今回のレクチャーでは、電子書籍の執筆方法を紹介します。電子書籍の執筆方法のうちのひとつである「プレゼンテーション」という方法についてです。この方法では、参加者に対してあなたが一方的にプレゼンをすることにより、通常より圧倒的に速いスピードで書籍執筆が可能です。このレクチャーを見れば、キーボードに向かってコツコツ文章を書くのが苦手なあなたでも楽に早く書籍を書くことが出来るようになります。
僕は全部で4つの執筆方法を教えていますが、そのうち「対談ミーティング」と「プレゼンテーション」はよく似ています。対談ミーティングでは人と会話をしながら、原稿のボリュームを膨らませていきます。対談ミーティングのやり方については、別のレクチャーで詳しくお話ししているので、まずはぜひそちらを見てみてください。では、今回の方法であるプレゼンテーションのやり方とポイントを見ていきましょう。
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プレゼンテーションで本の内容を説明する
冒頭でお話しした通り、「プレゼンテーション」の執筆方法は、「ミーティング」の執筆方法とほとんど同じです。簡単に言えば、アウトラインを作成しそれを聴衆に向かって話して、最後に質問を受け付け、そのすべての内容をまとめるのです。
僕は大学の頃から人前に出て話したり、プレゼンしたりするのが大好きでした。TOEICを教えるビジネスをしていたせいもあるかもしれません。今回お教えする「プレゼンテーション」は、僕と同じような人にぴったりな方法です。
オンラインコースの制作経験があったり、セミナーで話した実績があったり、または人に何かを説明する経験がある人には最適です。あっという間に、楽しく電子書籍を作ることができる魔法の方法だと感じる人もいるでしょう。
プレゼン方式で執筆する際の7つの手順
さて、具体的なプレゼンテーション方式での執筆方法について見ていきましょう。ここではプレゼンテーション方式のポイントを7つに分けてご紹介していきます。どれも実践に基づいた大事なアドバイスなので、よく覚えておいてください。
手順#1:参加者を募る
まず、あなたの話を聞いてくれる人たちを集めましょう。彼らにミーティングへの参加を依頼します。もしあなたが何らかのビジネスを運営していたり、会員制サイトのようなものを持っていたり、メルマガ、ポッドキャスト、セミナーをやっていたりする場合は、会員や購読者にこう呼びかけましょう。
「書籍を作るので、興味ある方は力を貸してもらえませんか?次の本の内容について公開収録を行います。この公開収録に参加することで、新しいコンテンツの内容を誰よりも早くしかも無料で知ることができます」という風に参加者にベネフィットを提示して、参加者を募集するんです。
無料にする代わりに逆にミーティングの参加権利を有料にして、チケットとして販売しても面白いと思います。不思議なことに無料のものが有料になった途端に、急に価値を感じられるようになるんです。「石崎さんの話をライブで聞けるなんて、すごいプレミアチケットじゃないか」と思ってもらえるんです。
手順#2:プレゼンテーションの資料を作る
プレゼンテーションをする際に話すことをまとめたスライド資料を作ることをオススメします。「どうせ文字にするんだから、スライド資料を作っても意味ないんじゃないか?」と思うかもしれません。
もしあなたが電子書籍にスライド資料を画像として入れたい場合は、ここできちんと資料を作っておくと良いでしょう。電子書籍は文字が多くなるので、それだけだと退屈だと感じる人もいます。適度に画像を挿入することで付加価値の高い書籍にすることが出来ます。
プレゼンテーション資料を作るとなると、パワーポイントやKeynoteが思い浮かぶと思います。こういったソフトに用意されているテンプレートを使うと、楽にキレイなスライドを作ることが出来ます。ですが、こういうテンプレートは多くの人が使っているので既視感が出ます。
もし、人と違うスライド資料を作りたいのであれば、Canvaがオススメです。Canvaは画像加工サービスですが、今では簡単にプレゼン資料が作れるようになりました。教育用、ビジネス用など色々なテンプレートが充実していて、本当に豊富です。デザイナーでなくても、テンプレートを使うだけで綺麗なスライドを素早く作ることが出来ます。
手順#3:プレゼン用サービスを活用する
本の概要をスライド資料にまとめましたね。そうしたら、次はプレゼンテーションの具体的なやり方について見ていきましょう。
プレゼンには色々なソフトが使えますが、まずはGoTo Webinarのようなオンラインセミナーのサービスを紹介します。GoTo Webinarには録画機能が含まれています。開催日時を設定して配信することが出来ます。
もちろん、利用するプラットフォームはウェビナー以外でも結構です。ちなみに、これとまったく同じことがZoomでも可能です。Zoomであれば既にオンラインミーティングなどで、多くの人が使い方に慣れているので比較的迷うことが少ないはずです。無料版のZoomにも録画機能が付いているので便利です。
また、プレゼンテーションはCamtasiaやScreenFlowといったアプリを使って録画することもできます。ただしパソコンのスペックを要求されるので、長時間録画する場合はZoomなどの録画機能を使う方が良いでしょう。
「ちょっと興味がある方法だけど、お金を払ってまで試したくない」と思う人もいるでしょう。これらのサービスの多くは、無料トライアルを用意しているので、それを利用しましょう。重要なのはどのツールを選ぶかではなく、実行に移すことです。
ちなみにもし「電子書籍のアイデアを聞いてくれるような人がいない」という場合は、1人でプレゼンテーションをしても構いません。ここまで紹介したツールを用意して、実際にウェビナーを配信しているような感覚でプレゼンを行えば良いだけです。
手順#4:バックアップを複数取る
この方法で忘れてはいけないのが、プレゼンテーションの録画のバックアップを取ることです。個人的な経験から言うと、プレゼンテーションを行って、そのデータを失うことほど最悪なことはありません。
僕はよくデジタル一眼を使って顔出し動画の撮影をします。カメラの前で30分とか1時間喋って、終わったと思ったらデータがきちんと撮れていなかったことが何度もあります。カメラの録画開始ボタンが押されてなかったり、途中でバッテリー切れになっていたり、SDカードが容量不足になっていたこともありました。
こういうことが起こると、本当に撮り直す気力も無くなります。特に話している途中で素晴らしい案が浮かんだり、視聴者から良い質問を受けた場合などに、録画ができていないと、台無しになってしまいます。また録画が失敗すると、もう一度、プレゼンテーションをやらなければいけないので、聴衆をもう一度集める必要が出てきます。
僕はいつも念のために他の方法でも録画をしています。例えば、Zoomはほぼ録画の失敗は無いのですが、無料で使えるローカル録画はパソコンのクラッシュが心配です。なので、Zoomを有料版にアップグレードして、クラウド録画の機能を使っています。クラウド録画であればたとえパソコンが止まったとしてもクラウド側にデータが残ってくれます。
さらに利用するツールの録画機能を使った上で、ICレコーダーやスマートフォンで録音したり、CamtasiaやScreenFlowなどのサービスを使って録画したりするとさらに安心です。つまり、4つの場所に保存されているということです。
これが役に立ったことは一度や二度ではありません。かつて、僕がウェビナーの録画ボタンを押すのを忘れてしまったこともありました。その時は、さらに、Camtasiaも上手く立ち上げられていませんでした。しかし、スマートフォンとICレコーダーに録音が残っていたのです。4つの録画のうち2つが失敗しましたが、まだ僕には2つバックアップがあったので助かりました。
手順#5:プレゼンの最後で質問に回答する
あなたのプレゼンが終わった後の最後の時間に、必要であれば観客からの質問タイムを設けます。大切なのは、プレゼンテーションの途中ではなく、あなたが全てを話し終えてから質問してもらうことです。なぜなら、ミーティングの最中に来る質問の大半は、あなたが後で言おうとしていることについてだからです。
意味のない質問に、あなたのスピーチを邪魔される必要はありません。 ミーティングの際にはあなたが司会者であることを改めて強調し、他の参加者をミュートにしてください。参加者にもその旨を伝えておいて勝手にミュートを解除しないようによく話しておきましょう。
あなたが話している間に、他の参加者が咳をしたり、Amazonからの荷物が来たピンポンの音が鳴ったりと、邪魔が入らないようにするのです。これは重要です。実際にミーティングを始める前に、利用予定のプラットフォームを使って相手をミュートにする練習しておきましょう。
あなたの話に途中で邪魔が入ると、あなたの勢いが崩れることにもなります。また質問者も期待した答えを得られないでしょうし、誰も得しません。もし誰かにその場ですぐ答えのわからない質問をされたら、質問してくれたことにお礼を言いプレゼン終了後にできるだけ早く返事をすると伝えましょう。
手順#6:録画から書き起こして編集する
無事にプレゼンテーションを録画できたら、それを文字起こしサービスに送ってテキストにしてもらいましょう。それが戻ってきたら、余分な言葉を省き、本として適切な文章に編集してください。
文字起こしサービスとして安価で、それなりに精度が高いのはAIによる文字起こしサービスです。 Nottaというサービスは、月900円程度で高品質な書き起こしテキストを作ってくれるサービスです。 音声ファイル、動画ファイルの書き起こしだけでなく、BotがZoomに参加者として参加してミーティング内容を自動で書き起こしする機能もあります。
AI書き起こしなので、音源の質が悪い場合には認識率が落ちる点は注意が必要です。それからやはり完璧ではないので、最終的にはあなた自身で手直しが必要になります。ですが、外注さんに依頼するよりも早く書き起こしテキストを手に入れることが可能です。
手順#7:電子書籍にもスライドを掲載する
さらに、編集した文章にあなたがプレゼンに使ったスライド資料を追加しましょう。画像が入ることでさらに良い電子書籍になります。文字だけでは伝わりにくい部分もスライド資料を載せることで、よりわかりやすく説明することができます。
KeynoteやCanvaには、画像として書き出すための機能があります。このような機能を使って、画像データとして書き出せば、録画した動画をスクリーンショットを撮影するよりも綺麗な画像を用意することが出来ます。
まとめ:スライドを活用して本の内容を一気に作る
今回は執筆方法の3つ目である「プレゼンテーション」を紹介しました。書こうと思っている電子書籍のアウトラインについて、スライド資料を作り友人や顧客に聞いてもらいます。そしてその様子を録画して、書き起こしすることで大量の原稿データを一気に作ることが可能です。
人に話しているうちに新たなアイデアが生まれたり、質問を受けることで内容に抜け漏れがなくなったりとメリットは大きいです。人前で話すことが好きな人にはぜひおすすめしたい方法ですね。さて、今回は以上です。また次回のレクチャーでお会いしましょう。