今回のレクチャーでは、本のコンテンツの作り方についてご説明します。慎重に電子書籍のキーワードを選定し、本のトピックを選んだら、次はいよいよ執筆作業に入る段階です。さて、一体どのように書き始めれば良いのでしょうか?
初めに言っておきますが、コンテンツ作りは、電子書籍のタイトルと説明文を作ってから行うとスムーズです。タイトルと説明文の作り方については、別のレクチャーで取り上げているので、そちらもチェックしてください。
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ノンフィクション本のコンテンツの作り方
まずは、ノンフィクションの本の書き方について見ていきましょう。ノンフィクションやハウツー系の本は、「質問」がコンテンツ作成の鍵となります。高校の英語の授業で習うように「誰が、何を、どこで、いつ、なぜ、どれくらい、どのように」ということを、ひとつずつ明確にしていけばいいんです。
具体的な方法についてお話ししましょう。ノンフィクション本の最も簡単な書き方は、あなたのトピックについて人々が抱いている質問のトップ50に答えることです。
キーワード調査をしていた時を思い出してみてください。Googleの一般検索では、さまざまなキーワードが「Q&A」という言葉と一緒に検索されているのを目にしたのではないでしょうか。
実際に、「防災 Q&A」と検索してみましょう。次のような検索結果が表示されます。
- 助かるためのQ&A
- はじめての防災グッズ Q&A
- 身近な防災対策について 防災 Q&A
- おしえて!防災Q&A
これらの中で紹介されている質問からアイデアを得て、それらの質問に答える形で本を作ることができます。具体的にどうやっていくのか?一緒に見て行きましょう。
本のコンテンツとなる質問の作り方
それでは実際に、質問を作ってみましょう。ここでは、「家族がいても助かるための20の実践アクションリスト」というテーマで本の内容を作るとします。このテーマに関して、例えば「Q:普段からバッグに入れておきたいものは?」という質問があります。リサーチで見つけた質問は1つの取っ掛かりとして使い、あなたなりの答えを書籍のコンテンツにしていきます。
それに対して、例えばあなたが「ライターをいくつか買って入れておきましょう」という回答を考えたとします。そしてこの回答から、さらにいくつかの質問を作りましょう。ライターは火を起こしますから、「火はどれだけ重要か?」「どうすれば火を起こせるようになるのか?」という質問が浮かぶかもしれません。
このようにして、ひとつのテーマから質問を作り、リストアップします。そして、そのリストを参考にして、さらに質問を作るのです。例えば「家族がいても助かるための20の実践アクションリスト」というテーマなら、1つの質問から派生して次のような質問を考えつくことができるかもしれません。
- マッチやライターなしで食品を加熱するには?
- 加熱不要な食品はどんなものが良いのか?
- なるべく美味しい備蓄食を探す方法は?
- 備蓄食の賞味期限切れを防ぐにはどうするか?
自分が見つけたテーマを、どんどん質問に変換するのです。1つの質問から連想して、10、20、30、40、50個と出来るだけ多くの質問を作り出します。そしてこれらの質問に答える形で文章を書いていくだけで、自然と本のコンテンツが作られます。
インターネット上で、ニュースやフォーラム、Facebook、Twitterなどを見て回り、自分のテーマについて人々が尋ねている質問を見つけるのです。
そして重要なことは、必ずしもあなたがすべての質問の答えを知っている必要はないということです。もし、質問の答えを知らないのであれば、単純に調べればいいだけのことです。そしてあなたの知識を加えてオリジナルの内容にしてください。何よりも大切なのは、質問を考えることだということを覚えておいてください。
ノンフィクションの本を書く上で、最短で最も簡単な道は、質問の巨大なリストを用意して、それに答えることです。これが、圧倒的に速くて簡単な方法なのです。
フィクション本のコンテンツの作り方
フィクションの本を書く場合も、基本的にはノンフィクションの作り方と同じです。ストーリーに関連した質問を用意して、それに答えていくのです。
- 主人公は誰か?
- 彼らの課題は何か?
- 彼らは何を克服しなければならないのか?
- どんな人々が、どんな状況で、どんな事が起きているのか?
- それはどこで起こっているのか?
- なぜ彼らはその問題に直面しているのか?
- 彼らはどのようにして対立を克服するのか?
このような質問が考えられますね。ノンフィクションとまったく同じプロセスです。1つの質問から複数の質問が出てくれば、すべて書き留めておいてください。フィクションに現実のようなリアリティを出すには、細かな設定が必要になります。フィクション本であっても、このような質問に答えながら、ストーリーを語ってください。
筆が進まない時の対処法:とにかく書き始める
無事に質問を作り終えても、「なかなか文章を書き始められない」という状態に陥ることもあるでしょう。「いざ書こうとしても、今日は全然ノらないな。散歩でも行ってモチベーション上げようかな」と考えてしまうかもしれません。
僕の答えとしては、「散歩に行かずに今すぐに、パソコンに向かってただ書き始める」それだけです。とにかくタイプし始める、もしくはペンを動かしてみるのです。
ここには人間に備わった、作業興奮という心理的な作用が関係しています。これは最初は乗り気でなかったとしても、何かの作業をやり始めてしばらくすると、その作業へのモチベーションが湧いてくる。という現象です。僕もこの仕組みを生活の中に取り入れています。
仕事も趣味もあらかじめ1週間の時間割を作り、決まった時間になったらそれをやるだけ。雨が降ってても雪の日でも、行くと決めていればジムに行ってとりあえず筋トレするし、子どもたちを習い事に連れていくだけ。面倒なのはやる前だけ。「やり始めてしまえば、案外楽しかった」みたいな経験、誰もがしてるんじゃないかと思うんです。
書きやすそうだと感じる章から書き始めて構いません。最後の章から書いても良いし、途中から始めても良いのです。取り組む章を決めたら、書く前に内容をブレインストーミングをしてみましょう。「これについて話す必要があるな」「あれを指摘しなければならない」「ここには参考資料や図表を入れる必要がある」など、頭に思い浮かぶことを、ひたすら書き出すのです。
編集者が付いている場合には、この段階では相談するのを避けた方が無難です。第三者である編集者は、未完成のあなたのアイデアを見て「それはちょっと変ですよ」とか「それだと売れなくなります」みたいにあなたのクリエイティビティを阻害してしまうような意見が飛んでくるからです。それじゃあ余りにも勿体ない。編集者に見せるのは、ある程度執筆が進んでからでも良いでしょう。
まとめ:テーマに関する質問に答えて書き上げる
ノンフィクションであれ、フィクションであれ、最も効率的で簡単な本の書き方は同じです。テーマに関する質問を集めて、ただそれに答えていくのです。ひとつのテーマに関する疑問を細分化したり、別の質問へと次々に連想することで膨大な量の質問を作ることができます。
質問を用意しても、筆が進まない時もあるかもしれません。そのような場合は、書きやすそうと感じる部分からで良いので、とにかく書き始めてみてください。なにも、冒頭から書き始める必要はないのです。好きな場所から取り組んでみましょう。書き始めるうちに作業興奮の原理が働いて、ノッてくるに違いありません。今回のレクチャーは以上です。またすぐに、お会いしましょう。