あなたはオランダ移住をしても続かないのでは?と不安な気持ちになっていませんか?移住の難しさは、実際に生活してみないとその土地での生活のしやすさが掴めない点です。そこで日本人がオランダ生活を辞めたいと思うような理由を、オランダ在住者からの視点で考えてみました。実際に在住者である僕の実生活に基づいてお話していきます。
オランダは日本人が比較的移住しやすい国です。そういったプラスの面だけが強調されているようですが、移住後何年かで続かなくなってしまう人も多いだろうと思います。それはネット上にあるオランダ生活のブログが2、3年くらいで止まったりするのを見ているとなんとなく分かります。良い面もたくさんあるオランダですが、ここからは日本人にとって帰国を考えてしまうような理由に絞って見ていきましょう。
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理由1:物価が高い
オランダは物価が高いです。恐らくこれがオランダを離れるメインの理由でしょう。これは何度強調しても強調しきれません。特にフリーランスで日本と取引をして日本円で稼いでいる人は大変です。元々物価が高いのにユーロに両替した途端に一気に1.5倍くらいに感じるからです。日本人だから物価が高いというわけではなく、ヨーロッパの人もオランダの物価の高さには驚くようです。
例えば日本人がイギリスに行くと物価が高いと思う人が多いです。イギリスの物価は日本の1.5倍〜2倍くらいだと言う人が多いです。ですが、そのイギリスの人たちがオランダに来ても物価が高いと思うそうです。家賃も高いですし外食なども高額です。
特に子供がいる場合は、子供関連のサービスにすごくお金が掛かります。小学校が4歳からなので、それまでに保育園に入れようと思ったら月に3700ユーロとか5000ユーロくらいします。子供1人預けるだけなのにそのくらい掛かるのです。そのため、小学校に入るまでは祖父母や親が家で子供を見ているご家庭が多いです。
正直、オランダで生活するにはお金が掛かります。それでも僕はそれを上回るベネフィットを感じているので、オランダ生活を続けられています。ですが、経済的にキツかったりオランダ生活に価値を見いだせない人にとっては、オランダの物価高は帰国を決断する大きな理由になるはずです。
理由2:天気が悪い
オランダは天気が悪いです。これは物価が高いことに並ぶくらい有名な話です。日本の梅雨みたいなものをイメージしてもらうと良いと思います。ほとんどの日がどんよりと曇っていて、晴れの日は1年の間でもかなり貴重です。
それに雨も多いです。1日中降っている雨もあれば、急に降ってくる雨もあるので厄介です。常に荷物の中にレインコートを入れて生活しています。
冬はさらに日照時間が極端に減ります。オランダはサハリンくらいの高緯度にあります。そのため、夏と冬の日照時間の差が大きくなります。夏は夜10時くらいまで明るいのですが、冬は4時半くらいに真っ暗になります。冬はヨーロッパの人たちも日照時間が少ないせいで冬季うつ病になります。そのため、日照時間の不足によるビタミンDを補うためにみんなビタミンDのサプリメントを飲んでいるくらいです。
理由3:アポイントメント文化が面倒
オランダでは天気が悪いことの他にも、社会システムからのストレスもあります。その1つがアポイントメント文化です。オランダでは市役所に書類をもらいに行くのにも事前のアポが必要です。しかも混んでいるとそれが結構先になります。日本なら住民票が欲しければ市役所でその日に発行してくれます。
恐らく公務員の仕事量をコントロールして、効率的に運営しようという考えなのだと思います。ですが利用する側からすればすごく使いづらいシステムです。一度ポルトガルへのビザ申請のために無犯罪証明書(VOG)が必要になりました。市役所に証明書をもらうためのアポを入れたのですが、6月上旬に入れてアポが8月の終わりでした。だいたい3ヶ月くらい待たされるのが通例のようです。
ただしアポイントメント文化にも例外がありました。それは出生届です。オランダで子供が生まれたときに出生届を出しましたが、その時だけはアポ無しで市役所に入れました。稀にそういった例外もあります。僕の場合は日本人なのでオランダの出生届を和訳して日本大使館にも提出しました。戸籍を行政書士に頼み取り寄せてもらいオランダにいながら日本のパスポートを作りました。
アポイントメントシステムを取り入れることで、利用者の待ち時間を無くしたりスタッフの仕事を効率化しているのだと思います。ですがそれがあまりにも強すぎて、疲れてしまうのだと思います。少なくとも日本のサービスに慣れた僕からはかなりの違和感がありました。こういうものに耐えられない人は早々にオランダから撤退してしまうのかもしれません。
理由4:医療制度が厳しすぎる
実はオランダは高福祉国家と言われていますが、医療制度に関しては少し扱いが異なると思います。特にホームドクター制度はオランダの医療制度の特徴的な部分です。ホームドクターとはかかりつけ医のことです。英語ではGP(General Practitioner)と呼ばれます。オランダでは病院に行く前に必ずこのホームドクターを通すことになります。
例えば風邪を引いた場合は、直接病院に行くのではなくまずはホームドクターに連絡します。そしてホームドクターに診てもらい対処できればそこで終了です。ホームドクターでは対処できないとなって初めて病院を紹介してもらえます。なので、日本でよく見る「病院がおばあちゃんのたまり場になってる」みたいなことは起きないようになっています。
ですが、これもアポイントメント文化同様に不便です。さすがに緊急の場合には病院側も受け付けてくれるようです。ちなみに僕はスケボーの練習をしていて、頭を強打し一度救急車で運ばれたことがあります。その場合にはもちろんアポ無しで病院に入って治療を受けることができました。ですがすぐに病院に行けないというのは日本人の感覚からするとかなり不便な感じがします。
理由5:学校に関する決まりが厳しすぎる
オランダの教育システムは素晴らしいです。子どもたちが学ぶことを自発的に決められたり、自立を育む仕組みが組み込まれています。また学校の中だけで学習が完結するよう工夫されており、家に持ち帰るような宿題は一切出ません。教育の内容としては申し分ないと思っています。
ですが、オランダの学校はその分ルールが厳しくなっています。まず登下校は必ず付き添いの大人が必要です。子供たちだけで学校に入ろうとしても、門のところで止められます。また登校時間も朝8時20分から30分の間のように厳しく制限されています。早すぎてもダメ、遅れると門が閉まるので中に入れてもらえません。この辺はルールがとても厳格です。
また子供が学校を休む際のルールもすごく厳しいです。僕は旅行が好きなのでオフシーズンに子供の学校を休ませて旅行に行きたいと思います。ですがオランダでは子供を正当な理由なく休ませると罰金になります。恐らく子供が教育を受ける権利を保障しているのではないかと思います。
なので子供を休ませて旅行に行ったり、勝手に日本に帰ったりすると休んだ日数に応じて罰金が適用されます。ただしその反面で正式な休み(School Holiday)が結構あります。これが大体年間で16週間ほどあります。日本の学校休暇は合計すると8週間分くらいなので、日本の2倍くらいの休みがあることになります。ですが、日本人から見ると学校のルールがとても厳しいというのは間違いありません。
まとめ:物価が高く天気が悪くルールに厳しい
ここまで日本人がオランダ移住に見切りをつけてしまう理由について見てきました。最後に要点を5つにまとめました。
- オランダは物価の高い国である。そのため経済的に厳しかったり、物価に見合う価値を見つけられない場合はオランダを去る理由になりうる。
- オランダの天気の悪さ、冬場の日照時間の短さなどに耐えられない場合もオランダ移住を続けるのは難しくなる。
- オランダでは市役所での書類取得などを含めたサービスを受ける場合、必ず事前のアポイントメントが必要になる。時間もかかるため日本人からすると不便に感じる。
- オランダはホームドクター制度を採用しており、緊急時を除いてはすぐに病院に行くことはできないので不便である。
- 教育制度は良いものの、登校時間に制限があったり無断欠席に罰金が適用されるなど、学校に関するルールが厳しい。