今回のレクチャーでは、電子書籍の価格設定のポイントについて考えてみましょう。最初に言っておきますが、電子書籍の適切な価格とは、読者層によって異なります。これは非常に重要なことです。このレクチャーを見れば、電子書籍を出版する際の価格設定に迷うこともありません。
平均的な不動産業者と成功している不動産ブローカーを比較してみましょう。平均的な不動産業者は年収200万円で貯金なし、一方で成功しているブローカーは年収5,000万円あるかもしれません。それぞれの読者に対する適切な価格帯が違ってくることがわかりますね。つまり投資家向けの本は投資家向けの価格を設定すべきで、主婦向けの本は主婦向けの価格設定をすべきということです。
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読者層や似た書籍から適切な価格設定を知る
初めに理解しておかなければならないのは、電子書籍の価格とは、本を読んで得られる結果と非常に密接に結びついているということです。これについては、後ほど詳しく解説します。
もう1つ、価格設定をする際に知っておくべきことは、あなたの書いた電子書籍と似たジャンルの本がいくらで売れているかということです。また、あなたがターゲットとしている読者層にとっての適切な価格帯も知っておきましょう。彼らがあなたの電子書籍に対して、どれくらいの価格を期待しているのか、いくらなら「安い」と認識され、いくらなら「高い」と敬遠されるのか。これについて、事前に調査しておきましょう。
オススメは、Kindle本のカテゴリー別のページを見ることです。
Kindleのロイヤリティルールを理解する
前のレクチャーで説明した通り、あなたが出版する電子書籍を「本物の本」とみなしてもらうには、Amazonで販売することが1つの条件です。ただし、Kindleでの収益ルールについては知っておくべきです。
ロイヤリティ#1:1冊ごとの販売
実際のところ、あなたの電子書籍は、Kindleよりもあなた自身のウェブサイトで販売する方が、自由に価格設定ができるでしょう。その理由は、Kindleで販売される電子書籍は、その価格が250〜1,250円の間であれば、70%のロイヤリティが支払われますが、それ以下、もしくはそれ以上の価格の場合には、35%のロイヤリティしか支払われないからです。つまり、Kindleで販売される本は、一定の価格帯に保つように強制されるのです。もちろん、2,500円で電子書籍を販売することも可能ですが、その場合の収益は800円程度となってしまいます。
ちなみに同じ本が紙として書籍が存在する場合、紙よりもKindle版の方を20%安くしないとロイヤリティが70%になりません。出版側としては、35%と70%のロイヤリティの差は大きいです。なので、必然的にKindle版の方が少し安くなるように、市場の力が働いていきます。この1冊の価格をいくらにするか?については、このレクチャーの後半で説明します。
ロイヤリティ#2:Kindle Unlimitedで読まれたページ数
Kindle出版のうまみの1つとして、たとえあなたの本が購入されなくても収益が上がる仕組みが存在します。それは、Kindle Unlimited経由で読んでもらったページ数に応じて収益が発生するものです。
Kindleで出版すると、Kindle Unlimitedへの登録をすることが出来ます。これをやっておくと、書籍ページの右側にKindle Unlimitedの「読み放題で読む」というボタンが出てきます。Kindle Unlimitedに入っている読者なら、追加料金なしで僕の本を読めるようになります。「え、追加料金なしでみんなが読めたら収益入らないんじゃない?」僕も最初はそう思っていました。
ですが、このKindle Unlimitedで読まれたページ数は、KENP(Kindle Edition Normalized Pages)という単位で計測されます。つまり、Kindle換算で何ページ読まれたか?という単位ですね。この既読ページ数とページ単価を掛けたものが、収益として発生します。ページ単価は、その時によって変化しますが0.5円前後で推移しているようです。
僕も初めてこの仕組みを知った時には、驚きました。そして、今でもこの仕組みから毎日利益が発生しています。僕らの1作めの本は1700ページもありました。もう一度言います、1700ページです。ふつう200ページ前後が一般的ですが、その8倍です。
実際にKindle本を出してみて気づいたのですが、1冊の分量が多いとKindle Unlimitedユーザーから読まれるページ数も多くなります。一度本を選んで読みに来てくれた読者が、すぐに別の本に行くよりも、その本の中に滞在して読んでくれるからです。電子書籍からより多くの収益を上げるための1つとして、ページ数を多くするという戦略を取っても良いかもしれません。もし自分だけで書く原稿が足りない場合は、外部のライターに外注しても良いでしょう。
電子書籍における3種類の価格帯
あなたの本や電子書籍には、バックエンドとしてファネルが設定されていますか?もし僕らのように後ろにファネルを用意して、バックエンドで書籍代よりも多くのお金を稼ごうと考えている場合、この価格はその入り口になります。つまり、価格の問題ではなく、できるだけ多くの人をファネルに入れるための適切な価格を見つけることが重要なのです。ここでは、価格設定の3段階のレベルについて紹介します。
価格レベル#1:無難な価格設定
レベル1は、基本的に僕が言うところの「無難な価格」です。このレベルの本には全く反応しない読者もいるでしょう。
そのような人は、300円の本を見て、こう言うのです。「これは安すぎる、こんな安いものが良い本であるはずがない。300円で手に入れられる本が、僕の人生を変えるはずがない」このような考え方は、経済的に余裕があったり、投資家のような人に多いかもしれません。一方で、この価格帯を「安い、お買い得だ」と喜び即購入を決め、十分に満足してくれる読者もいます。
一般的な電子書籍であれば、2,000円以下の価格帯、具体的には700円〜1,700円の価格帯が、「無難な価格レベル」とされます。専門書などの本であれば、4,000円〜5,000円の価格帯がこれにあたります。
価格レベル#2:バリュープライシング
次のレベルは、バリュープライシングと呼んでいます。先程の無難な価格設定よりも少し高くなります。バリュープライシングとは、読者のニーズと製作者の利益目標の両方を満たすような価格設定のことです。
この価格は、多くの場合、買い手は頭の中で購入を正当化します。例えばスマホで本を選んでいる際、Amazonポイントの残高に気づき「2,300円の残高がある。この本は700円、これは1,000円、こっちは2,000円…ああ、2,000円のこれでいいか」という具合に買うような本です。少し値段は貼るけど、ずっと気になっていてAmazonのお気に入りリストに、入れて迷っていたような本です。
「ちょうど良いタイミングだし、買おうかな」と、少しの間だけ考えを巡らせ、購入に至ります。このレベルの具体的な価格帯は、おそらく2,000〜4,000円以下でしょう。専門書などであれば10,000円以下といったところです。
価格レベル#3:プレミア価格
3つ目のレベルは、即決はできないプレミアム価格です。高額すぎるゆえに、逆に買い手は「この本は、果たして本当に自分が求めている情報を提供してくれるのだろうか?」と考え始めるでしょう。
このレベルの本は、一般的な電子書籍でも専門書レベルのものであっても、価格帯が10,000円以上のものになります。
電子書籍の価格は読者に対する結果の保証
電子書籍の価格設定に関するもう1つの大切な考え方は、価格は読者に対する結果の約束でもあるということです。以前紹介した通り、読者は「本」そのものを求めているのではなく、「その本を読むことで得られる結果」を求めています。
つまり、高い価格は一定の結果と密接に結びついているのです。本を読むことで得られる結果が実証されていることが大切です。つまり、結果がすべてと言えます。そして、これこそが本質です。
価格が高ければ高いほど、読者は確実な結果を求めます。あなたは、読者が求めているものを具体的に提供しなければなりません。彼らは、高額を支払うことでその対価を得られると信じているからです。
あなたは、電子書籍を読めば結果を出せることを証明しなければなりません。それがあなたにだけ通用する知識ではないこと、一回限りの方法ではないことを実証するのです。このことは、脳裏に焼き付けておいてください。
これは電子書籍に限った話ではありません。繰り返しになりますが、「人は結果にお金を払う」ということを理解する必要があります。読者は本そのものにお金を払うのではありません。買い手は、あなたの電子書籍を読むことで得られる結果にお金を払います。
本を執筆するにあたって、その内容で自分が結果を出したという事実はファーストステップです。自分が結果を出したことと、他人も結果を出せると信じることは別のことです。つまり、売れる電子書籍を作るためには、以下の3つを満たす必要があります。
- 自分がその情報で結果を出したか?
- 他の人もその情報で結果を出したことがあるか?
- 読者がその情報で結果を出すと信じられるか?
この3つの項目に全てにチェックを入れられれば、その電子書籍は成功するでしょう。価格は、その度合いとのバランスで決めてください。読者の期待が価格と釣り合わない場合、Kindleの価格設定はうまくいきません。
まとめ:読者層と内容から適切な価格を見極める
今回は、電子書籍の適切な価格設定について紹介してきました。最適な価格というものは、読者層やその内容によって異なるものであり、一概にいくらと言えるものではありません。ただし、読者がお金を払うという行為は、本を読んで結果を得られるということに対する信頼であることを忘れないでいてください。あなたの提供できる結果に応じて、価格設定を考えてみてください。では、また次のレクチャーでお会いしましょう。