今回は、書き上げた原稿を電子書籍のフォーマットに変換していく方法について紹介します。PDF形式で出版する場合と、Kindleで出版する場合のそれぞれに分けてご説明します。これを見れば、電子書籍の原稿を最終的に出版可能な形式に仕上げていく方法を理解することができます。
ここで大切なことは、読みやすさを重視することと、効率よく体裁を整えていくことです。また、効率良く電子書籍を完成させるためには、書き起こしやフォーマットの変換を外注することも良い選択となります。詳しく見てみましょう。
今回お届けするノウハウはこちら
PDF形式で出版するためのフォーマット
まずは、PDF形式で出版する場合のフォーマットの整え方についてお話しします。今回は、あなたの話した内容を元に本を書く場合のやり方を例にしてご説明します。
原稿の書き起こしを用意する
プレゼンテーションを元に本を作る場合、初めにやることは書き起こしです。プレゼンテーションの内容を、クラウドワークスなどのクラウドソーシングサイトを通じて書き起こしてもらいます。もちろんNottaなどのAIによる書き起こしサービスも十分に使えます。
書き起こしファイルを受け取ったら、中身を開いて順次Google Driveへ貼り付けていきます。元のファイルを直接編集して上書きをするのは避けてください。こうすることで、元の文章はそのまま保存して万が一に備えることが出来ます。
貼り付け先のGoogle Docsで文字数を見てみましょう。Google Docsの文字カウント機能を使いましょう。そうすれば、わざわざ他の場所に貼り付けて文字数を計測する必要もありません。文字カウント機能で瞬時に文字数を数えることができます。
内容を分割してヘッダーを作る
本としてのフォーマットを整えていきましょう。最初にすることは、書き起こしをの章や節に分けることです。内容を章と節に分ける際には、Google Docsの見出し機能を使いましょう。見出し1、見出し2という風に章と節の階層構造を分けることができます。
この作業を行っていくと、左側にどんどん目次ができていくのが分かると思います。これによって、どの部分がどの階層に位置しているのかを確かめながら作業することができます。また最終的にここに表示されている階層構造を元に目次を自動生成することが出来るので、この左側の表示を見ながら分割作業を進めてください。
内容を分割できたら、ヘッダーを設定します。ツールバーからヘッダー/フッターの部分をダブルクリックします。ヘッダーには、書籍のタイトルを入力します。ヘッダーのスタイルは見やすいように、太字・中央揃えが良いでしょう。
原稿を書き言葉に修正する
内容を分割できたら、書き起こし文を書き言葉に変えていきましょう。書き起こし文は話し言葉なので、そのままでは書籍の原稿として使えません。地道な作業ですが、これは必ずやってください。
もしご自身で修正しきれない場合には、ライターさんに外注してやってもらうのが良いでしょう。クラウドワークスやランサーズなどでライターさんを探してみましょう。
フッターに著作権とページ番号を挿入する
次は、フッターに著作権を入れておきます。コピーライトの意味である丸にC(©)のマークを入力し、その後に「Copyright あなたの名前」「出版年」「All Rights Reserved.」と入力してください。僕の場合であれば「© Copyright – Rikiya Ishizaki 2022 – All Rights Reserved.」という感じです。
ページ番号が表示される設定もしておきましょう。Google Docsでは、フッターをダブルクリックしてオプションからページ番号を選んでください。出てきた数字がページ番号です。PDFの場合はページ番号を中央に配置するのが一般的です。すべてのページにヘッダーとフッターが付くと、原稿が本らしくなってきます。
タイトルページを作る
続いて、タイトルページを作ります。タイトルには1ページを丸ごと使いましょう。ドキュメントの一番最初の行で、改ページを挿入します。そうすると白紙のページができるのでそこに、本のタイトルと著者名を入力しましょう。
タイトルは中央に配置してください。文字数によってフォントサイズを調整してキレイに収まるようにしてください。これで、本のタイトルページができました。
免責事項・著者についてのページを作る
タイトルページの後には、免責事項や著者に関するページを置きます。再び改ページを挿入して、新しい白紙のページを用意してください。
僕の場合はこういった部分のタイトルには「見出し1」の書式設定を使って、「免責事項ページ」と入力しています。このページでは、基本的に本に対して一切の責任を負わないことを伝え、自己責任で使用してもらう旨を記載します。
「著者について」のページも入れましょう。自分の経歴や実績を載せてください。この時点で写真を大きく載せても良いでしょう。電子書籍はどうしても文字ばかりになりやすいので、写真を使うことは大きなインパクトになります。
目次を作る
Google Docsでは、目次を楽に作ることができます。ここまで、章と節の階層構造を見出し機能を使って分けてきました。Google Docsがそのデータを使って、目次を作ってくれるのです。しかもページ数まで自動で記入してくれます。
メニューの「挿入」から「目次」を選んでください。そうすると、Google Docs が見出し情報をもとに自動で目次を生成してくれます。
ただしこれは動的なものではないので、文章の編集作業が終了してからやることをお勧めします。
MacのPagesにも同様の目次生成機能があります。こちらは見出しを編集するとそれに応じて目次も自動的に変化してくれるので便利です。
本文のフォーマットを整える
必要なページができあがったら、本文のフォーマットを見やすく整えましょう。各段落の後や本文の行間を調整ください。
そうすることでPDFの画面上でも、A4の紙に印刷したときにも読みやすくなります。また、行間を調節することで本のボリュームを増やすことも可能です。行間は1.0〜1.5の間にしましょう。行間を変えるだけでも、文章の見やすさが一気に変わるはずです。
次にフォントサイズを調整してください。好みの見やすいサイズに変更しましょう。フォントサイズを調整するときには、見出しと本文とのバランスに注意してください。見出しと本文のフォントサイズがあまりに近いと、お互いの違いがわかりにくくなります。
そのほか、写真やイラストを追加するのも良い方法です。もし追加できる画像があるならば、この段階で追加してあげてください。もし画像が背景と同系色の場合には、画像の境界線が分かりにくいはずです。その場合には、画像に黒い枠線をつけてあげると綺麗に見えるようになります。
電子書籍らしい形式への変換作業を外注する
正直に言うと、ここで紹介した作業プロセスは退屈です。僕の哲学では何の作業をするにしても、たまにしかやらない作業ならば、他の人に頼んだほうがいいと考えています。僕自身が時間をかけてやる価値はありません。もっと自分にしか出来ない仕事があるので、他の人でも出来る仕事は極力他人に振るように心がけています。
僕がやるよりも、もっと上手に、もっと簡単に、もっと早く、もっと安くやってくれる人が他にいます。ですから、これらの作業は外注することをおすすめします。
ここでは作り上げた原稿を最終的な電子書籍のフォーマットに変換する作業をしましょう。味気のないデザインではなく、何かデザインを施したいときに使いましょう。
クラウドワークスなどのクラウドソーシングサイトで簡単にこの作業をやってくれる人を見つけることができます。「電子書籍」と検索するとPDF用のフォーマット、Kindle用のフォーマット、ペーパーバック用のフォーマット、それぞれに整えてくれる人を見つけて依頼できます。
さて、PDFで本を出版するためにすべきことは、これだけです。免責事項のページも、目次もあり、きちんと章立てされている本ができあがりました。これらの要素を入れることで「本物の本」にすることができるのです。
Kindleで出版するためのフォーマット
続いては、Kindleで出版するためのフォーマットについて見てみましょう。Kindleでは一般的な電子書籍とは異なる、Amazonに提出するための特別なファイル形式に変換しなければなりません。
外注を前提に考える
Kindleではコーディングという作業が必要です。これは文章をHTMLにするのに似た作業で、原稿をKindleのガイドラインに準拠したePubファイルに変換する作業です。こういった作業をしてくれる人をコーダーと呼んでいます。
こういった作業は複雑なので、自分で作業するのではなく、クラウドワークスなどを利用して代わりに作業してくれる人を雇うべきです。苦労して自分でやる価値はありません。コーダーさんであれば、行間や余白、改ページなどの細かな調整も請け負ってくれます。
もしどうしても自分でやりたいのであれば、Kindle用に本をフォーマットする方法のYouTube動画などを見て学習することをおすすめします。
外注先の探し方
外注先は、クラウドワークスで「Kindle epub」と検索することで簡単に見つけられます。ここで探すのはレビューがそこそこあり、Kindle出版の経験を持っている人たちです。高評価のレビューが50件、100件というような人が良いですね。またプロフィールもチェックして過去にKindle出版に関する作業を担当したことがあるかどうかも確認してください。
良さそうな人を見つけたら、メッセージを送り報酬額を確認しましょう。報酬額は文字数などによって大きく増減します。あらかじめ原稿の文字数を集計しておき、外注さんに伝えられるようにしましょう。
また外注の際に注意したいのは、基本的には編集を依頼する際に、書き起こし文そのままを渡すことはできないということです。最低限、PDFのフォーマットの整え方でお伝えしたような章や節の整理はしておかなければいけません。また、タイトルページや免責事項、著者紹介のページの用意も必要です。
また目次に関しては、別途コーディング作業が必要です。目次にはHTML目次と論理目次という2種類が存在します。それぞれ別々のコーディング作業が必要になります。これについても、コーダーさんにどこまで作業してもらえるかを相談しながら進めてください。
ペーパーバックを同時に出版する
Kinde本を出す場合は、同時にペーパーバックを出版することをおすすめします。これらを同時に出版することは、今や非常に簡単になっています。ペーパーバックとはAmazonが、注文に応じてオンデマンドで印刷をして読者に届けてくれる紙の本です。
出版社を経由した紙の本と違い在庫がなく、注文されてから初めて印刷されます。この仕組を使うと簡単に紙の本を出版することが可能です。ただし、このペーパーバックは、Kindle 書籍が既に出版されている状態でないと出すことが出来ないので、その点だけち注意です。
実際にクラウドワークスで「 Amazon ペーパーバック」という条件で検索してみてください。この作業も数万円で請け負ってくれる人がいます。僕なら電子書籍のフォーマットに加えて、ペーパーバックも両方やってくれる外注さんをオススメします。
複数の外注さんを同時に雇う
自分のスケジュール通りに本を出版するためには、2人の外注さんを同時に雇う方法もおすすめです。「2人雇えばコストが2倍になってしまうじゃないか」と思いますよね。確かにその通りです。
でも2人雇えば、安心感を得られます。僕はよくクラウドワークスを利用していますが、毎回1人の人に頼るわけではありません。その人が途中で仕事を放棄してしまうリスクがあるからです。
2倍のコストを支払うのは高いと感じるかもしれませんが、ここで雇う人たちはビジネスを構築するための大切なツールだと考えてください。ですから、きちんとした人材を用意する必要があります。
1人の優秀な信頼できる人を見つけて、関係が深まった場合には、毎回その人に依頼をすると決めても良いでしょう。しかし僕は過去にある人を雇って、2週間も待たされた挙句、納品物がいい加減なのに修正を嫌がられたことがありました。
確かにクレームを言えばお金は返って来るかもしれませんが、そこで失った時間は返ってきません。だからこそ、初めは2人以上の人を雇うことをおすすめします。僕は常に、依頼できる人を何人か見つけるように意識しています。
このようにして、僕はいつも優秀な人を探しています。複数人を雇えば、自分が設定した納期までにきちんとしたフォーマットができあがります。
まとめ:効率的に電子書籍のフォーマットを整える
ここまで、PDFとKindleそれぞれの形式でのフォーマットの整え方についてご紹介してきました。どちらのタイプで出版するにしても、最も効率的に本の体裁を整えるためのポイントは、積極的に外注をすることです。
ページを章ごとに分割して、タイトルページや免責事項、著者紹介のページを作ったら、あとは綺麗にフォーマットを整える作業をしてくれる人を見つけましょう。今回は以上です。またすぐにお会いしましょう。