あなたは1人で広告代理業をしているフリーランスで、新規クライアントを獲得するための営業がイマイチうまくいかないと悩んでいませんか?もしかするとそれはあなたが持っているいくつかの誤解のせいかもしれません。ここでは、セールスや営業を行う上で多くの人が無意識に誤解してしまっている事柄を紹介します。これらの誤解を解くことで、あなたの営業の問題点に気づくことができるはずです。
他人にモノを売り込む仕事を専門としている人は、みなそれぞれにスキルを持っています。ですがあなたのような別の仕事をしながら、セールスも自分で行うという人にとってはセールスは苦痛を伴うものだと思います。そういう人たちは、まさか自分が上手にセールスできるとは思っていません。もちろん経験やスキルが足りないのもあるでしょう。ですが、それ以上にセールスを何か特別な魔法かのように捉えているところがあるはずです。そこで多くの人がセールスに関して誤解している点をいくつかご紹介していきます。
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誤解1:口が達者でないとセールスはできない
セールスにおいて「口達者である必要がある」という考えは広く受け入れられています。映画『ウルフ・オブ・ウォールストリート』では、レオナルド・ディカプリオが演じるキャラクターがその鮮やかな話術でビジネスの世界を席巻します。このような描写は、饒舌に語る能力がセールス成功の鍵であるというイメージを強化しています。僕らはこういうメディアに触れることで頭の中にステレオタイプを作ってしまうのです。
しかし、この神話は現実のビジネスシーンでの誤解を招く原因となります。実際には製品やサービスの詳細を巧みに説明することも重要ですが、顧客のニーズや問題を深く理解する「聞く力」がさらに重要です。成功するセールスパーソンは、顧客の言葉に耳を傾け、その背後にある本当のニーズや課題を見極めることができます。この能力こそが、信頼関係の構築と長期的な顧客満足への鍵となります。
でもこういった聞く力というのは、掴みどころのないものに見えます。少なくとも他人から見ると、特徴を捉えるのが難しい。なので、映画などではああいった言葉巧みな人がセールスの達人として描かれるのも無理はありません。僕は脳科学者の中野信子さんの「脳の闇」という本が大好きです。彼女の本を読んでいると、くだらないと思えるような人間の行動についても何らかの心理が絡んでいるなぁと感じます。
聞く力を向上させるには、観察力や相手のニーズや問題を深く理解することが重要です。顧客が話しているときに細かな注意を払い、質問を通じてさらに深く掘り下げることが効果的です。会話の中で重要なポイントをメモすることも、顧客の要望を詳しく理解して、精確な提案を行うために役立ちます。セールスにおいて口達者であることの価値は認められますが、それ以上に顧客との真のコミュニケーションを築くことが成功へのカギとなるのです。
誤解2:常にエネルギーレベルの高い人物でないとモノは売れない
セールスや商談において、常にエネルギーが高い人が好まれるという誤解があります。多くの人は、エネルギッシュな人物がポジティブな印象を与え、商談を有利に進めると考えがちです。これもまたテレビや映画で描かれる、活動的で自信に満ちたセールスパーソンのイメージに影響されている部分が大きいでしょう。
例えば、カリフォルニアのビーチの前に大きな家も持っている。高級スポーツカーでオフィスに出勤する。自宅のジムで鍛えた体にふさわしいシャープな顔、パワフルだけど嫌味のない爽やかな笑顔。口元から覗く白い歯。快活な声で力強い握手をしてくる。いつ会ってもハツラツとしていて、疲れがまったく見えない。これは僕の完全な妄想ですが、こんなイメージを持っているんじゃないかと思います。
しかし実際には、顧客に与える印象はエネルギーレベルだけで決まるわけではありません。高いエネルギーを持ったアプローチは、確かに注目を集めやすく情熱的に映ります。一方で場合によっては暑苦しい印象や、上辺だけという印象を持たせてしまい、顧客の心を引きつけることができない場合もあります。対照的に落ち着いたアプローチを取るセールスパーソンは、信頼やプロフェッショナルさを感じさせることができます。大切なのは、エネルギーレベルと信頼性、専門性をバランスよく組み合わせることです。
顧客のタイプや商談の内容に応じて、自身のアプローチを調整する柔軟性を持つことが重要です。たとえば、初対面の顧客には落ち着きを持って接し、関係が深まったら徐々にエネルギーを増していくなど、状況に応じた対応が求められます。結局のところ、セールスにおいては、顧客との信頼関係を築くことが最も重要であり、そのためには、エネルギーレベルを含め、さまざまな要素を適切にコントロールする必要があります。
誤解3:セールスの能力は天性のものである
多くの人は、成功するセールスパーソンは生まれながらにしてその才能を持っていると考えがちです。しかし、この考え方はセールススキルの本質を見誤っています。実際には、セールススキルは経験と訓練を通じて習得できるものであり、誰もが優れたセールスパーソンになる可能性を秘めています。成功するセールスパーソンの多くは、継続的な学習と自己改善を通じて、そのスキルを磨いてきました。
重要なのは成長マインドセットを持つことです。成長マインドセットとは自分の能力が努力や学習により伸ばせると信じる考え方のことです。その反対が硬直マインドセットです。能力は生まれつきもので、挑戦や失敗を避け、自己の限界を早急に設定してしまうものです。僕は少し前に筋トレを始めたんですが、まさにこの筋トレが僕にとっての硬直マインドセットでした。
ちょっと恥ずかしい話をします。筋トレを始める前の僕は「人の外見は生まれつきのもので変えることはできない」と考えていました。ハッキリとそう思っていたわけではありませんが、なんとなく「外見が良い」みたいなものとは無縁だと思っていました。でも筋トレを始めて1年くらいすると、どんどん体が変わっていったんです。不思議なことに体だけでなく、周りから「顔も凛々しくなった」と言われるようになりました。
妻からの印象も上がるし、それこそヨーロッパで生活をしていても男女関係なく印象が良いと思ってもらえるようになりました。それまでの僕は「自分はフリーランスだからバシッとスーツを決めなくていいし」と、あまり服装にも気を使っていませんでした。だからあまり人からの見た目について気にしたこともなかったんです。でも結果的に僕の見た目は1年ほどで劇的に改善されました。変えたのはメンタルだけ。「筋トレをすれば見た目がよくなるかも」という心持ちだけでした。
同じようにセールスが上手な人たちは成長マインドセットを持ち、失敗を学びの機会として捉えています。そして常に自己を向上させることに努めています。セールススキルの向上には、顧客のニーズを深く理解し、適切な解決策を提案できるようになることが重要です。さらに聞く力、問題解決能力なども必要となります。これらのスキルは、実践と反省を重ねることで徐々に習得できるため、誰もがセールスのエキスパートになる道を歩むことができます。セールスにおける成功は、生まれつきの才能ではなく、個人の努力と継続的な成長によって決まるのだと考えてください。
誤解4:セールスは相手との戦いである
4つ目も多くの人が無意識に行ってしまう誤解を紹介します。セールスを相手との戦いと見なしてしまう誤解です。これは、よくセールスや営業の現場で見受けられます。相手をどのようにうまく丸め込んで、契約を勝ち取ろうか?そんなことを考えてしまうのです。この姿勢になってしまうと、相手からより多く取ろうという、いわゆるTaker(テイカー)的な発送になってしまいます。
しかしこの戦闘的な姿勢は、実際にはセールスの過程において有害な影響を及ぼすことがあります。セールスが戦いであるという観点からアプローチすると、顧客との関係が敵対的なものとなり長期的な信頼関係の構築が困難になります。しかし実際には良いセールスというのは顧客の問題やニーズを理解し、それらを解決するためのサービスや製品を提供するプロセスです。つまり相手を敵とみなす姿勢の真逆に位置しています。
確かに相手を敵と見なす姿勢でも契約は取れるかもしれません。相手の状況をあまり汲み取らずに、言葉巧みに話せば契約してくれる人もいるでしょう。ですが、広告代理店の仕事は1回売って終わりではありません。クライアントから毎月継続的に依頼されないと、契約は打ち切りになってしまいます。そのため、相手を敵とみなして搾取するようなやり方はビジネスにプラスに作用しません。
見込み客のニーズに真摯に耳を傾け、その要望に対してどんな解決策を提案できるかを考えてください。そして100%納得してもらった上で契約をしてもらう。このような協力的なアプローチを取ることで、顧客との間に信頼と理解が築かれ、結果として長期的な関係へと発展します。したがってセールスを戦いではなく、協力とサポートのプロセスとして捉えることが成功への鍵となるのです。セールスを通じて顧客との強い絆のようなものを築くことが、結果的にあなたの利益につながることを覚えておいてください。
まとめ:セールスのスキルは経験を経て伸ばすことが可能である
ここまで営業やセールスに関する誤解について解説してきました。最後に要点を4つにまとめました。
- セールスでは口が達者である必要はなく、相手の抱える問題やニーズを深く理解する能力が必要になる。
- エネルギッシュな人間でなくてもセールスはできる。重要なのはプロフェッショナルな態度とのバランスを取ることである。
- 優秀なセールスパーソンの持つ能力は後天的に獲得したものであり、訓練可能だと信じることで能力を伸ばすことが可能である。
- セールスにおいて相手は敵ではなく、互いに協調すべきパートナーである。その観点で相手に寄り添うことで長期的な絆が構築でき、それがあなたの利益につながる。