今回のレクチャーでは、あなたの作った電子書籍が「本物の本」として認められるために必要なページ数について紹介します。電子書籍で成功するためには、重厚で300ページある本を作らなければならないと思っているかもしれません。ですが、決してそんなことはありません。今回のレクチャーを見れば、個人での電子書籍の出版にそれほど多くのページ数が必要でないことが理解できます。
電子書籍で大切なことは、そのボリュームではなく、読者にどんな結果をもたらすかということです。実際に電子書籍のストアを見渡せば、少ないページ数で構成された本が数多く存在します。しかもちゃんとした評価を得て、読者から読まれている本です。1冊あたりの目標ページ数を紹介しつつ、実際に少ないページ数で成功している例をご紹介します。
電子書籍の適切な分量は30ページから300ページ
電子書籍が「本物の本」として人々に認識されるためには、どの程度の分量が必要なのでしょうか。結論から言えば、理想的な電子書籍の長さは、30ページから300ページが許容範囲です。だから60〜80ページでも十分です。ですが、30ページというのは最低ラインです。
30ページを切るとeBookのようなものになってきます。僕も過去にたくさんのeBookを作ってきました。30ページ未満だと、読者からは「本物の本」という感じでは受け取ってもらえません。
そもそも、Kindleでのページ数は紙の本と同じなのでしょうか?Kindleでは読書時に文字の大きさを変えられるため、元々ページ数という概念がありません。ですが便宜的に「本の長さ」という表現で、紙の本に換算したときのページ数が表示されるのです。これは、印刷本で見たときの文字数になるべく近くなるように計算されています。
僕らのKindle本「デジタルマーケティング完全ガイド」を例にすると、図表なども入っているので、1ページあたりの文字数は平均して350文字でした。もし図表を入れない場合は、500文字にくらいになるはずです。これは実際に書いた文章をKindle形式にコーディングする際の方法によっても変わってきます。なので、Kindleの販売ページに表示される1ページの文字数は、350〜500文字くらいだと考えてください。
2時間の話が72ページの本になる
ここで、別の見方をしてみましょう。通常、人は1分間におよそ300文字のペースで話すことができます。2時間話すと、300文字×120分で約36,000文字になります。これを本にする場合、電子書籍ではどのくらいのページ数になるのでしょうか。図表なしだと想定すると36,000文字は、約72ページということになります。言い換えると、2時間話すことで72ページの文章を作ることができるのです。
これは、実際に行われているひとつの方法です。栄養療法を専門にしている宮澤賢史さんのブログでは、セミナーを書き起こすという方法で、記事作りが行われています。もちろん、音声からの書き起こしそのままでは、記事としてのまとまりはありません。ですから、読みやすいようにある程度の編集作業が入っています。1記事で3万文字のような記事が継続的にアップされているので、1つの書き方として十分に有効だと言えます。
僕が北海道で大学生の頃、ドラッカーを熱心に読んでいました。「実践するドラッカー」の著者である佐藤等先生が主催する勉強会に行くほど、好きだったんですね。あとになって分かったことですが、ドラッカーは口述で本を書いていたようです。「そうでなければ、あれだけ大量の著作を残せないよな」と納得したのを覚えています。
勝間和代さんも音声入力で文章を書いていることを、自身のブログやYouTubeで話しています。キーボードの前に座ってひたすら文章を書き続けるという退屈な方法を取らなくても、本は作れるのです。
短いページ数で成功している書籍の実例
短いページ数で本を書いて成功を収めている人は、数多く存在します。その実例を、改めてしたいと思います。
ドッグトレーナーの田中さんが書かれた「散歩でマスターする犬のしつけ術」という本があります。紙の書籍はなくて、個人でKindle本オンリーで出しています。たった114ページしかないのですが、評価数が93で星4.3の高評価が付いています。
「人生をリセットする海外移住」という102ページの本があります。これは著者の方が、駐在員として過ごした海外生活、そしてマレーシアのペナン島での年金生活の経験を元に書かれた電子書籍です。個人の方が書かれた出版社を通さない形のものです。出版社を通した本では知り得ないようなリアルな情報が載っています。
評価は20以上付いていますし、レビューコメントには「この本に載っているようなリアルな情報がとても役に立つ」ということが書かれています。僕もこういう本が好きだし、ネットでの検索では出てこないようなマニアックな情報が載っているので、すごく参考になると思います。こういうどこにもないノウハウで、うまく読者の心を掴むことが出来ると、個人での出版おいては逆に強みになります。
さて、ここで紹介したのは全て「本物の本」です。評価やレビューを見てもらえば、読者に受け入れられていることが理解できたはずです。逆に言えば、300ページもある本は手軽に読める本ではないと思う人もいます。「人々にきちんとした本と認めてもらうためには、300ページは必要だろう」という考え方は捨ててください。短い本でも、きちんとした電子書籍と成立するのだと考えてください。
まとめ:適切な分量を意識して電子書籍を製作する
今回は、電子書籍の適切な分量についてお話しました。30ページから300ページの範囲で収めてください。Kindleの販売ページで表示される1ページの文字数は、350文字〜500文字です。ページ数に悩んだら、60〜80ページくらいのページ数を目指すと一気に敷居が下がるはずです。読者からあなたの本を「本物の本」と認めてもらうために、何百ページもの文章を長期間かけて執筆する必要はありません。少ない分量でもヒット作品になり得ることは、過去の多くの事例が証明しています。あなたも実際の執筆活動に入る際には、そのことを頭に入れておいてください。それではまた、お会いしましょう。