今回のレクチャーでは、電子書籍を作る際の画像の扱い方についてお話しします。写真や図表、挿絵などをどのように入れるか?という疑問にお答えします。電子書籍において画像は、とても重要な役割を果たします。このレクチャーを見れば、電子書籍に入れる画像の役割とその探し方について、深い理解が得られるはずです。
電子書籍に画像を入れるかどうかを考えたとき、様々な疑問が浮かぶはずです。なぜ電子書籍に画像を入れる必要があるのか?どこに画像を入れるのか?どんな画像を入れれば良いのか?画像の著作権はどうなっているのか?今回のレクチャーでは、 これらの疑問を一気に解消していきます。
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本文中の画像の重要性
電子書籍において画像は重要です。しかしその画像についてのレクチャーは、どこを探しても見当たりません。文章であれば記事の書き方、文章の書き方といった講座が沢山存在します。ですが、電子書籍の画像についてはヒントを得られる場所が限られています。
紙の本の時代には、書籍の中の画像を入れるというのはインク代がかさむものでした。つまりダイレクトに書籍のコストを押し上げてしまうものだったのです。そのため画像を入れるとしても、シンプルな線で構成された図表や枚数を限定した画像のみにとどまっていました。色はカラーではなくモノクロが基本でした。
ですが、電子書籍ではカラーの写真を入れてもインクのコストが掛かることはありません。むしろ、この動画全盛の現代において文字以外のビジュアルイメージがあることは、有利に働きます。だから書籍に画像を入れるのを躊躇しないでください。
詳しくは後で説明しますが、画像の役割は3つです。文字では伝わらないイメージを伝えること。 読者が飽きるのを防ぎリテンションを保つこと。そしてあなたの顔やブランドイメージを売り込むことです。
画像は低解像度・モノクロを前提に選択する
さていよいよ画像についてもう少し詳しく見ていきましょう。まず最初に注意事項があります。 画像を挿入する場合は画質が下がったり、モノクロになったりすることを前提に考えてほしいということです。
電子書籍内の画像に関しては、Kindleでは少し配慮が必要です。Kindle本は、基本的にHTMLファイルで構成されます。つまり、Kindleでの画像の解析度は非常に低いのです。
カラーの高解像度の画像を入れても、圧縮の過程で少しザラザラします。ですから、高解像度のグラフィックを使わないで、極めてシンプルなグラフィックを使ってください。
またカラーで複雑な画像も注意が必要です。Kindleはあらゆる端末で見ることができます。スマホとパソコンであれば、画像をカラーで表示することができます。ですが、Kindle Paperwhiteなどの専用端末ではモノクロ表示になります。モノクロ表示が基本となるKindle専用端末で見たときにも、判別しやすいものを入れると良いでしょう。
また、画像は思ったよりも小さく表示されることも頭に入れておいてください。一番良くないのがカラー表示を前提とした、とても精細でごちゃごちゃとした画像です。
精緻なタッチで描いた芸術作品をイメージしてください。それをスマホで撮影して、古い白黒プリンターで印刷したとします。そうすると結構劣化しますよね。せっかく精緻な画像を入れても、そのくらい劣化するかもしれないという前提で考えてください。
画像の著作権をクリアするための3つのポイント
では、次に電子書籍の本文で利用する画像をどこで見つけるかについてお話しします。本で画像を使う場合には、必ずその画像を使用する権利を持っているかを確認してください。利用している写真がどこから来たのかを、必ず把握しておく必要があります。
ポイント#1:無断で画像を使用するリスクを理解する
写真の出所がわかっている場合は安心して利用できます。避けたいのは、Google画像検索で見つけた画像をそのまま使うことです。これらは適切なライセンスを取得していないため、不安が残ります。
本を出版したのはいいけれど、何ヶ月かして著作者から「ライセンスを取得していない画像を無断で使用しています。30万円の支払い義務があります」という停止命令の手紙を受け取ることになる可能性があります。
Google画像検索は、どんな画像があるのか?というイメージを確かめる場所にとどめておいてください。例えばGoogle画像検索で「ダイエット」と検索したら、どんな画像が一般的に出てくるかな?というイメージが掴めます。そのイメージを元に素材サイトを検索し、権利をクリアした画像を探し出すと良いでしょう。
ですから利用する画像については、全ての出典を持っていることを知っておかなければなりません。画像を使う場合は、無料で完全に著作権がフリーになっている画像か、有料で使用権利を購入できるライセンス付きの画像を使ってください。
世の中には画像使用の警備員がいると思ってください。ある企業が弁護士を雇い、自分たちが権利を持っている膨大な数の画像が使われていないかどうかを調べているのです。特に英語圏では、こういった問題が厳密に処理されています。
彼らは知らず知らずのうちに、あるいは意図的にこれらの画像を使用している人々に不快な料金請求のメールを送るプロセスを自動化しています。わざとやったかどうかは関係ありません。あなたが権利を持たずに画像を使っていた場合、彼らが要求する金額を支払わなければならないのです。
ポイント#2:著作権フリーの画像を使う
画像を購入できるサイトには、「Adobe Stock」「shutterstock」「istockphoto」「PIXTA(ピクスタ)」などがあります。これらのサイトでは、さまざまな価格でさまざまな画像を購入できます。
ただし料金プランや使える枚数などはサイトによって、まちまちです。だいたい3000円〜5000円くらいが相場です。また有料だからと無制限に使用できるとは限らないので、必ず各サイトごとの条件をよく確認するようにしてください。
無料画像については、「Pixabay(ピクサベイ)」「FreeImages」「Pexels.com(ペクセルズ)」などがあります。他にも「Unsplash」「写真AC」「Stock Photo Secrets」などと本当にたくさんあります。
複数のサイトがあって、探すのが大変な場合は複数のサイトを横断的に検索することのできるサイトを使ってください。それが「O-DAN(オーダン)」と「タダピク」です。僕はどちらかという海外っぽい印象のある「O-DAN」が好みです。
例えば、O-DANで「海」と入力すると複数のサイトから海の画像を集めて表示してくれます。しかもデフォルトで商用利用が可能な画像だけを表示してくれます。PixabayやUnsplashなどすごくクオリティの高いサイトの画像を横断検索できるので、とても重宝しています。
本に挿入する画像は、このような安心できるサイトから持ってきましょう。Googleの画像検索から取得するのは、絶対にやめましょう。「ダイエットに関連する画像は何か?」とGoogleに聞き、その答えをPixabayに入力するのです。つまり、Pixabayで「お腹」と検索するということです。
ポイント#3:見つからない画像はCanvaで作る
画像の横断検索などを使用しても、どうしてもイメージの画像が見つからないという場合が出てくるはずです。 実際に僕たちもそういったケースに何度も遭遇しています。 特に写真ではなくイラストを入れたいという時に多いです。 イラストはなかなか無料で良いものがないので、国内では「いらすとや」などの画像がそれこそ役所の掲示ポスターにまで使われています。
イメージに合った画像が見つからない、または他人のイラストとかぶるのが嫌だという場合は、Canva(カンバ)で自作することをオススメします。正直僕たちは、画像の場合もイラストの場合も両方ともCanvaを使うようになってしまいました。それだけCanvaは便利なのです。
例えば、イラストを使いたいならば「素材」という部分に検索キーワードを入れるだけで、簡単にハイクオリティなイラストを探すことができます。Canvaの有料プランにすればより質の高いイラストや画像が使えますが、無料でも十分なクオリティです。
気に入ったイラストがあれば、ドラッグ・アンド・ドロップでキャンバスの中に入れることが出来ますし、カラーや大きさを調整するのも簡単です。また複数の画像を1枚に集めて、オリジナルの挿絵を作ることも出来ます。
Canvaではイラストの他にも、ストックフォトのような写真も見つけることができます。1回の検索で、イラストと画像の両方を同時に探すこともできるので、本当に便利です。ワンクリックで背景を切り抜いてくれる有料の「背景リムーバー」などもあり、Photoshopキラーなウェブアプリです。
もし使ったことがなければ無料で試すことができます。必ず一度は試してみることをお勧めします。 有料プランでも、1200円〜1500円ほどです。有料の写真を購入したと考えれば圧倒的に低コストで使うことが出来ます。
書籍中で画像が効果を発揮する3つの箇所
電子書籍の本文内のグラフィックは、いつ、どこで、どのように使うべきかということについてお話しします。ひとことで言えば、感覚を伝える際や要点を説明する際に使います。また文字だけで退屈しそうな部分に繋ぎとして入れると良いでしょう。著者としてのあなたや、あなたのビジネスを紹介するのにも役に立ちます。
挿入箇所#1:イメージを伝える部分
読者に恐怖を感じてもらいたいのであれば、怖がっている人の画像を見せればいいのです。何かを探しているというシーンでは、虫眼鏡を持った人やシャーロック・ホームズを使うといいでしょう。
僕らの場合もその文書に合わせた画像やイラストを使っています。サイトやツールの話をしている時には、パソコンのスクリーンショットも多く入れています。このように文字だけでなく、画像があった方が明確にイメージが伝わる場合には画像を入れることをオススメします。
使う画像には明確な意味があり、本文の内容や要点を補強するものでなければなりません。「なんか綺麗な画像だし、それがが好きだから使う」というのではいけません。また、どこにでもあるようなありふれた画像やイラストでは逆にショボい感じになってしまうので注意です。
本のデザインには「何をしなければならない」という厳密なルールはありませんが、見た目が素晴らしく、ターゲット層に「これは本当にかっこいい」と思ってもらう必要があります。意味をきちんと伝えることができて、なおかつクールな画像が用意できるのがベストです。
挿入箇所#2:リテンションを保つための場所
文字が多くなるとどうしても退屈になってしまいます。特に現代は動画やスマホなどによって、人間が集中できる時間がどんどん短くなっていると言われています。 画像を入れることで集中力を持続させる効果が期待できます。つまり読者の離脱を防止するリテンション対策です。
具体的には文字ばかりになってしまう部分にも、何かしら関連する画像を入れると良いでしょう。 僕らの場合は1つの節に最低でも3枚〜4枚の画像を必ず入れることをルールにしています。
注意してほしいのは、 必ず本文に関係した画像を入れることです。マーケティングの話をしているのに、関係ないダイエットの写真とか、自分の好きな女優の写真とかを入れていたら、リテンションどころではないですよね。
リテンション対策だからといって、どんな写真でも良いという訳ではありません。そういうことをやってしまうと、ネガティブキャンペーンになってしまいます。必ず文章と連動した、できるだけ目を引くような画像を用意してください。
挿入箇所#3:あなたやブランドを売り込む場所
僕たちが電子書籍を出版する理由は、自分たちのビジネスを宣伝する意味合いも含んでいます。電子書籍単体だけではなく、その後ろにあるビジネス全体の事も考えなければなりません。あなた自身や、ブランドや商品に関連する画像も積極的に入れるようにしてください。
僕らの場合であれば、話の流れで自社のサービスや商品を引き合いに出すことがあります。僕らの商品では、こういった取り組みをしています。といった内容です。そういう時に、自社商品の画像を見せたり、商品の中身を一部見せたりしています。そうやって、商品の存在を書籍の中に散りばめていくこともできます。
また著者に関する紹介ページや、まえがき、あとがきなどにあなた自身の写真を載せるのも良いでしょう。僕は本のあとがきに自分の写真を入れています。こうすることで、この本の著者はこんな人物ですよ。というイメージをダイレクトに読者に伝えることができます。
あなたの顔を知らない読者のために、あなたの顔を売り込むのです。Kindle Unlimitedなどで、ふらっと読みに来てくれた読者にもあなたのイメージを売り込むことができます。著者の顔が見えるのと見えないのでは、親近感が圧倒的に異なることは説明しなくても理解して頂けるはずです。
まとめ:画像を効果的に使い完成度を高める
さて、電子書籍の文中に挿入する画像の重要性についてご理解いただけたでしょうか。繰り返しますが、画像は本のコンテンツと同じくらい大切です。読者は表紙のデザインもそうですが、レイアウトやフォーマットなども含めて「本物の本」かどうかを判断します。特に覚えておいていただきたいのは、画像やイラストを探す場合にも、自分で作る場合にもCanvaが優れている点です。何か画像で困ったらCanvaを使ってみてください。今回はこれで終了です。またすぐにお会いしましょう。