個人起業家として会員制サイト作りに挑戦してみたいけど、どのようなものを作ったら良いのか?迷っていませんか?ここでは会員制サイトのビジネスモデルを紹介します。実際の事例をたくさん共有しますので、あなたはそれらのモデルから選ぶだけで良いという状態になります。
会員制サイトやサブスクで検索しても良い事例が少なかったり、オンラインサロンばかりが注目されてしまっていることがあります。またはAdobeやNetflixのような事例を研究したとしても、到底真似できないと思ってしまうはずです。ここでは海外の事例も含めてなるべく個人や小規模なチームで運営されている会員制サイトを紹介します。きっとその中から気に入ったものが見つかるはずです。
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6つの会員制サイトモデル
会員制サイトでどんなものを提供したら良いのか?それを6つのモデルに分類しました。その6つは次のとおりです。
- パブリッシャーモデル
- UPSモデル
- コーチングモデル
- コミュニティモデル
- ドリップモデル
- コンボモデル
またさらにここからアレンジを加えた次の3つのモデルも番外編として紹介します。
- VIPモデル
- Subscription Boxモデル
- Project Of The Monthモデル
それでは1つずつどんなモデルなのか見ていきましょう。
タイプ1:定期的に新しいコンテンツが届くパブリッシャーモデル
パブリッシャーモデルでは、定期的に新しいコンテンツが公開されるものです。雑誌の定期購読に似ていることから、出版社という意味のパブリッシャーという名前がついています。
ここで重要なのは、雑誌のようにノイズの多い大量のコンテンツを配ってはダメだということです。僕たちはつい、コンテンツは多ければ良いと考えてしまいますが、それは違います。実はユーザーが会員制サイトを解約する最大の理由は、Overwhelmつまり大量のコンテンツを紹介できず疲れ切ってしまうことなのです。
そのため、会員に役立つコンテンツだけに絞って配信することが重要です。頻度は月に1回でも良いですし、週に1回でも良いでしょう。コンテンツは動画レクチャーや本の要約、音声、対談コンテンツなど様々な形があります。動画にワークシートなどを付けるとさらに実践しやすくなり、顧客満足度も上がります。
毎月新しいアートレッスンが届くChristie’s Inner Tribe
Christie Hawkinsが運営するオンラインのアートスクールは、このパブリッシャーモデルを採用しています。彼女は会員制サイトを通して、絵画のレッスンを提供しています。毎月違ったテーマで絵の描き方を学ぶことができます。
夏であれば、ヤシの木や海の絵、12月であればクリスマスに関連した絵を描くチュートリアルが手に入ります。その他にもゲストアーティストを迎えたコンテンツも毎月公開されます。
また毎月のコンテンツを待っている間にも175以上のチュートリアル動画にアクセスできます。ブラシの手入れ、パレットナイフの使い方、塗料の選び方、色彩理論など絵画についての他のノウハウを学ぶこともできるようになっています。
このように新しいコンテンツが毎月届くモデルをパブリッシャーモデルと呼びます。Christieの場合のように、他のコンテンツタイプと一緒に提供されることも多いです。
タイプ2:毎月自宅にモノが届くUPSモデル
次はUPSモデルです。このモデルでは毎月実際のモノが自宅に届きます。デジタルコンテンツではなく物理的なモノです。しかも実際の生活に使うような日用品が多いです。UPSというのはアメリカの運送会社の名前です。宅配でモノが届くことから、このモデルはUPSモデルと呼ばれています。
Dollar Shave Clubが典型的な例です。これはカミソリなどの男性用グッズの定期配送サービスです。カミソリのハンドルと替刃、そしてシェービングクリームなどを売っています。単品購入もできるし、定期配送も選ぶことができます。
HelloFreshは僕が以前使っていたミールキットを届けてくれるサービスです。ミールキットとは、食材とレシピが一緒になって届くものです。子育てや仕事で忙しい人向けに、何も考えなくても料理が作れるように用意されたものです。自分の食べたい食事の種類を選ぶと自動で献立を作って、食材と一緒に届けてくれます。家族の人数と週に何食欲しいかも調整することができます。
タイプ3:直接の対話をメインとするコーチングモデル
コーチングモデルは名前の通り、コーチングを提供する会員制サイトです。コーチングは1対1のコーチングだけでなく、グループコーチングも含めることができます。
若手作家を支援するYoung Writer Workshop
例えば、Brett Harrisは若い作家のための会員制サイトを運営しています。それが「Young Writer Workshop」です。コーチングセッションを通じて、学生や子供たちに文章の書き方を教えています。コーチングを通じて、自分の書いた文章を実力のある講師にフィードバックしてもらうこともできるようになっています。
他にも若い作家同士がつながれて励まし合えるプライベートコミュニティがあり、お互いに書いた文章を見せ合うこともできます。また自分のライティング能力にスコアをつけてもらえるので、自分が今どのレベルにいるのかを可視化することもできます。定期的にライティングのコンペも開かれるので、自分の実力を試すこともできてモチベーションが維持しやすい環境が整っています。
ここでしか見られない作家へのインタビューなどもあります。コーチング以外にも動画や音声などが用意されているので、自習するためのコンテンツも豊富です。またライティングを学ぶだけでなく、それをブログやメルマガに応用して収入を得る方法も教えています。
コーチングモデルを採用した場合、会員が増えたら大変にならないか?そう思われるかもしれません。Brett Harrisはこの問題を講師数を増やすことで解決しています。彼自身も作家ですが、彼のように経験のある作家を講師陣に迎え入れています。
もしこのコーチングモデルを使う場合には、会員制サイトがスケールしたときのことを考えておいてください。会員が100人、200人と増えたときにどうするのか?ということを考えます。講師を増やしても良いですし、グループコーチングを使う選択肢もあります。
失恋の痛みを克服するLoving Me After We
もう1つ事例を紹介しましょう。Ginger Deanが運営する会員制サイト「Loving Me After We」はとてもユニークです。彼女は臨床心理士ですが、扱っているのは恋愛で傷ついた女性への癒やしです。Heartbreak Cureつまり、失恋の治療法をテーマに会員制サイトを運営しています。1300人以上の女性が参加している大きなサイトです。
失恋で傷ついた人は、精神的に不安定になります。ですが、彼女の会員制サイトではグループコーチングや同じ境遇の女性たちのコミュニティが存在します。自分は1人ではないと感じることができます。会員制サイトの中では失恋の痛みから開放されるためのマインドセットやボディワークなどが提供されています。また毎月新しいレクチャーが追加されます。
またストレスや不安に対処する方法、ガイド付きの瞑想などもあります。自分のことを落ち着かせるためのチェックリストや、精神的安定を得るためのeBookなども用意されてます。失恋を乗り越えて、今よりも素晴らしい女性になろうというエネルギーに満ち溢れたサービスになっています。
タイプ4:仲間の交流を促進するコミュニティモデル
次に紹介するのは、コンテンツよりも人との交流がメインになっているモデルです。同じ境遇の人たちを集めて、コミュニティを形成し、情報交換や助け合うのがこのコミュニティモデルの特徴です。人々は同じ志を持った人たちと一緒にコミュニティに参加できるのであれば毎月喜んでお金を支払います。
人は同じ興味を持つ仲間と自分の体験をシェアしたり、同じ問題を抱えている仲間と共感しあったりしたいものです。しかも、同じ境遇の人たちばかりなので批判されることなく安心して、自分のことを話すことができるのです。
起業家同士のつながりを作るBrighter Together Mastermind
Jamie Brightが運営する「Brighter Together Mastermind」は、このコミュニティモデルを採用しています。これはオンライン起業家のためのコミュニティです。マスターマインドというのは、コミュニティモデルによく使われる名前で多くの起業家が使っています。有名どころだとジェフ・ウォーカー、アンソニー・ロビンズ、日本だと川島和正さんなどです。大体は年間300万円とかそのくらい高額になります。
マスターマインドには2つの側面があります。1つはマスターマインドの主催者であるリーダーの近くにいることで、その人の持つ考え方や価値観を吸収できることです。もう1つの側面は人脈が手に入ることです。マスターマインドは高額です。その高額な費用を払える人たちとつながることで、質の高い人脈が手に入るのです。
「Brighter Together Mastermind」では月2回バーチャルでミーティングを開き、年に1回3日間の合宿をやって実際にリアルな場で会います。その間はTelegramを使ってコミュニティグループがあるので、気になったことはそこに投稿します。直接リアルな場で会ったり一緒に旅行することで一気に仲良くなることができるわけです。
会員同士で仲良くなり、お互いを支え合ったり理解しあうことができるようになります。互いの成功を祝ったり、アドバイスを求めたりすることもできます。マスターマインドの会員同士が一緒に手を組んで新しい事業が生まれることもあります。
マスターマインドはこういったプライベートな性質が強いので、多くは審査制や招待制になっています。カートに入れてポチッとすぐに決済できるものではありません。リーダーが参加希望者を審査して、ふさわしいと判断された人だけが参加を許されます。Jamie Brightの場合は年間200万円ほどの参加費がかかります。
タイプ5:毎月小出しに公開するドリップモデル
次に紹介するのは、ドリップモデルです。このモデルではあらかじめ用意されたカリキュラムのコンテンツを、少しずつ会員に渡していくものです。ドリップというのは水滴がポタポタ垂れるように少しずつコンテンツを公開するという意味です。テレビドラマを思い浮かべてください。決まった1本の長いストーリーがあり、それが細切れに毎週1話という形で順番に放映されます。
毎週、毎月新しいコンテンツが出てくるという意味では最初に紹介したパブリッシャーモデルに似ています。ですが、ドリップモデルの場合は、全体のカリキュラムのうちの一部を小出しに見せているという点で違いがあります。なぜ一気に全部見せないかというと、お客さんが量に圧倒されるのを防ぐためです。
ドリップモデルの例をお見せしましょう。僕が運営しているCashLabという会員制サイトがあります。これはオンラインコースビジネスの作り方を1から順番に解説したものです。CashLabは全部で15の大きな章に分かれており、1つの章には何本かのレクチャーが入っています。毎月1つずつ章が公開されるようになっています。
例えばCashLabの最初の章のテーマは「オンラインコースのテーマを3つ決める」です。この章には自分がどんなオンラインコースを作るべきかを決めるためのレクチャー動画が10本以上含まれています。中には実践用のワークシートも用意してあります。このように1つの章を1ヶ月かけて集中して取り組んでもらいたいので、ドリップモデルを採用しています。
もしこれが最初からすべての章にアクセスできてしまうと、量に圧倒されてしまいます。またどういうペースで進めたら良いのか?ということもわかりません。なので、お客さんがコンテンツに取り組みやすいようにドリップ形式でコンテンツを提供してあげます。
タイプ6:複数のモデルを組み合わせるコンボモデル
コンボというのは組み合わせという意味で、ここまで紹介したモデルを複数組み合わせて作るものです。実際には、こういったコンボモデルが多く採用されています。
毎月新しいコンテンツが公開され、参加者同士のプライベートコミュニティがある。また月に1回のグループコーチングがあり、そこで疑問を解決できる。そんなモデルが英語圏ではとても多いです。これまで見てきた例の中にも、複数のモデルが組み合わさったものがありました。
絵画レッスンのChristie’s Inner Tribeでは、パブリッシャーモデルとコミュニティモデルが組み合わされていました。若手ライターのためのYoung Writer Workshopでは、コーチングモデルとコミュニティモデルが組み合わさっています。失恋を乗り越えるためのThe Inner Circleはコーチング、コミュニティ、パブリッシャーのコンボです。
このようにいくつかのモデルを組み合わせることで、それぞれのモデルの良いとこ取りができます。例えば月1回のコーチングの合間に暇にならないように、コミュニティを活用してもらったり。組み合わせることによって、様々な種類のコンテンツで会員の満足度を上げることができます。結果的に会員制サイトの解約率を下げることにつながります。
番外編1:VIPモデル
VIPモデルとは、通常の会員とは別にVIPメンバーだけに特別なサービスを行うモデルです。特に実物のモノを売っていたり、eコマースで商品を販売している場合に適しているとされています。サプリメントショップのGNCが良い例です。
GNCでは、GNC Pro Access Membershipという有料のVIPプランを用意しています。これに入った会員は、会員限定のセールや無料のお急ぎ便のオプションが使えるようになります。またポイントによるキャッシュバックや新商品の先行アクセス権などもあります。年間2回、Pro Boxと呼ばれるサンプルやグッズの詰め合わせも届きます。このVIPは年間40ドルで、価格やサービスはアマゾンプライムに似ています。
番外編2:Subscription Boxモデル
Subscription Boxモデルは、UPSモデルに似ています。毎月箱に入って商品が自宅に届きます。じゃあUPSモデルとの違いは何かというと、毎月誰かが厳選したアイテムが届くこと。それと日用品というよりかはちょっと特別なアイテムが届くことです。これはちょっとした驚きや楽しみをもたらしてくれます。
例えば、Sarah Williamsはモノグラムボックスという女性向けファッションアイテムのSubscription Boxモデルをやっています。モノグラムというのは文字という意味です。会員が自分の好きなアルファベットを指定しておくと、それが入ったTシャツやポーチ、タンブラー、アクセサリーなどを箱詰めして送ってくれます。
このアルファベットは1人1人違うので、箱の中身はメンバー1人ずつに合わせてカスタマイズされています。例えば僕、石崎力也が文字を指定するなら、RやRKYという文字が指定できます。そうすると、これらの文字の入ったアイテムが僕だけのために選ばれて箱で届くわけです。どんなアイテムが届くのかは、毎回サプライズなので毎月楽しみに待つことができます。プランは月45ドルからあります。
男性用のSubscription Boxモデルもあります。それがSPREZZABOX(スプレッツァボックス)です。このサービスでは、男性用のファッションアイテムが月ごとに送られてきます。靴下、ネクタイ、ポケットチーフ、マネークリップ、サスペンダーなど。合計で100ドルくらいのアイテムが、毎月28ドルで手に入るというのがセールスポイントです。福袋のようなイメージです。サイトを見ているとどれもセンスの良いアイテムばかりでワクワクします。
番外編3:Project Of The Monthモデル
Project Of The Monthモデルは、その月にやるべき課題のようなものが工作キットになって自宅に届くものです。実物のモノが届くという意味では、UPSモデルやSubscription Boxモデルと似ています。少し違うのは、Project Of The Monthモデルがキット形式になっていることです。材料と説明書などが入っていて、1つのプロジェクトとして何かを作ってみようというものです。
Project Box Monthlyという会員制サイトが良い例です。例えば、今月は瓶を使ってオシャレなランタンを作ってみようとか、材料を使ってクリスマスのオーナメントを作ってみようという感じでキットが届きます。自分のクリエイティブな発想を広げてくれるようなアイデアばかりです。材料も一緒に届くので、すぐに作り始められるのも楽で良いです。
ちなみにこういったProject Of The MonthのモデルやSubscription Boxモデルは、Cratejoy.com(クレートジョイ)というサイト上でたくさん見つけることができます。月替りで届くミステリーのボードゲームや、恋人とのデートのアイデアとグッズを届けてくれるものまであります。興味があれば一度覗いてみると面白いです。
まとめ:6つの会員制サイトモデルを参考にする
ここまで、6つの会員制サイトモデルとその実例を見てきました。最後に要点を9つにまとめます。
- パブリッシャーモデルは、定期的に新しいコンテンツが配信されるものである。ユーザーを量で圧倒するのではなく、本当に役立つコンテンツだけに絞る。レクチャー動画、本の要約、音声、対談コンテンツなどがある。
- UPSモデルは、毎月自宅に生活に必要なものが届くものである。例として髭剃りグッズや食材とレシピがセットになったミールキットがある。
- コーチングモデルは、コーチングをメインに提供する会員制サイトである。1対1やグループセッションなどがある。ユーザー数が増えたときにはコーチの数も増やすことも考えておくと良い。
- コミュニティモデルは、同じ境遇の人との交流が中心の会員制サイトである。相談や共感などを通じて、深い絆を作ることができる。マスターマインドなどの高額なプログラムもこれに含まれる。
- ドリップモデルは、あらかじめ決まったカリキュラムを毎月少しずつ公開するものである。会員の学習や実践を促進するため、一気にコンテンツを公開せず細切れに公開する。
- コンボモデルは、複数のモデルを組み合わせたものである。例えばコーチングとコミュニティにパブリッシャーを同時提供するという組み合わせが可能である。組み合わせることでより顧客満足度を高めることも可能である。
- VIPモデルは、特別な有料メンバーだけに割引や先行アクセスなど様々なVIPサービスを提供するものである。
- Subscription Boxモデルは、毎月厳選されたアイテムが箱に入って自宅に届くモデルである。サプライズ的な要素も強いので、エンターテイメントとしても楽しめる。
- Project Of The Monthモデルは、月替りの工作キットを届けるモデルである。季節に沿った工作テーマがあり、クリエイティブな発想を楽しませてくれる。