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ステップ1:動画のクオリティを左右する4つの要素
レクチャー#11を参照
ステップ2:照明について
動画制作において照明は非常に重要です。料理風景を撮影する場合、必ずしもキッチンでやる必要はありません。Peaceful CuisineのTakashimaさんはキッチンで料理をしていません。主に大きな机で調理をしています。僕たちも同様に大きな机の上で、料理の「準備」を行います。そう、食材をカットしたり、混ぜたり、マリネしたり。必ずしもキッチンで料理する必要はありませんが、明るい場所であることが必須です。もしあなたのお家が明るければラッキーですね。
僕たちの場合、大きな机を大きな窓の横に設置します。日が差し込みやすい、午前7時〜9時と、午後3時〜5時に撮影することが多いですが、子供が起きている場合はできません。あまりにも直射日光が強すぎる場合は、レースをするなりして光量を調節します。
部屋の光量が足りない場合、外で調理するのも一つのアイディアです。僕たちはアルマザンキッチンに感銘を受けて、彼らのように撮影したく、自然の多い宮古島にプチ移住したくらいです。宮古島のお隣、伊良部島には公のBBQ施設がありました。しかも海の前にある。光量も抜群で、素晴らしいフッテージを撮ることに成功しました。
屋内でも屋外でも自然光が最も綺麗です。料理系のYouTuberがアップロードしている動画を確認してください。ほぼみんな自然光を使って撮影しているはずです。とはいえ、事情により自然光を使えない場合もあるでしょう。その場合は蛍光灯を使ってください。机や調理器具の材質によっては光を反射してしまうので、気をつけてください。僕らが使っているライトは、カメラのホットシューに取り付ける1点照明です。Amazonで1万円ほどだったと思います。
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撮影の基本は3点照明ですが、毎度、3つの照明を準備しそれをセッティングするのは大変です。スモールビジネスで重要なのは、サステナブルです。継続できるプランでなければ、採用してはいけません。いくら素晴らしい動画が撮れたとしても、あまりにも労力が大きい場合、継続できず途中で挫折してしまうでしょう。そういう意味で、1点照明は手軽に準備できるのでオススメです。
ステップ3:サムネイルについて
VimeoもYouTubeもSkillShareも、サムネイルのアップロードが許可されています。Udemyの場合はコースを代表するサムネイルを1つだけアップロード できます。インターネットビジネスの世界では4つの壁があると言われています。あなたが視聴者に何か具体的な行動(例えば、商品を購入する)を促す場合、次の4つの壁を超えてもらう必要があります。
- Not Click の壁
- Not Read の壁
- Not Believe の壁
- Not Act の壁
動画の場合は、Not ReadはNot Watchに置き換えて考えます。そもそも世の中のほとんどのコンテンツは、全く消費されていないのです。なぜなら、クリックされていないからです。動画の場合は、サムネイルがしょぼいとクリックすらしてもらえません。Udemyで商品を販売する場合、サムネイルはそれほど重要にはなりません。
でも、コースをさらに販売するために、あなたはYouTubeやVimeoに有料コースの一部をお試しとしてアップロードするかもしれません。そうなれば、やはりクリックしてもらえるように、魅力的なサムネイルを作る必要があります。
優れたサムネイルはどれか?
どれが目に飛び込みますか?サムネイルにもいろんなパターンがあるので(文字を挿入する or しないなど)あなたが「これは良い!」と思ったものを良く研究してください。
僕たちがこれまで撮影したサムネイル
僕らも色々と試行錯誤しながらサムネイルを作っています。画像に文字はいれていません。
サムネイルもやはり自然光がベスト
動画と同じく、写真も自然光が最も綺麗です。完成した料理をお皿に盛って、お皿を窓の近くのテーブルに移動させましょう。直射日光は不要です。窓から入る光や、地面や壁に反射する光で十分です。画角に収まる範囲が綺麗であればそれでいいので、お皿とクロスがのる程度の小さなポータブルテーブルで十分です。
- 玄関の近く
- 大きな窓のそば
- 屋外
色々試してみてください。
ステップ4:サウンドデザインについて
動画制作において、クオリティの8割はサウンドデザインで決まると考えてください。ノイズはもっての他です。ノイズは人を生理的に不快にさせるので、見ていて、聞いていて非常にストレスフルです。そもそもノイズだらけのレクチャーは、Udemyの審査の段階ではじかれます。仮にコースが公開されても、悪いレビューが並ぶはずです。
音声は別撮りする
まず料理の手順をスクリプトにします。このスクリプトはPDFやブログ記事として再利用できるので、保存しておきましょう。スクリプトが出来たら、レコーディングしましょう。僕たちはUSBコンデンサーマイクを使っています。オフィスにいるときはBlue Yeti Proを使います。出先ではBlue Snoball / Blue Raspberry かZoom H4n Proを使います。Zoom H4n Proには専用の三脚か、ゴリラポッドがあると便利です。
音質に関する問題はいつも動画クリエイターを悩ませます。サウンドデザインって本当に難しいんです。同じ部屋で録音しても、壁に向かって喋るのか、壁を背にして喋るのかで音質はかなり変わってきます。部屋の隅っこで話す場合と、部屋の真ん中で話す場合も、やはり音質は変わります。
音を吸収させる
別撮りする音声は、比較的狭い部屋で録音するといいです。オススメはベッドルームです。部屋の材質が硬いと、音を跳ね返してしまいます。反射した音がノイズになってしまうので、可能な限り柔らかい部屋で録音するといいです。カーテンのような柔らかい素材は、音を吸収してくれます。もちろんベッドやブランケットも吸収してくれます。知人のUdemyクリエイターは、部屋の床中に枕と布団を敷き詰めていると言っていました。
音割れは厳禁
音が小さすぎる場合、ソフトウェアで増幅できます。でも音が大きすぎて、音割れした場合は、どれだけ高級なソフトウェアを使っても修復できません。録音する前に必ず入力ボリュームを調節し、音割れしていないか確認しておきましょう。
低音効果を利用する
なぜかわかりませんが、人は低音を心地よいと感じます。低音を上手に拾ってもらうには、マイクと口の距離を限りなく近づける必要があります。マイクと口の距離を近づけることで、ノイズを軽減することも可能です。ただし口とマイクが触れてしまうと、それがノイズになります。またf音やp音はブレス音といって、別の種類のノイズを生み出します。ブレス音はAmazonで販売しているチープなポップフィルターで軽減することが可能です。
USBコンデンサーマイクを使う理由
例えばZoom H4n Proを単独で使うと、SDカードが必要です。録音後に、SDカードをパソコンに挿して、音声を読み込む必要があります。これがひと手間となる。可能な限り少ない手間でファイルをマネジメントするために、USBコンデンサーマイクを使って直接パソコンに録音するといいです。どうせ後で動画を編集するときに、パソコンを使うんですから、全てのデータがパソコン内にあった方が何かと楽ですね。
良い音を録音するコツ
- 音を吸収する素材を部屋に置く
- 静かな部屋で撮影する
- 予算内で買える一番高いマイクを購入する
- USBコンデンサーマイクを使う
- いろんな部屋&いろんな場所&いろんな向きでテストする
ステップ5:動画の長さについて
一つの動画を長くみてもらう理由。リテンションを伸ばす理由。YouTubeであれば、広告収入が伸びます。SkillShareであれば配分される収益が伸びます。SkillShareは、生徒が払った月額料金を一旦プールし、視聴時間に応じて講師に収益を振り分けます。だから見てもらえれば見てもらうほど、プールからもらえる大きくなります。Udemyであれば、視聴時間の長さはアルゴリズムに好影響を与えると言われています。アルゴリズムがどうなっているかは、僕らにはわかりません。でもトップクリエイターが言うには、コースの視聴時間が平均を超えると、Udemyのサイト内での露出が増えて売上が伸びるそうです。
トランジションは多い方がいいのか?
動画制作の本を読むと、カットが細かければ細かいほどリテンションが上がると説明されています。果たしてこれは本当でしょうか?最近、Netflixでレヴァナントという映画を見ました。
レオナルドディカプリオが悲願のアカデミー賞主演男優を受賞した作品です。実は、監督賞と撮影賞も同時に与えられいるんです。ディカプリオの俳優魂にも心打たれましたが、何より撮影テクニックがすごかった。まず、自然光だけで9ヶ月間のオールロケを行ったそうです。しかも-20度、極寒の地で。さらにすごいのが、トランジションの数が非常に少ない。これは先ほどの法則「カットは細かい方がいい」に反します。
もちろんカット編集をしなければ無駄な場面を省けませんから、カットは必要です。無駄を省くことと、トランジションの数が多いことはイコールではありません。レヴァナントは、画面の切り替わりが非常に少なく、1つの繋がった映像のようにも見えます。しかし、僕たちは釘付けになってしまった。リテンションを高めることに成功したわけです。
長回しという技術
カットせずに長い間カメラを回し続ける映画の技法を長回しと言います。長回しをすることで役者の緊張感や映像の臨場感を維持し続けることができます。かつてYouTubeクリエイターの間では「現代人は忙しいから、5分以上の動画は見てもらえない」という噂がありました。2010年前後のことです。でも世界一クリエイティブなYouTuber、Casey Neistatの映像を見てください。
ほとんどの動画の尺が10分を超えています。
ASMR
「現代人は忙しいから動画は短い方がいい」というメインストリームに反して、盛り上がり始めている分野があります。それがASMRです。ASMRは、音声で脳がゾクゾクする感覚を楽しむ動画と解釈されています。ASMRの特徴は、とにかく動画の尺が長いこと。
ASMRを聞いている人たちは、リラックスをするために動画を見ているのです。だから動画の尺が短いと、十分にリラックスできない。
ターゲットは誰か?
あなたはビジネスをやっています。ターゲットが誰かをはっきりさせましょう。万人ウケするようなコンテンツはありません。それを目指してもいけません。あなたのコンテンツを消費する人は、忙しい現代人でしょうか?それともリラックスしたい人でしょうか?料理のレシピだけを知りたい人でしょうか?(そういう人はTastyのInstagramや、Amazonのレシピ本を購入します)
僕がターゲットにしている人のペルソナをあげましょう。
- 忙しくない
- ゆっくりと動画を視聴する時間がある
- ASMRが好き
- リラックスしたい
- エンターテイメントを求めている
無駄の少ない尺の長い動画を作る
長い動画 = 無駄の多い動画ではありません。実際にレヴァナントには一切の無駄がありませんでした。なんたって9ヶ月間の撮影を、2時間の長さに収めているんだから!
僕たちが作る動画は、できるだけ長いほうがいいです。ただし無駄があってはいけません。できるだけ尺を伸ばそうとする努力は必要ですが、無駄に長い動画は不要です。まるで映画のように、無駄なく、かつお客さんのリテンションを保ち続ける動画を作る必要があります。
ステップ6:リテンションを高める3つのコツ
カット編集をして無駄を省きましょう。これは基本中の基本です。
緩急をつける
動画に緩急をつけることで、リテンションを高めることができます。具体的にどうやるか?
- 距離を変える
- 角度を変える
- 再生スピードを変える
- 長回しの技法を取り入れる
ストーリーを用いる
料理動画にストーリーなんてあるものかと思われるかもしれません。それがあるんです。僕らの場合であれば、旅行中のフッテージを織り交ぜることでストーリーに仕立てています。食材に纏わる逸話を紹介するのも面白いでしょう。
三脚を使う
あなたがプロでない限り、カメラを手持ちで撮影することはお勧めできません。ノイズ同様、ブレは人を生理的に不快な気分にします。ブレをなくす手っとり早い方法は、三脚を使うことです。僕たちが使っている三脚は・・・
- オフィス:Manfrotto 055シリーズ
- 旅行中1:SIRUI
- 旅行中2:Manfrotto befree live
Manfrotto 055シリーズはプロユースですが、重いので持ち運びに適しません。重いおかげでフッテージが安定するという利点もありますが。もしあなたが旅人であったり、移動しながら撮影する場合は、SIRUIシリーズがお勧めです。Manfrotto befree liveも1.8kgで、軽いです。
ステップ7:構図とは?
フォトグラファーは構図を気にします。構図だけを紹介する分厚い本があるくらいです。もちろんビデオグラファーも気にする人は気にします。映画監督は例外なく構図に意識を注いでいます。しかし僕らはそれほど気にする必要はありません。構図を気にするくらいなら、ストーリーを気にした方がいいです。構図には基本パターンがあるんですけど、パターンにとらわれてシャッターを押せないくらいなら、自由に撮った方がいいです。
構図とは、被写体がどこに位置するかを決めるものです。
基本的な構図は三分割法
構図を知らない人は、たいてい、被写体をフレームの真ん中に置いてシャッターを切ります。ちなみに真ん中に置くパターンは、日の丸構図と呼ばれています。そう、ただ適当にシャッターを切っていても、探せばなんらかの構図に収まっているのが普通です。
話を戻します。三分割法は、画面を縦横に三分割して、その交点に被写体を置く構図です。そうするとオーディナリーな見た目ではなくなる。ただし全てを三分割法で対処するのも考えものです。覚えていますか?リテンションを高めるコツ。リテンションを高めるには、緩急をつける必要があります。ずっと三分割法だけを使っていると、退屈な絵になってしまいます。
基本は三分割法だけど、たまに別の構図を取り入れてみる。そうすることで、動画全体にリズム感が出てきます。オススメのアングルは次の通り。
三角構図
空間が埋まるので、安定感が出ます。一番強調したい被写体にピントを合わせることで、優しい感じの印象が出ます。
対角線構図
手前から奥へと視線が流れるので、奥行きが出ます。
俯瞰構図
クロスやカトラリーを使って上手に空間を埋めましょう。料理本のようなお洒落な印象になります。
アングルをどうするか?
0度
カメラと被写体の高さを同じにして撮影します。計量カップに液体を注ぐ時や、製品の文字を読んでもらい時に使えます。
30度
被写体を斜め上から撮影します。野菜を切る時によく使います。フライパンで炒め物をする時にも便利なアングルです。
45度
30度からさらに角度を上げて撮影します。鍋やボウルを撮影する時に使います。角度があると空間に広がりが出るので、あなたのやっていることを見せたい時に使えるアングルです。
90度
Tastyのアングルですね。被写体を真上から撮影します。鍋やボウルを撮影する時や、筒状の入れ物に材料をフィルする時に使います。