今回のレクチャーではSNSに投稿する文章の書き方を扱います。SNSにはコンテンツが溢れ返っています。Facebookだけで毎月300億以上のポストが共有されており、人々の注目を集めるためには熾烈な競争に勝ち抜く必要があります。そして、そのためには言葉を賢く使う必要があるのです。このレクチャーでは具体的な6つのコピーライティングの公式を紹介し、SNS投稿に載せる文章の書き方をお伝えします。
フォロワーが求めているものに直接語りかけるような文章を作りましょう。成功への鍵は、鋭い文章力にあるのです。具体的にどんな文章を作れば良いのか?英語圏で効果の上がっている6つのコピーライティングテクニックやその他の注意すべきポイントをご紹介しましょう。
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SNSライティングの前に知っておくべき4つのポイント
SNSに投稿すること、それ自体は簡単です。リンクを貼っただけの簡単な投稿なら、数秒で作ることができますね。一方、エンゲージメントを高める文章を作成するのは大変です。それにはスキルと熟考が必要です。複数のSNSで大量の記事を書かなければならない場合、手を抜きたくなるかもしれませんが、その誘惑に負けないでください。
SNSがあなたのビジネスにとって重要なものであるなら、時間とリソースを費やして正しい方法で運用しましょう。そうすれば、結果に違いが出てきます。まずは、SNSを運用するにあたって知っておくべき文章ルールについてお話しします。
ポイント#1:各SNSの利用目的を理解する
各SNSで文章を書き始める前に、そもそも人々がなぜそのSNSを利用しているのかを知ってください。例えばTwitterはニュースメディアのように使っているなどの特徴があります。具体的なプラットフォームごとの特徴は別のレクチャーで解説しているので、参考にしてください。
ポイント#2:文字数制限
すべてのSNSには文字数の制限があります。あるSNSの文字数制限は、あなたが言いたいことを伝えるのに十分すぎるかもしれません。文字数制限の厳しいプラットフォームでは反対に文章を簡潔にせざるを得ない場合もあります。Pinterestは100文字です。Twitterは140文字でInstagramは2,200文字です。Linkedinの投稿は3,000文字です。Facebookでは6万文字だと言われています。
ポイント#3:トーンオブボイスを決める
SNSでブランディングするには、トーンオブボイスを理解することが重要です。トーンオブボイスとは、あなたのブランドがユーザーに抱いてほしいイメージを保つための語り口のことです。
例として、ファッションブランド「GU」のTwitterを見てみましょう。文章の中に修飾記号や絵文字を多用し、砕けた口調で親しみやすい印象です。写真の色合いも明るい色合いを賑やかに使って、ポップな印象を出しています。
続いて、フランスの高級ファッションブランド「Dior」の日本アカウントも見てみましょう。絵文字を使用せず、敬語を使うことでラグジュアリーな雰囲気を出していますね。画像の雰囲気も落ち着いたものを採用しています。
このような口調や投稿の特徴がトーンオブボイスです。一貫したブランドイメージをフォロワーに持ってもらうため、あなたのブランドのトーンオブボイスを確立させてください。
ポイント#4:ハッシュタグの必要性
ハッシュタグの必要性は、SNSによって異なります。Facebook、Linkedln、Pinterestではあまりハッシュタグは使われません。一方、TwitterやInstagramではハッシュタグは有効です。Twitterではシステム上の制限はありませんが公式ヘルプでは2つまでを推奨しています。Instagramでは30個まで付けることができます。内容に合ったタグを使ってみましょう。
SNS投稿の作成に効果的な6つのコピーライティングの公式
公式#1:PASフォーミュラ
PASは英語圏のコピーライターの中では定番とされてきたものです。3つの単語の頭文字を取っています。元々はダン・ケネディが考案したコピーライティングの手法です。日本では神田昌典がPASONAの法則として、拡張させて一気に普及しました。元々のPASは次のようなものです。
- Problem:フォロワーが抱えている問題を提示する
- Agitate:その問題を煽る
- Solve:あなたの製品を解決策として提示する
PのProblemは、Painつまり彼らの抱える痛みと表現する場合もあります。例としては次のようになります。「お腹が痛い。でも今日は絶対に休めないプレゼンがある!この薬をコンビニで買って飲んでください」PASはPASONAよりも短いので文字制限のあるSNSにより適しています。
公式#2:Before and After Bridge
Before and After Bridgeとは、見込み客が商品を使う前の姿と使った後の姿に橋をかけて両者をつなげるという意味です。略してBAB(バブ)と呼ばれます。これはあなたの商品を使うことで、どのようにフォロワーの悩みを解決できるのかを伝えたい際に有効です。
- Before:フォロワーが不満に思っている現実の生活について描写する
- After:あなたの商品を使って不満が改善した後の生活を描写する
- Bridge:具体的にあなたの商品がどのように不満を解決するのかを語ります
フォロワーの不満はパソコン作業のしすぎの肩こりかもしれません。それとも痩せる努力をしているのになかなか痩せられないことかもしれません。子供や親との関係が行き詰まっているのかもしれないし、良い転職先が見つからないのかもしれません。
その不満を改善した後の生活については、改善した先で起こるベネフィットまでを話してください。肩こりの解消であれば、肩こりが解消して晴れやかな気分で過ごせるようになったとか、笑顔が増えたということまで記述します。
BeforeとAfterが書けたら、Bridge部分ではあなたのサービスが実際にどんな風に不満を改善してくれるのかを書きましょう。すべてをつなげると、例えば次のようになります。「販売したオンラインコースを手動で納品するのが面倒?Zapierを使えば、その煩わしさから解放されます。サービス同士を連携させることで1行もコードを書かずに全てのバックオフィス業務を自動化しましょう」
公式#3:AIDAの法則
これも日本では定番というよくよく耳にする方法ですね。
- Attention:画像、タイトル、見出しなどで興味を引く
- Interest:詳細な情報を提供して興味を喚起する
- Desire:フォロワーがあなたの商品を使えば、どれだけ人生が良くなるかを示す
- Action:もっと知りたいという気持ちにさせ、明確なコール・トゥ・アクションを与える
AIDAはよく知られたものではありますが、ここで今一度使い方を簡単におさらいします。Attentionでは、テキスト以外に画像や動画で興味をそそることもできると覚えておいてください。このときには直感的で力強い言葉や表現を使うと一層引き立ちます。ですが、それが使い古された退屈な表現だと効果は落ちます。
Interestでは、Attentionで惹きつけた興味を維持するためにさらなる情報を提示します。Desireではフォロワーの「こうなりたい」という欲望を喚起してください。商品のベネフィットやすでに達成した人の話をしても良いでしょう。テレビ通販で言えば、毎日青汁を飲んで元気になっているおばあちゃんをイメージしてください。
ActionはいわゆるCTA(Call To Action)です。ここではフォロワーに具体的な行動を取ってもらいます。そのためにはさらなる興味を掻き立てたり、時間限定などの緊急性を出す方法があります。また何らかの特典やインセンティブを与えることも有効です。
Apple製品の商品ページはこのAIDAに沿って書かれています。例えばiPadであれば「縛られない。計り知れない。ただ者じゃない。」がAttention、その次に来るバッテリーや画面などのスペックの説明がInterestです。「これ以上のプロ向けノートブックは、ほかにありません。」という言葉でDesireを刺激して、「発表を見る」がActionです。
公式#4:4 C’sフォーミュラ
4Cというと日本では、Consumer value、Costなどの4つの頭文字を取った別のマーケティング用語が有名です。ですが、ここで説明する4 C’s(フォーシーズ)は英語圏で有名なコピーライティングの公式です。
2013年にコピーライターのロバート・W・ブライが著書「The Business-to-Business Marketing Handbook」の中で明かした方法です。英語ではロバートの愛称はボブなので、英語圏ではBob Bly(ボブ・ブライ)という名前で通っています。Bob Blyは「優れたコピーはすべて明快、簡潔、説得力があり、信頼できるもの」であるべきと説いています。4つのCは次の通りです。
- Clear:内容が明快である
- Concise:簡潔である
- Compelling:相手の関心にフォーカスして納得力のある説明をする
- Credible:自分の主張の根拠を示す
たまたま見つけた法人向けSNS運用の広告にこんなものがありました。「SNS特化の漫画制作 – 漫画SNS運用実績100社以上
。100名以上の漫画家を保有する弊社が貴社にあった漫画をご提案し、数字改善をサポート」これも完結明快で、見込み客のSNS運用に関する関心を数字によるデータで支えている例です。
公式#5:4 P’sフォーミュラ
次はCの代わりにPを使った公式です。これは、ビジュアルベースのSNSであるInstagramなど画像を使った投稿に適用できるルールです。
- Promise:フォロワーが欲しているものを提供すると約束する
- Picture:シーンを想像させる(画像やビジュアルを使っても良い)
- Prove:その約束を実現できることを証明する
- Push:クリックして次のステップに進むよう、さりげなく後押しする
ここで言うPictureというのは英語で、生き生きとした描写や鮮明な光景という意味があります。よくコーチングの世界で「ワード、ピクチャー、エモーション」という言葉が使われますが、そのときのピクチャーがまさにこれです。画像を使っても良いですが、テキストであるシーンをイメージさせることも含まれます。
この4 P’sに関しては、EメールマーケティングツールのCampaign Monitorが面白い文章を作っています。4 P’sを使うと文章がどう変わるのかを示してくれています。まずは、4 P’sを適用せずに作った文章がこれです。
Campaign Monitorは、あなたのビジネスのためのエレガントなEメールマーケティングソフトウェアです。24時間365日のサポートと、ドラッグ&ドロップで簡単に美しく反応の良いメールキャンペーンを作成できるメールビルダーは、結果を出す必要のあるあなたのような企業に最適です。今すぐ無料アカウントを作成し、ご確認ください。
悪くありません。では4 P’sを使って書き換えるとどうなるでしょう?
あなたのメールキャンペーンは、人々があなたのウェブサイトをクリックせずにはいられなくなるほど素晴らしいものです。そして、そのクリック数が増えれば、訪問者が増え、売上や収益が増えることになります。実際、ConversionLabがCampaign Monitorを使って一連の自動メールキャンペーンを送ったところ、彼らのビジネスに12万ドルの追加収益をもたらすことができたのです。今すぐ無料アカウントを作成し、あなたのビジネスに追加の収益をもたらすことを始めましょう。
どうでしょうか?売上が増えていく過程を想像させて、ConversionLabという具体的な固有名詞を出しながら語ることで一気に現実味を帯びた感じになっていませんか?
(引用:https://www.campaignmonitor.com/blog/email-marketing/email-copywriting-technique-results/)
公式#6:Open Loops(オープンループ)
最後の公式は「Open Loops」です。これは心理学に根ざしたものです。途中で終わると続きが気になるというツァイガルニク効果です。なんとなく読み始めた漫画の続きが気になって、最後まで読んでしまうことってありますよね。僕たちは結末を得られないと不安を感じ、ラストを知ろう、もっと調べよう、読み続けようと駆り立てられるのです。
かつて英語圏でこんな広告を見たことがあります。「私はGoogle広告に400万ドルつぎ込んだ。その時に私が犯した間違え5つとは?」すごく続きが気になるので、思わずクリックしたのを覚えています。これは海外ドラマで続きが気になる展開で終わらせて、次のエピソードを見させる「クリフハンガー」という技法と同じです。
これをSNSに応用するとしたら、投稿を複数に分散すれば良いんです。1つの投稿ですべてのストーリーを語るのはやめましょう。いくつかの投稿を組み合わせて、サスペンスになるようなギャップを作るのです。あなたの製品やサービスに関連させて、あなたが成功した道のりを、読者に好奇心を抱かせながら少しずつ語ってみてください。
また続きが気になる展開以外にもやり方があります。始めと終わりの情報を与えておいて、その合間を埋めていくんです。ちょうど映画なんかで「2週間前…」みたいな場面が出てくるのも、過去と現在の間に何が起こったのかを謎に包むというオープンループのやり方です。
クロスポストの罠に注意する
マーケティング担当者は、SNS上でよくある落とし穴にはまりがちです。せっかくの成果を台無しにしないようにしましょう。クロスポストとは、あるSNSへ投稿した文章・画像をそのまま他のSNSに転用することです。状況によっては、あるSNSのポストコピーを別のSNSで再利用できるかもしれません。しかし、基本的にはこの方法はお勧めしません。
なぜなら、ご紹介したようにSNSごとに最適な文章は異なるからです。例えば、Facebookで短くパンチの効いた投稿をしても、LinkedInではうまくいかないでしょう。ハッシュタグをたくさんつけた文章はTwitterには向いてますが、Facebookには適しません。
1つのコンテンツを複数のSNSに投稿したい場合、内容は同じでも構いませんが、それぞれのSNSに適した形に微調整してください。面倒かもしれませんがやる価値は十分にあります。
ターゲットの悩みに合わせたコンテンツを作る
マーケティング担当者は、製品に関するいくつかの投稿をするだけで、すぐにコンバージョンを得られると期待してしまうことがあります。しかし、SNSマーケティングはそんなに単純なものではありません。
SNSでコンバージョンを得るには、フォロワーの抱える問題や痛みに合わせて、コンテンツを丁寧にパーソナライズすることが大切です。これができれば彼らからの信頼を勝ち取り、最終的に売上に繋げることができます。
まとめ:コピーライティングを活用して効率的に反応の取れる文章を書く
ここまで、SNSで効果を発揮する文章作成のポイントを紹介してきました。最後に要点を3つにまとめました。
- SNS投稿の文章を書く前に、各プラットフォームの特徴や字数制限、ハッシュタグの必要性を確認する。
- ブランドのイメージを保つためにあらかじめトーンオブボイスを決定する。
- 効果の高い投稿を作るにはここで紹介した6つのコピーライティングテクニックを使用する。
今回は以上です。また次回、お会いしましょう。