今日はあなたがサブスクリプション・ビジネスを作る過程で最も悩むであろうプライスポイントについてお伝えします。残念ながらプライスポイントは、あなたがどんなマーケットでビジネスを行うかによって制限される面があります。相場の高いマーケットとそうでないマーケットがあるわけです。あなたは自分のマーケットの相場が低いことに気づくかもしれません。
今回のレクチャーではマーケットごとのプライスポイントを具体的にお話しします。ビジネス関連のマーケット、趣味やペット関連のマーケット、マインドセットやメンタルなどリターンが数字で見えないマーケットの3つを取り上げます。また、リテンションを高めるための工夫と、相場の低いマーケットであっても適切にプライシングをするマインドセットをお伝えします。あなたが価格帯を検討する際に必ず役に立つはずです。期待してください。
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ビジネス関連のマーケットでプライスポイントを高めに設定できる理由
もしあなたの会員制サイトがお金を稼ぐことや貯めることなどに関する情報を提供していたり、手助けをしたりしているのであれば、プライスポイントは高めに設定することができます。なぜなら、ビジネス関連の市場はメンバーの経済的なベネフィットと直結していることが多いからです。
最近、僕は海外のビジネス系YouTuberが比較的高額な値段で「YouTubeで成功する方法」に関するコースを販売していることに気づきました。YouTubeはもともとお金のない人たちがたくさん見ることで裾野が広がったという背景があります。例えば子供。子供は社会人ではないためお金を持っていません。だからトイレビューなど、自分では買えないおもちゃを持っている人の動画を見ることで所有する欲求を満たしていました。
マスに薄く広くリーチするのがYouTubeのような広告を主軸におくビジネスモデルです。そこで高額な商品を売ることなど一昔前は考えられませんでした。でも最近になり流れは変わり始めたようです。お金を持っている大人もYouTubeを見るようになりました。だからビジネス系YouTuberは高額な商品をレター1本で売れるようになったんです。
投資系のYouTuber、Andreiは、100万人の登録者を持っています。各動画の概要欄で$495と$2495の2つの価格帯でオンラインコースを販売しています。
こちらは不動産投資をメイントピックにしてしているGraham Stephanのサブスクリプション。毎月$200の会員制サイトを用意しています。YouTubeに260万人の投資に熱心な登録者がいることを考えると、それほど強気な価格とも言えないでしょう。
サブスクリプション費用という名の投資に対して、会員が満足するだけのリターンを得ることができているのであれば、投資を正当化できますよね?だから、他のマーケットと比べると高額な価格設定をすることが簡単なんです。
例えば、毎年数十万円以上のサブスクリプション費用がかかるマスターマインドに参加するとしましょう。マスターマインドタイプの会員制サイトに参加することのメリットは、やはり投資した金額に比例して大きなベネフィットが返ってくるということです。
実際、僕はそういった会員制サイトに参加するために膨大な費用…正直に言うと毎年300万円以上を投資していますが、その金額を払うのが惜しくないほどの利益を得ることができています。こういった僕の実体験からも、ビジネス関連のマーケットで会員制サイトを運営する場合は、より高いプライスポイントを設定することが可能であると言えます。
「Done for You」サービスも高額な値段を請求できる
同様に、メンバーのために全ての作業を代行してあげる「Done for You」サービスは、より高いプライスポイントを設定することができます。サービスを提供するこちら側の負担が大きくなってしまいますが、その分、メンバーの負担や手間を最小限にするからです。
例えば、オーストラリア在住の不動産ブローカー、Andrewは、Done for Youサービスを提供することで、不動産市場と金融投資家市場で大成功しています。彼の会員制サイトは月額2〜3万円の範囲で設定されていましたが、最近は4万円に引き上げたようです。この手のサービスでは、会員はより大きなサブスクリプション費用を負担することになります。しかしその分、専門家に必要な作業を代行してもらえるわけですからプライスポイントが高くなるのは当然です。
いくつか Done For You のサービスを羅列しましょう。
- あなたの代わりに不動産投資物件の下見をします….というサービス
- あなたの代わりにセールスファネルを構築します….というサービス
- あなたの代わりに最新の医療情報をリサーチします….というサービス
僕たちも法人向けに業務委託の Done For You サービスを提供しています。新車の車が数台買えるような値段で提供していますが、今ではウェイトリストに数社に待っていただいている状態です。僕たちのキャパシティを食うサービスなので、毎年2社しか請け負えないのですが、その2枠をめぐって法人のお客さんが殺到しているような状態です。
この業務委託の Done For You が高額でも売れるのは、相手が法人だからです。さらに利益に直結するサービスだからです。僕たちが彼らのビジネスのオンラインシフトをまるっとお手伝いします。特に僕たちはお客さんの財布に最も近い、決済周りを重点的に実装するので、文字通り金銭的なリターンと強く結びついた仕事です。相手にとっても経済的なメリットが明らかなので、支払った分の費用を回収できると見込めるのであれば何の問題もありません。
趣味やペット関連のマーケットは会費を上げにくい
ここまで見てきたように、Done for Youサービスや投資したコストに直結した見返りがあるサービスの場合、より高いプライスポイントを正当化することがとても簡単です。一方で、コストに直結するリターンがないようなマーケットの場合は、プライスポイントの設定が厄介ですね。例えば、趣味系のマーケットやペット関連のマーケットが該当します。
どれだけ特定の趣味を極めたとしても、投資分のリターンをダイレクトに感じることは難しいですよね?上達した分をどうやって金銭的な物差しに変換するのか、という問題があります。
こういった市場では、サブスクリプション費用として月額400〜500円くらいのものが多いです。高くても2,000〜2,500円くらいが限界ではないでしょうか。通常の場合、これ以上のサブスクリプション費用を請求することは難しそうです。
2014年、僕と妻はサウスカロライナにあるポーリズアイランドに住んでいました。元々地価の低い場所で、リタイヤしたアメリカ人が余生をゆっくりと巨大なゴルフ場の中で暮らすような地域です。僕たちも巨大なゴルフ場の中に建てられた2階建てのおうちに住んでいました。室外プール、ボーリング場、ショッピングセンターなど全ての施設が1つにまとまった居住者専用の排他的な場所でした。
僕たちは1日中、誰もいないテニスコートでテニスをしていました。当時は2月。シカゴやニューヨークのように氷点下になることはないけれど、それでも肌寒い季節でした。ユニクロのヒートテックを着込んでテニスをしていました。
こんな辺鄙(へんぴ)な場所にテニスクラスなんてあるわけもなく、テニス初心者の僕たちはどうやってスキルを向上させようか色々とググってました。そこで発見したのが、韓国系アメリカ人が運営するオンラインベースのサブスクリプションだったんです。
その名もLock and Roll Tennis 。
月額29ドルで、3ヶ月分を申し込むと若干の割引率が適用された59ドルになります。僕たちは59ドルをPayPal経由で支払いました。
今思うと、せっかくサブスクリプションビジネスを作っても、3ヶ月でたったの59ドルかあと思うのです。僕たちは59ドルでテニスレッスンの動画が見放題はお得と思いましたが、販売者の視点からすると少し悲しいです。だって僕みたいなお客さんを頑張って100人集めることに成功しても、月額2900ドル。月々30万円程度の収入です。
趣味やペット関連のマーケットは、リターンに時間がかかるので、会費を高価格に設定できないのが難点です。
リターンが数字で見えないマーケットも高価格に設定できない
ヘルス関連やメンタルなど、趣味やペットよりももう少し人々の根源的なニーズに近い分野もあります。ですがこれらも進捗を感じにくいです。
一方でヘルス関連のマーケットは事情が少し異なります。エステやダイエットなどは外見の変化が客観的にわかりやすく、その変化をメンバー自身がダイレクトに感じることができるからです。ただし「ヘルス関連=ダイエットや美容」というわけではないですよね。もっと体の内部にフォーカスした会員制サイトを運営している人もいるかと思います。そういった場合は特にサクセスパスを使用して、メンバーが進捗や変化を感じられるようにする工夫が必要です。そうすることによって、メンバーに投資分のリターンをダイレクトに実感してもらえるようになるでしょう。
他にもマインドセットやメンタルなどいろいろなマーケットがありますよね。人の感じ方や精神的なエネルギーなどに関する会員制サイトの場合、メンバーごとに感じていることが異なるはずです。ビジネス関連のマーケットのように、利益を数字で追うことはできないからです。この場合も、やはりサクセスパスを使用して、得ているリターンを実感させるようにするべきでしょう。
とは言っても、やはり数字でリターンが目に見えない分、高いプライスポイントを設定するのは難しいです。通常でも1,000〜5,000円くらい。もしかしたら…1万円くらいまでなら行けるかもしれませんが、これは本当にごく稀な例です。
プライスポイントを正当化するためにサクセスパスを活用する
全てのマーケットを含めた平均的なプライスポイントは、月額1,000〜3,000円くらいで推移しているように思います。ビジネス関連は別格で、僕がこれまで見てきた会員制サイトの中には、数万〜数十万円なんていうのも山ほどあります。やっぱりビジネス関連のマーケットは、プライスポイントがかなり高いですね。
繰り返しになってしまいますが、プライスポイントを正当化するためにはサクセスパスをできるだけ活用することです。サクセスパスはいろいろな面で本当に役立つツールですが、プライスポイントに説得力を持たせる上ではこの上なく効果を発揮してくれます。
サクセスパスを使ってメンバーの進捗状況を明確に示すことができれば、一定の期間にどれだけ成長をすることができたのかが一目瞭然となります。だから、数字で成果がわかりづらいマーケットにとっては、サクセスパスはメンバー自身が投資分のリターンを実感するための物差しになるわけです。メンバーのリテンションを高めるためには、成長度を明確に示してあげることが重要です。
逆にいうと、思ったようにサブスクの値段を上げられないのは見込み客に進捗状況や変化を見せられていないからです。あるいは値段を上げたら人が来ないのは、そのサービスから得られるリターンが明確でないからです。
極論ですが、あなたは精神疾患を抱えており、毎日苦しんでいるとします。薬事法に抵触するかどうかは別として、このサプリメントを飲めばその苦しみから解放されますよとオファーされれば、仮に高額でも買ってしまいます。それは、苦しんでいる今の状態から解放された未来のイメージが明確だからです。
同じビジネスジャンルでも、会費の低いものと高いものがあります。会費を低くしないとお客さんが入ってこないのは、未来の姿の描写が下手くそだからです。お金持ちになれますよ、とかナン億円稼げますよと言ったチープなフレーズでは、見込み客が未来の姿を明確に描けません。お金持ちになったことのない人たちは、お金持ちがどんな生活をしているのか、心理的にどういうふうに満たされているのか、わかりません。経験したことがないものは、想像に頼るしかないのですが、現代人なら「お金持ち + 生活」と検索して、検索結果に出てくるフェラーリや豪邸のような即物的なアイディアと繋げてしまいます。そして「俺が欲しいのはフェラーリじゃない」と生理的に受け付けられないのです。
あなたはサクセスパスを上手に描き、お客さんの未来をディテールまで丁寧に描写してください。あなたの会員制サイトに入会したらどんなハッピーなことが起こるのか、どんな未来が待っているのかを鮮明に描ければ、どんな会費でもお客さんはサブスクリプションに申し込んでくれるはずです。
マーケットの低い価格設定にとらわれると適切なプライシングができない
他のレクチャーで小学2〜3年生を担当する教師向けの会員制サイトを提供する青木さんの話をしました。彼は、心理的なハードルが邪魔をして会員制サイトのサブスクリプション費用を上げることがなかなかできませんでした。そんな彼が思い切ってプライスポイントを上げることができたのは、月額コストを日割計算したからです。2,000円のサブスクリプション費用は、1日で計算すると、たったの66.6円です。会員が得ているリターンと比較して彼の提供するサービスは明らかにもっと価値の高いものでした。だから、彼はプライスポイントを上げる決心ができたんです。
もしプライスポイントの設定に迷っているのであれば、あなたが最初に想定したサブスクリプション費用を日割計算してみてください。そうすれば、いくらくらいが適切なプライスポイントなのかを理解することができるはずです。
面白いことに低い価格設定のサブスクリプションは、ちゃんとしている感じが出てないのです。安かろう悪かろうという言葉がありますが、それは消費者が安いものは悪いと判断するだけではないことに最近気づきました。販売者のマインドがまさに「安かろう悪かろう」なのです。うちはこんな安い値段設定にしているんだから、それに見合った価値はこの程度だろうと、どこか手抜きした印象を与えてしまっています。
考えてみてください。あなたはサブスクリプションの運営者です。月額100円のサービスをどれだけ真剣に頑張れますか?もしその会員制サイトに50人しかお客さんが入会しなかったら、月次のサブスク収入は5000円です。あなたはその5000円をもらうために、どのくらいのサービスを提供しようと努力するでしょうか?
安い価格設定は、負のスパイラルを生むだけです。
まとめ:サービスにフォーカスしてプライスポイントを設定する
プライシングには、思った以上に多くの心理的要素が組み込まれています。例えば、自尊感情が低い人の場合「自分のサービスなんて」と自虐的になり、プライスポイントを低く設定してしまいがちです。
これは僕のうがった見方かもしれませんが、1年経ってもビジネスの価格帯が変わらない人のビジネスはきっとうまくいっていないんだと思います。Teachableにリストアップされているオンラインコースを見るとどれもが980円。1年後みても980円。2年後みても980円。じゃあ、そのサービスは失敗しているんです。なぜならコースクリエイターとしてのマインドが変化していないからです。実際に成功しているビジネスはコースクリエイターのマインドに直接的な変化を働きかけてきます。より良いサービスを提供すると同時に、ビジネス収益を最大化しようと試みるので、自然と値段は上がっていくものです。
商品の値段が上がっていないサービスやビジネスは、うまくいっていない証拠です。それは運営者が「自分のサービスなんて大したことない」と思い続けているからです。
だから、会員制サイトの価格設定をするときには、あなたがどれだけメンバーや市場に対して、サービスを提供しているのかに注目してみてください。フロントエンドではどんなコンテンツを提供していますか?メンバーになった後に提供するバックエンドではどんなサービスを提供していますか?こういった要素にフォーカスしていくと、より適切なプライスポイントを見つけ出すことができるはずです。そして、一般的にはあなたが最初に漠然と想定した価格よりも、サービスにフォーカスして設定した価格の方が高いはずです。
今回の話が、あなたの会員制サイトのプライシングに少しでも役立つことを願っています。もしかすると議論が必要かもしれません。コメント欄に思ったことを書き込んでください。あなたがどんな市場に会員制サイトを展開しようとしているのか、どれくらいのプライスポイントを考えているのかなど、どんなことでも構いません。あなたのアイディアを教えてください。そしてフィードバックを受け、議論を進めましょう。それでは、あなたのご意見をお待ちしています。