今回のレクチャーは、電子書籍の執筆方法を取り上げます。電子書籍の文章を整える方法をお伝えします。これを見れば原稿を書くときに使用すべきソフトと、読者にとって読みやすい体裁について理解することが出来ます。
電子書籍を読みやすくするために大切なことは2つです。まずはあなた自身の執筆環境を整えて、リラックスした雰囲気で執筆できるようにしてください。執筆ツールとしては「自分にとって最も使いやすいソフト」を選ぶことが重要です。そして実際に入力する際には「読者にとって最も読みやすいフォント」を選ぶことです。
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Google Docsを使う6つの理由
まずは、原稿を執筆する際に利用するソフトについて見てみましょう。僕はいつもGoogle Docsで原稿を作成しています。しかしもちろん、ワープロソフトはどれを使っても構いません。
過去にブログ記事を書くときにはMarsEditというソフトを使っていました。これはMacにしかない有料ソフトですが、僕にとってはこれが最も使いやすかったのです。もしブログに原稿を書き溜めていきたい場合は、こういったブログ用のエディターを使うと良いでしょう。今ではブログ記事の執筆作業を外注化してしまったので、あまりMarsEditを触ることはなくなりました。
こういったワープロソフトでは世界的にWordが有名ですが、あなたも自分が使いやすいと思うソフトを使ってください。有料のMicrosoftの代わりに、無料で使えるOpen Officeでも良いです。
もし迷うようならば、僕のようにGoogle Docsでも良いのです。Google Docsをオススメする理由を6つのメリットに分けてご紹介します。それらを順番に紹介していきましょう。
メリット#1:クラウドサービス
1つ目は、完全にオンラインで作業できるためデータを失くす心配がないことです。昔僕が使っていたオフライン版のWordでは、クラッシュしたときにデータが飛んでしまうことがありました。2時間かけて書いた文章が、クラッシュで一瞬で吹き飛びました。
確かにオフライン版のWordには自動バックアップの機能はありますが、それで完全にデータが保護できるわけではありません。もちろん、今ではオンライン版のWordがあるのでそれを使えば、こういったデータ消失を防ぐことは可能です。ですが、Wordにはライセンス使用料が掛かるということも覚えておいてください。
メリット#2:チャプター機能
読みやすい書籍の体裁の1つに、論理構造がしっかりしているというものが挙げられます。最初に書籍の構成を作った上で執筆に入るわけですが、いざ文章を書いているとつい目の前の文章に夢中になってしまいます。
木を見て森を見ずという状態になって、自分が今書いているのがどんな流れの中にあるのか分からなくなってしまいます。それを防ぐのがこの Google Docs のチャプター機能です。正確には見出しと呼ばれる機能なんですが、 これがすごく便利です。
単に文章上で見出しとしてフォントの大きさや太さが変わるだけでなく、左側に表示されるアウトラインという部分にも見出しが表示されます。しかも大見出し、小見出しという階層構造も表示してくれるので、構造が分かりやすいです。Google Docsを使う場合は、ぜひ使って欲しい機能の1つです。
メリット#3:強力なスペルチェッカー
もしあなたが誤字脱字悩んでる場合には Google Docs の強力なスペルチェッカーがお役に立てるかもしれません。 Google Docs に文字を打ち込むと瞬時にスペルチェッカーがあなたのスペルをチェックしてくれます。 スペルチェッカーには、赤い線と青い線で表示される2種類の機能があります。
赤い波線が、単に誤字脱字などスペルをチェックする機能です。誤字脱字があるとすぐに表示されて、また正しいものの候補も提案してくれます。もしスペルチェッカー自体が知らない単語があった場合は、その単語をスペルチェッカーに覚えさせることも出来ます。
青い波線部分は、スペル以外の文法上のミスの可能性を表示しています。たとえば「ギター弾きたい」と書いた部分に青の波線が出ていて「ギター【を】弾きたい」ではありませんか?という感じです。もちろん、明らかなミスの場合もあれば軽微な表現の揺れの場合もあります。
メリット#4:音声入力機能
Google Docsの機能で意外と知られていないのが、音声入力機能です。音声入力でテキストを入力するとキーボードを叩くよりも圧倒的に速いスピードで文章を書くことができます。日本では勝間和代さんが音声入力をたくさん研究されていますね。 大量の文章を書く場合には、やはりキーボードよりも音声入力が適しているようです。
MacにはSiriによる音声入力機能も付いていてそこそこ優秀です。ですが、Google DocsではSiri入力は無効になっています。代わりにGoogle Docs自体に音声入力機能が内蔵されています。Siriによる音声入力よりも変換ミスが少なかったり、途中で修正がしやすかったりと使いやすいです。これまでキーボードだけで文章を打ってきた場合には、ぜひ使ってみていただきたいと思います。
メリット#5:共有・コメント機能
Google Docsはクラウド型のサービスだけあって共有機能が充実しています。リンク1つで簡単に共有できるのはもちろんですが、 Google Docsでは共有相手から修正の提案やコメントをもらえる機能があります。
これはあなたの書いた文章を人に見せる際に有効です。文章を見せた相手から誤字脱字お直してもらったり、またはここ変だよねという風にコメントをもらうこともできます。 このやり取りをリンクだけで行うことが出来るので、僕らもチームで非同期に仕事を進める際に大いに役立っています。
メリット#6:無料
最後はこれまで紹介してきたメリット5つがすべて無料で使えるということです。
Google DocsはGoogle Driveのサービス上で運用されていますが、Google Driveでは無料でも15ギガバイトの容量が用意されています。テキストコンテンツだけであれば十分すぎる量です。
Google Driveをメインの文章作成ソフトとして使ったことがない場合は、このレクチャーの後ですぐに今日からGoogle Driveを使い始めてください。無料なので、気楽に試せるはずです。
他にもMacを使っているならPagesを使っても良いでしょう。Microsoft WordやGoogle Docsを使わなければならないということはありません。僕はかつてPagesを使ってeBookなどを作っていました。Pagesだとすごく綺麗なレイアウトで文章を作ることが出来て、そのままPDFに出来ます。好きなものを自由に選んでください。
フォントに一貫性を持たせる
PDFやKindle用の原稿を作成する際に気をつけたいことがあります。それは、スッキリと一貫性のある体裁にすることです。具体的に言うと、1冊の本の中でフォントを変更しないことです。
インパクトのある書籍にしようと考えて、誰も見たことがないようなおかしなフォントを使うのはやめましょう。なぜなら、あなたのパソコンでは正しく表示されていても、読者が自分のパソコンや電子書籍リーダーでは表示されない可能性が高いからです。
色々なフォントを使って作られた書籍は落ち着きがなく、アマチュアな印象を与えてしまいます。また頻繁にフォントが変わると実用面からも読みにくいという弊害が生まれます。
電子書籍を作る上で重要なのは、シンプルにすることです。シンプルなフォントを用いてください。また、絵や画像を挿入するのは良いことですが、無闇に貼り付ければ良いというわけでもありません。
あなたが今までに手にした本を見てみてください。その本には何が書かれていますか?そう、文字が多いはずです。画像や図表は本を読みやすくするためのもので、コンテンツにとって非常に重要なものでしょう。ですが、画像や図表が多すぎるとこれもまたアマチュアっぽい落ち着きの無い本になってしまいます。
こういった無駄なフォント変更や、画像を入れすぎは、あなたの情報に価値が無いかもしれないという不安から生まれている場合もあります。
まとめ:書きやすいツールで読みやすい原稿を作る
原稿を執筆する際には、自分にとって最も使いやすいソフトを選びましょう。それはWordでもPagesでもGoogle Docsでも構いません。原稿を執筆するためのツールは、文章の書きやすさをもたらし、そしてそれは読みやすい原稿を作ってくれます。
執筆ツールは何を利用しても良いですが、入力するフォントは一般的で誰にとっても読みやすいものを選んでください。また図や写真を入れる場合は、必要な箇所に必要な分だけ貼りましょう。これらを意識することで、読みやすい電子書籍が出来上がります。今回のレクチャーは以上です。また次回、お会いしましょう。