さて、ここまで本当のファンを獲得することの重要性と、そのために “ブリッジビルダー” になる必要性について話を進めてきました。改めて、なぜブリッジビルダーが本当のファンを獲得できるのかついて確認しましょう。
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専門家としての権威性を獲得する
ブリッジビルダーは、専門性を業界外に発信する人々のことでしたね。そして業界外の一般的な人々は、ブリッジビルダーの権威性を信頼し、耳を傾け、学ぼうとしていきます。この現象のことをソーシャルプルーフ(社会的証明)と呼びます。社会的証明は心理的かつ社会的な現象であり、これを利用することで専門家としての権威性を獲得することが可能です。
例えば、100万人の登録者がいるYouTubeチャンネルに対して「これだけの登録者がいるのだから信頼性が高いはずだ。私も登録しないと。」と考えたり、1,000件の「いいね」がついた本を見て「この本は名著に違いない。私も買わないと。」と考える人は多いはずです。これが社会的証明と呼ばれるものです。
越後湯沢駅について、さあ西口から出ます。ラーメン屋が2つありました。1つは車が3台止まっている。もう1つは車が1台も止まっていない。店内もガラガラ。あなたはどちらのラーメン屋さんに入りますか?もしあなたが、車の止まっている方のラーメン屋に入ろうとすれば、それは社会的証明の心理トリガーを利用した結果です。ちなみに北陸新幹線ができる前、金沢市民は東京に行くために越後湯沢駅で乗り換えが必要でした。10分という短い乗り換え時間を嫌う人は、一本遅らせて、僕のように西口から出てラーメン屋を探したかもしれません。
社会的証明は人間の心理に深く根差しているので、非常に大きな影響力を与えることができます。人間がまだ原始的な生活していた時代、この現象は「自分たちにとって何が安全で、何が危険なのか」を端的に理解するためのものでしたから。もし多くの人々が食べている果実と誰も食べない果実があれば、どちらを選択すればいいのでしょうか?答えは前者ですよね。
僕がアメリカ留学していたとき、エルサルバドル出身のネミスと一緒にミネアポリスにあるMall Of Americaというショッピンセンターで、日本料理を一緒に食べました。中国系アメリカ人が盛り付ける刺身を二人で食べました。僕は北陸出身の人間なので、もう3歳から魚介類を生でパクパクと食べていました。北陸の人たちは、あるいはうちの家族は特に生の食べ物を好んで食べていたような気がします。そのおかげで、僕も生の食べ物が大好きになりました。一方のネミスは「Sanitationが気になる」と言って、いっこうに箸がすすみません。その箸の持ち方もかなり不器用。僕はそのとき初めて、世界には生の食べ物を食べれない人たちがいることを知りました。僕が生の食べ物を大丈夫と思ったのは、社会的証明のパワーです。周りの人が当然のように食べていたからです。ネミスが生の食べ物を食べないのは、生の食べ物は衛生面を考えて食べてはいけないという環境で育ったからです。これも社会的証明のパワーと言えるでしょう。僕たちは周りの人たちの行動を参考にして日々判断を下しているのです。
人間は他人が信頼するものを信頼する
社会的証明は現代においても役に立ちます。僕たちは他の人々の評価を基準にして何かを評価しているのですから。もっと簡単に言えば「人間は他人が信頼するものを信頼する」ということです。ただし、この現象はあなたを専門家にする方法ではありません。社会的証明は、人々とコミュニケーションが上手く取れた結果でしかないのです。
小川さんと僕がオンラインコース・ビジネスを作ったとき、僕たちは業界における知識も権威性も、何も持ち合わせてはいませんでした。しかし、僕たちがブリッジビルダーになったことによって、最終的には競合他社よりもはるかに多くの見込み客を獲得することができたのです。セールスファネルやオンラインコース、あるいはデジタルマーケティングといえば、僕たちのことを想像する人が多いのも、社会的証明のパワーを利用したおかげです。海外には、デジタルマーケティングの専門家はたくさんいましたが、日本には誰もいませんでした。だからこの空いているニッチ、あるいはGapを埋める存在になろうと決心し、僕たちは橋をかけることにしました。
ブリッジビルダーとは、具体的にどのようなことをする人々なのでしょうか?「まだスキルを持っていない一般人に対して自分のスキルを共有する」というのが、この質問の答えです。僕がUdemyでデジタルマーケティングのオンラインコースを作った当時、まだデジタルマーケティング業界と普通の人を繋げるブリッジビルダーはいませんでした。だからこそ、僕たちは彼らと業界を結びつけるおもしろいコンテンツを作ろうと決めたのです。
おもしろいコンテンツの条件は、人々が理解しやすく、実践しやすく、自分に関連性が高いという3点です。僕たちはできるだけ基本に立ち返り、コンセプトをしっかりと練り上げ、デジタルマーケティングを知らない人でも1度聞けば簡単に理解できるようにしました。専門性の高い複雑な話題よりも「自信を高める方法」といったような、多くの人が関心を示す話題を探すことが何よりも大事です。
コンテンツを作るときにハイレベルで詳しい情報を提供することに焦点を当ててはいけません。それよりも、自分が持つ情報を人々の感情に共鳴するような伝え方で理解しやすく作ることに焦点を当てるべきです。はっきり言って、ほとんどの人はあまり情報の質や専門性の高さを重視していません。はじめは情報を目的として集まってくるかもしれませんが、結局はあなたの人間性に惹きつけられていくのです。あなたに対する「本当のファン」達は、あなたの情報ではなく、あなた自身に魅せられているのです。
本当のファンはブリッジビルダーについてくる
優れたコンテンツを作ろうとしている人にとって、超初心者向けのコンテンツを作ることは意に反したことかもしれません。自分の知識やスキルを人々に向かってアピールすべきだと考えている人もいることでしょう。特別なスキルを提供すれば人々は自分のコンテンツに夢中となる。そう考えているとすれば、それは誤りです。
自分の知識やスキルをひけらかすのは、ブリッジビルダーの掟に反します。なぜなら多くの人々はあなたのコンテンツに共感や理解ができなくなるからです。ハイレベルなコンテンツを見てほとんどの人はこう考えるでしょう。「内容が難しすぎる。もうあなたのコンテンツは買わないよ」と。
情報の難解さばかりに焦点を当てると、見込み客との感情的な繋がりを完全に失ってしまうでしょう。それよりも、いかに始めることが簡単かを示すようなコンテンツを作ることが大切です。誰でもできる基本的な手順を示し、さらに上の段階へ少しずつステップアップするための “最初の一歩” を教えてあげるのです。
Udemyでオンラインコースをローンチした当時、ライバルコンテンツは「QUESTフォーミュラでセールスレターを書く方法」や「ホワイトハットのSEO」などのノウハウを提供していました。あなたはこれが最初の一歩だと思いますか?いいえ、違います。これらのコンテンツは、まだネットビジネスすら知らない人々を見逃していたのです。
だから僕たちはステップ0として、「フリーランスとして生計を立てるためにはどうすればいいか?」というテーマからスタートさせました。そこから「デジタル商品の優位性」「顧客の集め方」「商品の作り方」といったように少しずつレベルアップするための手順を示したのです。僕たちはライバルコンテンツからは無視された人々に対して有益かつ簡単な情報を提供しました。彼らからの反応はほとんど肯定的なものばかりでした。
2015年に「副業」に関するトピックのオンラインコースをUdemyにリリースし、これまでのべ13万人の受講生にノウハウを届けてきました。そして、僕たちのコンテンツに共感してくれたネットビジネスの初心者から何千ものコメントが寄せられたのです。僕は「自信をつけるための」雑談を頻繁にオンラインコースに挟みます。YouTubeにはいくつかの代ゼミの先生のビデオがアップロードされています。繰り返し主張されているのは、数学の授業や古文の授業ではありません。数学の先生が話す雑談であり、古文の先生が話す雑談です。僕も代ゼミの先生の真似をしてオンラインコースにたくさんのモチベーションアップコンテンツを入れました。おかげで競合他社よりも、売れるコースを作れるようになりました。
ターゲットにすべきなのは、これまで無視され続けてきた人々です。このように “超初心者” 向けのコンテンツを作成したことによって、デジタルマーケティング業界で専門家でもなんでもなかった僕たちを「専門家」として認める人々が増えていきました。僕たちはデジタルマーケティング業界と一般的な人とを繋げるブリッジビルダーとなったのです。そのおかげで、僕たちの弱小ビジネスは業界でもそれなりの評価を得るまあまあうまくいっているビジネスへと成長することができました。少なくとも、このネットビジネスの業界で13万人の受講生に対してオンラインコースを売った人は、僕以外にも数えるほどしかいないでしょう。インフォトップで一番売れている情報商材でさえ、1万本超えるか超えないかと言われているほどですから。
ビジネスが成長するにつれ、初心者向けコンテンツを作ることが見込み客を取り込むための良策であることがはっきりと分かってくるでしょう。本当のファンを獲得するためには、常にブリッジビルダーであるべきなのです。初心者と業界を結びつけることによって、本当のファンを獲得することができるのですから。あなたはどんな橋をかけますか?あなたはどのようなブリッジビルダーになりますか?