今回のレクチャーでは、プロジェクト管理についての話題を扱います。チームの外部から寄せられる依頼に対し、上手に「NO」と伝える方法をご紹介します。この方法を学ぶことで、他のチームと良好な関係を保ちながら、自分たちのチームが持つリソースを守れるようになります。
日本人は一般的に、断ることに慣れていません。しかし、はっきりと断る意思を伝えなければ、自らの身を守れないことがあります。プロのマネージャーが意識する3つのポイントを学び、自分たちのプロジェクトを成功させましょう。
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チームの時間を尊重すべき理由
マーケティングチームには他のチームからさまざまな依頼が寄せられます。たとえば、人事部は至急採用パンフレットを用意してほしいと頼んでくるかもしれません。また、営業チームはイベントに向けて準備を進めており、その一部をマーケティングチームに委託したいと考えることがあるでしょう。
これらはいずれも正しい発想です。企業の目標を達成するために各チームが奮闘し、時にはチームの垣根を超えて協力する姿勢は、理想的とさえいえるでしょう。
ところが、他のチームから依頼を安請け合いしていると、自分のチームが時間と労力を奪われることになりかねません。結果的に自分たちのプロジェクトが失敗したのでは、元も子もなくなります。
また、チームのリソースを安易に外部へ売り渡すマネージャーに対して、メンバーは不信感を抱くかもしれません。このようなトラブルを回避するには、依頼を受ける際に慎重な態度を取ることが大切です。
日本人はNOを言うことに慣れていない
一般的に、日本人はNOと言うことに慣れていません。これは同時に、NOと言われることに慣れていないことも意味します。日本の文化では、下手に断ってしまうと余計なトラブルを招きかねません。たまたま今回時間がなかっただけでも、「あそこはアテにならない」「手伝う気がないらしい」などと、信頼関係に亀裂を生じさせる可能性があるのです。
そこで必要になるのが、上手に断る方法です。同じ意思を示す場合でも、説明する内容や断った後のフォローなどによって、両者の信頼関係が受ける影響は大幅に左右されます。
プロフェッショナルに断るための3つのポイント
チームの利益を守りつつ、外部との関係も円滑に保つマネージャーは、どのような点に留意して断っているのでしょうか。プロの断り方を身につけることで、あなたのチームも組織内でよりよい立場を保てるようになるでしょう。では、意識すべきポイントを3つご紹介します。
ポイント#1:自分の時間を守る必要性を理解する
依頼を受けると、反射的に手伝いたくなるかもしれません。他者から頼られるのは信頼関係がある証であり、その信頼に応えたいと考えるのは自然なことでしょう。
しかし、プロジェクトを受託する前に一度立ち止まらなければなりません。本当に、自分たちのチームには他のチームを手伝えるほどの余力が残されているのでしょうか。依頼を受けることで、自分たちの首を締めることにはならないでしょうか。
スケジュールを振り返り、余力がないようであれば、断る方向へと思考をシフトする必要があります。チームを管理する責任者である以上、常に自分のチームを守ることを考えなければなりません。
ポイント#2:引き受けない理由は説明しなくていい
断ることが確定したら、次はそのことを依頼者に伝える必要があります。そして、多くの人がこの段階で「どう理由を説明しようか」と頭を悩ませるのではないでしょうか。
しかし、依頼を引き受けない理由を詳細に説明する必要はありません。依頼した側は、あなたが断る理由をそれほど正確には気にしていないからです。重要なのは、自分たちのチームに重要なプロジェクトがある旨を伝えることです。あまり詳細に語ると、双方にとってタイムロスとなります。
ポイント#3:別の人を紹介する
ここまでの2つのポイントで、すでにNOと伝えることには成功しています。しかし、このままでは完結に断っただけです。円滑な関係を構築するには、最後のフォローを行う必要があります。
そこで有効なのが、別の人の紹介です。依頼する側が求めているのは手伝ってくれる誰かであり、必ずしもあなたのチームではありません。他に妥当な人が見つかれば、それで問題は解決するのです。
あなたが知っている人物の中で、適任者と思われる人の連絡先を伝えましょう。依頼者は依頼先探しに行き詰らずに済み、あなたの心遣いに感謝してくれるでしょう。
まとめ:3つのポイントを意識して上手にNOと伝える
今回はプロジェクト管理において、外部からの依頼を上手に断る方法をご紹介しました。チームのリソースを守り、自分たちのプロジェクトが成功するよう、管理者は細心の注意を払わなければなりません。時には勇気をもってNOと伝え、チームを守る必要があるのです。
断る際には、無理に断る理由を説明する必要はありません。それよりも、相手が抱える問題を解決することのほうが重要です。他に引き受けられそうな人を知っているなら、その人の連絡先を伝えましょう。今回のご紹介はここまでです。また次回、お会いしましょう。