売れていない商品はオファーが弱いです。オファーを強められないと、いつまでも底辺フリーランサーのままです。もっとあなたのコンテンツを売りたければ、オファーを強める方法を学んでください。オファーを強める方法は4つあります。「価格」「返金保証」「特典「USP」です。今回は「価格」についてお話をします。
僕たちが販売しているデジタルコンテンツ ほど価格の弾力性が高いものはありません。例えば生活必需品は値段が上がっても需要はそれほど変わりません。お米の値段が高騰しても、不満に思いながらレジに持っていくのが普通です。水道代が上がったからといって給水停止を申し出る人はまずいないでしょう。つまり価格弾力性が低いといえます。一方、デジタルコンテンツは価格の変化にダイレクトに影響を受けます。Udemyがその典型といえます。定価2万4000円で販売されているフォトショップのコースが90%OFFのプロモーションでセールスされると多くの人が奪い合うように購入します。でもプロモーションが終わると潮が引いたように急速に需要が落ち着きます。
それではどのようにしてあなたの商品の価格を決定していくのか考えていきましょう。商品の価格を直感的に決めてしまうのはあまり好ましくありません。多くの人は「自分だったらいくら払うかな?」といった考え方で商品の値段設定をするのですが、これは本当に良くないアプローチの仕方です。なぜなら、この仕方で値段設定をすることで、自分のコンテンツを安売りしてしまうことになるからです。値段設定は本当に難しいため、ほとんどの人は自分のコンテンツを過小評価してしまいます。
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市場価格は需給曲線の交点という嘘
例えば、僕たちはオンラインコースの管理プラットフォームであるTeachableの日本語化パッチを4万円で販売しています。僕たちがTeachableを日本に紹介してから、少なくない人たちから日本語化の依頼を受けてきました。僕たちは400万円の業務委託サービスの中にTeachable の日本語化も含めていましたが、中には400万円が高すぎて払えない人もいました。そこで、僕はこの日本語化パッチを1万円で販売したらどうかと考えました。だってたかだか翻訳の対応表を渡すだけですから。でもパートナーの小川さんはその値段を安いと判断したようです。小川さんは、ある基準を使ってプライシングを決定しました。今日はその基準を紹介します。ちなみにこの日本語化パッチは4万円でローンチした後、多くの人が購入してくれました。あの時、僕が自分の直感を信じて1万円で販売していたらと思うと、ぞっとします。
ここで覚えておいてほしいのは「コンテンツの価格設定は、科学的ではなく感覚的に決定される」ということです。商品には最適な価格と呼べるような相場は存在しないのです。もし商品の価格によってそのコンテンツの良し悪しが決まるのであれば、値段でコンテンツのクオリティを測ることができますよね?でも、世の中に溢れている商品の価値が、全て値段と比例しているわけではありません。
そんなことはない。中学校の時に需給曲線の交わるところが市場価格だと学んだ!と言い張る人もいるかもしれません。しかし、それはマーケットに十分な数の人が参加している場合に限り、という前提ありきです。僕たちが参加してあるのはもっと小さなニッチマーケットです。そもそも人は合理的に行動しているという前提も甚だ怪しいです。多少値段が高くてもマクドナルドではなくモスバーガーに、あるいはより可愛い店員さんがいるお店に、あるいはよりポイントが貯まりやすいお店に行くのが僕たち人間です。こんな非合理的な判断を繰り返す人間を数式に当てはめて、適切な値付けをするのはひどく困難な作業です。
難しい話をしたかもしれません。ただ今のところは、しっかりと理解していなくても特に心配しなくて大丈夫です。ここでは、どの程度の価格設定がスタート地点として順当なのかをあなたに検討してほしいのです。自分のコンテンツの価値を知るために最初に行うべきことは、見込み客があなたのコンテンツに類似した商品に対して、どれくらいのお金を支払っているかということです。
例えば日本の情報商材ばかりをみていると、高くても10万円くらい・・・と思うかもしれません。コンテンツ販売をするときは、まず2000円くらいから、なんて考えている人も多いかも。イケダハヤトさんがnoteで販売しているマガジンも9800円。でも海外を見ると、コンテンツの値段はどんどんと高騰しています。JumpcutのFacebook Ads Bootcampは$997です。Tony RobbinsのKnowledge Broker Blueprintは$1997です。あなたが誰をみているか、どのプレーヤーをベンチマークしているかによって、スタート地点の値段は変わってきます。僕は、海外の商品ばかり見ているので、競合に比べて自然と高い値付けをする傾向にあります。
オンラインコースは300円でも売れるし300万円でも売れる
たとえば1万円の電子書籍は高すぎると感じませんか?電子書籍はどれだけ中身が充実していたとしても500円から5,000円くらいが妥当な価格設定だと言えるでしょう。どんなフォーマットでコンテンツを作るとしても、ある程度、順当な価格設定が前提として存在していることを忘れないでくださいね。ただ、この前提はコンテンツの値段設定を制限するものではありません。逆にこれを利用すれば、ビデオフォーマットのコースは前提として存在する価格設定がかなり広いので、より自由に価格設定を行うことができるようになります。僕たちの経験からすると、ビデオコンテンツは300円から100万円までの幅広い価格設定を行うことができます。
例えばここ最近のローンチで最も売れたStu McLaren のTribeは30万円です。今はドバイで生活している与沢翼さんのネット有名人完全プロデュースパッケージは100万円でした。僕たちが販売しているフロントエンド商品はいずれも20万円です。
一方Udemyで売られている商品は、プロモーションで割引されて、だいたい1200円から1800円まで販売されています。
こう見ると、デジタルコンテンツは価格帯の幅が広い商品であることがわかります。
まずはリサーチをして、見込み客があなたのコンテンツと同じフォーマットの商品にどれくらいのお金を支払っているのか調べてみてください。もちろん競合他社の商品も含めて調べてみましょう。また、競合他社のコンテンツよりも、価格を高くしたり安くしたりして差別化を図ろうとする必要はありません。あくまでコンテンツの販売価格の相場として知っておくことが大切なのです。
もし競合他社が同じようなコンテンツを500円で販売しているとしましょう。あなたのコンテンツがそのコンテンツよりも “Perceived Value(知覚価値)”を持っているのであれば、ライバル・コンテンツ以上の価格設定をすることもできます。Perceived Valueがどれくらいあるかは、たとえばステップ・バイ・ステップのプロセスを提供していたり、そのほかの価値を提供していたりするという観点から測ることができます。
繰り返しになりますが、競合他社の価格設定は、あなたのコンテンツの価格設定をする上での参考材料でしかありません。ライバル・コンテンツの価格を意識するばかりに安価でコンテンツを販売してしまうことで、あなたは得するどころか利益が全く出なくなってしまうでしょう。これは情報コンテンツを売ろうとする人の多くが犯してしまう最大の間違いです。僕は、あなたにそうなってほしくはありません。
クリックファネルを作ったラッセルブランソンはこう言います。
市場で最も安い値段をつけられないなら価格競争はすべきではない。2番目に安い値段をつけるくらい愚かなことはない。
最安値にするならそれが強みになり得るけど、ただ安いのは、強みでもなんでもないということです。
価格が高ければ価値があると勘違いしてしまう人たちの逆心理
価格設定に関して言えば、見込み客の心の中にとても興味深い逆心理があるという話をしておきましょう。そうですね、ブランド名であればなんでもいいんですけど、じゃあ取り敢えず僕たちはこの逆心理のことを “Bugatti Bias(ブガッティ・バイアス)” と呼ぶことにしましょう。ヴィトンが好きな人はヴィトンバイアスでもいいし、ドルチェアンドガッバーナバイアスでもいいです。高い方が価値があると思われているブランド名に差し替えてください。
Bugatti Biasは「値札にもとづき商品の価値が決まってしまう」という心理現象です。ちょっと考えてみてください。10万円の財布と1,000円の財布では、どちらの方が高品質でおしゃれだと思いますか?もしどちらかがもらえるのであれば、どちらがほしいですか?おそらく10万円の財布の方を選びますよね。
なぜ10万円の財布の方が高品質かつおしゃれなのでしょうか?別に理由は書いていないのに、どうして高い値段の方が優れていると思ってしまうのでしょうか?このように考えてみると、10万円の財布の方が優れているというイメージには、全く根拠がないということに気づくはずです。これはデジタル・コンテンツの場合でも同じです。実際に僕たちもBugatti Biasをテストしてみて衝撃を受けました。
僕たちの初めてのコースは月額700円でスタートしました。できるだけ手ごろな値段で見込み客に提供したかったからです。その後、月額1,700円に値上げしてみました。そこで気づいた事実とは、見込み客がコンテンツに含まれる内容だけでコースのクオリティを評価しているわけではないということでした。僕たちはたくさんの知識と教養、そしてさまざまな経験をコースの中に注ぎ込みました。しかし、彼らはそこに価値をほとんど見出してくれなかったのです。
そのコースの価格設定について、僕たちは当初このように考えていました。「僕たちはこのコースで人々の人生を文字通り一変させてみせよう。しかも2,000円以下の値段で、何百万円もの価値があるコンテンツを提供するんだ。彼らはきっとこのコースを受けて、多くのコンテンツを気に入ってくれるはずだ」と。当時、僕たちが持っていた全てのオンラインコースへのアクセス権を購入者に与えていました。
たくさんの人々にポジティブな影響を与えるだけではなく、価格設定に対する僕たちのスタンス、つまり「安売り」は彼らに高く評価されるものだと思っていたので、多くの人々がコンテンツを気に入り、購入してくれるだろうと考えていました。
しかし、それは誤りでした。Bugatti Biasが働き、彼らは僕たちのコンテンツに対してこう感じてしまったのです。「このコースはボリュームの割に安すぎる。きっと大した情報が載っていないんだろう」と。彼らはコンテンツがあまりにも安い価格で設定されていることを疑問視し、僕らのコースがつまらないものだろうと判断してしまったのでした。
そこで僕たちは、コースが顧客に対して与えられる価値と比例するような価格設定に変更しました。具体的には、値段が10万円で、一括払いだけに限定しました。その結果、僕たちのコースは月額1,700円で売っていたときと同じ数だけ売れてしまったのです。コースの中身に合わせて適切な価格設定をしただけなのに、40倍もの収益を上げることに成功したということです。
そこから値上げを繰り返し、いまではフロントエンド商品ですら、20万円の値付けになっています。ちなみにこの価格帯はハイチケットセールスで有名なダンロックの価格帯を真似しました。彼のウェビナーでは、オプトイン直後に20万円の商品をオファーしています。まだ彼を見たこともない人に20万円のオファーをするなんて狂っている、誰が買うんだと最初は思いました。でも冷静になって考えてみると、僕自身が彼のフロントエンド商品を20万円で買っていたのです。なるほど、僕ぐらいの年収の人をターゲットにすれば20万円の商品でもポンポン売れていくんだな、と理解した瞬間でした。
僕たちは商品の値段をあげなければいけない
ここで重要なことは、価格をより信憑性のあるものに、そしてより意味のある値段に引き上げるということです。僕たちはこれまで自分たちのコースを過小評価しすぎていたことに気づきました。「Bugatti Biasは正しかった!」結果を見た僕たちは、そう確信しました。
どうやらUdemyで長く活動しすぎたようです。Udemyにいると、1ヶ月かけて作ったオンラインコースが1200円で売られることに慣れてしまいます。僕のUdemyからの収入は、だいたい20万円から70万円の間を行ったり来たりしています。
毎日コツコツと売上がたまり、その月の終わりにようやく$3000に達すると「ほっ」とします。ああ、今月も30万円の不労所得が入ったなと。これでLumix S1のレンズを追加購入しようとか思ったりします。大好きなダブルチーズバーガーセットなら468セット買えるなと。Airbnbに支払っている金額も毎月30万円くらいですから、それに充当するのもいいかもしれません。
ふとiPhoneから届く売上通知を確認すると、たった数時間で50万円を超えるコンテンツが売れています。
サブスクリプションの購入は毎日のようにあるし、10万円クラスの商品ならハンズオフでポンポンと売れていきます。ClickFunnels万歳です。アップセル万歳です。ワンタイムオファー万歳です。海外のデジタルマーケティングツールがようやく僕のような末端マーケターにまで普及したおかげで、こんな風に僕のような無能な人間でもお金を稼げるようになりました。
もし僕が自分自身で、Udemyのように1200円のオンラインコース をコツコツと販売していたら、1日に50万円を稼ぐためにどれほどのトランザクションを出さなきゃいけないか。想像するだけでゾッとします。まあ、まず無理です。僕はインフルエンサーでもないし、SNSで情報発信をしているわけでもないのでフォロワーも大していません。マスを相手にしたビジネスをしているわけではないのです。
ちまちまとど真ん中の見込み客に向けて、毎週土曜日の午前中を使い、コンテンツを届けているだけです。それでも十分な売上を計上できています。なぜ値段をあげなきゃいけないか理由はわかりましたか?
以前、僕たちのコンテンツを購入した顧客に対して、コースの価値に関する匿名リサーチを行いました。このリサーチでは、他の人の回答や、僕たちが500円から1,700円、最終的に10万円の一括払いに変更したということについて、リサーチを受ける人には一切伝えていませんでした。果たしてリサーチの結果はどうなったでしょうか?
500円〜1,700円でコースを購入した人からは、コースの価値について500円、1,000円、1,500円という意見をもらいました。一方で僕たちのコースを10万円で購入した人からは10万円以上だという意見をたくさんもらったのです。もっと具体的に言えば、10万円から250万円という評価をもらうことができました。
この話で何を伝えたいかわかりますか?あなたのコンテンツを決して過小評価しないでほしいということです。価格を下げることは理想の顧客の獲得には繋がりません。変なお客さんが集まるだけです。また、安売りはコンテンツ販売を成功させる方法でもありません。Bugatti Biasはあなたの直感に反しているかもしれませんが、それを乗り越えていかなければならないのです。
もう1つあなた自身に尋ねてほしいことがあります。それは「見込み客の問題を解消してあげることにはどれくらいの価値があるのか」ということです。繰り返しますが、これは科学的な話ではなく、感覚的な話です。問題に対する効果的な解決策の価値は、その問題がどれだけ深刻であるかどうか、どれだけ痛みがあるかどうか、そしてどれだけの欲望を刺激しているのかどうかによって決まります。
たとえばあなたには「どうやって髭を剃ればいいかわからない」という問題があるとしましょう。これは、あまり深刻な問題ではありませんよね。髭をしっかり剃れないからと言って、夜眠れないほど悩んでいる人はいません。多分、この悩みを解決することの価値は500円くらいではないでしょうか。
一方で、あなたは家から出られないほどの不安を抱えており、一睡も眠れないとしましょう。この問題を解決するためならたくさんの費用でも払いますよね?1,000円であれ、5万円であれ。
あまり喜ばしいことではありませんが、癌の代替療法に関する広告をたくさん発見します。広告が打たれているということは、それだけ販売者が儲かっているということです。薬事法で効果の約束はできないので、いずれのコピーも、超遠回しな表現ばかりです。癌が治るとは絶対に言ってはいけない。言うと薬事法に引っかかるし、その前に広告の審査に通りません。それでも、たくさん広告が打たれ、効果が実証されていないサプリメントが販売され、多くの癌患者がそれを購入しています。悩みの深さと、市場に流通するお金の量はある程度まで、比例するのが事実です。
端数価格効果を使って心理的に購入しやすい値段を設定する
コンテンツの価格を設定したら “端数価格効果” というメソッドを実行しましょう。端数価格効果とは、価格を数百円切り下げて心理的に購入しやすい値段に見せることです。通常は、最後の値段を切り下げ、7・9・5、日本では8などの数字で終わらせます。イチキュッパって言葉があるくらい定着した文字列です。このメソッドを使うことによって、普通よりも安く感じられる効果を得ることができます。2080円というプライシングはなかなか見ないけれど、1980円はありふれています。
もし10万円のコンテンツと9万7,000円のコンテンツがあれば、人はまず9万7,000円のコンテンツに注目するでしょう。ここで注意すべきなのは7,000円の方ではなく「10万」と「9万」の比較で、後者の方が圧倒的に人々に印象を与えることができるということです。すでに端数価格効果は実用的なマーケティング戦略として一般的です。
99は二桁、100は三桁。そんなことは当たり前ですよね。ただ、この桁数が見込み客に与える印象はかなり大きいものなのです。桁数が商品の売り上げにどれだけの影響を与えるかについてテストをしたことがあります。9,900円のオファーと10,900円のオファーを同時に行った結果、10,900円のオファーはほとんど売れなかったのです。値段の差はほとんどないにもかかわらず、その小さな差が売り上げに大きく変化を与えるということを学ぶことができました。
したがって価格設定にもし行き詰まってしまった場合には、以前のモジュールでお話しした “Median” メソッドを使用してください。中央値を取りに行くという手法でした。価格を上手に操ることで、オファーを強められる。この点、忘れないでください。
次回のレッスンでは、オファーをさらに強める方法である、返金保証について学んでいきましょう。