとそうでもないように聞こえることがあります。
まとめ:フレームワークを活用して効率的に良質なアイデアを生み出す
今回紹介したプロセスに従うことで、より効率的により素晴らしいアイデアが生まれるようになります。最後に、この方法を最大限に活用するための重要な4つのポイントを紹介しておきましょう。それは、次の4つです。
- 考えすぎずに行動する:アイデアを判断するときは、自分の直感に従いましょう。
- まずは量、次に質:まずは質に拘らずにアイデアを自由に出すことで、今まで思いつかなかったようなアイデアが浮かびます。
- 結果を監視する:このプロセスで生まれたアイデアを実現したら、どれが一番うまくいったか、よく観察してみましょう。そうすることで、あなたのコンテンツにとっての「3」の条件がどのようなものかをより明確にできます。
- アイデアが否定されても落ち込まない:自分が出したアイデアが却下されても、それはあなたに対する評価ではありません。このプロセスでは、たくさんのアイデアを素早く生み出すことが重要です。つまり、当然ながら実現しないアイデアもたくさんあるのです。
これらのポイントを意識することで、よりスムーズに、より効果的なアイデアが数多く生まれてくるでしょう。今回は以上です。また次回、お会いしましょう。