どうもこんにちは、石崎力也です。
今日は「共通の敵を作る」というお話をします。共通の敵を作ることで見込み客に影響を与えることができます。ゴシゴシ洗顔は美肌の大敵というメッセージは、ゴシゴシ洗顔という共通の敵を作り上げて、顔をゴシゴシ洗うことに抵抗を感じていた見込み客の心を掴むことに成功しています。あなたも意図的に共通の敵を作り上げ、マーケティングのプロセスで積極的に活用することで、影響力を獲得できます。
今日は影響を与える2つ目の方法として「共通の敵を作る」ということをテーマにお話ししていきます。これは「私たち」と「彼ら」という対立構造がコンセプトとなっています。歴史的に見ても、共通の敵がいることによって集団の結束が強まるということは実証されているのです。共通の敵がいる集団は互いに結束し、支え合うようになります。そこには文字通り「私たち」と「彼ら」という関係性が生まれるのです。
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差別がなくならないのは人間の脳が敵を作りたがるから
たとえば韓国や中国も内政的な問題が出るたびに政権の支持率を維持するために、国民の注意を外に向けるために、日本を攻撃するようなトピックを持ち出します。これは日本も同じです。
北朝鮮からテポドンが飛んでくることはありませんでしたが、小泉政権の時に何度も「テポドンくるぞ」とアナウンスされました。いずれのタイミングでも支持率が低下していました。
数年前、Airbnbでアジア人が差別されたYouTubeのビデオがありましたね。アジア系アメリカ人の女性が泣きながらビデオを撮影していました。ホストが「お前はアジア人だからだよ」と差別的な表現をして、ゲストが拒否された事件です。あのAirbnbのやりとりを追うと、白人のホストは「だから私たちはトランプを選んだのよ」とも発言していました。トランプ大統領はメキシコとアメリカの国境に壁を設けると言いました。白人VS移民の構図を作ったわけです。つまり「私たち」と「彼ら」の関係ですね。
皮膚の色や出自で人を区別し、自分たちが他より優れていると言うのは、特別努力を必要としないので楽なやり方です。本来であれば、能力や努力量、あるいは社会的地位または年収などでランクを決めた方がまだフェアですが、生まれた段階での差異に言及されてしまえばお手上げです。だからこそ、移民で成立されている国家は、差別に敏感になるわけです。
欧米の旅行をして、1ヶ月も滞在すれば、普通に差別を感じます。自分が優れていると言う感覚は、皆が持ちたい感情です。それを利用しようとする様々な思惑が存在するのは否定できません。なぜなら僕たちの脳には、敵を作りたがる習性があるからです。あるいは仲間を作りたがる習性があるのです。
留学先で、日本人は日本人とつるみ、韓国人は韓国人とつるむ。少しだけリベラルな人は、国家を超えて移民同士でつるむようになります。まるで僕がネブラスカ州立大学に留学していた時に、エルサルバドル人のネミスと韓国人のジェイとつるんでいたように。
僕たちは敵を作りたいのです。僕たちは仲間が欲しいのです。
これは私たちの脳内にインプットされている最も強力な引き金の1つです。共通の敵が生まれれば「彼らが言っていることは誤りで、私が言っていることは正しい」という思考回路になっていくからです。これは政治においてよく用いられる方法で、多くの政治家は、邪悪で貪欲で巨大な敵がいるかのように振る舞っているのです。
敵はどんなものでも構いません。必要なのは「集団に共通した敵」であるということだけです。あなたがその集団のリーダーとなれば、他の見込み客は勝手にあなたに引き寄せられていくでしょう。
典型的な例としては、左翼政治家が実業家や億万長者、ウォール街の銀行家などを共通の敵として利用していることが挙げられます。左翼政治家は、ウォール街の銀行家たちが人々を騙してお金儲けをしているように喧伝します。彼らはこのように巨大な敵を捏造して、できるだけ支持者たちを引き寄せようとしているのです。
まるでスポーツの試合ではないでしょうか。ほとんどの人々は、集団の一員であるということを好むのです。スポーツチームのファンとなった人々はチームを応援するだけでなく、何かしらのサポートをしたいと考えます。彼らファンたちは、チームの帽子とシャツを購入し、できるだけチームの試合を観戦しようとします。チームが負ければ人々の気持ちは落ち込み、チームが勝てば彼らにとっても「最高に1日」となります。
ちなみに僕は毎冬、スキー場にこもってスキーとスノボを毎日やります。シーズン券を購入して、1シーズンに70日以上はリフトやゴンドラに乗っています。僕はスキーもスノボもやるのですが、いざプレーヤーとしてスキー場にいくと、この2つのスポーツには見えない隔たりが存在するようです。スキーヤーはスノーボーダーを嫌っているのです。たとえば、僕が湯沢にある苗場スキー場のリフトに乗っていると、スキーヤーのファミリーが大声で「今日は下手くそボーダーが多いから気を付けようね」とスノーボーダーに聞こえるように言っているのです。
これらは全て「私たち」と「彼ら」という対立構造の精神が引き起こしている現象です。
バーニーサンダースが「共通の敵」を使って220億円集めた方法
このテーマでは、Bernie Sandersが2016年に行った政治活動から特に優れた例を紹介します。これを読んでいただければ、彼が支持者を団結させるために、Hillaryや他の政治家を悪役として位置付け、利用していることに気づくでしょう。
Bernie Sandersは、メールで2つのことを目標として掲げました。1つ目は「政治に巨額の金が浪費されている事実を暴く」ということ。2つ目は「自分の政治活動に対してできるだけ多くの寄付をしてもらう」ということ。これはとても興味深い話ですよね。彼は、他の政治家たちによって大金が浪費されている事実をバッシングしながらも、自分の政治活動のためにできるだけ多くの資金を募っているのです。
この2つの目標はほとんど矛盾しているようにしか見えませんが、自分の支持者たちに対する「共通の敵」を作ることによって、目標達成という大成功を収めたのです。つまり、厚い支持と大量の政治資金を同時に集めることができたということです。
バーニーサンダースは、支持者たちにメールでこのような問いかけを行いました。「George Clooneyと同じテーブルに座るために3500万円以上を寄付することはバカげていると思いますか?」支持者たちの多くは、当然「馬鹿げたこと」だと考えるでしょう。彼は「George Clooneyすらそんなことは馬鹿げたことだと考えるだろう」と続けます。そんな非常識なことが起こるはずがない。バーニーサンダースの話を聞いて、多くの支持者はこう考えます。
バーニーサンダースは続けます。「今、政治では同じことが起こっているのだ」と。そして彼は「政治に対して見合わないほど莫大な資金が浪費され続けている。この現状を許してはいけない」と訴えたのです。これは敵陣営のHillaryを批判したものであり、感情を揺さぶる強い言葉であったと言えるでしょう。
ここでわかるのは、彼が「バーニーサンダース」と「ヒラリー」という敵対構造を作り出したということです。99%の人間は有名人の隣に座るために3500万円を支払うことが馬鹿げていると感じています。そして、それと同じくらい馬鹿げたことが政治において行われているということをバーニーサンダースは支持者たちに訴えたのです。
バーニーサンダースはこの話を書いた直後、人々に向かって270円という小さな寄付を求めました。有権者にとっては、先ほどの3500万円の話からすると些細なことでした。「270円の寄付で政治を変えてくれるのであればよろこんでしよう」と考えたのです。しかし彼は最終的に220億円という政治資金を集めることに成功しました。そのほとんどは個人の支援者からの小さな寄付によって構成されていたのです。これが共通の敵を作ることの効力です。
石崎力也の共通の敵は「社会のシステム」
次に僕たちの話をしましょう。僕が作るオンラインコースでは共通の敵として「社会」を設定しました。初心者向けのフロントエンド商品では「不正な大学システム」を共通の敵として描きました。「あなたは大学に行くことが成功のための鍵であると考えていますが、それは間違いだ」と。だって、大学に入るために多額の奨学金を借りたりするほどの価値はないですし、大学に入ったからといって現実社会で役立つことなんてほとんど学べないですから。
僕たちは大学システムが間違っているという考えを支持してくれる人を集めました。バーニーサンダースは、ヒラリーを共通の敵にしましたが、敵として設定するのは人間ではなくてもいいのです。
僕は9時5時の仕事に勤しんでいる人たちから攻撃を受けます。それは僕の発信する情報が「9時5時人間を批判するもの」だからです。実際には僕は9時5時で働く個人を敵に設定いるわけではなく、9時5時人間を生む社会のシステムそのものを非難しています。
僕たちが9時から5時まで働く仕事に反対している勢力のシンボルになったのと同じように、共通の敵を作ることで集団のシンボルになることができるのです。
僕たちはこれまで9時から5時まで決まった時間に働く仕事を「自由のない独房ようなものだ」と批判してきました。1日の半分を小さなオフィスで過ごすべきではないと訴えてきたのです。この主張は9時から5時まで働く多くの人々の心に響きました。
僕たちがこのようなテーマのコンテンツをリリースするたびに、コメントやメールが見込み客から送られてきました。彼らは働くことに対して強い関心を持っているので、僕たちの主張に賛同してくれたのです。彼らが「本当のファン」となっていく感覚を強く持ちました。共通の敵を作るということは、強力な味方を作るということなのです。
共通の敵を作る具体的な質問
それでは、1つのコンテンツに対してどのような共通の敵が利用できるか考えるため、次の質問に答えてみてください。「あなたの専門分野に対する共通の敵はなんですか?」例えば「二酸化炭素排出量の削減」を中心に展開しているコンテンツであれば、「地球温暖化を信じない人」が共通の敵ですよね。このように自分のコンテンツに対する共通の敵を考えてみましょう。
僕たちはEvergreen Factory という商品を持っています。これはエバーグリーンで回るセールスファネルを構築し、手放しで高額商品を売ろうというコンセプトです。このコンテンツが共通の敵として設定したのは、ライブローンチです。
具体的な日付の締め切りを設けて、たくさんメールを送りつけて高額の講座を売りつける人たちを意図的に批判しました。僕たちは1つの商品を売るためにたった1回しかメールを書きません。その一連のメールが見込み客を教育し、彼らを顧客へと変換します。僕たちは完全にハンズオフのビジネスモデルを持っているけど、世の中のローンチをやっている人たちはとにかく忙しくライブで働いていますよね、それで大きな売り上げを計上したとしても、虚しくないですか?というポジションを取りました。
この商品は20万円するデジタルコンテンツですが、年収3000万円程度のフリーランスや、年商5億円前後の法人の経営者を対象としているので、彼らにとっては安い買い物です。僕たちがリサーチをした結果、多くのネット経営者はお金はあれど時間はないという問題に直面していることが発見しました。その問題を解決するのがこの商品です。
共通の敵は大きくなくてもいいです。個人でなくともいいのです。僕のように古い慣習や、見込み客が直面している問題などを共通の敵として仕立て上げてもいいのです。
あなたはどのような共通の敵を作り、どのような味方を作りますか?
またブレインストーミングを1つ提供します。あなたが情熱を注いでいるトピックをリストアップして、全てのトピックに対する共通の敵をできるだけ書き出してみてください。これらの質問とブレインストーミングを出発点として、共通の敵を用いて見込み客を1つにまとめられるようになりましょう。
たとえば、僕はスノボが好きです。スノーボーダーの共通の敵は「スキーヤー」かもしれないし、「リフト代」かもしれない。あるいは「間違った指導方法」かもしれませんね。
僕は、iPhoneが好きです。共通の敵は「Windows」かもしれないし、「Android」かもしれません。あるいは「高い通信費」も敵になり得るでしょう。
こんな風に、世の中の事象や、興味があるトピックに対して、「あちら側」と「こちら側」を作る訓練をしてみてください。どんな共通の敵を用意したら、本当のファンを見方につけられるか考えてみてください。