このレクチャーでは、あなたのWebサイトにアクセスする前にユーザーがどのページにいたのかをトラッキングする方法について紹介します。魔法のようでしょう?実際に、あなたのWebサイトでそれを設定することはできるのですが、ユーザーとシェアするリンクをフロントエンドでカスタマイズしなければなりません。
最初にUTMと呼ばれる小さなコード、またはスニペットとも言いますが、これについて紹介します。UTMについての話は少し難しくなるかもしれませんが、できるだけシンプルにお話をしていきます。そして、もちろんこれらのコードを暗記する必要は一切ありません。説明のためにお見せするだけで、頭の中に叩き込もうとするような努力はいりません。
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UTM(Urchin Tracking Module)とは?
UTMは「Urchin Tracking Module」を省略させた言葉です。簡単にUTMを言い表すと、手動トラッキングデータのスニペットです。Google Analyticsのために設計されたUTMですが、他のツールでも使うことができます。ユーザーとリンクを共有した時に、リンクが表示されたページ、もしくはリンクの目的を指定することができるトラッキング情報を知ることができます。
デフォルト設定では、ソーシャルメディアやメールのようにメディアを指定しなければなりません。例えば、Facebookのようなプラットフォームや「rikiyaishizaki.com」のようなWebサイトのようにトラフィックを配信しているものが対象になります。また、UTMはユーザーがそのリンクを見ている理由を特定する必要があります。
ここまでの説明で合点がいかなくても大丈夫です。今からお見せするビジュアルで理解できるはずです。UTMで使用できる2つのパラメータに「content」と「keyword」があります。ただ、これらはオプションであり、このプロセスを開始する際にはまったく不要です。あまりにも多くの情報があるため、最初から理解することはできないと思っても構いません。状況に応じて、どのように表示され、どのように機能するのかを少しずつ理解していきましょう。
UTMのパラメーターが入ったURLを生成するウェブサイト
このプロセスを信じられないほど簡単にするため、オンラインにあるリンク・ジェネレーターを使いましょう。
これからお話しする点を押さえてもらえれば、先ほど説明した全ての情報は忘れてもらっても構いません。ここで僕らがしようとしているのは、トラッキング・インフォメーションを含む特定のリンクを作成することです。あくまで僕らが知りたいのは、「ユーザーがこのページにアクセスする前にどこにいたのか」という情報であることを覚えておいてください。
例えば「rikiyaishizaki.com」のリンクを共有するとします。あなたに設定いただきたいのは「medium(ミディアム)」「source」「campaign」の3つのカテゴリーです。以前にも言いましたが、「medium」は僕らが使用しているチャネル、媒体のことです。
Googleで選べる「medium」は「email」「social」「referral(リファーラル)」「organic」「PPC」の5つです。「email」はメール自体を媒体として行われる全てのコミュニケーションを差しています。例えば、ConvertKitを使ってニュースレターにメールを送信したり、購読者にブロードキャストしたり、Gmail、Yahoo、Hotmailアカウントで誰かにメールを送信する場合は、メール・チャネルを選択します。
「medium」「source」「campaign」はシーケンシャル、または階層型と捉えることができます。「medium」はトップレベルかつ非常に狭いカテゴリ。「source」はそれよりも少し広く、「campaign」はあなたが望むように広く設定ができます。「constant」と「keyword」については今はスキップしますが、慣れてくれば、これら2つのパラメータを好きなだけ作ることができるでしょう。
Medium、Source、Campaignとは?
初めに設定すべきなのは「medium」です。このリンクを誰かが取得した理由はなぜかを特定していきます。例えば「rikiyaishizaki.com」というリンクを含むメールをメーリングリストの購読者に送信したとします。この場合、媒体はEメールなので「Email」 を選択します。
次に「source」を設定します。これが、僕らのページにユーザーをアクセスさせているものになります。もしこのメールをConvertKit経由で送るとしたら、「source」はConvertKit自体になります。このレクチャーでは、実際にその例を示していますが、もちろん「source」も自由に選んでもらって構いません。
このリストにないソースを使用している場合…例えば、ConvertKit以外のメールサービスを使用しているとしましょう。その場合は、あなた独自のパラメータをGoogle DocsやSpreadSheetに保存して置いてください。そこに簡単なディスクリプションを加え、オプションとして追加できます。
ここで注意すべき点があります。たとえば「convertKit」と指定したものと「ConvertKit」と指定したものでは、実際には同じものを指していても、Google Analyticsからは2つの異なるソースだと認識されてしまうからです。どのソースを使用するか最初にしっかりと指定して、スペルと大文字小文字の区別が一貫していることを確認することが大事です。
最後は「campaign」です。例えば、購読者に対してブログコンテンツの最新情報を提供したり、「rikiyaishizaki.com」のリンクを送信したりするとします。
「Campaigns」へ移動し「students」を作成しましょう。あなたのコースを購入してくれた生徒を指します。ディスクリプションも追加し、先ほど作成した「students」を次のように明記しておきます。「オンラインコース の受講者や有料購読者へのメールを使ったコミュニケーション」と追加情報を書いておきましょう。
次にリンク・ジェネレーターに戻ります。すると、完全に構造化されたURLが出来上がっていますね。実際のリンクの後に「?」が追加され、その後に「utm_medium=email&utm_source=convertkit&utm_campaign=students」と続いています。
わざわざURLの構造を覚えて、毎回リンクを作成する必要はありません。先ほど使用したリンク・ジェネレーターのURLを変更するだけで、このように構造化されたリンクを作ることができます。
リンク・ジェネレーターへのリンクは、https://ga-dev-tools.appspot.com/campaign-url-builder/ です。購読者とリンクを共有する前にリンク・ジェネレーターを覚えておかないといけないのは少し手間かもしれません。しかし、実際にプラットフォームを運用してみると、その有用性を肌で感じられるでしょう。
UTMのパラメーターを含むURLをConvertKitで送信する
ConvertKitでオンラインコース の受講者に「rikiyaishizaki.com」へのリンクを貼ったメールを送ります。このリンクは自動的に生成されますので、コピーをしてConvertKitに移動しましょう。
今、僕らはConvertKitにログインしています。「Broadcast」 タブをクリックし、新しいブロードキャストを作成しましょう。
“Next step”を選択して「クリックして僕のブログへアクセス」と入力。“Link”ボタンをクリックし、URLを貼り付けます。「https://rikiyaishizaki.com/?utm_source=convertKit&utm_medium=email&utm_campaign=students」というリンクが表示されましたね。これを挿入すると、リンク自体が表示されました。
おそらくメールのプレビューを確認しても、それほど複雑なメールにはなっていないはずです。リンクをクリックしてみましょう。普通のWebサイトをロードするだけです。ちなみに、リンクの末尾にあるこれらのパラメータは、あなたのWebサイトになんら影響を与えることはありません。しかも、ほとんどのブラウザはパラメータを二次情報と認識してくれるため、グレー表示かフェードアウト表示されることになります。
これは重要なことです。例えば、あなたが「People I Really Thin Will Buy My Product(僕の商品を買ってくれそうな人達)」というキャンペーンを作成したとしましょう。ユーザーはブラウザでそれを確認することができるため、キャンペーンの名前は慎重につけましょう。「students」などは無難かつフレンドリーなネーミングかと思います。
UTMの情報がGoogle Analytics でどのように表示されるか確認する
末尾に文字列が追加された「rikiyaishizaki.com」のリンクをロードしました。シークレットモードのブラウザで開いているので、Google Analyticsは僕のブラウザであることが認識できません。バックグラウンドで追跡しましょう。Google Analyticsアカウントを見てみます。
現在「rikiyaishizaki.com」にいる状態ですが、トラッキング・インフォメーションが届いていますね。メディアにemail、ソースにconvertKitが表示されています。
このリンクを作るのはとても簡単でしたが、なぜそれが重要なのか、説明します。リンク・ジェネレーターに戻ります。
このケースでは、Facebookへの投稿だとします。「campaign」は“new blog post”または、 “new post”とでもしておきましょう。TwitterやLinkedInやその他のソーシャルメディアなど、なんでも構いませんが、この投稿をする理由は、人々に新しい投稿記事をお知らせするためです。その目的がわかれば、「campaign」の名前はなんでも構いません。「sources」や「campaigns」に名前をつけてGoogle Docsなどに保存するときには、この点を意識して名付けましょう。
このURLをFacebookに投稿した場合、ユーザーはUTM文字列を実際に見ることはありません。Facebookは、これらの情報を隠してくれるようになっています。そのため、表示されたリンクをクリックするだけです。新規タブが開き、ナビゲーションバーにUTMの文字列が表示されたデモWebサイトが表示されます。UTMがあること以外は、何も変わらないですね。
「じゃあ、どんなメリットがあるの?」このように疑問を持っているかもしれません。もしくは「どうしてなんの変化も起きないのに、ここまで設定してきたの?」こう思う人もいるかも。バックエンドの状態をお見せしましょう。誰かがFacebookの投稿からリンクをクリックし、ブログにアクセスしたと仮定します。
なぜUTMを含むURLを送信する必要があるのか?
Google Analyticsアカウントに戻ってリアルタイムのデータを見ると、Webサイト上にリアルタイムで1人のユーザーがいることがわかりますね。これは、Facebookからアクセスしたユーザーを表しています。
これは1人か2人のユーザーがWebサイトにアクセスしている時でも参考となるのですが、大勢のユーザーがアクセスしている時、どの「source」が最も人気なのかを分析することができるという点で、非常に価値があります。
Googleが自動的に、あなたのWebサイトにアクセスしたユーザーの属性を設定し、Google Analyticsでトラッキングしてくれています。そのため、Googleの検索結果から、あなたのWebサイトにアクセスした場合、自動的にオーガニックUTMとしてタグ付けされることになります。手動で設定しなくていいので、便利ですね。
medium について、ソーシャルメディアやメールのことはすでに説明しました。そのほかにも、参照トラフィック(Referral traffic)と呼ばれるものがあります。参照トラフィックは、別のWebサイトか他のコンテンツからのトラフィックのことです。例えば、僕のデモブログである「thisisenglish.jp」に「rikiyaishizaki.com」のリンクを貼るとします。そして、そのリンクから「rikiyaishizaki.com」へアクセスすると、参照トラフィックとして扱われることになります。PPCは「Pay Per Click」の略です。有料広告の場合は、このタイプのメディア(medium)になります。
話を戻しましょう。僕の場合、トップ・トラフィック・ソースは、Googleからのオーガニック・トラフィックでした。ダイレクトトラフィックが意味するのは、誰かがブラウザを開き、「rikiyaishizaki.com」と入力したことです。これは一種のデフォルト設定のようなものです。言うなれば、真のダイレクトトラフィックであり、Googleが媒体を判断できないトラフィックは全てオーガニック・トラフィックということになります。
もし誰かがメールやソーシャルメディアの投稿に貼られたリンクからあなたのブログにアクセスしたとしても、そのリンクの末尾にUTMが付いていなければ、単にダイレクトトラフィックとしてカウントされてしまいます。その結果、わざわざURLをタイプしてブログにアクセスした人が3ヶ月の間に2,400人もいるということになってしまいます。そんなことあり得ませんよね。Googleは、UTMがなければ媒体を判断することができず、トップ・トラフィック・ソースを正確に測ることができない可能性があります。
UTMの情報を元にブログのデータを解析する方法
例えば、これはブロガー、John Meese のブログデータです。「reddit.com」やConvertKitからのトラフィックが多いことが分かりますね。次にトップ・エンゲージメント・ソースを見てみると、トップ・トラフィック・ソースと違いがあることに気付きます。トラフィック・ソースではGoogleからのオーガニック・トラフィックがトップでしたが、Webサイトに長く滞在しているユーザーの多くは、Googleからアクセスしていないようです。
エンゲージメントの観点からすると、BaiduとYandexが最も人気のあるソースのようですね。このように、参照トラフィックの中でも人気のある媒体を知ることができるのはありがたいことです。他にもNext Webからのエンゲージメント・ソースが多いですね。これは、人気のあるメディアサイトですが、これまでそこからのエンゲージメントが多いとは気付きませんでした。知らない間にリンクされていたのかもしれません。
コンバージョン・ソースについては、こちらを参照しましょう。例えば、注目すべきテーマを確認できます。John Meese が共同で立ち上げたソフトウェア会社である「notablethemes.com」。このWebサイトから彼のWebサイトへのリンクが最も多く、参照トラフィックがコンバージョンしています。Platform UniversityとNotable Themesで協力し、コラボレーションやパートナー関係の強化をすることによって、トラフィックをより多く獲得できるかもしれません。このように、コンバージョンを増やすことができそうなソースについても分析ができます。ここまでの話で「source」と「medium」のトラフィックにどれだけの価値があるか理解していただけたら幸いです。
ちなみに今回紹介したカスタムダッシュボードは、前回のレクチャーを確認してください。
まとめ:UTMを使って見込み客の行動を分析する
また、UTMの長い文字列が末尾についた長いURLを見込み客に共有することによって、彼らを圧倒させたり、混乱させたりしてしまうかもしれません。そのため、冗長(じょうちょう)なURLを少しでも見栄え良くするためにBitlyやYOURLSのようなツールを用いて、カスタムURLを作成することをおすすめします。ちなみに「rikiyaishizaki.tip/convertkit/webinar」といったようなURLを目にしたことがあるかもしれません。このリンク構造はユーザーのために、前述のツールを用いて少しきれいに整えています。
リンク・ジェネレーターを使うことによって、あなたのWebサイト上で見込み客がどんなことをしているのかについて、深い分析を行うことができます。その分析をもってして、あなたのプラットフォーム戦略のうち、どれが役立っており、どれが機能していないのか、見分けることができるはずです。得られた結果に応じて、戦略を調整していきましょう。
今回のテーマは少々難しく、あなたを混乱させてしまっていることは十分理解しています。わからないことがあれば、どんなことでもいいので下のコメント欄で聞いてくださいね。ユーザーの分析がうまくいくといいですね。データがあなたにとっても、あなたの見込み客にとっても役立つものになることを願います。