こちらのレクチャーでは、ネットビジネス・ビジョンに基づいてブランド・アイデンティティの概要を作成します。そして、そのビジョンを日々のネットビジネスに適用できるようにしていきましょう。ブランド・アイデンティティとは何か?あなたのネットビジネスの独自性のことです。あなた他のやるべきことは2つ。1つはアーキタイプの原型を選ぶこと。ネットビジネスのアーキタイプは、セージ型、シェルパ型、ストラグラー型の3つしかありません。1つを選択します。次にやることは、バリュー・プロポジション・ステートメントを作ることです。私は【 】の専門家で【 】を助けます、という宣言文を完成させることでネットビジネスの方向性を決定します。
作業を進める上でいろいろな手法を学ぶ必要がありますが、1つ目の手法はかなり簡単です。それは、アーキタイプ、つまりネットビジネスにおける性質の原型を選ぶということです。僕たちの経験上、成功しているオンラインビジネス、ネットビジネス、オウンドメディアは、3つのアーキタイプのうちのどれかであることが多いです。アーキタイプは心理学者のユングが生み出した心理分析に用いられる概念です。日本語ではネットビジネスの「タイプ」と言えばしっくりくるのではないでしょうか。
今回お届けするノウハウはこちら
あなたのネットビジネスは3つのうちどのタイプ?
アーキタイプを3つ紹介します。これは2014年、マイケルハイアットがブログに書いてアメリカに紹介された概念です。5 Reasons You’re Not Getting Traction with Your Platform というポストです。あなたのブログに人が集まらない5つの理由というポストです。その後2019年にRoberta Ryanという人物がMediumでもう一度このコンセプトを紹介しデジタルマーケティング業界で一気にバズりました。さああなたのネットビジネスはどのアーキタイプに当てはまるでしょうか?
- 1つ目のアーキタイプは、セージ型と呼ばれるものです。sageは哲人という意味です。学識豊かな人。これは、業界で一定の知名度があるプロフェッショナルや第三者機関に認められるほどの信頼性がある人物によるネットビジネスです。たとえば、ニューヨークタイムズのベストセラー作家やノーベル賞を受賞した経済学者、有名な医学博士などのネットビジネスがセージ型に該当します。
- 2つ目のアーキタイプは、シェルパ型と呼ばれるものです。シェルパとは、登山時のガイド役。つまり、一定の経験を得たあと、同じ経験をするであろう人々に自分の経験を教えるというタイプです。具体的な例としては、大幅なダイエットに成功した人や、ビジネスを成功させた人、あるいは文字通り、登山経験者などのネットビジネスがシェルパ型に含まれます。
- 3つ目のアーキタイプは、ストラグラー型と呼ばれるものです。実は、この型がもっとも見逃されがちです。ストラグラー型のネットビジネスでは、ユーザーに対して「僕たちは一緒にいるよ」と伴走するようなスタンスを示し、プロセスをシェアしながらゴールに向かいます。当然ながら、成功したことも失敗したことも共有していくこととなります。
自分自身の経験に応じて、これら3つのアーキタイプを適用させましょう。そうすることで、ネットビジネスを成功に近づけることがかなり簡単になります。ここで大事なのは、1つのことに専念して、決めたことに対してこだわり続けるということです。そうすれば、見込み客はあなたのブランドを簡単に理解できるようになります。
Pat Flynn(パットフレイン)という人物を例に考えてみましょう。あまり僕のブログやYouTubeでは紹介されませんが、いしこんのクライアントにはPat Flynn(パットフレイン)の名前を何度も出していますし彼のようなビジネスモデルを作ることを推奨しています。Teachableのブートキャンプやミートアップで彼はいつも登壇して喋るので、Teachableのニュースレターを読んでいる人は彼のことをご存知と思います。オンラインコースビジネスで成功している人は誰?と英語圏で聞けば多くの人が彼の名前を挙げることでしょう。彼のサイト、一度でいいから確認してみてください。ものすごく洗練されています。
そういえばビジネスパートナーの山田どうそんさんにもPat Flynn(パットフレイン)のモデルを紹介したことがあります。山田さんが石川県の手取川にあるロッジに来てくれたときのこと。僕らは年に1回に山小屋にこもり、お互いの知識を交換します。最近、僕はお勉強をしていないので、デジタルマーケティングの最前線はいつも山田さんから教わることが多いです。山田さんはボソッとこう言いました。「収入に頭打ちが来てる」と。その時点で山田さんのネットビジネスの不労所得は2000万円を超えていたので、僕としてはそれで十分では?と思っていたのですが、山田さんはさらに上を目指していました。
ちなみに越後湯沢で初めて会ったとき、とりあえずネットビジネスで月に30万円欲しいと言っていました。ついこの前の出来事です。それを宣言してからすぐに月収30万円は達成され、次は50万円を目指すと言っていました。それを宣言してからまたすぐに月収50万円は達成され、次は100万円と。ハンズオフで回るビジネスモデルから100万円の収入があればとりあえず働くのはやめると言っていたのに、100万円を達成したら今度は200万円を目指すと言い出しました。エバーグリーンファネルからの収入が月収200万円を超えたら働くのをやめるとまた同じことを言っていました。で、手取川で会ったとき、安定して200万円を稼いでいたのに、やっぱり働くのをやめていなかった。それどころか「エバーグリーンファネルからの売上が頭打ちしている」とのたもうている。彼はまだ上を目指すつもりなのです。いうまでもなく、それ以降も山田どうそんさんのキャッシュフローは倍々ゲームで伸びています。まるでJohnson&Johnsonの売上のように、毎年増収増益状態です。
自らが実験台となってデータをシェアするストラグラー型がおすすめ
さて、200万円の不労所得で満足できない山田さんに僕は何と答えたか。山田さんがpodcastを熱心にやっていて、podcastを上手にマーケティングに利用していたので、Pat Flynn(パットフレイン)を思い出したのです。Pat Flynn(パットフレイン)もpodcastの名手で、Power Up Podcastingというオンラインコース を10万円ほどで販売しています。山田さんの販売してる商品の価格帯に比べてPat Flynn(パットフレイン)のそれは少し高めです。もし収入の上限をブレイクスルーにはターゲット層を少しずらし次に投入する商品の値段を上げることだと僕は思っていたので、山田さんにPat Flynn(パットフレイン)の価格帯と商品群をモデリングしてはどうかと提案しました。山田さんはとても幸福そうな顔をしていました。
ちなみにこの会話は手取川の広瀬町にある「はせがわ」という古民家レストランで繰り広げられたものです。山田さんも「これはリピするわ」と絶賛していました。おいしいので一回行ってみてください。予約しないと入れないお店です。
さてPat Flynnが「smartpassiveincome.com」というネットビジネスをローンチした際、彼はストラグラー型のアーキタイプを選択しました。Pat(パット)はオンラインビジネスの分野に対して不慣れであることを認め、自分のことをcrash-test dummyと呼び始めました。「クラッシュテスト用ダミー」なんのこっちゃ?車の衝突実験で使われるダミー人形のことです。僕は自分の体を使って実験するよ、たくさん失敗もするけど、うまくいくこともある。それら失敗も成功も全てデータとしてあなたにシェアします…と言ったスタンスです。僕は何度でも壁に衝突してクラッシュします。そのデータを提供するから、あなたは安全運転してね、みたいな。
ストラグラーは、strugglerと綴ります。struggleは苦悩するという意味です。英語圏のネットビジネスでは、struggle は problem と同じ頻度でよく使われます。見込み客が悩んでいることや、苦悩していること、あるいは問題と感じていることをあなたの商品で解決するのがネットビジネスの基本であることはあなたもご存知のはずです。ネットビジネスにいざ参入するとなると、みんなすぐに「先生」になりたがる。これは大きな過ちです。せっかくインターネットという高速道路に乗っているのに、皆が同じトンネルを通ろうとするから大混雑をしています。全国つつうらうら、高速道路は張り巡らされているというのに。
僕らのようなリソースの少ない個人ビジネスに、競争はご法度です。いや、個人でなくとも、大企業でも競争はしない方がいいでしょう。ドラッカーも「できることなら競争しない方がいい」といっていますし、その競争に勝つためにできることは一つしかないといっています。それは「選択と集中」であり換言すれば「リソースの1点投下」です。他と差別化するために、あえて資源を1つに絞って違いを創造するのです。
僕らはもっぱらビデオです。2015年の2月以降、ずっとビデオをビジネスの中心に据えてきました。セールスレターはボロボロだし、ステップメールも書かない。もちろん毎日ブログを更新する余裕もないし、日刊のメルマガも書いていません。シンプルに言って、リソースが足りないからです。全てのリソースをビデオに投下しているから他には手が回らないのです。幸い、ビデオを軸にしたプロモーションがうまくいっているので、なんとか凌いでいるわけです。ネットビジネス を個人単位または少人数でやっている人が、他人のそれをパクることほど馬鹿げたことはありません。わざわざ競争の中に身を突っ込む行為だし、混んでいるトンネルに猛スピードで突っ込むようなものです。追突しまっせ!
儲けの源泉は市場に無競争状態を作り上げること
桜の季節、改造した超かっこいいスーパーカブにキャンプ道具を積み、新潟県と群馬県の県境にある三国峠を、多くのバイク乗りが気持ちよく疾走しています。桜吹雪の中を駆け抜ける比較的車体の細いバイクは本当にクールで、無茶苦茶、絵になります。あれみて、僕もバイクやりたくなるのです。よほど物好きの人でないと三国峠まで来てツーリングはしません。ちなみに三国峠にはたくさん熊と猿が出没します。三国峠を越えて、5キロほど走らせると左手に苗場スキー場が見えます。そのまま突き進むと田代スキー場、かぐらスキー場が見えます。さらにまっすぐ下りていくと、湯沢の温泉街につきます。「人参亭」という美味しいトンカツ屋さんがあるので行ってみてください。僕らがかつて湯沢で山籠りをしている時、よくお客さんを人参亭に連れていきました。もちろん先ほど登場した山田さんとも一緒に行きました。当然、お財布は山田さんです。お金持ちの友達を持つといいことしかありません。
さて、新緑の美しい三国峠。全然混んでいません。車間距離をたっぷりとっても走行可能なくらいすいています。途中途中に登坂車線があるので、余計に混み具合は少ないです。ゴールデンウィークに三国峠を越えて、群馬県のみなかみに行きました。満天の星の湯でバーベーキューをしました。2019年のことです。全然混んでなかったです。赤谷湖(あかやこ)という素晴らしい湖を眺めながら、それはそれは見事な初夏の風景がそこにありました。こんな素敵な場所なのに、三国峠は全く混んでいない。
一方で、超混んでいる道路もあるのです。それはトンネルです。そのトンネルはサイバー空間にあります。名前をつけるのであれば「先生トンネル」です。ネットビジネスをやろうとしている人、あるいはやっているけど結果を出していない人の99%が通ろうとするトンネルです。トンネルの中で追突事故が発生しています。そもそもトンネルを抜けられる人は少ないのですが、抜けた後も地獄であることを知っている人は少なくありません。なぜなら「先生トンネル」を通ろうとする時点で、ネットビジネスの素養がないからです。競争を回避するのがビジネスの鉄則であるにもかかわらず、わざわざ行列のあるラーメン屋が美味しいと錯覚するかのように、混んでいるトンネルを見て「俺も行こう」と判断するのですから、万が一トンネルを抜けた後も、また混んでいるトンネルなのです。競争に疲れた人はエンストしておいまい。つまりこのネットビジネス というマーケットからの退場を意味します。
さあ、ここで白状しましょう。ネットビジネスで儲かるためには、人のいない道を通るのが一番です。僕は就職もせず、せどりもせず、バイトもせず、インターネットビジネス1本で生きてきました。僕がどのくらい成功しているかはさておき、この業界に長くいるのは間違いありません。星のように現れては、数秒で消えていく人もたくさん見てきました。知名度だけ上げて、大して儲からずに退場した人もいます。知名度も上がらず、しかも儲からずに消えた人もいます。誰が見ても「絶対こんなビジネス成功しないだろう」と思えるようなものでも、本人に自己肯定のバイアスが働いて「いつか30万円稼げるようになる」と信じて毎日のようにゴミのようなブログを書き続けてそれをピンタレストで共有している人もたくさんいます。(何でピンタレスト?とあなたは思いましたか?はい、それが正常な感想だと思います。でもやっている本人はそれがマーケティングになると信じているのです)
「先生ビジネス」は、僕はあなたよりも優れているから、それを教えてあげる。代わりにお金を払いなさい、という構図です。日本のネットビジネスの99%はこのパターンでしょう。おかげで日本には実績や結果もない「先生」がたくさんいます。茨城県の実家に住むアラサーのおっさんが、アフィリエイトで5万円ほどしか稼いだことないのに、自らをウェブマーケターと自称してオンラインコース を販売している。よくあることです。残念ながらお客さんは馬鹿じゃないので、アフィリエイトで5万円ほどしか稼いだことのない人間のうわべの姿を見抜いてしまいます。当然、彼から商品を買うことはない。おかげで彼も儲からない。気づいたら子供部屋に住み着いて10年がたち、いわゆる子供部屋おじさんになってしまった。独身、無職、貯金は0。
本当にダイエットに成功してそのダイエット方法が画期的であれば「先生ビジネス」をやることに何の問題もありません。まあ仮に参入したとしても、血みどろの競争が待っているだけですが。問題なのは、先生でもないのに先生のふりをしている人たちが大勢いることです。
- ちょっと痩せただけでそのやり方を教える。
- ちょっとアフィリエイトで稼げたからそのやり方を教える。
- ちょっと株式投資でうまくいったからそのやり方を教える。
残念ながら、ちょっとうまくいった経験であれば母数が大きすぎるのです。うちの4歳の息子でさえインラインスケートを4日間の練習で滑れるようになりました。そういう意味では、人生経験の浅い息子ですらインラインスケートを「ちょっとうまくいった経験」としてカウントできることになります。うちの息子が「お父さん、僕はインラインスケートのやり方をUdemyで教えることにするよ」と言い出しても僕は止めます。「確かに4歳でインラインスケートできるのはすごいと思うよ」と前置きした上で「同じようにインラインスケートできる子はたくさんいるんだ。だからもっとうまくなってからそれをマネタイズしようね」と続けます。
ストラグラー型のビジネスでも1億円規模のビジネスを作れる
この先生ビジネスの面白いところは、自分がうまくなればなるほど、あるいは実績を積めば積むほど、競争相手は少なくなるという点です。同じ実業界の成功者がYouTubeに参入したとしても、1000億円を記帳できるのは前澤さん一人だけということです。これから先生ビジネスに参入する人はよく覚えておいてください。結果ほどユニークバリューを出せるものはない、と。結果が小さければ小さいほど競合が増えるので、競争は厳しくなり消耗します。結果をもう少し積めば、競合は一気に減るのでその後の競争は楽になることを覚えておいてください。
さて、先ほど問題は「ちょっとうまくいった経験」を持っている人が先生ビジネスを始める弊害について説明しました。こんな悲劇が生まれるのは、日本人のネットビジネスに参入しようとする人が「先生ビジネス」しか知らないからです。別に先生にならなくたってお金を稼ぐ方法はたくさんあるのです。Pat Flynn(パットフレイン)がそのいい例です。彼のやり方を見ると、先生にならなくても、素人でも、ストラグラーとしてお金を稼げることに気づくはずです。
Pat Flynn(パットフレイン)はストラグラーとして、ネットビジネス上で透明性の高い収入報告書や収益性の高いニッチな実験をシェアし続けました。例えば「Uber Eatsで本当に月収40万円稼げるか」というネタをブログにしたのは彼が世界で初めてでした。別にPat Flynnは、Uber Eatsで稼ぎまくっている人ではないのです。あくまでも自分を実験台にして、率先してストラグル(苦悩)を買ってでるのです。ちなみにUber Eatsネタよりも遥か前に「Uber Driverで本当に月収40万円稼げるのか」というネタもブログに投稿していました。これもやはり彼が世界で初めてでした。
ダミー人形として、たくさんの壁に衝突し、データを世の中に共有し続けた。その結果、数億円規模のビジネスを成長させることができ、彼のアーキタイプに心酔する見込み客たちをたくさん獲得することができたのです。繰り返します。彼はたった一人で億越えのビジネスを作ってしまったのです。彼はメインストリームの「先生」ビジネスを選ばなかったのです。先生ビジネスを選んで、実家暮らし・実績なしの人間がウェブマーケターやら億万長者を名乗らなくても、ストラグラーのポジションでしっかりと億を稼げるのです。
現在、Pat(パット)のネットビジネスはシェルパ型に近いアーキタイプとなっています。これは彼が長い期間、オンラインビジネスの分野に携わり続け、社会的にも広く知られるほどの成功を掴むことができたからです。
一方、Michael Hyatt(マイケルハイアット)はセージ型のアーキタイプを中心に、サイトの構築をおこなっています。出版大手のThomas Nelson社でCEOを務めた彼の権威性と、ニューヨークタイムズのベストセラー作家であるという立場を活用し、リーダーシップ・メンターという地位を確立したのです。
サブスクリプションの導入方法を教えるオンラインスクールビルディング2.0の商品の中でもマイケルハイアットについては何度も言及しました。彼のプラットフォームユニバーシティーと言うサブスクリプションは世界でも最も成功している月額課金のプログラムです。
日本では、オンラインサロンで稼いでいるホリエモンやキングコングの西野さんがセージ型でしょう。ZOZOを売却した前澤さんもYouTubeをやっています。彼の場合はもうお金なんて稼がなくてもいいくらいたくさんお金を持っているんですが、彼が【初投稿】1000億円を通帳に記帳してみた、と題したビデオを投稿すればすぐにバズります。Yahooのトップニュースにも載りました。前職での圧倒的実績を次のビジネスに持ち込んだ、セージ型の典型といえるでしょう。競艇選手の峰竜太、メジャーリーガーのダルビッシュ、サッカー日本代表の長友・・・こう言った現役のレジェンドな人物がYouTubeに参入するのもやはりセージ型と言えます。
石崎力也のビジネスモデルはストラグラーとシェルパの中間
さて、僕のビジネスモデルはどうでしょうか。3つのアーキテクトで言えば、Pat Flynn(パットフレイン)と同じくストラグラーとシェルパの中間くらいと言えるでしょう。最初は、海外のデジタルマーケティングを日本に紹介するだけの人間でした。大した実績はありませんでした。「MailChimpでステップメールを組んでみた」「Udemyで10コースをリリースしてみた」「ClickFunnelsを使ってアップセルを実装してみた」といった、やってみた系のネタをどんどん投稿していました。特に人気だったのは「PayPalでチャージバック詐欺を受けました」という失敗ネタです。こんなことを2年も続けていたら、いつの間にか、儲かってしまいました。
ClickFunnelsでファネルを1つ作れば、そのファネルからは1年で6000万円近くの売上が計上されるようになりました。コンサルティングを販売すれば、断らなきゃいけないくらいのお客さんが集まってしまった。法人向けに超高額な業務委託をセールスすれば、こちらもやはり定期的に決済がある。ちなみにこのサービスは1つ成約すると、家が1戸立ちます。YouTuberのようにプライバシーを切り売りしなくても、大して知名度がなくても、高単価の商材をお金のあるユーザーに売れば、こんなにも稼げるんだと、我ながら驚いている最中です。
僕は自分が成功したこと、失敗したこと、やっていることしか教えていません。例えばUdemyには150,000人の受講生がいます。だから僕はUdemyについて教えることができます。またマーケティングオートメーションを運用しておりビジネスがほぼハンズオフで回っている点を鑑みても僕はマーケティングオートメーションを教えるにふさわしい人間です。Shopifyで過去iTunes Cardを販売したことがあります。これ利用規約違反ですよね、今は。沖縄の宜野湾にあるEdionで150万円分のiTunes Cardを購入しました。クレジットカードで。アホみたいでしょ。それをブラジル人とか、アメリカ人に売るんです。日本のiTunes Storeでしか買えないアプリを購入するには日本で発行されたiTunes Cardが必要なんです。まさに薄利多売。さあ、僕たちを待ち受けていたのは、チャージバック詐欺でした。
最初は調子良かったんです。3分に1回のペースで決済があり、薄利多売でも、塵も積もれば山となるように、結構なお金になりました。まず最初のチャージバックはフロリダ州の人間が起こしました。当時、配送先住所とアクセス元のIPアドレスを参照することもなかったので、このフロリダ州の詐欺師が本当にフロリダからアクセスしていたかは知りません。PayPalはちっとも売り手保護ではないんです。クレジットカード会社にすごい弱いのです。クレジットカード会社の決定にすぐに従う。クレジットカード会社は顧客を優先するので、売り手の僕たちを守りません。手口はこうです。
まずスキミングやらハッキングなどで、そのフロリダの詐欺師が他の誰かのクレジットカードを盗む。その盗んだクレジットカードを使って僕たちのiTunes Cardを購入します。iTunes Cardを送付する前に、僕たちはコードだけを、SendOwlというアプリを使って配送していました。そのコードを、フロリダの詐欺師はeBayで販売してすぐにマネタイズします。クレジットカードの本物の持ち主が請求書を確認して、何だこの決済は?ということでVisaなりダイナースなりアメックス なりに問い合わせて、チャージバックがクレジットカード会社経由で起こります。
PayPalにもStripeにも、審議にかける上告プロセスがあるんですけど、上告してもお金が返ってきた試しがありません。いかに僕たちがこういうプロセスでこういう商品を販売したとアクセスログ付きのスクリーンショット で報告したとしても、お金は返ってきません。しかも1500円の手数料がかかるのです。じゃあもう素直にチャージバックに応じてお金を返した方が早いしダメージも小さくなります。もちろん商品を回収しようとしても無駄です。すでにコードは全て使われていました。
次に僕たちがやったことはShopifyの保険サービスアプリ・signifydを使ったことでした。signifydに保険手数料の名目で売り上げの8%を払うことで損失分を補填してもらいます。保険手数料は、実績やビジネスの形態によって変わります。僕らも何度か交渉を繰り返して10%の手数料を8%にまで下げてもらいました。家具の販売、手作りクラフトアートなどのタンジブルなものを扱う場合は、トラッキングコードを発行できるので、チャージバック詐欺は起こりにくく、仮に起こったとしてもPayPalの売り手保護のプロテクションを受けられるので、損失は小さくなります。それゆえsignifydの保険手数料も5%ほどに抑えられます。僕たちはiTunes Cardのコードというデジタル商品を販売していたので、保険手数料が8〜10%と無茶苦茶高かったのです。
考えてみてください。1500円分の日本版iTunes Cardを$20で販売したとしましょう。$20のうち10%がsignifydに支払われたら、手元に残るのは$18です。ここからさらにShopifyへの手数料、さらにはPayPalへの手数料と引かれて、1回の決済で得られる利鞘は50円ほどです。仮に1日100回の決済があったとしても、儲けは5000円です。こんなビジネスやってられるかよ。僕は心底そう思いました。だから利益は出ていたけれど、頻度高く起こるチャージバック詐欺に疲れ、ビジネス自体を閉じてしまいました。
人の猿真似をするな!目の前の問題を1つ1つ解決せよ
2013年の話です。僕は今でもマーケティングオートメーションの世界に傾倒していますが、全てのはじまりはこの全世界を商圏としたネット通販でした。旅をしながらでも在庫を持ち運べるのは何か。iTunes Card 50万円でも名刺ケースに収まる大きさなのは知っていましたか?Shopifyで決済を受けて、SendOwlに一括登録しておいたコードをZapierのタイムラグ機能を使ってユーザーに届けます。決済直後にコードを届けないのは、signifydに信用状況をチェックしてもらっているからです。signifydは、ユーザーの安心度を赤、黄、緑の三色で報告してくれます。きっと登録されたメールアドレスを自動で検索にかけてFacebookやTwitterなどに紐づけているかなどをAPIで引っ張ってくるんだと思います。もし緑色の安全だと思われるユーザーが問題を起こしたら、全額を補填してくれます。赤色や黄色だったら、そもそも僕たちが fulfillment ボタンを押しません。今でも覚えています。わざわざ手動で shopifyのfulfillment ボタンを押しても、チャージバックされるなんて馬鹿げているよな、と思いながらクリックしていたものです。
僕はいまだにフロリダとニュージャージという単語を聞くと反応してしまいます。チャージバック詐欺を起こすのは、フロリダ州とニュージャージ州の人間が多かったからです。
このECサイトで僕がやったことは2つだけです。1つはSendOwlというアプリにiTunes Cardのコードを登録すること。それも写真で処理していたのでわざわざコードを打ち込む作業はありませんでした。もう1つはsignifydが安全と判断したユーザーの fulfillment ボタンを押すことでした。それだけ。この作業を繰り返すだけで、月収50万円〜60万円の利鞘が出ていました。
僕はそのお金を軍資金にして、2年間も新婚旅行を続けられたのです。辞めようと思ったタイミングを明確に覚えています。僕たちは仁川空港にいました。JFK行きの飛行機を待っていたんです。フライト直前にPayPalのカスタマーサービスから電話がかかってきて、ニュージャージ州から大量のトランザクションがあるけど大丈夫か?と日本語が流暢なおそらく中国人のサポートから伝えられたのです。「いや、搭乗時刻まで残り15分だけど。何もできないけど・・・」と僕は思いました。その時、言葉では形容し難い怒りが込み上げてきたんです。案の定、12時間のフライトで一睡もできず、JFKについてもひとつも嬉しくない。
ブルックリンにあるAirbnbを30日間借りました。お部屋についてすぐにPayPalのカスタマーサポートに電話しました。「NYPDに連絡してみてはどうか?」と提案してきました。まさかニューヨークに来てニューヨーク市警に身元不明のニュージャージ州の詐欺師について話すことになるとは思いませんでした。ぶっちゃけいうと、詐欺師はインド人かもしれないし、イタリア人かもしれない。ブラジル人かもしれないし、日本人かもしれない。IPアドレスなんて簡単に偽装できますから。
ちょうどこの頃、僕がstrugglerとして活動していたネットビジネスが軌道に乗り出したのです。もちろんこのチャージバック詐欺を受けたことも、Udemyのコースにしたし、ブログにも書きました。不幸中の幸いと言いますか、その僕の失敗談を聞いて勇気づけられた人からたくさんフィードバックや励ましの声を受けました。そうです、今やっている僕のオンラインコース ・ビジネスの原型がここにあるのです。
もともとオンラインコースビジネスをやろうと思ってやり始めたわけではなく、目の前の問題を1つ1つ解決していたらいつの間にか今の仕事になっていったのです。これは一橋大学教授の楠木建さんの本にも書いてあったのですが、カルビーのCEOを引き受けたプロ経営者の松本晃さんは最初からプロの経営者になろうと思っていたわけでなく、目の前の問題を1つ1つ解決していたらプロ経営者と呼ばれるようになったのです。オンラインコースビジネスが儲かるからそれに飛びつこうとする人が最近増えました。オンラインコース ・ビジネスという僕たちが言い出した言葉をそのまま使って事業を作っている輩もいます。でも土台が違うのです。僕は目の前に忽然と現れたその当時の僕に対応できるかどうかわからない問題を、大量の検索行動と、各種デジタルマーケティングツールのサポートとの折衝(せっしょう)の結果引き出したこちらに有利な条件をベースに、少しずつビジネスモデルを改善してきた。その繰り返しが、今のネットビジネスに繋がっているわけです。
僕の話はどうでもいいや。あなたも struggler としてお金を稼げますよ、という情報をシェアしたかっただけです。僕のように自己顕示欲の強い人間はすぐに自分の話をして、優位性を示そうとするから大変です。ごめんなさい、余計なこと言っちゃって。
さてさて。ここまであげたいくつかの例を鑑みて、まずは自分のネットビジネスをどのようなポジションで確立したいのかをよくよく考えましょう。そして、自分自身の心に正直になって考えるのです。あなたがネットビジネス上で扱う分野は、すでにあなたがある程度の権威性や知名度を得ているものでしょうか。その場合、どのような権威があるか具体的に考えてみてください。また、あまり経験のない業界であっても、ネットビジネスを成功させることができることは、Pat(パット) Flynnの「smartpassiveincome.com」で明らかとなっています。ストラグラー型のアーキタイプを選択することで、見込み客たちの信頼を得ることができるからです。
あなたのネットビジネスに合う形容詞を選ぶ(ブランド・ディスクリプティブ)
アーキタイプを選択したら、見込み客からの認識をさらに深めたいと思うはずです。まずは、オンライン上で自分のことをどのように捉えてもらいたいかについて考えましょう。あなたのブランドを象徴するような形容詞をいくつか選択します。そのため brand descriptives は 海外では brand adjectives とも呼ばれています。adjectives は形容詞という意味です。
見込み客が、あなた自身やあなたのネットビジネスをどう説明することが望ましいかイメージするのです。そして、見込み客が説明する際に使ってほしい形容詞のリストを作りましょう。このリストに並べられた言葉群は、ネットビジネスのデザインやブランディングに取り入れていくべきものとなります。
たとえば、「楽しい」や「フレンドリー」という言葉が思いつくかもしれません。あるいは「信頼できる」「プロフェッショナル」といった言葉がリストに並ぶかもしれません。あなたの理想である言葉を自由に考えてみましょう。あなた自身にイメージがなく、ネットビジネスのデザインやブランディングになんの意図も加味せず、見込み客に説明を委ねることだけはしてはいけません。
石崎力也は「フリー」と言う概念がぴったりだと思います。僕も意図的にその点を強調している節があります。でもそれは情報商材を販売して一儲けして「自由になろう」と言った時のものではなく、まるで実力と才能の交差点をマネタイズするかのようにしっかりと技術を伴ったフリーを意識しています。そういう意味では「フリー」の他に、技術的なという形容詞の「テクニカル」もいいかもしれません。
僕の顧客は平均年収3000万円を超えるので皆さん頭がすごい良いです。超スマート。そういう賢い人たちをペルソナにするためには「情報商材を販売して一儲けしよう」みたいな俗なフレーズじゃダメなのです。ただ単に「自由」とか「フリー」を連呼してるだけでは学生や主婦あるいはアメブロ界隈にいる全く成功していない自称女性起業家、コーチ、カウンセラーもどきなどが寄ってくることになります。でも僕にとって彼らは顧客の対象外です。そういう意味で「マーケティングオートメーション」というキーワードをあえて強調することで「個人ではでnきないんじゃない?」「難しいんじゃない?」と思ってしまう冷やかし客を弾いて顧客を選別するようにしています。覚えていますか、ダンケネディのマグネティックマーケティングはただ単に見込み客をくっつけるように集めるだけじゃなく、見込み客ではない人たちを引き離す役割を持っています。磁石はくっつけるだけではありません。磁石には引き離す機能もあるです。
あなたがご自身の形容詞を決めることで、引き付けたいお客さんが決まります。同時に「引き離したいお客さん」も決まることを念頭においてください。「自由な」という形容詞を使えば規律を求める人や、責任の伴わない自由なんて無意味だと感じる人、を突き放すことになるのです、極論を言うと。でも、それでいいのです。繰り返します。磁石には、引きつける機能と引き離す機能があるのです。僕たちのビジネスも、ブランディングを強める過程で「引き付けたいお客さん」と「引き離したいお客さん」を二分化していく必要があります。
バリュー・プロポジション・ステートメントの作り方
さてこれからあなたはバリュープロポジションを作ります。今回のトレーニングビデオにある最後の課題、バリュー・プロポジションの作成を進める中で、あなたがどんなビジネスを作りたいか明確になるはずです。バリュー・プロポジション・ステートメントは、構造化されたステートメントであり、自分が誰で、どんな人を対象として、どのように問題を解決していくのかを定義するものです。
大事なことなので再度強調しておきます。このステートメントは
- 自分が誰で
- どんな人を対象として
- どのように問題を解決していくのか
を定義するものです。
このステートメントを見込み客に公開するかどうかは自由ですが、ネットビジネスを構築するプロセスで、どんなことをするのか、どんなことをしないのかなどを決める重要なフィルターとなるはずです。バリュー・プロポジション・ステートメントは、フレームワークにしたがって作成できます。次のフレームワークにおける【 】に当てはまる語句を入れてみましょう。
私は【 あなたのプロフェッショナルまたはアイデンティティ 】です。私は【 あなたが対象とする見込み客 】を助けます。(あるいは【 あなた独自の解決策 】を理解することをサポートします。)
僕の場合はこうなります。
私は【 マーケティングオートメーションの専門家 】です。私は【 オフラインの仕事で忙しい年収3000万円以上の経営者のオンラインシフト 】を助けます。
僕と小川さんはこのステートメントをベースにしてビジネスを構築しています。僕たちのブログ、Udemyに公開しているコース、ウェブサイト、オンラインスクールを確認してみてください。すべてにこのステートメントの思想が背後に流れているのを確認できるはずです。
ここからは石崎力也以外の完成したバリュー・プロポジション・ステートメントの例をいくつか紹介し、どのようにフレームワークを完成させればいいのか理解できるようにしていきます。参考にしてください。
本間さんの例:
「私は【 テクノロジー・ライフスタイル・コーチ 】です。私は【 成功しているものの、仕事でいっぱいいっぱいになっているビジネスリーダーのために、カスタマイズされた生産効率向上システムを設計することで、彼らがコントロール感を取り戻し、もっとも重要なことに集中できるようになること 】を助けます。
井坂さんの例:
「私は【 Podcasterかつ講演家 】です。私は【 養子縁組後の長いプロセスに関しての真実を語ることで、養子縁組をしている母親たち 】を助けます。
小野田さんの例
「私は【 講演家かつ作家 】です。私は【 やる気はあるけど、手いっぱいになってしまっている父親が、自分の家族をどのようにリードし、どのように愛していくべきか学ぶこと 】を助けます。そうすれば、彼らは一生涯、充実した結婚生活を送ることができ、子どもたちに有意義な影響を与えることができるのです。」
これらは、コンプリートバンドルにおける卒業生の数例に過ぎませんが、あなたがバリュー・プロポジション・ステートメントの完成したフレームワークがどのようなものであるべきか理解するのに十分な参考資料となるでしょう。さあ、今度はあなたの番です。紙とペンを用意して、アーキタイプの選択、ブランドに関する説明文作成、バリュー・プロポジション・ステートメントの作成という、ブランド・アイデンティティに関する3つの異なる側面を完成させてください。
バリュー・プロポジション・ステートメントが完成したら、コメントで共有してください。あなたの次のステップはついにあなたのネットビジネスそのものについて説明をしていきます。もう直ぐ完成です。その調子でがんばってください!