今回のレクチャーでは、メンバーを承認することによる定着率向上の戦略をお話します。結論から言うと、これは非常にわかりやすいことです。僕たちは認めてもらいたいのです。自分が注目されている、気を遣ってもらっている、意識してもらえていることを知るだけで嬉しくなります。
メンバーシップビジネスの専門家、Stu McLarenは毎週あるポッドキャストを聞いています。ある時、知り合いのDJがStuの名前を呼んだそうです。それまで、なんとなく流し聞きをしていたのですが、名前を呼ばれた瞬間、彼はすぐに気付き、話に集中しました。 要するに、僕たちは自分の名前を呼ばれるのが好きなんです。だから、メンバーの名前を呼ぶことで、すぐにその人の注意を引くことができます。メンバーの名前を意識して呼んで、その人の存在を認める。それが今回のレクチャーの目的です。メンバーに声をかけたり、名前を呼んだりする方法はいくつもありますが、ここでは5つの戦略を紹介します。
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#1:誕生日や記念日を祝う
最もわかりやすいのは誕生日や記念日、つまりメンバーの人生の大きな節目を祝うことです。このような特別なイベントの時に声をかけることは素晴らしいです。フェイスブックはそのための良いツールですね。フェイスブックのコメントで祝っても良いですが、個人的なメッセージを送るともっと効果的です。
Stu McLarenは、メンバーの誕生日にビデオを送っています。そこには面白い小さなメッセージを吹き込みます。そうすることで、メンバーを笑わせるだけでなく、彼らの大切な日に自分たちのことを思い出してもらえるんです。彼が提案するのは、誕生日の前日などにメッセージを送ることです。簡単に他の人と差をつけることができますよ。「明日が誕生日なのは知っているけど、おめでとうと最初に伝えたかったんだ」と。必ず喜んでくれて、印象に残るでしょう。
MailChimpのフォームには誕生日を受け付ける欄があります。僕の場合は、誕生日に呼応して動くメールシーケンスをかつて組んでいました。
誕生日の前日と翌日をトリガーにして、商品のクーポンを送っていました。今思うと、この試みが失敗した理由は2つあります。
- 自動化されていて心がこもっていなかった
- 誕生日に商品を売りつけるべきではなかった
ベーカリーレストランのサンマルクがお客さんの誕生日を上手にプロモーションに活かしているということを聞いて、僕もどうにか自動化できないかと試してみたんだけど、こういった思いのこもっていないその場しのぎ的な打ち手はやっぱりダメですね。
そうであれば、シンプルにおめでとうとビデオメッセージを送る方が良さそうです。
#2:目標達成を認める
次は、メンバーが何かを達成した時に認めることです。あなたの会員制サイトで教えている目標達成までの道のりには、いくつかのステップがあるでしょう。ひとつのステップをクリアするたび、それを認め、祝いましょう。メンバーの進歩を認めることは本当に重要です。例えば僕たちのコミュニティでは、誰かが最初に会員制サイトを立ち上げたとしたら、それを必ず認め、褒めます。立ち上げた会員制サイトが小規模であろうと、大規模であろうと関係ありません。また、僕が出した宿題を完璧にこなした場合にも必ず称賛します。小さな達成も大きな達成も欠かさず、認めてあげることが重要です。
僕は英語の勉強で苦労したというか、勉強方法が非効率だったので大事な人生の多くを無駄にしたと後悔しています。日本にいて、たまにしか旅行しない人間に英語なんて要らないのです。大人になってから言語学習するのは本当に大変な経験です。英語の苦労もあって、もう2度と言語なんかに人生を無駄にしないと思っていたんだけど、オランダに来てオランダ語の勉強を始めました。言語学習の嫌いな僕が、なぜコツコツと継続できているか?理由は2つあります。
1つは、気負っていないから。英語を習得しなきゃいけないと思い込んで、TOEIC満点やら英検1級を目指していたときはただただしんどかった。ああいう資格試験の英語ってマテリアルが最低レベルに面白くないのです。会社で嫌な思いをして、さらにあんなつまらない文章を仕事終わりに2時間読んでいたら、確実に頭狂います。今考えると、自分で勝手に鼻息荒くしていました。別に英語なんて喋れなくても生きていけるので、なぜか変な強迫観念があった。でもオランダ語は、習得できてもできなくてもどっちでもいいと思っています。もう学生ではないので勉強する時間も前ほど取れません。トラムやバスで移動している時だけ毎日10分ほどテキトーに勉強しています。たぶん、そんな感じで肩の力を抜いて学習した方が言語習得はうまくいくんじゃないかと考えています。
そしてもう1つ。
Duolingoが僕の目標達成を祝ってくれるんです。トラムやバスの中でAirPod Pro を耳に刺し、Duolingoでオランダ語を勉強しています。正解すると、心地よい効果音が聞こえます。ピンポン!って。しかもあなた正解してすごいじゃなーい!みたいな感じでキャラクターが褒めてくれる。そんな些細なこと、とあなたは思うかもしれません。僕も最初はそう考えていました。でも今はノリノリで学習しています。ピンポンという正解音が蓄積し脳みそがハッピーな状態になっています。
目標達成を認める効果、僕自身が実感しております。
#3:行動や成果を認める
会員制サイトの中で、あなたが望むことを実行している人を見た時には、必ずそれを認めましょう。それは、他のメンバーのサポートでも、役に立つヒントを提供することでも、何かの資料を提供することでも構いません。彼らがやっていることを認めてあげるだけで、その行動が強化されます。自分のコミュニティやメンバーの中で何が起きているかを知ることは本当に重要です。
ところで、この方法は、メンバーが成果や成功の報告を躊躇っている場合にも最適です。成功報告が自慢に捉えられないか、と不安に思う人は多いものです。しかし、会員制サイトで成果報告をどう受け止め、どう位置づけるかが重要なのです。もし、あなたが成功報告をコミュニティの発展を祝うためのものだと思っているのであれば、自慢に捉える人などいなくなります。OSB2.0のコミュニティでも、このようなことはよくありますよね。僕は進歩を祝うのが好きです。だから、成功を祝う文化を作ってきたのです。
#4:日常的に名前を呼びかける
次は、日常的な名前の呼びかけです。ポッドキャストで人の名前を挙げていたのと同じように、これもとても強力な方法で、ビデオの中でもできます。前回のレクチャーでは、メンバーにスポットライトを当てる話をしました。これも素晴らしい方法ですが、その際には可能な限り、メンバーの名前を織り込んでください。僕は、レクチャーにおいて、実際のコミュニティの名を挙げて説明することが大好きです。あなたも、自分のメンバーの名前を意図的に呼ぶ機会を探してみてください。
僕は週に3〜4回、オランダの海でサーフィンをしています。海水の温度が5度でもサーフィンをします。冬が近づくと、冬用のウェットスーツを着込み、冷たい海に入水します。その日は、どこか腰に違和感がありました。その日も、波に後ろから押される感覚を楽しんでいました。
いい波がきた。隣には誰もいない。よし、ポップアップだ。ボードに両手をついて立ち上がろうとしたら、腰が抜けました。痛くて立ち上がれません。ボードに捕まることもできず、ただただ水をガブガブ飲むだけ。運良く、隣にいたオランダ人に救助されて、ビーチに戻ることができました。人生初めてのぎっくり腰です。初日は痛すぎて寝返りすら打てず、睡眠時間は1時間ほど。おしっこをするのに30分もかかりました。もう2度と味わいたくないです。
次の日、サーフ仲間のヒルカが、ホワッツアップのグループで声をかけてくれました。
Yo Riki are you okay?
と声をかけてもらい、誰かが僕のことを気にしてくれていることを知って嬉しくなりました。その後、ジミーもジェプサーも大丈夫かよ?というメッセージを続けて送ってくれました。ちなみに、ジミーは身長183cmで、ほぼ僕と同じくらいの身長ですが、ヘルカは190cmをゆうに超えていて、そのヘルカがジェプサーを見上げて会話しているのできっと彼は200cmくらい身長あります。オランダ人はみんな背が高くて、でもマイノリティに気配りができる優しい人ばかりです。
#5:メンバーに実際に会ってお礼を言う
最後に、メンバーを認めるために、バーチャルな会員制サイト上だけでなく、地域のオフラインミーティングにも参加することをお勧めします。これは本当に強力なことです。直接メンバーに会ってお礼を言うことで、名前を呼ばれるインパクトがさらに増幅されます。僕は、ミーティングに誰が参加するのかを事前に把握しておき、彼らのために何ができるのかを考えるようにしています。
まとめ:メンバー1人1人を認めて定着率を向上させる
僕たちがメンバーを承認するためにできることはたくさんあります。誕生日や記念日、小さな目標を達成した時、メンバーが理想的な行動をした時、あるいはただのお叱りであろうと、メンバーは認められていると感じることで、より会員制サイトに愛着を持ちます。
さて、ここで質問です。あなた自身が実践している、あるいは他の人が実践しているのを見たことがある、メンバー承認のアイデアはありますか?もしあれば、コメントで教えてください。より多くのアイデアを集めれば集めるほど、それはより価値のあるものになります。誰かが何かをしたことで評価されたのを見たことがあるなら、コメントでそれを共有してください。
それでは、次のレクチャーでお会いしましょう。