今日は「お勉強」についてレクチャーします。ビジネスをスケールするためのお勉強は2種類あります。1つはダイレクト・ラーニング。もう1つはインダイレクト・ラーニング。世界中の起業家はこの2つの学習スタイルを、まるで馬車の両輪のように右左同時に回し続けています。
僕はスタートアップの世界に7年ほどいます。特に駆け出しの頃は、大成功を収めた起業家たちにたくさん出会ってきました。今のオンラインコースビジネスと関係があるにしろ、ないにしろ、さまざまなビジネスに関わってきました。幸運にも多くの素晴らしいメンターから学ぶことができましたし、その中でネットワークを構築し、イベントに参加し、多くの業界のオピニオンリーダーと交流をしてきたのです。そのためだけに、起業直後は西麻布に事務所を置いていたと言っても過言ではないのです。
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マイルストーンを超えても学習を続ける
僕が起業した当時、西麻布3丁目に住んでいましたから、六本木ヒルズは歩いて3分の距離でした。月会費1万円ほどでアカデミーヒルズが使えます。アカデミーヒルズには有志のグループが勉強会を開き、様々なゲストを呼び、毎週のようにミートアップを開催していましたから、まさに起業家が行き交う交差点のような場所でした。またアカデミーヒルズ主催のイベントもたくさんありました。竹中平蔵さん、津田大介さん、MITメディアラボの石井裕さんなど、名だたるオピニオンリーダーが毎週のように登壇するのです。特に僕はライフネット生命保険創業者の出口治明(はるあき)さんの講演には足繁く(あししげく)通っていました。
この経験を通して、大きく成功した起業家たちには、ある共通点があることがわかりました。それはどんなことかと言うと、常に学び続けているということです。常に学び続けるとは具体的にどういうことでしょうか。つまり新しい洞察を得たり、より優れたビジネスリーダーになるために本を読んだり、ということを常におこなっているのです。
もっと具体的に言うと、学術研究や産業・業界に関する記事を精読したり、新しいスキルを学ぶためにPodcastを聴いたり、オンラインコースを受講してスキルを身につけたり、メンターや業界のインフルエンサーとネットワークを構築して彼らの経験から知識を得たり。基本的に成功する起業家たちの多くは、勉強すればするほど成功するということを知っているのです。
本当に成功している起業家たちは、基本的に学び続けるというスタンスを持っています。一方で、成功しない起業家は学び続けることができません。これには多くの理由がありますが、1つは「勉強は学校のような環境でだけおこなうもの」という価値観に慣れてしまっているということが挙げられます。多くの人々は、1つの重要なマイルストーンに到達するためだけに勉強をしているのです。たとえば卒業証書を手に入れることや、就職することが主要なマイルストーンです。
少し考えてみてください。一般的な学習パスとはどんなものでしょうか。僕たちは18年〜20年ほどかけて、小学校・中学校・高校・大学・就職といったプロセスを辿ります。何が言いたいかというと、多くの人は人生のはじめの20年間学び続け、学位を取得し、そして卒業。これで学びが終わってしまうということです。就職すると学びが終わると考えている人がどれだけ多いことか。
英語、スキー、スノボ、デジタルマーケティング(例えばA/Bテスト、セールスファネル、オートメーション)、さらにはDSLR、ビデオの編集、Adobe(例えば、Premiere Pro、After Effects、Audition)。これらすべて、僕が大学を卒業してから学び始めたものです。ここにあげたいくつかのスキルだけで、僕は市場からお金をもらっています。たぶん、もらいすぎています。
ビデオグラフィなんかはちっとも金になりませんが、僕はますますのめり込んでしまっています。Vimeoで才能あふれるクリエイターの映像を見て「このトランジションは一体どうやってやっているんだろう」と思いながら、わずかなボキャブラリーを総動員して日本語英語問わず検索をしまくります。この前は、Sam Kolderがよく使うLuma Fadeの2パターンのトランジションについて検索していました。なるほど「これってルミナンスキーを使っているのね」と2時間かけてようやく理解したのでした。この2時間、僕は勉強をしているというよりかは好奇心に従ってひたすらキーボードを叩いている感じでした。
好奇心に従って活動するのが勉強なら、きっとあなたも「じゃあ俺もやっているよ」と言えることがあるでしょう。素晴らしいです。それを継続してください。そのうちのいくつかはお金になるかもしれないし、ならないかもしれない。まあでもいいじゃないですか、お金を稼げようが稼げまいが、あなたは好奇心を満たすことができているのですから。好奇心が失われた時、起業家は死にます。
そもそも勉強とは決まった時間に決まった量だけおこなわれる活動なのでしょうか。始まりと終わりのあるものなのでしょうか。そして、最終結果を達成したら、それで終わるものなのでしょうか。このような条件付けは非常に危険です。このオンラインコースも同様で、コースを修了すればオンラインコースの学習がすべて終了すると思わないでほしいのです。このように一定のラインに達することで、学びが終わりだと考えてしまう人は多いでしょう。
まるでアジア人が大好きな「資格」とやらの性質に似ています。僕もかつて勉強したからわかるのですが、TOEICや英検なんかが一定のラインに達すること自体が目的化している資格の典型ですね。「資格があれば就職に有利に働く」といったくだらないモチベーションで勉強することの虚しさ。そういう発想でしか何かに取り組めないのは非常に悲しいことです。そもそもTOEIC900点をとったところで、いくらあなたの労働市場における価値が上がるのでしょうか。結局は、そういった資格やそれを努力も、最終的には経済的な対価へと変換するのが目的でしょう。ゆくゆくはそれが幸せに繋がると信じている。果たして、彼らの年収は今いくらでしょうか。どのくらい幸せなのでしょうか。断言しますが「就職に有利に働く」といったメンタリティが、もうその人の一生を不幸なものにしていると言えるでしょう。そういったマインドを修正するには長い年月を要するし、もしかしたら修正する前に先に寿命が来ちゃう方も多いでしょう。
あなたのスノボも、あなたの英語力も、あなたの趣味も、一定のラインに達したら終わりではないんです。
ビジネスでも同様の現象が起こります。一度、ビジネスで年間1億円を生み出せば、新しいマーケティングやセールス戦略を学ぶ必要がないと考える起業家が多いのです。しかし、それは明らかに間違えています。実際、学習は生涯を通じて継続的におこなわれるべきプロセスです。目標やマイルストーンを達成する必要があるときだけにやるべきことではありません。どんなことがあろうと、いつも勉強しなければなりません。
ダイレクト・ラーニングで業界に直接関連するトレンドを勉強する
勉強の方法には2つのタイプがあります。1つはダイレクト・ラーニングと呼ばれるものです。これはあなたの専門分野に関するトピックや業界に直接関連するトレンド、ニュース、イベントなどについて勉強することを意味します。自分の専門分野に精通するということには、明らかにメリットがありますよね?あなたの業界のニュースを扱った記事を毎日1つ読むことを想像してみてください。専門家と話をしたり、ブログ記事を書いたり、マーケティング戦略を立てたりするとき、どれだけ多くの知識を呼び出すことができるでしょうか。
僕の場合であれば、ベンチマークしているNeil PatelのブログやHubSpotのブログを読んだり、彼らが紹介する商材を購入してセールスファネルを研究したりするのがそれにあたります。なるほどオプトインではリバーススクイズを使い、ローチケットのフロントエンド商品を$57で売るのか。アップセルの値段は$397の6分割払いか。ローチケットとハイチケットの価格差が大きいけどこれでも売れるんだなとか。
まだその業界への造詣が深くないのであれば、Udemyからスタートするのもいいでしょう。Udemyには比較的初心者向けのオンラインコースがたくさん陳列されており、あなたの知識やスキルが初歩的なものであれば、ぴったりのプラットフォームと言えるでしょう。
Quoraで1日たった1つの記事を読むことで、大きな差を生むことができるはずです。ようやく日本にもQuoraが上陸しましたが、早速良質なコンテンツが蓄積され始めています。例えばコロナウィルスのパンデミックが起こっていた時、こんな投稿がありました。
なぜファーストクラスに乗るのですか?という面白い質問にも、教養ある人たちから様々で回答がついています。
到着時間はエコノミークラスと同じなのに、ファーストクラスに馬鹿高い料金を払う人がいるのは何故ですか?
もちろん僕が参入しているデジタルマーケティングのカテゴリーにも素晴らしいテキストコンテンツが散りばめられています。
起業する前に知っておくべきことは? といったマインドセット的な内容だけでなく、コンバージョンの高いサイトカラーの色について深い洞察を得られる投稿もあります。
自分の業界に関していくら勉強しても、情報の量には限りがありません。またどんなことであっても、絶えず変化をし続けているのです。栄枯盛衰(えいこせいすい)、変化を止めることは誰にもできません。現在、ニッチな市場でビジネスをすることに現実味を感じられないかもしれませんが、数年後にはビジネスのメインストリームとなっている可能性もあるのです。最新のトレンドやニュース、イベントを知ることは、潜在的な脅威を特定して、必要に応じてビジネスを適応させ、予期しないトラブルを回避するのにも役立ちます。
考えてみてください。音楽業界はこの20年間でどのように変化したでしょうか。カセットテープやCDといったように物理的な媒体を購入していたところから、NapsterやKazaa(カザー)あるいはWinnyのようにMP3ファイルで自由に共有したり、デバイスからデバイスへ音楽ファイルのダウンロードやストリーミングができるようになりました。そして、今ではiTunesやSpotifyのようにプラットフォームを使ったサブスクリプションがメインストリームとなっているのです。これで音楽業界の変化は終わりでしょうか?いいえ、違います。将来的には音楽を聴くために、今は想像できないような新しい方法が採用されているでしょう。
もしあなたが音楽ビジネスの起業家であったとすれば、このようなトレンドを常に把握しておくことが非常に重要だと言えます。もしトレンドをまったく理解していなかったとしたら、音楽をオンラインでストリーミングする現代で、時代遅れのCDを販売することになるでしょう。そうすればあなたのスタートアップはすぐに倒産するでしょう。
スティーブ・ジョブズがこの世から去ってから出版された伝記には、ジョブズが自ら大手レーベルオーナーと交渉し、iTunesで音楽を配信するよう説得するシーンが描かれています。ウォルターアイザックソンの書いたこの電気は、初版が2011年。ジョブズはそれよりも前から音楽業界のトレンドを察知して、大手レーベルのオーナーですら気付いていいなかったマーケットの存在をありありと見ていたのです。そういう意味では、卓越したセンスだけではなく、彼は熱心な勉強家であったとも言えるでしょう。
この話は音楽業界でも、IT業界でも、教育業界でもまったく関係ありません。どんな産業も、どんな分野も、どんなテーマも、決して変化から逃れることはできない、ビジネスにとって安全地帯はないということです。この事象をマネジメントの父ドラッカーは非常にシンプルな言葉でまとめています。
すべてものは陳腐化する
この瞬間にも多くの事柄が古くなっているのです。これは原則であり法則であります。僕たちがあらがうことができません。
優れた起業家は、将来にわたってビジネスを成長させ続けるための最善の方法は、常に業界についてダイレクト・ラーニングをし続けることだと知っているのです。
インダイレクト・ラーニングで業界とは直接関係のないトピックを学習する
しかし、本当に優れたビジネスリーダーはそこで終わることはありません。もっとも成功した起業家たちは、徹底的な自己啓発にこだわります。彼らはダイレクト・ラーニングで自分たちの業界について学びますが、それ以外のことも学びます。僕たちはこれをインダイレクト・ラーニングと呼んでいます。あなたのビジネスや業界と直接関係がない(インダイレクト)ということから、こう呼んでいます。
rikiyaishizaki.com で成功を収めた頃の僕たちは、自分のビジネスとまったく関係がないトピックについてのビデオや本、記事、ブログなどを検索していました。ほかにもプログラミングを学んだり、テクノロジーに関するニュースを読んだり、専門家たちと人間関係を構築するためのスキルを身につけたり。このような学習を続けていると、少しずつインダイレクト・ラーニングが身につき始めました。特にビデオグラフィは、ビジネスとは全く関係のないトピックでしたが、5年の時を経て、それが今僕たちのビジネスの「強み」になっているのです。
そこで僕はもっと大きなことができるような新しい会社を作りたいと思い始めたのです。具体的には何百万人、何億人もの人々の生活に影響を与えることができるIT企業です。僕はその頃もまだダイレクト・ラーニング、インダイレクト・ラーニングに関わらず、学び続けていました。アイディアが頭の中で形成されていき、少しずつ理想的な世界がどのようなものであるべきかイメージし始めました。その結果、オンラインコース・ビジネスを支援する会社を立ち上げることになったのです。
rikiyaishizaki.com を始めなければもっとお金を稼ぐこともできたかもしれません。それに、すでに十分な金額を稼いでいましたから、すぐにセミリタイアをすることもできました。その時作った不労所得のインカムストリームがいまだに続いています。でも、rikiyaishizaki.comを始めるべきだと感じたのです。なぜなら日本と世界の高等教育システムが崩壊しつつあるのを見たからです。多くの人がお金をたくさん払って、決して使わない科目を学ぶために、多くの時間を費やして無駄にしていました。
僕がrikiyaishizaki.comを始めたのは、この問題を解決したかったからです。大学を改革し、教育を受けることの意味を再定義したい。現在、rikiyaishizaki.comには3つのプレミアムコースがあり、何千人もの人を教えていますが、これはまだ序章に過ぎません。
ここまでの構想を作ることができたのは、僕がインダイレクト・マーケティングによって、自分の業界だけではなく、世界や人生について学ぶのを続けてきたからです。そして、たしかにこれが僕をよりスマートな人間にし、rikiyaishizaki.comで成功するチャンスを増やすことにつなげてくれたのです。でも、もっと重要なことがあります。それは、目的を見つけるのに役立ったということです。常に学び続けることは、自分が情熱を持っているものを見つけるのに役立つのです。学び続けたことで僕は行動を起こし、世界を変えようとしました。もし僕が勉強を続けていなければ、今ビデオを見ている人はいないでしょう。ビデオすらも存在しなかったでしょう。
まとめ:結果が出ることを期待せずにリラックスして学習する
絶えず学び続ける力が必要です。学習は怖いものではありません。中学校や高校のように、歴史を勉強したり、元素周期表を暗記したりする必要はないのです。あなたはもう大人です。自分の心が望むことはなんでも学ぶことができます。完全にあなた次第です。あなたが魅力的だと感じることはなんでも学んでください。反対に興味がなければ学ぶのはやめてもいいのです。これの一番良いことは、成績がつけられないことです。
インターネットのおかげで、簡単に情報にアクセスできるようになりました。あなたが必要な情報はすぐにでも利用することができます。そしてもっともありがたいことに、ほとんどの情報が無料です。メーリングリストに登録したり、ブログを読んだり、ビデオを見たり、可能性は無限大で、費用はほとんどかかりません。だから、学ぶことはとても簡単です。
一番大変なのは、きちんと学習に向き合うということです。学習にきちんと向き合うとは、生涯学習の習慣を作るということです。前回のレッスンで説明した通り、モチベーションではなく、規律を作りましょう。まず自分に約束をするのです。そして、カレンダーにイベントを設定し、スケジュールを作成しましょう。
以前にも紹介しましたがProductiveというアプリがおすすめです。ほかにもいろいろなアプリがあるので、自分で探してみてください。これらの時間を使って1つの記事を読んだり、本を一章読み進めたり、ビデオレッスンを受けたりしましょう。そして、イベントのお知らせが毎日届いていることを確認してください。もしアカウンタビリティシステムが必要なら、それも設定してください。もっとも重要なのは、少なくとも2〜3ヶ月はその約束を守るようにするということです。そうすれば時間をかけて自分を磨く習慣を身に付けることができます。
習慣に慣れてきたら少しずつ毎日の時間を増やしていきましょう。20分から30分にしたり、1時間を目標にしたり。より良い人間になるために、そして最終的にはより良い成功した未来を築くために、少し時間を割いて多くのことを学ぶことが大切です。生涯学習に励めば、おそらくあなたは想像以上により良い未来を築くことができるでしょう。
そうは言っても、これは長期的な投資であるということを覚えておいてください。学んでいる間、すぐに結果が出ることを期待してはいけません。学びのために学び、向上することを愛して、学びを好きになるのです。
最後にスティーブジョブズの言葉を紹介します。彼はこう言いました。「将来を見据えて点と点をつなぐことはできません。過去を振り返ったときに、はじめて点と点をつなげることができるのです。だからみなさんは、とにかく点と点が将来的につながることを信じて生きる必要があります。あなた自身の運命や人生、カルマなど、それがどんなことであっても信じなくてはなりません。将来的に点と点が結びつき、あなたの道を切り開くことができると信じることで、自分の心に従う自信を持つことができるからです。たとえそのせいで、多くの人たちが通る道から外れたとしても、それこそが大きな違いをもたらしてくれるのです。」