あなたは旅行好きのフリーランスで、どの国で子供に教育を受けさせようかと悩んでいるかもしれません。実は僕も同じ悩みを抱えていました。最初の移住先としてオランダを選びましたが、他の国でも子供に教育を受けさせることができるよう準備しています。実際に僕がどうやっているのか?その方法をお伝えします。
数年前僕は意を決してオランダに移住しました。いったんオランダに移住してしまうと、次の国に移住するのはそれほど難しいことでは無いと思えるようになりました。だから次はポルトガルかスペインに移住しようかなって考えています。同じヨーロッパでも教育システムは異なります。オランダ人はオランダの教育システムに誇りを持っているけど、ポルトガル人は自国の教育システムを良いと思っていません。もし子供の教育の途中で他の国に移住したいと考えた場合、子供の教育の中断を最小限にする方法をお話します。
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デジタルノマドが悩む子供の教育問題
僕は働く場所も住む場所にも縛られないデジタルノマドです。だから2019年にオランダに移住しました。オランダに移住する前もずっと世界中を放浪していました。Airbnbの宿泊履歴を見ただけでも1000泊以上していたようなので、年間300日以上は海外にいたんじゃないかと思います。少し前は旅行するとパスポートにスタンプを押されましたが、その査証欄の余白がなくなるほど旅行しました。
これだけ旅行フリークの僕でも、旅行に行けなくなる日が来ました。子育てです。子供ができてしばらくは家族で世界を回っていました。ですが、子供が義務教育の年齢になるといよいよ定住して子供を学校に行かせる必要が出てきたんです。せっかくデジタルノマドで移動の自由があるのに子供の教育が足かせで動けなくなったんです。
一時期ホームスクールも検討しました。でも、結果的に僕たちには無理という結論に至りました。学校の先生がやっていることを僕たちがやるわけですよね。僕には忍耐力がないので「どうしてそんな簡単なこともわからないの」とイライラしてしまいます。
無いのは忍耐だけではありません。時間もありません。僕も妻も趣味の時間がなくなるとストレスで死んでしまいます。せっかくデジタルノマドで時間的な自由があるのに、それを謳歌できないなんて悲しすぎます。それに子育てだけしているといつか発狂します。だから趣味もたくさんしたい。そのためホームスクールは僕たちの選択肢から外れました。
無料で子供の教育をポータブルにする方法
これまで僕の子供たちはオランダで4年ほどオランダの教育を受けています。じゃあ来年ポルトガルに移動した時に、どうやってうちの子供たちはポルトガルの教育システムに溶け込めば良いのでしょうか。国ごとにカリキュラムが違うので、まるで車のギアを切り替えるときのようにガタンとどこかで噛み合わないところが出てくる。国ごとに異なる教育システムのギャップを埋める方法をずっと探していました。
僕たちがたどり着いた答えは、教育すらも持ち運ぶことでした。デジタルノマドは荷物だけでなく仕事も持ち運べます。実際、僕は日本でやっていた仕事と全く同じことをオランダでもやっています。それならば同じことを教育にもできないかと考えたんです。仕事で出来たのだから教育だってできるだろうと考えたんです。
最初に考えたのは公文式でした。公文の英語版ないかなーって検索してたんです。結論からいえば、公文は教室限定でした。英語版もないことはないんだけど、やっぱり教室に行って勉強しないといけないらしい。公文は持ち運べない。アルファベットで「kumon english」「kumon abroad」とか検索しながら、ふと思い出したんです。
カーンアカデミー(Khan Academy)があるじゃないかと。TEDトークでサルマン・カーンさんがビルゲイツと喋っていたのを過去に見たことがあるんです。でも当時のコンテンツは正直言って使えるレベルではなかった。カーンさんがペンタブを使って世界史の授業をしているんだけど、ほらペンタブで書いた文字って読みにくいですよね。
久しぶりにカーンアカデミーにアクセスしてみたら驚きました。まずコンテンツが充実している。幼稚園の算数からヨーロッパのルネサンスと宗教改革まで、幅広くカバーされています。さらにコンテンツの質が高い。カーンアカデミーのKids用アプリを一度ダウンロードして見てください。アニメートされたキャラクターが楽しく勉強を教えてくれます。
- Khan Academy Kidsアプリ:https://apps.apple.com/jp/app/khan-academy-kids-learning/id1378467217
カーンアカデミーならiPadとインターネットさえあれば世界中どこにいても、全く同じカリキュラムで教育を受講することができます。ヨーロッパのどこの国に住んでいても、いや世界のどこに住んでいても大丈夫なわけです。僕たちはいよいよ教育すらもポータブルにする方法を発見しました。しかもカーンアカデミーは完全無料のアプリなんです。本当にすごすぎます。
カーンアカデミーを使うと学校教育が復習になる
カーンアカデミーではゲーミフィケーションが取り入れられており、子どもたちが楽しく自習できるようになっています。とはいえ、僕たちの子供はまだまだ小さいので誰かのサポートが必要です。わからなくなった時に誰に聞けば良いのか?という問題があります。時間があるときには僕と妻も積極的に子供たちの質問に答えています。ですがそれにも限界があります。
主に7歳の長男と5歳の長女がカーンアカデミーで学習しています。僕と妻が下2人、つまり2歳と0歳の赤ちゃんの面倒を見ているときは、上2人の質問に答えることはできません。さらに僕には忍耐もないことは先にお伝えした通りです。
だから家庭教師をつけることにしました。先生はsitly.nlというベビーシッターを探すマッチングサイトを使って探しました。色々なベビーシッターがいますが、僕はその中から勉強を教えられるベビーシッターを選びました。
そのサイトでアメリカ出身のオリビアさんとドイツ出身のシャーロットさんという方に出会いました。2人ともライデン大学の学生さんですが、2人ともスーパーベビーシッターさんです。年齢が若いのとパーソナリティが良いので、子供たちがすごくなついています。勉強の教え方も上手です。
仮に2人のいずれか、あるいは両方のベビーシッターさんが何らかの理由で辞めた場合でも大丈夫です。カーンアカデミーのアカウントには学習の進捗が残っているので、次のベビーシッターさんに引き継ぐことが可能です。カーンアカデミーの途中から勉強を見てもらえば良いのです。
僕たちが漠然と考えていたことはこうです。仮にこれから先ポルトガルに移住したとしましょう。ポルトガルの小学校に入学し言語のビハインドがあったとしても、2年分くらいの勉強のアドバンテージがあれば何とか学校の授業にはついていけるんじゃないか。
公文をやっている子の多くは、学校の授業が復習になっていると聞きます。例えば英語なら、中学1年生の子が公文では中学3年生で習う関係代名詞のプリントをやったりしています。2年分のアドバンテージというのは2学年分先の内容をやるということです。そういうアドバンテージがあれば、言葉が分からなくてもなんとか勉強ができます。そうやって勉強している間に言語学習を追いつかせることができると僕は考えています。
今、週に4回のペースでベビーシッターさんに来てもらっています。1日30分から1時間ほどカーンアカデミーを使って勉強を教えてもらっています。まだ2年分の学習アドバンテージはありませんが、少なくとも学校で習うことがそれほど難しいと感じていないようです。カーンアカデミーのWeb版には日本語話者向けのコンテンツもあるようなので、ぜひのぞいてみてください。
まとめ:子供がいてもカーンアカデミーで移動の自由は確保できる
ここまで、どの国に移住しても子供の負担を最小限にしながら教育を行う方法を解説してきました。最後に要点を5つにまとめました。
- デジタルノマドには移動の自由があるが、子供の義務教育が始まると通常はそれが失われてしまう。
- 義務教育開始後に他国に移住すると、国ごとの教育カリキュラムの違いにより教育内容の断絶が発生する可能性がある。
- カーンアカデミーを使えば世界中どこにいても全く同じカリキュラムで子供の教育を行うことができる。
- 他国に移住する際には、カーンアカデミーを使ってあらかじめ2年先の学習内容くらいまで進んでおくと良い。勉強が先に進んでいれば新しい国で言葉が不慣れでも、学校になじむことができるはずである。
- 低学年の場合はカーンアカデミーでの教育にあたって家庭教師のサポートを得るとスムーズに学習が進む。