これはUdemyのスタッフ、Hanaさんとの会話です。
石崎様
いつもお世話になっております。
ローカライズに関しては、講師に直接問い合わせて頂くようにお願いしております。
過去のケースから
コースの収益配分
コースのメンテナンス方法
コースの管理
などをしっかり詰めて、後々トラブルのないようにすると良いかと思います。
また、このような契約書の利用を推奨しておりますので、ご参考下さい。どうぞよろしくお願いいたします。
Hana
Udemy にいる有名講師のコースをローカライズしたいけどどうすればいいですか?という質問に対しての答えです。
契約書の作成には次のURLを勧めてもらいました。
https://www.rocketlawyer.com/document/course-partnership-agreement.rl#/
Adobe Acrobatにも同様な機能がありますし、日本独自の契約書サービスがありますよね。どれも法的に有効だそうです。
僕はこういった契約書サービスをほとんど使いません。かつて一度だけ使ったことがあります。その時に使ったのはクラウドサインです。
そういえば以前の税理士さんともクラウドサインで合意したことがあります。これは税務申告に関する契約でした。
まあこんな風に仕事をしていれば、色々と契約することが出てきます。それでも、僕はなるべく契約書を交わさなくてもいいような相手とジョイントベンチャーを組むように努めてきました。例えば、fastlaunch.infoを一緒に運営している竹岡さんとも、morefree.meを一緒に運営している根本さんとも、videocreation.cloudを一緒に運営している山田さんとも、僕は契約書を結んでいません。どれも具体的な収益が発生している、うちの事業の大事な柱です。
僕がこんな態度を取れるのは、もちろん収益を分散させている結果、他でも儲かっているので一つくらい潰れてもいいという精神的な余裕があるのは確かです。でもそれ以上にやっぱり、契約をするのが面倒という実務面(というか僕の性格面)の話であったり、信頼していない相手とは一緒にビジネスをしないという僕の信念であったりと、様々な要素が交錯して今のスタイルに落ち着いています。もっと率直にいうと、それほど大きな売り上げになっていないという理由もあります。もしこれが1億円とか2億円が動くビジネスであれば、確実に契約書が必要になるだろうし、僕も必死になって自分のお金を守りにいくだろうと思うのです。ですが、僕のやっているジョイントベンチャーはそれほど大きなものではありません。だから精神的にもラク、という側面があるのかもしれません。
もしあなたが自分のお金を確実に守りたい。というのであれば、法的に有効な契約書の雛形をダウンロードしてきて、それを使うようにしてください。必要であれば、僕の経営コンサルティングに関する基本契約書を参考にしてください。
作ったのは4つです。
今回お届けするノウハウはこちら
経営コンサルティングに関する基本契約書
第1条:趣旨
「甲の優れたノウハウと、乙のダイレクトレスポンスマーケティングのノウハウを提供し合い、上記事業を積極的に推進することに合意した」というような文章です。
第2条:コンサルティング内容
これは具体的なサービス内容になります。例えば「オンラインコースの作成方法」や「乙の人的ネットワークを通した新たな事業機会の提案」などです。
第3条:コンサルティング費用
費用項目は結果に対する利益配分(利益に対するパーセンテージ)のみ。詳細は別紙に規定する・・・とし、僕は新たな契約書を設けました。それが次の「経営コンサルティング費用に関する覚書」です。もちろん月額50万円とか、好きな数字を書いても構いません。
第4条:守秘義務
第5条:顧客データの所有権
僕はこの条項において一度だけクライアントさんと争ったことがあります。あまり幸せな時間ではありませんでした。だから顧客データをどちらが保有するのかはしっかりと話し合って決めておく必要があります。
第6条:決済方法
Udemyの場合は「Udemyから甲乙のPayPalアカウントに、別紙で定めた利益分配の比率に従って支払われる」でいいんじゃないでしょうか。
第7条:業務提携の終了
どうやって業務提携を終了させるかです。僕の場合であれば、一ヶ月前の終了の意図を相手方に書面で通知すれば終了できる、としていました。
また業務提携が終わった後も、利益の分配は継続することもしっかりと明記しておく必要があります。きっとここがジョイントベンチャーにおいて問題になるところでしょうから。
第8条:免責事項
コンサルが結果を保証するものではないということと、失敗したとしても損害賠償を請求できないことを明記しておきましょう。
第9条:改定およびこの合意の優先特約
ビジネスは水物。どんどん形を変えていきますし、時代の変化にも影響を受けます。その場合、静的な情報である契約書に変更を加える必要があるかもしれません。それをどうやってハンドルするかという条項です。
第10条:合意外事項
契約書に書いていない事項をどうやって定めるかについての文言です。
最後に、お互いの情報を掲載しましょう。
相手方(甲)の住所、氏名または住所、押印、代表者(*氏名また名称と代表者の名義が一致する場合は代表者の欄は記入不要)
あなた(乙)の住所、会社名、代表者名、押印
経営コンサルティング費用に関する覚書
相手方の名前(以下甲と称する)と、あなたの会社名(以下乙と称する)とは、経営コンサルティングに関する基本契約書に基づき、次の通り覚書を締結する。
甲は乙に以下のコンサルティング費用を支払うものとする。
利益配分:乙の提供するノウハウの実行により得られた利益のXX%
本書覚書締結の証として本書2通を作成し、甲乙記名捺印の上、各1通を保有するものとする。
相手方(甲)の住所、氏名または住所、押印、代表者(*氏名また名称と代表者の名義が一致する場合は代表者の欄は記入不要)
あなた(乙)の住所、会社名、代表者名、押印
フロントエンド商品とバックエンド商品の覚書
相手方の名前(以下甲と称する)と、あなたの会社名(以下乙と称する)とは、経営コンサルティングに関する基本契約書に基づき、次の通り覚書を締結する。
1. フロントエンド商品とは、比較的値段の安い、集客のための有料商品であり、バックエンド商品の前に販売する商品を意味する。バックエンド商品とは、比較的値段の高い、収益化のための有料商品であり、フロントエンド商品を販売した後に売る商品を意味する。
2. 乙がコンサルティングをするのは、フロントエンド商品1個とバックエンド商品1個のみである。よって甲が独自に企画立案し、甲の所有するメディア(ブログやメルマガ)で販売した商品については、甲が100%の利益を得ることができる。
3. フロントエンド商品へ顧客を誘導するための無料コンテンツの所有権は甲が所有する。
本書覚書締結の証として本書2通を作成し、甲乙記名捺印の上、各1通を保有するものとする。
相手方(甲)の住所、氏名または住所、押印、代表者(*氏名また名称と代表者の名義が一致する場合は代表者の欄は記入不要)
あなた(乙)の住所、会社名、代表者名、押印
メディアの利用範囲と禁止行為
相手方の名前(以下甲と称する)と、あなたの会社名(以下乙と称する)とは、経営コンサルティングに関する基本契約書に基づき、次の通り覚書を締結する。
1. 甲は乙のウェブサイト(XXX.jp)やYouTubeのチャンネル(XXXyoutube.com/user/XXX)に記事や動画を提供することの見返りに、甲の商品を告知することができる。
2. 但し、告知できる商品は共同で制作したフロントエンド商品とバックエンド商品のみである。
禁止行為
1. アフィリエイトリンクを貼る行為
2. メールアドレスなどの個人情報を収集する行為
3. 共同で制作していない甲の商品を告知する行為
4. 告知することだけを目的とした記事や動画のポスト
本書覚書締結の証として本書2通を作成し、甲乙記名捺印の上、各1通を保有するものとする。
相手方(甲)の住所、氏名または住所、押印、代表者(*氏名また名称と代表者の名義が一致する場合は代表者の欄は記入不要)
あなた(乙)の住所、会社名、代表者名、押印
ジョイントベンチャーコースで実際にいくら儲かったか?
僕がこの契約書に基づいて一緒に作成したオンラインコースがいくつかあります。収益配分は5:5であったり、6:4であったり、7:3であったりします。いずれも僕が過半数以上をもらっています。
ここでお見せするコースの販売期間は3年です。リリースして3年間でどのくらいのジョイントベンチャー収入になるのか参考になさってください。ここに表示されている収入合計はいずれも石崎の手取りですから、ジョイントベンチャーコースの単体では、これの1.5倍〜2倍ほどの売上になっていることが想定されます。
パートナーさんとどんな問題があったか?
ほとんど問題はありませんでした。ジョイントベンチャーにおける大問題は、喧嘩別れでも裏切りでも裁判でもありません。いちばんの問題は、売れないことです。これが一番しょぼくて、かついちばん大きな問題です。お互いの実力不足が原因で商品が売れない、という屈辱そのものが問題なのです。
そういう意味では、僕は様々な失敗をしてきました。これも感覚値ですが、だいたい7割くらいのジョイントベンチャーは失敗しているんじゃないかな。とはいえ、一律にパートナーを20人くらい集めて同時並行的に進めた企画も失敗の中に含まれているので、僕が寄り添ってマンツーマンで実行したジョイントベンチャーは割とどれも成功しているような気がします。最近の例で言えば、根本さんと一緒に作ったmorefree.meなんかが成功していて、僕はとっても嬉しいです。
さて、これまでパートナーとどんな問題があったでしょうか。喧嘩別れが1回だけあります。契約では、僕のブログに記事を投稿する見返りにプロモーションしますよ、という契約だったんだけど、その人は影でこっそり自分のブログにも投稿していました。こりゃGoogleからスパムと判定される!ってことで、業務提携の終了をこちらから告知しました。さらにその人は、うちのサイトに勝手にアフィリエイトリンクを貼ったり、ジョイントベンチャーで作っているコースと全く同じものを別に作っておりそちらからの収益を独り占めしようとしていたりと、まあ結構に面倒な人だったので、問題が重大になる前に契約を打ち切りました。
でも、こんな問題はまだまだ小さい方。繰り返しますが、僕にとってジョイントベンチャーにおける1番の問題はやっぱり、儲からないことです。多大な時間を投下してにも関わらず、売上がほとんどないってパターンがいちばんムカつくし、屈辱だし、大事な生命時間を無駄にした気がします。
だから細々とした問題を考える前に、まずは十分な利益を出すようにしてください。相手を信用し、相手を儲けさせようと思って行動していれば、たまーに良心の欠如した人に出会うかもしれませんが、そんなのは極僅かなケースであり、ほとんどジョイントベンチャーパートナーはあなたの期待に応えようと頑張ってくれるはずです。