今回のレクチャーでは、電子書籍の製作を扱います。成功する電子書籍を作るために利用すべきいくつかのツールについて紹介します。これらのツールを正しく使いこなすことで、あなたが取り上げようとしている電子書籍のトピックが良いものかどうかがわかります。
電子書籍を成功させるために必要なこととは何でしょうか?さまざまな意見があると思いますが、何よりも大切なのは、適切なトピックを選ぶことです。それを理解してもらうために、初めに電子書籍の成功法則とも呼べる3つの質問をご紹介します。
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適切なトピック選定のための3つの質問
電子書籍の成功法則を理解するために、あなたはまず、3つの質問に答えなければなりません。
- あなたの電子書籍が扱うトピックについての検索数はどれくらいか?
- どんな人がそのトピックを検索しているか?
- 誰がそれを買っているのか、そしてどのくらいの価格帯なのか?
ここで重要なのは、3つ全ての質問に回答することです。もし、あなたが最初の質問についてしか答えなければ、「このキーワードで検索している人が、月に5万人もいる。それについて書けば、本は必ず売れるし、お金持ちになれるに違いない」と短絡的に考えてしまうかもしれません。
確かに5万人の検索者がいることは、素晴らしいことです。しかし、もう1つ考えるべきことがあります。それは、彼らは何かを検索した結果、それを購入しているかどうかです。購入しているとしたら、何を、どのくらいの価格帯で買っているかについても知っておかなければなりません。
質問を全て行わなかった場合の例
ここで、この3つの質問を最後まで行わなかった時の悪い例を紹介しておきましょう。
90年代後半、コンテンツクリエイターのJim Edwardsはタイピングチュートリアルの電子書籍を作るというアイデアを思いつきました。検索数は多いのに、その本を誰も売っていなかったので、「一攫千金を狙える!」と思いました。「これは、誰も知らないブルーオーシャンに違いない」と思ったのです。
そして彼は、電子書籍の作成に多くの時間を費やしました。PDFの中でタイピングの練習ができる方法を考えました。それは斬新なアイデアでした。ところが、予想していたほどの結果は得られなかったのです。確かにいくつかは売れましたが、この本を作るためにかかった時間を考えれば、他のことに時間を割くべきだったと思いました。
ここでの問題は、人々が探しているのは「タイピングのための電子書籍」ではなく、「実践的なタイピングチュートリアルのソフト」だったということです。タイピングのチュートリアルについて検索している人が実際に購入しているのは、1,500円で販売されているソフトウェアでした。
この経験で、彼はお金を失ったわけではありません。しかし、大きな時間を失いました。「検索数ボリュームが大きい」、これは良いトピックであることを示す要素のひとつです。しかし、「誰かがすでにオンラインで販売しているか?」という質問も大切です。もし、この答えがノーであるならば、それは赤信号です。未開拓の領域など、基本的には存在しないのです。
「その本を購入している人はいるのか、そしてその価格帯は?」、この質問も重要です。なぜなら、すでに何かを買っている人にそれを購入してもらうことは、買ったことがない人にお金を払ってもらうよりも、ずっと簡単だからです。
トピック選定に利用すべき4つのツール
さて、これら3つの質問に答えるためには、何をすべきでしょうか。ここから、どのようなツールを使って何を行うべきかを少しずつ説明していきます。
ツール#1:Google キーワードプランナー
最初に紹介するのは、Googleが提供するキーワード調査ツールの「キーワードプランナー」です。これを使って、電子書籍で扱おうとしているトピックについて調査をします。
キーワードプランナーを使ってチェックすべきポイントは、そのキーワードがどれほど検索されているかを知ることです。ここでの目的は、あくまで大まかな市場を知ることです。そのため、検索数がいくつ以上であれば良い、といった特定の数字はありません。しかし、検索数が極端に少ない場合、それは取り扱うべきトピックではないでしょう。
Googleキーワードプランナーは、Google広告の一部の機能として提供されています。Google広告アカウントは無料で取得可能で、Gmailアカウントを既に持っている場合は、アカウント登録を行うだけで利用できます。
アカウントを取得したら、扱おうとしているキーワードの検索数をチェックしましょう。キーワードプランナーで利用できる機能は、大きく2通りあります。
キーワードプランナーの機能#1:予測
1つ目の機能は、「キーワードプランナーの機能#1:予測」です。これを使うと、特定のキーワードに対して、獲得できるクリック数などを予測できます。
今回、僕は「防災」というキーワードを取り上げたいと思います。このキーワードを打ち込むと、この先1ヶ月の予測として表示回数は6800回、広告の出稿費用は1万4000円くらいになるということがわかりました。つまり、このキーワードはそこそこ人気があるということです。ですがこの結果だけで、トピックの良し悪しを判断することはできません。
キーワードプランナーの機能#2:キーワードを検索
キーワードプランナーのもう1つの機能に、「キーワードを検索」があります。これは、収益化しやすいキーワードを発見してくれる機能です。
ここでは例として、キーワードとして「ヨガ」と入力してみましょう。たくさんの関連キーワードやフレーズが出てくるはずです。続いて、入札価格の範囲、平均月間検索数をざっくりと見てみましょう。検索数は、11万、6万、4万などという数字の表示となります。
また、検索したキーワードの関連キーワードの確認もしてみましょう。関連キーワードの検索数やその入札価格をチェックすることで、より良いキーワードを見つけられるかもしれません。
さて、もしもGoogleキーワードプランナーでの調査の結果、あなたが選んだトピックについての検索数が少なかったり、入札価格が低かったりした場合、それは悪いトピックだということでしょうか?答えは「いいえ」もしくは「場合による」です。
正直に言うと、Googleキーワードプランナーは以前ほど良いツールではなくなっています。なぜかというと、このツールの目的は、データを提供することではなく、広告スペースを売ることだからです。実際のところ、「防災」は人気のあるトピックですが、何らかの理由でGoogleキーワードプランナーではそのような結果が表示されないのです。
Googleキーワードプランナーは、あくまで、あなたのトピックの注目度合いや収益可能性を大雑把に把握するために使います。それでは、そのトピックの良し悪しをより正確に判断するためには、何をすれば良いのでしょうか?次のツールについて見てみましょう。
ツール#2:Google 一般検索
次にやるべきことは、Googleでの一般検索です。いつも使っているGoogleの検索画面で、あなたが電子書籍のトピックとして扱いたいキーワードを検索してみましょう。
Googleの一般検索での調査目的は、そのキーワードに関連するサイトがどれだけあるか、実際にそれについての情報を売っている人はいるのか、そのトピックについてニュースレターを配信している人はいるのか、ブログを書いている人はいるのかといった事項を把握することです。
さて、一般検索での調査においては、気になるサイトをブックマークしておくことが重要です。なぜかというと、そのサイトがあなたの広告ソースになる可能性があるからです。広告が設置されているサイトがあれば、そこで将来あなたの本やコースを宣伝することになるもしれません。
Google一般検索での具体的な調査方法
具体的なGoogle検索での調査方法を見てみましょう。まずはGoogleにアクセスして「防災」と入力してください。候補となる関連キーワードがずらりと並び、12億6000万件もの検索結果が表示されました。それでは、検索結果で表示されたそれぞれのサイトを見ていきましょう。
上の方は広告が出ていますね。法人向けの防災用品・備蓄品の広告ですね。それから、防災の基金のようなものがあります。他には、政府の防災関連情報などが多い印象です。確かに検索結果としては、12億件もあってすごいけれど、一般的な防災情報ならば政府や役所が質の高い情報を無料で出しています。
これは首相官邸のページです。災害に備えた食料・飲料・生活必需品の備蓄のコツや量などの情報が載っています。確かに防災というトピックでは、官公庁などの情報が圧倒的に強いです。ですが、これらの場所が出す情報は、その性質上すごく一般的なものになります。
官公庁なので、具体的な防災グッズの商品名などに言及することは出来ません。それから個別の商品のレビューなどを載せることも出来ません。だからそういった防災グッズに関するもっと具体的なトピックなら良いかもしれません。
では「防災グッズ」で、関連キーワードも見てみましょう。「防災グッズ 必需品」「防災グッズ おすすめ」「防災グッズ 100均」「防災グッズ 本当に必要なもの」「防災グッズ 中身」など、数多くの関連検索結果が表示されます。これらの情報もチェックしましょう。とにかくそのテーマを掘り下げて学ぶのです。そのためにGoogle一般検索を使うのです。
Google一般検索とGoogleキーワードプランナーの結果の量を比較すると、僕はキーワードプランナーをあまり好きになれません。先ほども言いましたが、キーワードプランナーは、かつてはリサーチを支援するためのものでしたが、今ではGoogleの広告スペースを売るためのものになっているからです。両者を見ながら総合的に見るようにしてください。
ツール#3:Googleショッピング
Googleショッピングは、以前ほどではありませんが、まだ有力な調査ツールです。楽天などの大きなオンラインストアを使っても良いでしょう。これを使って、あなたのトピックに関する以下の質問に答えることができます。
- メイントピックで販売されている商品の数は?
- 価格帯は?
- 売り手の数は?
- レビューの数は?
Googleショッピングは、Google検索でショッピングタグをクリックすることで表示できます。
「防災グッズ」で試してみると、非常用バッグやサバイバルきっと、ライフジャケットや寝袋などが提案されますね。圧倒的に物を売っている人が多いですね、人もいることがわかります。
Googleショッピングを使ってわかることは、あなたのトピックに関連する商品について、販売されているものが多ければ多いほど、また、販売されているものが多様であればあるほど、それは良いトピックである可能性が高いということです。もし、あなたのキーワードについて何も販売されていなかったら?その場合は、他のトピックを選ぶことをおすすめします。
ツール#4:Amazonの商品レビュー
次にやるべきことは、Amazonを見ることです。Amazonは、そのトピックで本を書くべきかどうか、人気があるかどうかについて、たくさんの手がかりを与えてくれます。
Amazonをチェックする際に大切なのは、そのトピックに関連する商品がどれだけ売られているかを見ることです。評価の良し悪しに関係なく、その商品のレビューは何件あるのかをチェックします。僕たちが求めているのは、レビューそのものではなく、レビューの量です。悪いレビュー付く商品があっても、それはそのトピックについて人々が苦情を言うほど気にかけていることを示すので、良いサインです。また、悪いレビューは、その欠陥をカバーするには電子書籍に何を盛り込むべきかという指標になります。一方、レビューがないことは必ずしも悪い兆候ではありませんが、良いサインではありません。
Amazonの本のストアで「防災」と検索すると、検索結果は5,000件を超えます。この言葉を引用符で囲んで検索すると、415件の検索結果となります。しかし、この中にはパブリックドメインのコンテンツも含まれます。これは、様々な情報が掲載されていることを示すので、とても良いサインです。
ある商品にたくさんのレビューが付いているのは良いことです。しかし、購入者の全員が100%満足しているわけではないこともわかります。その製品に何が足りないのかを確認するために、悪いレビューも見てください。なぜなら、それらは、あなたの電子書籍を素晴らしいものにするために何をすべきかを教えてくれるからです。実際の顧客からのリアルなフィードバックという、ものすごく価値のある調査を、お金を払わずに行うことができるのです。
あなたがすべきことは、人々がその商品に対して何を感じているかを見ることです。星5つと星1つのレビューは極端です。星5つをつける人は、著者のファンかだいたいの本に5をつける人です。星1つを付ける人も実は同じです。試しに、星1つをつけているレビュアーの詳細を見てみてください。どの商品にも星1つを付けているはずです。こういったレビューを見ても、あまり参考にはなりません。
星4つのレビューを見てみると「問題は、本書にあるような備蓄を実行できるか」とあります。このレビュアーは、書籍の内容自体にはすごく満足しています。ですが、そこに書いてあるノウハウが実行可能かどうか?をリアリティを持った視点で考えています。「このノウハウすごいなぁ」と感心しつつも、「でもこんなの実際問題できるの?」と疑いながら読んでいるわけです。興味深いですね。
Amazonのレビューは、人々が購入した商品のどこが気に入らなかったのかを教えてくれます。それを参考にして、自分の電子書籍を、より良いものにすることができるのです。
ツール#5:Amazonの購入者キーワード
Amazonにはもうひとつ、とてつもない価値のある秘密のツールがあります。それは、購入者キーワードです。これは、Amazonの検索ウィンドウにキーワードを入力した時に出る、キーワード候補の部分です。
人々が何かを実際に購入する際に使うキーワードを、Amazonが教えてくれるとしたらどうでしょう。Amazonが「この業界、この分野では、購入者はこの言葉を使うよ」と教えてくれたらどうでしょう。そう、購入者キーワードとは、まさにそれを教えてくれるものです。
購入者キーワードを知る方法は、Amazonの検索画面でトピックとなるキーワードを検索して、そこで提案される関連ワードをチェックするだけです。
実際にAmazonでお見せしましょう。本のカテゴリを指定して「防災」と入力すると、人々が購入するときに使う言葉を教えてくれます。「防災教育」あ、さっきGoogle検索の関連キーワードで「防災 小学生」というのがあったので、子供に対する防災教育などは意外と需要があるかもしれませんね。
それから「防災グッズ」「防災のサバイバル」「防災訓練」「防災士 過去問」など、数多くのキーワードが表示されますね。
Amazonがこれらの言葉を表示する理由は、その言葉を検索する人たちが、それを実際に購入する確率が最も高いからという以外に考えられません。これは素晴らしいツールです。買い手のキーワードを知り、それらを集めたスプレッドシートに記録しておきましょう。
キーワード分析の具体的な手法
ここまで、トピック選定に使えるツールについて紹介しました。ここからは、具体的なキーワード分析の方法についてお話しましょう。オススメのキーワード分析は流れはこうです。
まずはAmazon検索を使って、Amazonの購入者キーワードを検索してください。次は、そこで得られたキーワードを、Googleキーワードプランナーで検索します。キーワードプランナーでは相対的な人気度を調べますが、ここで数字にこだわる必要はありません。あなたが電子書籍を作ろうとしている内容について、人々が検索に使う上位10~15個のキーワードを選ぶのです。選ばれたキーワードは、Google Docsなどにまとめておきます。そして、その中から自分のテーマに最も近いものを絞り込んでいくのです。
あなたがGoogleキーワードプランナーだけを使って、あるトピックを調べていたとします。繰り返しになりますが、もしそこで検索ボリュームが少ない場合、「これは良いトピックではない、誰もこのことについて話していない」と思うでしょう。しかし、GoogleやAmazon、Googleショッピングなどを複合的にチェックすることで実は需要のあるトピックだと発見することも出来ます。
電子書籍をフロントエンドに大きく稼ぐ
「電子書籍を出版するのは、良いけど電子書籍の売上だけでお金を稼げるの?」と疑問を持つ人もいるかもしれませんね。想像してみてほしいのですが、もしあなたが素晴らしい本を作れたら、そこに大量のお客さんが流れ込んできます。あなたがその本からさらにバックエンドを用意しておけば、そのバックエンドからの利益も巨大になります。
例えば防災の分野であなたがベストセラー本を作ったとしましょう。あなたのファンは、あなたの本を全部買っていきます。そしてあなたは、バックエンドでサバイバル術、防災グッズ販売、または防災体験会などの商品を作って販売するんです。ファンに直接販売しても良いし、自分のサイトに連れてきてアフィリエイトリンクを通じて販売しても良いでしょう。あなたのビジネスは、本で人々を惹きつけ、バックエンドで物理的な商品を販売することで大きな収益を上げることが出来るようになります。
このように、電子書籍をきっかけに何かを作って販売することもできます。販売できる商品を持っていない場合は、商品を販売している人を探してみましょう。彼らはアフィリエイトプログラムを持っているかもしれません。
まとめ:適切なトピック選びで電子書籍を成功させる
ここまで、電子書籍を成功させるための3つの質問と、利用すべきツールについて紹介してきました。売れる電子書籍を作るためには、適切なトピック選びが何よりも重要です。今回紹介したツールを活用して、多くの人々に関心を持たれているかどうか、それに関連する商品がよく売れているかどうかをチェックしましょう。今回は、ここまで。次回のレクチャーを楽しみにしていてください。それでは。