あなたは自分のビジネスや商品が果たしてサブスクに向いているのだろうか?そんな迷いを抱えていませんか?ここでは、それを判断するための材料を提供します。具体的には3つの質問に答えるだけで、サブスクに向いているビジネスを判断できるようになります。退屈な講義にならないように具体的な事例を交えて紹介していきます。
月額制のサブスクや会員制ビジネスを始めようとする時に、誰もが最初にある疑問を抱きます。それは「サブスクで上手くいっている企業はあるけど、自分のビジネスでも上手くいくのか?」というものです。サブスクは単なるバズワードなんじゃないか?という不安もあるでしょう。自分がやったところで上手くいくのか?そう思うのはとても自然なことです。ここでは3つの質問を使ってその不安を解消していくこととしましょう。
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会員制ビジネスに適したジャンルを見つける3つの質問
さてでは、あなたのビジネスがサブスクに適しているのか?それを見極める質問を紹介しましょう。最も重要なのは、あなたがサブスク形式で提供するものに対して、人々が毎月お金を払ってくれるかどうか?ということです。自分の市場がサブスクに適しているかどうかを知るにはどうすればいいのでしょうか?それは、次の3つの重要な質問に集約されます。
- やりたいと思っている人は沢山いますか?
- 既にあなたはコミュニティを持っていますか?
- ユーザーの使いやすいコンテンツはありますか?
では実際にそれぞれの質問が何を意味しているのか?それを1つ1つ詳しく見ていきましょう。
質問1:やりたいと思っている人は沢山いますか?
この質問は、あなたの見込み客に関するものです。また同時に、あなたの参入ジャンルに関するものでもあります。つまり、誰に何を提供するのか?ということになります。
会員制ビジネスのテーマを決めるときに「それをやりたいと思っている人は沢山いるか?」という質問を自分自身にしてみてください。当然やりたいと思う人がたくさんいるジャンルほど有利になります。少し例を出して解説しましょう。
例:ギターレッスンのTony’s Acoustic Challenge
例えば、Levi Kujala(リーバイ・クヤラ)はビジネスパートナーのTony Polecastro(トニー・ポレカストロ)と一緒にギターレッスンをサブスクで提供しています。Tony’s Acoustic Challengeという名前です。日本では知られていませんが、8年以上の歴史があり3万6000人以上が受講した規模の大きなサブスクです。
キャッチフレーズは「1日たった10分でギターを習おう」です。彼らがターゲットにしているのは、ギターを弾くという新しい技術を身に着けたい人です。ギターをやりたいという人口は世界中に多く存在します。もちろんギターに関わらず楽器をやりたいという人もたくさんいます。
彼らは本当に良いマーケットを見つけたと思います。ギターを習いたい人がたくさんいる、しかもギターを習得するために必要な工程がたくさんあります。ギターを始めるなら、ギターの選び方から始まり、チューニングの仕方、コードの押さえ方などまず基礎があります。またその上で様々な演奏技術があるので、上達したい人は長くサブスクに居続けてくれます。
なので、あなたがターゲットとしている見込み客が何か新しいことを始めたいと思っているかどうかはとても重要です。それはギターを始めるという新しい趣味のようなものだけに限りません。硬くなった体をストレッチで柔らかくすることや、散らかった部屋をキレイに整頓するということかもしれません。
つまり、今抱えている問題に対する新しい解決策や改善のための習慣が欲しいと思っている。そんな人達が沢山いるかどうか?が大事になってきます。
例:今日の夕飯何にしよう?を解決するOnce A Month Meals
少し別の角度から考えてみましょう。別の質問をしてみるのです。それは「今やっていることをもっと便利、簡単にする方法はないか?」という質問です。これまで複雑だったこと、または1人では大変だったことを別の方法で解決できないか?と考えるのです。
例えば、Tricia Callahan(トリシア・キャラハン)はOnce A Month Mealsという料理レシピのサブスクを作りました。彼女が解決したのは、毎晩の夕食に何を作るか?というすごく悩ましい問題でした。これは多くの人が困っている問題です。例えば仕事帰りにスーパーに寄った時に「今日は何を作ろう?明日の分も考えて買い物しないと」と悩むはずです。
毎日食事を作る人にとっては日常的なストレスになります。まさか毎日同じ料理を食べ続けるわけにもいきません。栄養面も考えてバランスの取れた食事を作ろうとなると、さらに難易度が上がります。Once A Month Mealsで実現したのは、ちょっと乱暴な言い方をするならば食事のテンプレート化です。
Once A Month Mealsというのは「料理の献立は1ヶ月に1回計画すればそれでOK」という意味です。毎日毎日悩む必要はなく、1ヶ月分をまとめて簡単に計画してしまおうという意味です。何を作るのか?そのための材料は?用意の手順は?材料の解凍時間は?これらすべての実践的なプロセスをステップ・バイ・ステップのテンプレートのような形に落とし込んでいます。
Once A Month Mealsのサブスクでは、Meal Planつまり様々な食事メニューが用意されています。1万3500種類ものレシピがあるので、自分の食べたいものを選んでおくことができます。離乳食、ダイエット食、グルテンフリー、乳製品フリー、ベジタリアンなどの特別な食事の種類だってしっかりカバーしています。各メニューには調理時間や栄養素の情報も書かれているので、メニュー選びの参考になります。
こういったメニューから献立を作り、買い物リストやレシピを引っ張り出すことができます。Triciaが目をつけたのは、こういった料理にまつわる悩みを多くの人が抱えているという点でした。それはギターの例のように新しい何かを習得するというものではありません。ですが、何かをもっと簡単に楽にやりたいというニーズもたくさん存在します。
質問2:既にあなたはコミュニティを持っていますか?
次に注目すべきはコミュニティです。すでにあなたが何らかのコミュニティを持っていると、サブスクを導入して成功する確率はグッと高まります。例えばそれはEメールリストでも良いし、SNSのフォロワーでも良いです。あなたが教えている習い事の生徒さんでも良いです。あなたが人に何かを教える立場だったり、コミュニティの中心的な役割だと強いです。
コミュニティを作りましょうというと「でもそんなに人数を集められませんよ」という人がいます。これは大事なことなので説明させてください。コミュニティが大きければ良いというわけではありません。大事なのはお互いの距離の近さや、メンバーのトピックに関する関心度です。よく、メルマガリストが大きくなると開封率が下がるという話があります。つまりコミュニティが多くなると、興味の薄い人が増えます。なので、コミュニティは大きさよりも密度や濃度だということを覚えておいてください。
英語圏ではよくFacebookグループが活用されています。犬のしつけから、育児の方法などたくさんの種類のグループが存在します。Facebookに限らずYouTubeでもPodcastでも、個人的に主催している何らかのオフラインの会でも良いでしょう。
例:小売業者コンサルのWendy Batten
ここでいくつか例を見てみましょう。Wendy Batten(ウェンディ・バッテン)は、もともとDIY好きの主婦でした。DIY好きがこうじて、DIYのためのペイント塗料を売るビジネスを始めました。その小売ビジネスが思いの外うまく行ったので、彼女は徐々に色々な人からビジネスの成功の秘訣を聞かれるようになりました。
そのうちにWendyは、1対1のプライベートコンサルのような形で同じ小売業者の相談に乗るようになります。小売業も成功して、多くの人から相談を受けるとやはり時間がなくなります。彼女は選択を迫られていました。小売の事業を辞めるのか?誰に売却するか?という決断です。
そんなタイミングでWendyは、会員制サイトを作るというアイデアを教えてもらえます。彼女が作ったのは、同じ小売業者たちをサポートする定期課金のサービスです。孤独な個人事業主たちを束ねるような有料のコミュニティです。ここでは毎月のグループコーチングでWendyに相談をすることができます。また小売業を改善するためのレクチャーを視聴し、セールスに関するテンプレートなどをダウンロードすることも可能です。初期費用が597ドル、以後は月額57ドルです。
会員制サイトを作る前、Wendyには仕事を通してつながった453人もの知り合いがいました。彼らは正式なコミュニティではありませんでしたが、Wendyの小売業者としての成功を知って興味を持っていました。これはWendyが453人の「小売業者コミュニティ」を持っていたようなものです。
結果的にWendyが会員制サイトを立ち上げたときに、この453人の中から59人ほどが最初の会員になってくれました。およそ月40万円ほどの月次利益になりました。何よりも彼女が喜んだのは会員制サイトを立ち上げて、前よりも多くの小売業者をサポートできるようになったことでした。
例:少人数で成功したウェディングのFaye Cornhill
Wendy Battenの450人という数字にびっくりしましたか?そんなに集められるか不安という人のために、Faye Cornhill(フェイ・コーンヒル)の例を紹介しましょう。
Faye Cornhillは10年以上ウェディングビジネスを運営してきました。彼女はウェディングビジネスのオーナー向けにコーチングを行っています。彼女が立ち上げた会員制サイト「The Wedding Business Club」では、同じウェディングビジネスオーナー向けのコースやグループコーチングを提供しています。
参加者はウェディング専門の花屋さん、ウェディングプランナー、ウェディング専門の写真家、メイクアップアーティスト、司会者などです。コースの中身はInstagramやPinterestを使った集客からセールスの方法、魅力的なウェブサイトの作り方などがカバーされています。サポートとしてはプライベートコミュニティ、毎月のグループコーチング、毎週のライブQ&Aなどが用意されています。
当初会員制サイトを立ち上げる前、Faye Cornhillには70人のコミュニティメンバーしかいませんでした。彼女が会員制サイトを立ち上げると10人ほどが参加してくれました。初期メンバーには月額会員ではなく年間会員をオファーしたので、最初の利益が87万円ほどになりました。ウェディングというニッチな分野でも、コミュニティがあれば収益を上げられるという良い例です。
質問3:ユーザーの使いやすいコンテンツはありますか?
あなたは既に誰かに向けて動画や記事などのコンテンツを作ったことがあるでしょうか?または誰かにノウハウを教えるためにセミナーや勉強会のようなものをやったことがあるかもしれません。もしそうであれば、その時に使ったコンテンツをまとめてパッケージ化し会員制サイトで提供することができます。
その時に注意して欲しいのが、量だけで勝負しようとしないことです。なぜ量だけで勝負してはいけないのでしょうか?それはユーザーが会員制サイトを辞める大きな理由に「取り組む時間が取れない」「コンテンツを消化できない」というのがあるからです。普通は多いことは良いことだと思われています。
例えば本です。本はページの多い方がレベルの高いものという見られ方をすることがあります。でも果たしてそうでしょうか?たとえページの多い本であっても、まず読まれなければ意味がありません。確かに読後は「ページ数の多い本を読んだ」という満足感は得られます。でもページが多ければ多いほど、どこが重要なのかわからなくなります。
そして本の知識が実際に活用されてこそ意味があります。つまり本が読まれ、その中の重要な部分が理解され、最終的に人の行動が人生に影響を与えないと意味がないわけです。会員制サイトにも同じことが言えます。僕もかつて、ボリュームで勝負する動画見放題のサブスクを運営していたことがあります。
その時にお客さんから来る解約メールには決まって次のような言葉が書かれていました。「時間が取れずコンテンツを消化できないので解約します」また別のメールにはこんなことも書かれていました。「動画がたくさんあり、どこから始めたら良いかわかりません。何か学習の道筋のようなものはありますか?」つまり、コンテンツを視聴して実践するところまでをすべてユーザー側に押し付けるような形になってしまっていました。
繰り返しますが、会員制サイトのコンテンツで重要なのは量ではなく「きちんと実践できるかどうか」です。きちんと実践し、ユーザー自身が進んでいる感覚を得られれば満足度は高まり、毎月継続的に課金してくれます。ここが売っておしまいの買い切りコンテンツとの違いです。先程のギターと料理の例を使って解説しましょう。
例:Tony’s Acoustic Challengeは継続できるコンテンツを用意
Tony’s Acoustic Challengeはギターの弾き方をオンラインで学ぶためのサブスクでした。課金方法にもよりますが、Tony’s Acoustic Challengeは約月30ドルでステップ・バイ・ステップのコンテンツが見放題です。
Tony’s Acoustic Challengeでは、何よりも楽しく継続できることに重点が置かれています。新しい趣味を始めるときに一番苦労するのは習慣化や続けることです。そのことを彼らはよく理解しています。メンバーになってログインすると1週間のカレンダーが表示されて、自分が何日レッスンをやったかを視覚的に確認することができます。
毎日のレッスンは10分という短い単位なのでとても続けやすいです。また最初の30日は初心者用のスタータープログラムが用意されています。ここでは例えば「実は90%以上の曲が3つのコードだけで出来ていることを知ろう」とか「30日で1曲ギターソロで弾けるようになろう」といったワクワクする内容がカバーされています。初心者につまづかせないための仕組みです。
また毎日の10分のレッスンの他に、毎週5つの新しいギターテクニックも教えてもらうことができます。参加から90日が経ったところでプログレスパーティーというイベントがあります。これは自分自身の90日間を振り返るイベントです。同時に次の90日で自分がどのようにギター習得に向き合うかということも考えてもらいます。随所に継続のための工夫が施されています。
結果的にこの会員制サイトは、高い継続率を維持しています。これまでの自習方法による継続率は10%でしたが、Tony’s Acoustic Challengeでは68%の会員が課金を継続しているとのことです。
例:Once A Month Mealsは徹底的なユーザー視点
Once A Month Mealsは料理の献立を考える手間を省いてくれるサブスクでしたね。このサービスがすごいのは徹底的にユーザーのことを考えて作られているところです。ただのレシピ紹介サービスに留まらず、「実際にユーザーが使うときに何が必要か?」ということが考え抜かれています。
食事メニューを選んで人数を入力すると、そこから買い物リストが生成されます。しかもすごいのが、複数の食事メニューの材料の合計量を買い物リストにまとめてくれることです。例えば、マッシュポテトにはじゃがいもが必要です。ポトフにもじゃがいもが必要です。その場合、買い物リストには両方のレシピで使うじゃがいもの合計量が出てきます。この買い物リストを印刷して、スーパーに持っていくことでたくさんのメニューを作るための材料を一気に揃えることができます。
買い物してそこで終わりではありません。実際に料理を作るプロセスでもこのサブスクは役立ちます。Prep Instructionという下準備のためのリストも自動で作ってくれます。ここではいざ料理する段階になってもたつかないように、あらかじめ材料をカットしたり、材料を混ぜ合わせたりする指示が入っています。
例えば「チキンの胸肉450グラムは水に30分以上浸しておいてください。4時間ほど低温調理して加熱しておいてください。これはチキンバーガーに使います。」「生のエビはカラを剥いて背わたを取っておいてください。これはエビのマリネに使います。」といった具合です。準備の方法が詳しく書かれ、何に使う食材なのかも説明されています。
下準備が終わったら、次は実際の料理の手順書もあります。すでに複数のメニューを選んでいる場合は、時間の掛かるものから順に作れるように順番がスマートに整理されています。例えば、時間の掛かるモンゴリアンビーフから始めて、だんだんと時間の掛からないシーザーサラダ、チェダーバーガーに移行すれば良いという具合です。こうすることで、料理の手順が効率化されますし、すべての料理の出来上がりの時間が揃うようになります。
実はまだあります。もう本当にすごいのですが、食べ終わった後のことまで考えられています。食事をすると必ず残り物が出ます。その残り物の保存までOnce A Month Mealsは考えてくれています。残り物を保存するための印刷可能なラベルが用意されています。そこにはレシピ名、日付を書くことができるようになっています。またメニューごとに温め直しや解凍方法までが丁寧に記載されています。
Once A Month Mealsの料金はどうなっているでしょうか?無料プランもありますが、有料プランでも12.5ドルほどです。年間で150ドルなのですごく安いです。このOnce A Month Mealsが素晴らしい点はメニューやレシピを紹介して終わりではないところです。表面を撫でているだけでなく、徹底的にユーザービリティに振り切っています。
Once A Month Mealsには日常生活の中で料理を作り続けるのに必要なすべてのことにチェックリストがあり、テンプレートがあります。ユーザーが実際に直面する買い物や、食べ残しというところまでも考え抜かれています。ユーザーを丁寧にアシストしてくれる素晴らしいサービスです。
まとめ:3つの質問で会員制ビジネスに最適なジャンルを見つける
ここまでサブスクビジネスに最適なテーマやトピックを検証するための方法を見てきました。最後に要点を4つにまとめます。
- 自分のビジネスがサブスク課金に適しているかどうかは、自分に3つの質問をすることで確認することができる。
- 質問1は「やりたい人が沢山いるか?」であり、潜在顧客が多い分野ほど成功しやすい。
- 質問2は「既にあなたがコミュニティを持っているか?」である。あなたの周りに特定のトピックに関して関心の高い人が集まっていれば、あなたのサブスクに参加してもらえる可能性が高い。
- 質問3は「ユーザーの使いやすいコンテンツはあるか?」である。ユーザービリティの高いコンテンツほど顧客が成果を出しやすいため、満足度が高まり継続的に課金する確率が高くなる。