今回のレクチャーでは、SNSに投稿するベストなタイミングについてお話しします。苦労して作ったコンテンツを投稿する際になるべく効果の高いタイミングで投稿したい。そう思いますよね?ではいつがベストなタイミングか?その答えは「ターゲットの多くがオンラインになる時間帯」です。今回は、複数のリサーチを元にSNS投稿におけるベストなタイミングを紹介します。
ターゲットがオンラインになる時間帯といっても、これは役に立つ答えではありませんね。あらゆるデータをもとに算出された、各SNSでのベストな投稿時間を紹介します。これを踏まえた投稿を続けることで、より多くのトラフィック、エンゲージメント、そしてフォロワーを獲得できるでしょう。Instagram、Facebook、Twitterなどのプラットフォームごとに解説します。
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なぜ投稿時間にこだわる必要があるのか?
まず最初にどうしてSNSに投稿する際に投稿タイミングを気にする必要があるのでしょうか?それは端的に言ってしまうと、アルゴリズムに乗るために必要だからです。どういうことか説明しましょう。
例えばInstagramの公式ブログでは、アルゴリズムのヒントとなる部分が説明されています。それによると1つの投稿が他人のフィードに登場しやすくなるためには、最近のエンゲージメントが必要になってきます。こうしたアルゴリズムを左右する要素はシグナルと呼ばれます。Instagramでは数千ものシグナルがアルゴリズムの決定に使われています。
多くの人がアクティブな時間帯に投稿すれば、それだけいいね、コメント、シェアまたは投稿を見られた累積時間が増えることになります。これはプラットフォームのアルゴリズムに良い影響を与えます。自分の投稿が他人のフィードに出やすくなるわけです。では、実際にどのような投稿時間が最適なのか?プラットフォームごとに一緒に見ていきましょう。
Instagramのベストな投稿時間
早速、各SNSにおけるベストな投稿タイミングについて紹介します。まずはInstagramです。Instagramは個別の投稿にクリック可能なリンクを貼ることができないため、SNSの中ではトラフィックの牽引役というわけではありません。しかし、プロフィールには1つだけクリック可能なリンクを記載できます。そのため、特定のページ1箇所に絞ってトラフィックを誘導するには便利です。
SNSツールの開発元であるSprout Social社の研究によると、Instagramでの最も効果的な投稿時間帯は次の通りになります。これは彼らが独自に調査したデータから導きだしたものです。
- 月曜日の11時
- 火曜日と水曜日の10時〜13時
- 木曜日と金曜日の10時と11時
逆に日曜日に投稿するのが最もパフォーマンスが悪いと評価されています。もう1つのリサーチを紹介しましょう。SNSの予約管理ツールであるHootsuiteは、こんなリサーチを発表しています。
- 最適な投稿時間は、水曜日の11時
ただし、その他のマーケティング関連企業のリサーチを見てもかなり結果に開きがあります。ただし、各社で共通している部分があります。それは昼休みの時間帯と、午後の時間帯です。具体的に言うと次のようになります。
- ランチタイム前後の平日11時〜13時
- 午後の休憩時間から帰宅時間である平日13時〜18時
逆に意外とエンゲージメントが取れない時間帯は次のようになります。
- 土日は全体的にエンゲージメントが低い
- 平日、土日ともに夜の18時〜22時は昼間ほどエンゲージメントが高くない
これは意外な結果です。平日の日中は人々はオフィスにいるのでエンゲージメントが下がるだろうと考えがちです。ですが、彼らは休憩時間やランチタイムにSNSをチェックしているのです。反対に自由時間が多いであろう夜や土日に関してはエンゲージメントが下がっています。一見すると自由時間が多い時間帯ほどエンゲージメントが上がりそうですが、実際はそうではないことに注意してください。
Facebookのベストな投稿時間
Facebookは相変わらず人気のSNSですが、ここでのマーケティングは以前ほど簡単ではありません。オーガニック・リーチが激減しており、広告投稿が優遇されているからです。しかし、だからといってオーガニック・リーチを諦めるのは早計です。投稿スケジュールを最適化すれば、それが目に留まる確率も高まります。
Hootsuiteの行ったリサーチを見てみましょう。それによるとFacebookに投稿するのに最適な時間帯は、次のとおりです。
- 火曜日と木曜日の午前中の8時〜12時
またマーケティングツールのCoScheduleのリサーチでも同じような結果が出ています。彼らのリサーチによると最適な時間帯の上位5つはすべて午前中でした。
- 9時
- 7時
- 10時
- 8時
- 11時
また曜日については、上から次のような順番でした。
- 金曜日
- 水曜日
- 月曜日
Hootsuiteの調査結果とCoScheduleの調査結果を比べると、時間帯に関しては午前中の時間帯を推奨することに両者は合意しています。ですが、曜日については意見が分かれました。では他にどんなリサーチがあるのか、少し見てみましょう。
- TrackMaven:木曜日の20時が最適であるとしています。
- HubSpot:13時〜16時がベストであると述べています。
- Falcon.io:HubSpotと似ていますが12時〜16時が最もアクションが多いとしています。
- Unmetric:9時〜14時の投稿が効果的としています。
- Maria Halthoff:木〜日曜の9時、13時、15時の投稿を勧めています。
概ね日中の9時〜16時までがベストの投稿タイミングとされています。曜日に関しては明確な曜日が定まらないため、テストを繰り返しながら、ベストなものを探すことをオススメします。
Twitterのベストな投稿時間
Twitterは比較的1人あたりの投稿数の多いSNSです。悪く言えば、質の低いコンテンツが量産されやすいSNSです。そのため、質の高いコンテンツを安定的に配信することができれば、非常に高い効果を得られるでしょう。Sprout SocialがまとめたTwitterに関するリサーチでは、次の最適な時間帯が示されています。
- 平日は6時〜14時
- どの曜日も9時にピークが訪れる
- 日曜日は一番オススメできない
このようにハッキリとした傾向が読み取れます。またこの他にも各所で様々なリサーチが行われていますが、結果がバラけたものが多く存在します。Sprout Socialが推奨する時間帯に加えて17〜18時近辺にもピークが存在するようです。各リサーチ結果を次に示します。
- Buffer:400万以上のツイートの分析によると、深夜2時〜3時のツイートが最もクリックされやすいそうです。
- TrackMaven:木曜日17時がベストであると結論づけています。
- Hubspot:12時〜15時、または17時がベストだとしています。
- Falcon.io:12時が圧倒的優位であり、次点は17時だとしています。
- QuickSprout:週末を避けることを提案しています。CTRは12時〜18時に最も高くなると示しています。
- Raka Creative:火曜〜木曜の7時〜8時、12時、17時〜18時に投稿することを提案しています。
- PostPlanner:木曜日の17時がベストと述べています。
LinkedInのベストな投稿時間
LinkedInはプロフェッショナルなネットワークです。そのためフォロワーにアプローチするには、彼らの仕事の合間がベストタイミングです。
Sprout Socialのリサーチでは、他のSNSよりもLinkedInがハッキリとした傾向を示しています。LinkedInでは、仕事をするプロフェッショナルが中心な媒体だけあって平日の就業時間帯を中心とした時間帯がベストになっています。具体的には次のようになります。
- 平日の7時〜14時
- ピークの時間帯は火曜日の10時〜12時
- 土日は最も推奨できない
LinkedInの場合は、ビジネスマンが使っているだけあってユーザーのアクティブな時間帯が平日に偏っています。土日にガクンと落ちていることがすごく顕著です。よって、平日の就業時間帯に合わせる形で投稿することが推奨されます。参考となるその他の情報源は次の通りです。程度の差こそあれ、同じような傾向を示しています。
- SurePayroll:火〜木曜日に、特に時間を指定せずに投稿することを提案しています。
- HuffPost:火曜日と木曜日を推奨しています。特に火曜日10時〜11時が最適な時間帯としています。
- BizTraffic:7時、12時、17時がベストであるとしています。8時〜17時のスケジュールで仕事をしている人をターゲットにするには理にかなっていますね。
- Post Planner:BizTrafficと同じく8時〜17時勤務の人をターゲットにすべきとしています。
- TruConversion:月曜〜金曜の午前中の投稿を提案しています。
Pinterestのベストな投稿時間
Pinterestは、マーケティングのためのSNSとしては見落とされることも多いです。しかし、あなたのビジネスにおいてビジュアルがコンテンツマーケティング戦略の一部であるなら、確実にPinterestを活用すべきです。
しかしタイミングに関して言えば、投稿時間帯とパフォーマンスの間にほとんど相関関係がありません。もしどうしても時間で迷う場合は、Hubspotの推奨する15時〜21時の時間を狙うようにしましょう。
またHubspotによれば、曜日については金曜日です。逆に日曜日は最も推奨できないとされています。これは、人々がプロジェクトを計画するためにPinterestを使用することが多いことが理由です。ベストな曜日が金曜になっているのは多くの人が、週末前に次の週の計画を立てているためと考えられています。
ベストな時間を探すためのSNS分析ツール4選
ここまでSNS投稿に最適な時間を見てきました。投稿をさらに細かく分析して、より最適な投稿時間帯を探したいというニーズもあるでしょう。そこで自分のSNS投稿を分析するためのツールをいくつか紹介しておきます。SNSプラットフォーム自体が提供する無料のものから、さらに機能の多い有料のサードパーティツールまで見ていきましょう。
ツール#1:公式のアナリティクスツール
まずは、各SNSプラットフォームが提供している公式の分析ツールです。例えばInstagramを例に取ります。Instagramの中では「Instagramインサイト」と呼ばれています。Meta Business SuiteというFacebookと共通のツールからアクセスすることができます。
この機能は無料で使うことができますが、アカウントの種類に制限があります。Instagramをビジネスアカウントにしていることが条件となります。Instagramインサイトでは主に次のような指標を見ることができます。
- リーチしたアカウントの数
- コンテンツに対して何らかのアクションをしたアカウントの数
- アクションしたアカウントのフォロワー、非フォロワーの内訳
- フォロワーの増減
- フォロワーの地域分布
- フォロワーの年齢
- フォロワーがInstagram上でアクティブになる時間帯
- 自分のコンテンツに関する統計
- コンテンツ上でのいいねやコメントなどのアクション
- 出稿した広告についての情報
- 自動またはクリックによる再生数
この中でも今回の話題に関連するものは「フォロワーがInstagram上でアクティブになる時間帯」の項目です。実際に自分のターゲットとなる人たちがどの時間帯にInstagramを見ているのか?それを把握することは、他社のリサーチと合わせて重要になります。
Facebookの公式分析ツールもあります。FacebookはInstagramと同じMeta社が運営しています。FacebookもInstagram同様にMeta Business Suiteからアクセス可能で、無料で使うことができます。
またMeta Business Suite上からは、Facebook投稿の時刻を自動で最適化してくれる機能もあります。これは過去7日間で最も多くのフォロワーがアクティブだった時間帯に合わせていくつかの候補を示してくれるものです。手動で予約投稿することもできますし、最適化された投稿時刻から選んで予約投稿することもできます。
Twitterにも公式で無料のアナリティクス機能が備わっています。スマホでもある程度の数値は確認できますが、デスクトップ版の方が詳細な分析データにアクセスできます。Twitterのアナリティクスで利用できる代表的な指標をお伝えします。
- インプレッション数
- ツイートのクリック数
- リツイートやいいね、返信などのエンゲージメント数
- エンゲージメント率
- ハッシュタグやリンクのクリック数
- プロフィールのクリック数など
Linkedinにも公式のアナリティクス機能が存在します。調べることができる指標はここまで紹介したInstagram、Facebook、Twitterと概ね同じです。ですが、Linkedinには競合他社と比較するための機能が備わっています。これはInstagram、Facebook、Twitterには無い機能です。
Pinterestのアナリティクス機能もInstagram、Facebook、Twitterと同じです。Linkedinのような競合との比較機能はありません。Pinterestのアナリティクスを利用する際にもビジネスアカウントに切り替える必要があります。インプレッション数、エンゲージメント数、拡大表示回数、ピンの保存数、リンククリック数など様々な指標を確認することができます。
ツール#2:Sprout Social
Sprout Socialは先ほどのリサーチ結果のところにも出てきましたが、SNS管理ツールです。複数のSNSアカウントを一括で管理することができます。Twitter、Instagram、Facebook、Linkedin、YouTubeなど多くのSNSプラットフォームに対応しています。日本語化されていないので英語での操作になります。
プラットフォームの公式無料ツールではなく有料ツールを使う利点の1つは、複数のSNSアカウントを一括で管理できる点にあります。複数のSNSプラットフォームを横断して管理できるほか、1つのSNSプラットフォーム上で複数のアカウントを持っている場合にも有効です。
さらに競合他社と自社アカウントの比較など詳しい分析機能があることも有料ツールの利点です。このSprout Socialにも他社との比較ができる機能があります。
またSprout Socialには、ベストな投稿時間帯を最適化してくれる機能があります。ViralPostと呼ばれるこの機能ではSprout Social内に蓄積されたエンゲージメントのデータを元に最適な投稿時間帯を計算しています。有料プランは月249ドル〜と高めですので本格的な運用をしたい場合に検討してください。30日間の無料トライアルでまずは使い勝手を試すこともできます。
ツール#3:Iconosquare
Iconosquare(アイコノスクエア)もSprout Socialと似たツールです。複数のSNSプラットフォームのアカウントを接続して一箇所で管理することができます。ツールは日本語化されておらず、英語での操作になります。
Iconosquareは統計データをグラフィカルに表示できるのが特徴の1つです。IconosquareもSprout Socialと同じように競合他社との比較機能を持っています。エンゲージメントが最大化する投稿時間の最適化機能も付いています。
また1つのコンテンツを複数のプラットフォームに再利用するクロスポスティング機能もあります。価格はこのレクチャーで紹介する他のものよりも安い月49ユーロからとなっています。Iconosquareには14日間の無料トライアル期間が設定されています。
ツール#4:Hootsuite
Hootsuiteは国内でも人気のあるSNSツールです。デフォルトでは英語表示ですが、設定で日本語表示に変更することができます。日本人にも使いやすいツールです。
複数のSNSプラットフォームとの連携はもちろん、予約投稿から分析までを一貫して行うことができます。投稿時間を最適化する機能も付いています。競合他社の分析機能やSNS上でのトレンドを監視するツールも含まれています。価格は月99ドル〜ですが、30日間の無料トライアルが付いています。
まとめ:効果の出る日時に投稿をスケジュールする
ここまで、各SNSにおける効果の出やすい投稿日時についてご紹介してきました。適当に投稿するのではなく、データに裏打ちされた効果の出やすいタイミングで投稿することで、エンゲージメントやトラフィックの増加を狙うことができます。最後に要点を7つにまとめました。
- 多くの人がアクティブになる時間帯に投稿すれば、SNSのアルゴリズムに評価される確率が上がる。
- Instagramの最適な投稿時間は、平日11時〜13時、平日13時〜18時である。
- Facebookの最適な投稿時間は、平日の9時〜16時、とくに月曜日と金曜日の8時〜12時である。
- Twitterの最適な投稿時間は、平日は6時〜14時と17〜18時である。どの曜日も9時にピークが訪れる。
- Linkedinの最適な投稿時間は、平日の7時〜14時である。ピークの時間帯は火曜日の10時〜12時である。土日は最も推奨できない。
- Pinterestは投稿時間によるパフォーマンスに違いは見られない。
- より最適な投稿時間を探すには公式のアナリティクスツール、Sprout Social、Iconosquare、Hootsuiteなどの分析ツールを使用する。
今回はここまでです。また次回、お会いしましょう。