今回のレクチャーでは、会員数を増やすために、どのくらいの予算を使うべきかを知る方法をお話しします。前回、顧客生涯価値の話をしましたが、これは会員制サイトを開始してから時間をかけて確認する指標です。しかし今回は「すぐに新しい会員を1,000人増やしたい。どうやって予算を計算したらいいのか?」といった疑問に答える指標を紹介します。
効果的に会員制サイト規模を拡大するためには、新規メンバー獲得のために費やすことができる予算を知っておく必要があります。僕は、前回紹介した顧客生涯価値を会員制サイトの成功度合いの指標として見ていますが、今回解説する数字は、ローンチやプロモーションの成功を測る指標として考えています。今回紹介する数字はEPL (Earnings per Lead)と言って1つのプロジェクトやキャンペーンに対して、1人のお客さんが払う価格のことです。LTVとの違いは、LTVがあなたの複数のプロモーションを横断して最終的にあなたのビジネス全体に落ちる金額なのに対して、EPLは1つのプロジェクトに限定している点です。
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見込み客1人からの利益EPLの計算方法
僕は自分の会員制サイトにおいて、クリックやコンバージョン、成約率などの膨大なデータを把握しています。しかしその中でも特に重要な数字は、1キャンペーン中で見込み客1人あたりから得られる利益つまりEPLです。この数字は本質的には、1人の見込み客が僕たちにとってどれくらいの価値があるかを意味するからです。僕はこの時にEPLの数字を見ることで、ローンチやプロモーションの成果を測定しています。
ちなみにこの数字は電卓で出せるくらい簡単な計算でわかるので、数学の勉強は必要ありません。それでは、具体的にEPLの計算方法を見ていきましょう。あるプロジェクトをローンチした時の例を解説しながら、計算していきます。
それぞれの集客ソースから何人が登録したかを集計する
僕たちがあるプロジェクトをローンチする際に、ある程度の見込み客リストを持っていたとしましょう。そして、そのリストから実際に5,000人が購入してくれたとします。多くのビジネスオーナーは購入者数つまり5,000人という数字だけを見てローンチの成功度合いを測ろうとします。しかし僕たちは、全ての見込み客リストから、何人がプロジェクトに参加してくれたのかを調べます。Eメールリストから、Google広告から、あるいは他の動画広告から、それぞれ何人が登録してくれたのかを数えるのです。
僕たちの見込み客リストには、もともと10,000人がいたかもしれません。するとその中から、5,000人が参加したに過ぎないのです。最初から最後までのローンチ全体の中で、どのプラットフォームから何人が参加を選んだかという数字を探してください。
EPLは、1回のローンチで得た収益を見込み客の数で割れ
次に僕たちが見るべきは、1回あたりのローンチから得られた収益です。例えば、1回のローンチで5,000人から200万円の収益を得たとします。この場合、1回のローンチにおいて、1人あたりから得られた収益であるEPLは200万円を5,000人で割ったもの、つまり400円です。
こう言うと、多くの人は疑問に持ちます。「それは良い数字なのか?悪いのか?どう判断したらいいのだろう?」 その答えは場合により異なります。なぜなら、全ては相対的なものだからです。1ヶ月後、2ヶ月後に別のプロモーションをした時に、400円以上の収益が出たとしましょう。すると、初回の400円という数字は良いものではなかったと分かるわけです。
しかし、これはあくまで「1ヶ月目だけで200万円」だということを覚えておいてください。加えて2ヶ月目以降の定期課金が入ってきますから、実際の顧客1人あたりから得られる最終的な収益であるLTVは、もっと高いはずです。
見込み客1人から得られる利益をCPAの指標にせよ
気をつけたいのは、ここまでの計算で得た数字EPLは、1ヶ月目の見込み客1人あたりの収益に過ぎないということです。1人の会員が2ヶ月以上滞在すれば、1人の見込み客あたりの収益も上昇します。そして、ほとんどの会員は2ヶ月以上滞在するでしょう。もちろん、メンバーの平均的な滞在期間がわかれば、新しいメンバーに対して平均的な見込み客あたりの全体的な収益を計算できます。
今回の例では、平均的な会員の滞在期間が5ヶ月だとします。このとき僕たちは、EPL400円に5をかけて2,000円と計算することができます。そして、見込み客あたりの収益が2,000円だとわかったとき、それが次のプロモーションにおけるウェビナーや動画、または次回のローンチにかけるべき予算となります。
1人の見込み客を獲得するのに必要なコストをCPA(Cost Per Acquisition)と呼びます。広告で消化した総額を、獲得人数で割ればこのCPAを計算できます。今回はこのCPAが2000円以下であれば、利益が出るということになります。新たに見込み客を得るためにどれだけの投資ができるかの指標となるので、これは非常に重要です。
僕たちは、Google広告のような有料広告を使用しています。それは新しい見込み客を得るための最も効果的な方法のひとつです。会員制サイトのオーナーから「どのくらい広告費に費やす必要があるか?予算はいくらに設定すべきか?Google広告に費やすべき総額は?」という質問をよくもらいます。その数字は、以前に行ったローンチやプロモーションの効果によって変わります。
2,000円の見込み客を獲得するために、どれくらいの予算をかけてもいいのかを知っておく必要があります。それぞれの見込み客がどれだけの価値があるかを理解するのです。最終的にこの数字が分かれば、今後、新規会員数を獲得するために、どれくらいの予算を投資したら成果を上がるかを想定することができます。
初めて会員制サイトを立ち上げる場合の予算の出し方
「初めて会員制サイトを立ち上げる場合、どれくらいの費用を掛けたらいいのでしょうか?」。これは本当に良い質問です。初めての場合の予算は、推測によって決定するしかありません。もしあなたが初めて会員制サイト立ち上げようとしているのであれば、僕からの一番のアドバイスは「Googleの広告にあまり多くのお金をかけないように」ということです。
広告経由のトラフィックは、オーガニックのお客さんに比べるとびっくりするぐらいコールドです。 やっぱり反応率はオーガニックには勝てませんし、何より不安定です。いつ広告がBANされるのか、どんな客層に広告が露出するのか?なかなか把握できないところがあるからです。予算もすごい速さで消化されていきますから、会員制サイトの立ち上げ初期には広告はオススメできません。
代わりにもしあなたが、既存のコミュニティやトラフィックソースを持っているなら、たとえそれが小さくても、そこから始めるのが良いでしょう。無料で使えるメールリストやソーシャルメディア、コミュニティやプラットフォームなどから始めてみてください。 そして、2回目以降にローンチをするときには、初回で測定された数字を用いて、有料広告を追加していきます。
プラットフォームによる違いを理解する
もうひとつ言えることは、見込み客を集めるプラットフォームが異なれば、見込み客から得られる収益も異なるということです。
これは会員制サイトのオーナーとして本当に重要なことです。例を挙げてみましょう。先日、ある会員制サイトオーナーと話していました。彼女は全国各地で講演会をしている女性です。彼女はサイトを立ち上げたばかりで、様々なイベントで講演を行い、そこで見込み客を集めています。そして、彼女はどの見込み客がどの講演をきっかけに彼女のサイトに登録をしたのかを追跡しています。そうすることで、簡単に1人の見込み客を獲得するためにかけた費用を計算できます。そして年末には、どのイベントでどのような収益を上げたかが分かります。
その数字を用いて、翌年はどのイベントで講演すれば一番効果が出るのかがすぐにわかります。1人の見込み客あたりの収益が最も高いイベントに参加すれば良いのです。それは必ずしも最も多くの人が参加するイベントではないかもしれません。しかし、1人の見込み客あたりの収益が最も高かったイベントであり、つまり、最も多くの彼女の会員制サイトメンバーを生み出したイベントなのです。これは、とても理にかなっていますね。
彼女は講演会ごとの獲得メンバー数を測定しましたが、僕たちも同じことができます。例えば新規メンバーがGoogle広告から来たのか、Udemyからなのか、あるいはYouTubeや他のソーシャルメディアから来たのかを数えるのです。プラットフォームごとに、1人あたりから得られる収益が違うのがわかると思います。ここで重要なのは、あなたが見込み客あたりの収益の計算方法を理解していることです。 基本的な考え方を知るだけで、細かい計算をせずとも、どうすれば効率的に1人あたりの収益を増やすことができるのかを知れます。そしてこれが、プロモーションに投資する金額の指標となるのです。
まとめ:1回のローンチから発生する利益を知る
今回は、1回のローンチで見込み客1人から得られる利益であるEPLについて、考え方や計算方法を解説しました。この数字は、あなたのビジネスを拡大するためにますます重要になります。なぜなら、あなたは様々な戦略を取り入れる上で掛けられる予算の指標になるからです。こうやって、数字にも段々強くなりながら、スマートな会員制サイト運営を目指してください。
もし、今回のレクチャーが少し難しいと感じたら、もう一度見直してみてください。このレクチャーを理解することで、1回のローンチに掛けられるコストを見積もることができます。すごく大事な数字であることを改めて強調しておきます。それでは、次のレクチャーでお会いしましょう。